水面にふわふわ
「ねえ、タイガはさ、どうして私と付き合おうって思ったの?」
ついさっきまで無心でアイスキャンデーを舐めていたかと思えば、透子が改まって妙なことを聞くもんだから、思わず口に含んだ冷茶が変なところに入りそうになった。
「ねえタイガ」
タンクトップの上に薄手のニットを羽織った透子は、真剣な瞳で身を乗り出す。
僕はじゃりじゃりと口の中の氷を噛み砕きながら、取り敢えずうんと言った。
取り乱すことなんてない。
彼女の属性は、情熱の、火だ。
思い立ったら即行動。常に単刀直入。
そんなことは、付き合い始めに幾度となく「私のこと好き?」と詰め寄られた衝撃からとうにわかっていた。
それは水泳部の爽やか系美少女、水永透子の今まで頑なに守られてきたイメージが見事に覆された瞬間だったのだから。
水面にふわふわ