赤司君の好きなもの。6
扉
私の目の前に現れた、謎の3人組。
これから私はどこに連れて行かれるのーー!?
「ゴーゴーゴー!」
「あ、あのっ…すみませっ…」
教室を出てから腕を引かれるまま、走りっぱなしだ。
それに、走るスピードがとてもついて行けるものじゃない。
ただでさえ体力がない私には、苦しすぎる…!
「ちょっと!小太郎!とまりなさいって!」
後ろからついてきている、オネェさんと、マッスルさん。
オネェさんが、私の腕を引いて全力疾走する彼に叫んだ。
やばいっ!
足がもつれてっ…!
「ごへっ!」
変な声とともに、前のめりに倒れてしまった。
いったぁい〜…
……
………
ん?
あれっ?
全然痛くない……?
私は確実に転んだはず。
それよか、なんだかふかふかしてる気がする。
「ふぎゅぅ〜〜、いたい〜」
私の真下から聞こえてきたうめき声に、視線をそこへ向けると
「ぎゃあ!?」
「重いよぉ〜〜」
真下にいたのは、私の腕を引いていたはずの彼で。
慌てて、彼の上から体をどかせる。
「あ、あの、すみません!私…」
うぅ…、と苦しそうにうめく彼のてを握って謝っていると、
「もう!本当あんたってだめよねぇ」
私の隣にしゃがみこんだのは、レオ姉と呼ばれている彼だった。
「レオ姉〜、手貸して〜」
「あたしより、あっちの筋肉男の方がいいんじゃないの?」
筋肉男…。
ぷぷっ。ナイスネーミング。
くすくすと笑っていると、レオ姉さんが私と床に転んだままの状態の彼の手をひっぱり、立ち上がらせてくれた。
身体は華奢なのに、すごい力だ。
「ありがとうっ…!」
「いーえ♡女の子にはやさしくしなきゃよ!」
なんて言ってピースをするレオ姉さん。
今なら聞けるかもしれない…!
「あのっ!どこに行くんですか?今から」
「…うーん、どこって言えば」
ごくんっ。
唾を飲み込む。
ありえないくらいに心臓が音を立てていた。
なんでかわからないけれど、緊張する。
私を見下ろすレオ姉さんが、ふふっ、っと意地悪に笑った。
「やっぱり秘密。着いてからのお楽しみかしら?」
「お前見かけによらず、悪だな」
「うるさいわねー、筋肉バカ男」
「俺の筋肉は、世界一だかんな?なめんなよ」
「かっけぇーー!!!」
ひ、秘密って
今頃になって、これはやばい状況じゃないのか?
と、理解
あぁ、今ここに爽子ちゃんがいてくれれば。
「もうすぐつくから、ついてきなさい」
「…は、はい」
もう、逃げられない?
冷や汗が背中を伝った。
おとなしく彼らの後ろをついて行くうちにだんだんわかってきた。
彼らが私をどこへ連れて行かせようとしているのか。
「さぁ、着いたわよ」
「とーうちゃーく!!」
私が連れて来られたのは、
入学式で一度来た事のある所。
「体育館…?」
どうして、体育館なんか。
それに、どうして私が連れて来られたのだろうか。
考えを巡らせていると、小太郎と呼ばれた彼が、体育館の入り口のドアを開けたーー
赤司君の好きなもの。6