最期の日

20××年5月27日
今日、世界は終わってしまうらしい

 20××年5月27日午前10時ジャスト。
 三十年前の今、僕はこの世界に生まれた。両親は喜び、祖父母は初孫の誕生に涙を流したらしい。優しい母と厳格な父、生意気で可愛らしい妹。どこにでもいる一般的な家庭で僕は育った。そこそこの高校を経て、そこそこ名の知れた大学を卒業し、そこそこの企業に入社した。この年になると結婚し、子供をもつ友人も増えてきた。皆、結婚を勧めるが、残念ながら僕に彼女はいない。二週間前、とうとう母親から見合い写真が送られてきた。二歳下の可愛らしい人だった。将来を考えると、結婚も良いだろう。そう思って、承諾の返事をしたのが十日前。
 そして、今日が見合い当日。
 うるさい目覚ましを止めて、テレビをつける。覚醒しきっていない頭で芸能ニュースを聞き流していると、甲高い音が鳴り響いた。一瞬身構えたが、緊急速報だと気付いた。あの音は心臓に悪い。少し早くなった心臓を押さえながら画面を見てみると、冗談のようなことが書かれていた。

 本日、午後1時に巨大隕石が地球に衝突します。

「……見合いは中止だな」

 テレビを消し、もう一度ベッドにもぐりこんだ。
 隕石衝突まで、あと三時間。
 二度寝するには、十分だ。

最期の日

もしも、あと三時間で地球が終わってしまうなら。

「明日、地球が滅びるなら何をするか」
一日あれば出来ることも多いですが、三時間だったら?
何をするんだろうと考えたら、こういう作品が出来ました。

最期の日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-17

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