水面にふわふわ



「ねえ、タイガはさ、どうして私と付き合おうって思ったの?」

ついさっきまで無心でアイスキャンデーを舐めていたかと思えば、透子が改まって妙なことを聞くもんだから、思わず口に含んだ冷茶が変なところに入りそうになった。


「ねえタイガ」

タンクトップの上に薄手のニットを羽織った透子は、真剣な瞳で身を乗り出す。


僕はじゃりじゃりと口の中の氷を噛み砕きながら、取り敢えずうんと言った。



取り乱すことなんてない。

彼女の属性は、情熱の、火だ。

思い立ったら即行動。常に単刀直入。


そんなことは、付き合い始めに幾度となく「私のこと好き?」と詰め寄られた衝撃からとうにわかっていた。

それは水泳部の爽やか系美少女、水永透子の今まで頑なに守られてきたイメージが見事に覆された瞬間だったのだから。

水面にふわふわ

水面にふわふわ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-11

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