『学級会~パンツはどこだ!~』

ここまでバカな書き物はあるのか?という作品です。

なんか学級会で面白い落ちをつけようとしたら、
パンツのテーマが浮かび、その落ちをつけようと思い書いたものです。
いや、筆者自身もここまでバカな作品になるとは思っていませんでした。

キャラ多すぎだし(モブも入れたら30人だし)、会話文中心の構成だしということで、笑いたい方、コメディが好きな方、なんか気になった方はご覧ください。

……会話テンポと笑いをお楽しみください。


(文体・行間詰めは小説記述の標準ルールで記述しています。)

「え~とそれでは、学級会を始めたいと思います」
 黒縁めがねの男の子はゴホンとのどを鳴らして、簡単に始まりの挨拶を済ませた。
 見た目も雰囲気もまじめ一筋な印象の彼は、このクラスの学級委員だ。
 クラスで問題が起きれば、こうやって朝・昼関係なく会議を開いて意見を募るのだ。
「誰か、意見のある人は?」
 クラスを見回せば、中学生の男女が30人くらいだろうか、全員が顔を伏せていた。
 そわそわするもの、われ関せずで内職をするもの、早弁をするものと個性豊かだ。
 会議が進展しないことを見かねて、学級委員長の男の子は、ため息をついた。
 すると廊下側一番後ろに座っていたオタクっぽいデブの水野君が、挙手もせずに発言した。
「僕は、一番魅力のある女の子のキャラってやっぱりブルマ女子だと思うんだ」
「……」
「たとえば、パンツ一丁かブルマかという究極の選択をしたとき、必ずしもブルマのしたにパンツがある必要はないんだよ!」
 熱弁をふるう水野君に触発されたのか、教卓の前に座っている坊主の黒住君が興奮気味に気勢を上げた。
「違う、違うぞ。お前はぜんぜんわかってない! パンツだろうがブルマだろうがスカートの下にあってこそ真価を発揮するんだ!」
 そこで挙手して、勢いよく叫んだのは、ボーイッシュな短髪の女子、益田さんだった。
「いいや、そうじゃないでしょっ! 愛がなきゃパンツもブルマもただの布切れよ! 誰が履いているのか、汗とにおいが染み付いてこそよ!」
 学級委員長はいつものことと思いながら、疲れたように目頭を指で押さえていた。
 しかし、「ちょっと、待ってよ!」と悲鳴のような声を上げたのは、窓側の席に座っていた黒髪ロングの少女、泉谷さんだった。
 優しそうな顔つきで、クラスでは可愛くて人当たりのよい人気者だ。
「今、話し合わなきゃいけないのは、そんなことじゃないでしょ!」
 それにゆっくりとうなずいたのは学級委員長だ。
「ああ、泉谷さんの言うとおりです」
 不服ながらも3人は不毛な議論を収めた。
 続けて、学級委員長は言った。
「問題はーー泉谷さんが今日、どんなパンツをはいてきたかということでしょう。それで実際のところどうなんですか?」
 学級委員長は泉谷さんに視線を向けながら真面目に聞いた。
「そ、それは、白いフリルの……って、何を聞くんですかこの変態!」
「僕は変態じゃない、学級委員長だ!」
 そこで益田さんが割って入った。
「ちょっとちょっと、喧嘩しても意味ないよ。それより学級会の続きだよ」
 二人もしぶしぶ納得し、
「それは……」
「それもそうですね」
 会議を再開していた。
 そこで「あの~」と恐る恐る挙手をしたのは、机で本格的に漫画を描いていた坂本君だった。。 
「だったらいっそ、パンツが好きそうな男性キャラを考えてみればよいのではないでしょうか?」
「そうか、名案ですね」
 うんうん、と納得したのは学級委員長とその他数名の女子だった。
 逆に男子たちは、無秩序に反論をしていた。
「いやここは、一番エッチな女の子のキャラが誰かを創造すべきだろう」
「紐パンが似合うお嬢様キャラを考えるべきだ」
「シマパンの幼馴染キャラじゃないのか?」
「ぜんぜんわかってねーな! ティーバックの似合うツンデレキャラだろ」
「ちっがーう、今こそSMコスが似合う大人な女性ではないのか!」


