赤司君の好きなもの。5

続きです。
読んでいただければ、幸いです。

強制連行?!


「あんた、一番目をつけられちゃダメな奴に、目、つけられわよ」

そう言った彼女の目は、まぎれもなく本気そのものだ。

爽子ちゃんと出会ってまだ、1日とちょっとだけど

こんなに真剣な顔をする彼女には、少し驚いた。

「でも、私目をつけられるようなことした覚えがないといいますか…」

それに
彼女が言った、赤司 征十郎という人物にも、全く心当たりがない。

「だからさ、そんなに心配することじゃないよー」

帰ろ!と笑った私を見て、爽子ちゃんは、何度目かわからないため息をついた。

「じゃあ、せめてアタシが言ったラッキーアイテム、もう一回やらせて?」

「ラッキーアイテムって、それ…」

しっぺですよね?



抵抗はしたものの、爽子ちゃんの力に叶うはずもなくー


二人で並んで歩いていた。


「ヒリヒリするよー」

「あんたを守るためなんだから!我慢しなさいよ」

守るって…、心配性だなぁ。

隣を歩く彼女を見上げ、ニッ、と笑って見せる。

「じゃあ、私こっちだから!また明日ー!」

「また明日」

手を振って見送ってくれる爽子ちゃんに、背を向け家へと続く角を曲がった。



高校へ入学してから、1週間が過ぎた。

爽子ちゃんが心配していたようなことも起こらず、
平和な日々を送っていた。

しかし

私の頭を悩ませるものが一つ。


「んじゃ、アタシ部活あるから先行くよ」

「はぁ〜い、また明日ぁ〜」

はぁ。

ごつん、と机におでこを当てる。

だめだ、決まらない…。
部活登録用紙の提出は、明日まで。

つまり、今日までにどの部活に所屬するかを決めなければいけないのだ。

やりたいこと。
私には、そういうものがない。
早く、やりたいことを見つけたい。
そうしたら、
きっと、毎日がキラキラして見えるんだろうな…。

はぁ…。

目を閉じる。


放課後の教室は、昔から好き。

外から聞こえてくる部活動の声。

風の音。

全てが心地いい。

このまま、ちょっと寝ちゃおうかな…。

何て思っていたとき。

ガラッ!!

勢いよく、教室の後ろのドアが開いた。

反射的に振り返ると、背の高い男の人達が、3人立っていた。

その中の一人
明るい髪色をした彼が私にゆびを指した。

思わずビクッと肩がはねた。

「赤司が言ってたのって、あの子っしょー?!」

赤司…?

どこかで聞いたことのある名前。

考えを巡らせていると、机に影が落ちた。

顔を上げた瞬間、ほうに触れた手のひら。

「あなた、可愛い顔してるのね」

「へっ!?」

だれですか!?
この、長身美女は!

あたふたする私をみて、彼女がふふっと笑った。

「言っとくけど、あたし、オトコ♡」

「ーーー!?!?」

オトコー!?
全然そんな風には見えない…。

「ちょっとー!レオ姉!早くしないと赤司に怒られるよー!」

「そーだぞ、早く行こうぜ」

明るい髪色をした彼の隣には、ガタイのいいマッスルな男の人。

そして、私の目の前にいるのは、オネェさん。

そんな3人に囲まれたこの状況。

き、きまずい。

そんな空気を打ち破るように、
ガッ!と私の腕をつかんだのは

明るい髪色をした彼だった。

「ちょっとついて来てよ!」



「えっと、は、はい……?」

そんな笑顔で言われたら、断れません!

赤司君の好きなもの。5

赤司君の好きなもの。5

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更新日
登録日
2014-05-09

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