洗濯
「なにしてるの?」
小さな子供は川で何やら白い布を水に浸してゴシゴシ洗っている男にこう言いいました。
男は驚きで目を少し大きくしましたが、すぐにフッっと柔らかく笑って、子供の頭を濡れた手で撫でました。
「洗ってるの」
「なにを?」
「大事なモノ・・・」
男は困ったように笑いました。
そのとき、鐘の音が鳴りました。
ゴ―――――ン
ゴ―――――ン
ゴ―――――ン
少年は憑りつかれたように、フラフラと立ち、音がする方を見ました。
「いかなくちゃ。」
少年は走り出し
やがて少年は街に着きましたが、
男は白い布を洗い続けていました。
「何してるの?」
少し小柄な青年は川で何やら白い布を水に浸してゴシゴシ洗っている男にこう言いました。
男は驚きで目を少し大きくしましたが、すぐにフッと柔らかく笑って、青年にもたれ掛りました。
「洗ってるの」
「何を?」
「大事なモノ・・・」
男は困ったように笑いました。
青年も苦しい表情をしました。
「この布は汚れてるの?」
「うん」
「・・・落とせそう?」
「・・・いいや」
男と少年は話し続けました。
鐘が鳴るまで話し続けました。
ゴ―――――ン
ゴ―――――ン
ゴ―――――ン
青年は黙って鐘の音がする方を見ました。
そして、男の方を見ました。
男は鐘の音が聞こえなかったかのように、白い布をゴシゴシと洗っています。
「・・・・・・行かなくっちゃ」
青年はそう言って立ち上がりました。
男は何も言いませんでした。
青年は街に向かって走りましたが、男はそこでずっと洗っていました。
「何しているんですか?」
背広を着た男は川で何やら白い布を水に浸してゴシゴシ洗っている男にこう言いました。
小さいころから何も変わってない男は驚きで目を少し大きくしましたが、すぐにフッと笑って、背広を着た男と手を繋ぎました。
「洗ってるの」
「何を?」
「罪を」
男は嬉しそうに笑いました。
背広の男は逆に押し殺した表情をしました。
「落とせそうですか?」
「いいや」
男は微笑んで答えました。
「落ちないんだ・・・・・・こんなに洗ってるのに・・・」
男は笑いながら泣いていました。
すると突然、鐘の音が鳴りました。
ゴ―――――ン
ゴ―――――ン
ゴ―――――ン
背広の男は昔のようにの音の方に顔を向けませんでした。
背広の男は男の裾を掴みました。
男はぎょっとして
「ちょっと、何するの」
「どうして逃げる、どうして街に行かない」
「や、だ。はなして」
「君の罪とは一体なんなんだ?教えてくれ」
「放せ、・・・っ!」
「ここにくるといつも僕と君だけだ。他の人間がいない。まるで、こんなところ無いとでもいうかのように」
男は掴まれている裾をどうにかしようとしましたが、男に肩を掴まれて何もできなくなりました。
「・・・街に戻れ」
男が唸ります。怒っていると、背広の男も分かりました。
「”鐘が鳴ったら家に帰れ”」
その言葉は、幼いころから聞かされていました。
夜になったら、家にかえれなくなると聞かされていたからです。
「そんなことはどうでもいい!君と僕は関係があるのか!」
背広の男は怒鳴りました。
すると、男は怯えたように肩を動かしたっきり何もしなくなりました。
背広の男は、息を深く吸い込み、優しく話しかけました。
「君はいつもここにいる。ここにこれるのは僕だけ。昔も、今も、だ。何か理由があるのか?君の罪とは一体なんなんだ?」
男は何も言いません。
「・・・言ったって聞こえない。」
「はっ」
「もう、遅い。」
男は背広の男を抱きしめました。
「キミがその答えを望むなら答えてあげよう。・・・一緒に堕ちよう。」
男は耳元で囁(ささや)きました。
ふと、白い布がだんだん赤くなってゆきました。
「な、なんだ・・・?」
「私の罪は×××××だ。」
「?」
そこだけノイズが掛かったかのように、男は大事な部分を聞きのがしました。
「ほらな、聞こえないだろう」
悲しそうに男は言います。
周りがだんだん赤くなっていき、そして黒くなっていく。
白かった布はさっきまで赤色だったのにすでに黒くなっていった。
「でも、大丈夫。私はキミと一緒だ」
男は耳がよかった
だから雑音の中、男が言った罪を墜ちていく中で処理していた。
ため息のような熱のこもった息を吐いたのは果たしてどちらの男だっただろうか。
―――――あぁ、最初っから僕たちは運命だったんだ。
同性愛と。
洗濯
分からなかった方には解説を。
どうもどうも!お馴染みの高梨 恋(たかなし れん)です。
男が洗っていた白い布というのは心のことです←
好きになったものはどんなにやめようとしても取れない。落ちない。
といった話です。
まあ、ちょっと不思議で怖い雰囲気ですよねぇ;;
知ってます。
五月に入りました!
自分はもう五月病になってます( *´艸`)
こんな人間にならないでね!
でわでわ。