うたた寝の狭間で
いつの間にか無くしていた意識は車内に柔らかく降りてきた日差しが持ち上げでくれた。嗚呼またか、いつも後悔がこの瞬間を横切り、空箱のような心の何処かに小さな針が突き刺さる。痛いのかもしれない、痛覚を忘れた僕の心の何処かに風穴が空いて、息の仕方がんわからなくなる。吸い込む空気がやけに薄く感じ、呼気は嗚咽のように歪んだ。泣いているわけではない、どうしたら生きられるのかわからず、必死にもがいているのだ。
それというのも、隣にいた君の存在を見失ったからだ。夢のなかで同じ列車に乗り、楽しく談笑する君の笑顔はいつも目の覚める直前にはどうしようもなく淋しげで、抱き締めようと両の手を拡げ君を手繰り寄せようとするがその時のきみは何処にもいなくなった空の一席に柔らかい日差しが佇むのみであった。
しかしいつもと違う光景一つ目の前を過った。僕を見つめる何処か懐かしい瞳。見たのことの無いのにどうしようもなく懐かしい瞳。僕は彼を見ていた。
うたた寝の狭間で