この夢を見た翌日に兄に話したら同じ夢を見ていたそうです。

唐突な痛みで目を覚ました。首に手を当てるとナイフが刺さっている。
気管にナイフが到達してるのだろうか、呼吸の度に「ヒュコーヒュコー」と不穏な音が口から溢れる。でも血は出ていない。息は苦しいし痛みも感じるのに。

横で母が寝ているので起こそうと揺すった。
起きない。大声で呼んでも叩いても起きない。死んでるのかと母の鼻に手を翳したら息はしているらしい。

急いで2階の寝室から1階の居間へ降りたら母が何人も居る。

料理を作る母、洗濯物を干す母、TVを見る母、飼い犬の世話をする母、掃除をする母。
あまりの出来事に呆然としていたら「○○」と私を呼ぶ声がする。気が付いたら後ろに母が立っていた。聞いたら「子供の世話をする母」らしい。
ここ最近、母が新興宗教にハマったせいで思うように甘える事も出来なかった。嬉し涙をボロボロ流しながら目一杯「お母さん」「お母さん」と甘えた。
膝枕をしてもらいながら色んな事を話した。学校で流行っている遊びの事、近所の犬が子供を産んだ事、兄の非行の事、母が宗教にハマったせいで近所から迫害されている事。
母は何も言わず頷いて聞いてくれた。

私の頭を撫でる手が首のナイフに当たる。ハッと思い出し母にナイフの事を聞く。
母は真っ直ぐに虚空を見ながら「それは--で--だからお母さんに問題があるのかもね。」

「お母さん、もう行くね。」
スッと立ち上がった母は玄関に歩いて行く。急いで追いかけたが煙のように消えてしまっていた。

それ以来、母の夢は見ていません。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-16

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