サッカーボールに恋をする。
小学五年生になった転校初日、私はそこで初恋をするのです
サッカーボールみたいに、よく跳んでる君に。
涙が出るほど愛しくて、息が詰まるほど苦しい恋を
君にしてしまったのです。
1章:転校
四月、1年が始まる季節
転校転入が繰り返される、少し切ない時期
かくいう私、空野芽も新しい小学校への道を歩いている
新しいマンションから徒歩7分程度の公立校
私の家は北海道から大阪への父の転勤に付いて来た、所謂転勤族
幾度となく繰り返された転勤のため、転校には慣れっこだ
周りを走ってすり抜けていく年下と思われる少年を見つめて、目を伏せた
「きっとまた転校するんだろうなぁ、仲良くはならなくていいかなぁ」
少しだけ目を伏せて呟くと、また笑顔を作って前を見た
そして、歩き出したのだった
【1章:転校】
(出会いまであと少し)
サッカーボールに恋をする。