奇妙な悪魔物語

奇妙な悪魔物語

今回は少し長いかもですね。でも、ちょうどよく区切りました!

第七話 ライフル③

奇妙な悪魔物語 第七話 ライフル③


そんなルキフグスにライフルが
[だってよぉ......無駄だろうが。お前相手に隠れるなんてよぉ?生命探知があるじゃんかよ?]

[........................]

[それに暗殺じゃ俺の気がすまねぇんだよ....この拳でぶん殴って、恐怖を感じたまま死なせなきゃ俺の気がすまねぇんだよ]
とライフルはルキフグスを睨み付ける。
それに鼻で"ふっ"と笑うルキフグス。

[そうかもしんねぇな....だが、貴様が出てきたところで何ができる?たかが上級悪魔風情が魔将の俺に接近戦で勝てると思っているのか?]

悪魔に存在する階級というものは、身体能力の強さから決められている。悪魔はみな能力を持つわけではなく、能力をもつものは10/1に過ぎなかった。それは階級に関係なく目覚めるものである。その為、能力をもつ下級悪魔が上級悪魔を倒してしまうことも珍しくない。

それに対し、ライフルは
[俺の能力は接近向けだ....]
と言い、ゆっくりとルキフグスの方に歩いた。

[そいつは俺もだッ!]
といいルキフグスは一直線にライフル目掛けて走った!そして目の前まで足を踏み入れた!ライフルの懐に入ったのだ。だが、変わらずライフルは防御するしぐさもなく、ゆっくり動いていた。もはやすきだらけであった。殴ってくれと言っているようでもある。だが、気にせずルキフグスは
その右手を凍らせパンチを繰り出した。そのパンチはライフルの顔面にめり込んだ。が、瞬間、ルキフグスの腕に奇妙な感覚が走る。パンチが当たった瞬間。腕がライフルとは別の方に引っ張られる感覚が走った。深く当たったパンチだったが、拳を振りきる前に既に拳はライフルから少し離れていた。
"バカな"と思ったその時には既に、拳はライフルから10㎝離れていた。いや、離されていた。いくら力を入れてもパンチはライフルに届かない。どんどん引き離されていく。まるで後ろから腕を引っ張られているような感覚だ。
すると"ニヤリ"とライフルが笑い身を屈めた。飛び馬の馬のように。と同時にルキフグスの腕が前に動いた。力をいれていたため、勢いよく前に振った。まるで、塞き止められていた水があふれでるかのように。
ライフルの頭上を勢いよく空振り、体の前に体重がかかり、バランスを崩してしまう。そこに身を屈めていたライフルが体を中に回転させルキフグスの顎にアッパーカットを放つ。ルキフグスはすぐに体制を立て直そうとする。が、ライフルの拳にルキフグスの顎が吸い寄せられるかのように自分から近づいた!そして....
ゴォッ!と鈍い音を放ち、深々とアッパーカットが当たる。
[カッ!]
そのままルキフグスは後ろに二歩三歩と後退する。唇が切れ、血がうっすら出てきている。その顔は"信じられない"と言っているようだ。
それを薄ら笑いを浮かべながら見つめるライフル。その態度に暑くなるものの、すぐに心を落ち着かせる(大丈夫だ....気になるが今の不思議な感覚がきっと奴の能力だ。まるで奴から拳が引き離されているような感覚....まだわからない相手の能力。だが、離れた距離から攻撃して来ないのは能力が遠距離では使えない証拠だ。一回の接近でそれが分かれば十分だ。)
"ふぅ"と二、三回深呼吸をし、心を落ち着かせた。その心には(次は連打だ....!)と次の行動を決めている。そして勢いよく地面を蹴り一直線にライフルに向かって走った。それをその場に動かず冷ややかな目で見るライフル。心なしか、さっきから無駄に体の力を抜いているに見える。