 そんなバカによるアホな言い争いは、一人の少女の挙手によって静まり返った。
「あの、パンツについてですが、私の意見も……」
 そんなバカな! 
 と全員の顔が驚愕の表情に変わるのは一瞬だった。
 視線の先には、お下げの髪に、いまどき流行らないような分厚い黒縁フレームのメガネの少女。
 一同は同じことを思っていた。
『ガリ勉で真面目なあいつが、このおふざけのような話題(一同は真剣なつもりだが)に挙手した』
 だが、学級委員長は無視をしていた。
 しばらくして痺れを切らしたのか、お下げの少女ーー本永さんは、アピールするように手をピンッと伸ばして強調した。
 挙句、バイバイするように手を振っていた。
「--仕方ない、ホントはキャラかぶってるから当てたくなかったんだけど、本永さんどうぞ」
 全員の関心がその一人の少女に集まっていた。
 彼女はそっと口を開いた。

「そろそろパンツ探しませんか?」

 ドタッ! (数人がコケた音)
 期待していただけに落胆も大きいのか、彼女の指摘は至極真っ当だった。
「だって、そうではないですか? パンツの価値観もキャラの造形も的外れだと思います。
 --プールの時間に盗まれたのなら、犯人を警察に捜査してもらう必要があります。学校の生徒なら持ち物検査するなり、教師に相談するなりできるでしょう。落としただけならみんなで探せばいいだけですし」
 学級委員長は、「だから嫌だったんだ」という嫌悪を顔ににじませた。
「それが正論だろうな。だが、目的がわからなければ犯人像もわからない。もし外部犯ならもう逃げてしまっているかもしれない。ならば、どんなやつが盗んだのか絞り込むのが先決だ」
「そうでしょうか? 外部の犯行でわざわざ一人の女子のパンツを盗むなんてことはしないと思います。誰か泉谷さんのことが好きな男子が盗んだと考えるべきです」
「ん~、確かにそう考えるのが妥当かもしれんが……。ほかの人はどう思うかい?」
 あちこちで、「俺はやってねーよ」とか、「絶対オマエだろ、いつもチラチラ見てたの知ってるんだから!」という糾弾姿勢の女子とか、またわいわいと騒々しくなり始めた。
「もしこの中に盗んだ犯人がいるのなら、どんなパンツがすきか聞けばいいんじゃないでしょうか?」
 またしても、漫画を描く手を止めて坂本君が発言した。
 学級委員長は、うなりながらも、しぶしぶ首を縦に振った。
「そうだな。泉谷さんがパンツの好みについて順に聞いて、もしこいつだって奴が現れたら、持ち物検査をすればいいだろう」
 お下げの少女は、「全員に持ち物検査をすればよいのでは?」といったが学級委員長が無視した。
 そこで今まで漫画を読んで一人でぶつぶつ言っていた少女が、机の上に立ち乗った。
「我が心眼は見た! 漆黒の相貌から放たれる邪気を」
 突然、何言ってんだこいつ? とクラスの面々は中二病患者の女生徒を前に戸惑っていた。
 すると隣にいた、執事を横に連れて教室内でティータイムをするお嬢様が言った。
「つまり、黒いオーラを目に持つ男が、彼女のパンツをガン見していた、と言いたいのですわ」
 全員が「なるほど~」と納得する中、そいつは一体誰だ? という話になった。
 同時に、でも「黒いオーラ」って一体なんだという話にもなった。
 お嬢様は補足した。
「簡単に言えば、『黒縁メガネの男』ですわ」
 そこで坊主の黒住君に、『パンツの好みについて』の順番が回ってきた。
「僕は履いてるんだけど見えないパンツが好みかな……ダハっ」
 すると、学級委員長が叫んで、
「それは、もはやパンツじゃない! パンツというのはこういうのを言うんだ」
 手に掲げたのは、
 純白の無地・無色で、
 フリルのついたパンツだった。

 クラス全員が学級委員長に向けて一斉にカバンを投げた。



「「「「「「「「「オマエかよっ!」」」」」」」」」

『学級会~パンツはどこだ!~』

『学級会~パンツはどこだ!~』

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-05-22

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