ふんわりな審美

この髪をいじっているのは
潮の匂いと
草の匂いを混ぜた
涼しくてお茶目な風

この頬を染めているのは
優しさと
寂しさと混ぜた
柔らかくて綺麗な光

この心を掻き乱しているのは
だれ?
この心にいろんな感情を流し込んでいるのは
だれ?

この気持ちを形にしたくても
絡み合った糸みたいで
言葉にできない
このざわめきを形にしたくても
喉が詰まっていて
声にできない

こんなふうになっている自分が
もどかしくて
指先が微かに震えてしまうけど
こんなふうになっている自分が
気持ちよくて 好き

自分の中で絡み合ういろんなものが
どれも素敵で
それら全部抱えている自分が
満たされた気分になって
ふんわりとした幸せを
感じずにはいられない

手を伸ばせば 触れられそうで
でも 届かなくて
そんな距離に 少しだけ
美を覗けたような気がする

ふんわりな審美

ふんわりな審美

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-21

CC BY-SA
原著作者の表示・CCライセンス継承の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-SA