赤司君の好きなもの。4

あと少しで、赤司が登場します…!
長い…!

忍び寄る悪魔

「爽子ちゃんは、なんか部活とかはいるの?」

「ん?てか、もう入ったし」

「えっ?!」

放課後の教室

私と爽子ちゃんはお互いのことを知るために語り合っていた。

「部活入ったって、まだ登録用紙くばられてないよね?!」

「それよりあんたは?どうなの?」

ひらっ、と手で私のことを軽くあしらう。

これ以上は聞かないで。

そう言ってるように聞こえたからー

「私、爽子ちゃんのことから知りたい。それに、私たちの間に隠し事は無しだよ」

ぴっ、と親指を突き出した私を見て

爽子ちゃんは少し驚いた顔をしていたけれど
すぐに笑って私のてを握った。

「…ありがとう、日向」

すごく、柔らかな笑顔だった。

私もつられて笑ってしまう。

「アタシ、美術部に入ったんだ」

「うん」

「絵を書くことが好きで、ここの高校に入ったのだって、美術部の活動がさかんだから」

そう言う爽子ちゃんの瞳は、すごくキラキラしていて

すごく、羨ましかった。

でも、ふと思った。

「美術の高校には行かなかったの?」

そう言った私をみて、爽子ちゃんの目が曇った。
「……アタシ、お兄ちゃんの代わりに医者になりたいの」

繋がれた手が、震えていた。

「アタシの家、病院を経営しててさ。だから、お兄ちゃんはやりたいことがあっても医者になるしかないの」

「爽子ちゃん…」

「アタシがやるしかないんだよ」

にこっ、と笑った彼女。

「アタシ、家では絵、描いてないんだ。せめて学校くらいでは、描いていたいの」
事情を話したら、特別に入部させてくれたのよー、っと笑って言った。


爽子ちゃんは、お兄さんが大好きなんだね。

でも
でもー

そんなの、悲しい。

ギュッ、と爽子ちゃんの手を握りしめる。

「私、バカだからなんにもアドバイスとか出来ないけど…」

爽子ちゃんが顔を上げた。

「私、爽子ちゃんの描いた絵、みてみたい」


きずけば、外は真っ暗になっていて

「…、ありがと…アタシ、あんたと仲良くなれてよかった」

笑いあって、抱きあって

爽子ちゃんのこと、もっとよくしれた気がした。


最初に立ち上がったのは、爽子ちゃんだった。

「もう暗いし、帰る?」

「そうだねー、帰ろっかー」

うーん、とのびをしていると、爽子ちゃんがふっ、と笑った。

「今度は、あんたが話す番だよ?」

「あっ、そーだった!でも、私特に対して話すことないよ?
でも。やっぱりやりたいことを見つけることかなぁー」

あははっ、と笑いとばした私の肩を彼女が、ガッ!とつかんだ。

「えっ…?爽子ちゃん?」

いきなり、どうしたんだろうか。

「あんた、赤司 征十郎って男知ってる?」

あ、あか?

だれだろう、その人。

聞いたこともない名前。

首を横に振ると、爽子ちゃんがため息をついた。

「これは、言わないでおこうと思ったけどもう無理。
あんた、一番目をつけられちゃダメな奴に目、つけられたわよ」


「へっ?」

赤司君の好きなもの。4

赤司君の好きなもの。4

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更新日
登録日
2014-05-07

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