懐に入るなりもの凄い早さでパンチを繰り出すルキフグス。だが、不思議なことに一発もライフルには当たらない。ライフルも同じ早さで避けていた。そして、ルキフグスは目を疑った。なんとライフルは目をつぶっていたのだ。そしてルキフグスのパンチがピタリと止まる。ライフルも止まっている。拳はライフルの顔に当たる寸前で止まっている。ルキフグスは拳に力を入れるがさっきと同じで全く動かなかった。そしてまた後ろに腕を引っ張られている感覚が走る。じょじょに拳が後ろに押し出される。悪魔と言えど疲労はたまる。ルキフグスは疲労で汗が流れる。"はぁはぁ"と息も切れる。だが、一方のライフルは全く汗をかいていない。ずっと涼しい顔をしている。
[お前は今、こう考えている。何故やつは汗一つかいていないのか?パンチを避ければその分疲労がたまるはず。そして上級悪魔と魔将の俺では体力的にこちらに分があるはずなのに....なのに何故やつは汗一つかかない?そして考えているな?俺の能力が何か?]

[はぁ....はぁ........はぁ....]

[別に、隠すつもりもねぇし意味もねぇ。磁力だよ。]

[!?]

[触れたものにSかNの磁力をつける能力。今の俺はSでお前もSだ。お前ら魔界育ちの悪魔に科学が理解できるかしらないがな。だから体の力を抜くだけでお前の攻撃は自然と俺には当たらない。そして俺が踏ん張ればお前の拳は空中にとどまる。]

[............]

[意味がわからないならもう一度その身で体験してみるか?]

その言葉にルキフグスはキレタ。歯を噛み締めている。
[調子に乗るなよッ!カス悪魔がぁーッ!]
と、同時に磁力で前に進まなかった腕が急に動いた。この時、ルキフグスの腕に力が入っていたため勢いよく、そのまま拳が前に進む。[しまったッ!]と思った時には遅く、既に体重は前に乗っていて体制を建て直せない。それを狙っていた。
その迫り来る拳を今度は磁力ではなく自力で交わすライフル。
[今度は磁力では無い!体制を崩したなッ!?]
と言い自分の体を"N"に変える。
そして拳をルキフグスの顔目掛けてつき出す。ルキフグスの顔はライフルの拳に引き寄せらる"メチャァッ!"と言う鈍い音と共に潜血が飛び散る。[........ッ!]
そして、次は蹴りを放つ。
そして続けざまに次々と攻撃を繰り出す。

[....................ッ!]

[オラオラッ!どうした?]

ルキフグスはがむしゃらに拳をつき出す。が、虚しくも空を切る。そして体制を崩した所をさらに襲うライフルの猛攻。たまらず上半身を丸め、防御体制に入るルキフグス。その右手に軽く手をかざし右に手をずらす。するとルキフグスの右腕磁力につられ、右にずれ、隙間ができる。そこにすかさず左を放り込む。その猛攻にたまらず後退した。

[はぁはぁはぁはぁ....]
と息を切らす。そして、ライフリを見る。奴は余裕の表情を浮かべている。後退したルキフグスを追わず、その場にたたずんでいる。余裕の現れか。
ルキフグスにはライフルの能力の打破作がわからなかったのだ。たが、心のなかで"強い"と確信できた。

[もう息を切らしたのかぁ?無様なもんだなぁ?ベルゼブブ親衛隊ともあろうお方が........この様だとは]

だが、そのライフルの挑発には乗らなかった。ただ、冷静になろうとしていた。が、内心かなりイラついている
(くそがぁぁ....なめやがってぇぇ....何なんだ,さっきから余裕な態度とりやがって....ムカつくぜぇ!何がムカつくってああやって俺の攻撃を待っているように自分から動かないのがどうしようもなくイラつくぜぇ....ッ!)
その瞬間"ん?"と思った。気になるが事があった。喉に何かが突っかかっているような感じだ。
(そういやさっきから奴は動かねぇ。自分からは絶対に動かねぇよな?........あれは実は挑発じゃなくて何か訳があるんじゃねぇのか............?)

そして急に何かひらめいたように笑う
[そうかぁ........]とニヤケた。

そしてゆっくり足を前に進める。既にライフルと手の届く距離だ。

そしてやはり先に手を出したのはルキフグスだ。そして変わらず能力で交わされる。そして、ライフルも反撃をする。何度やってもやはりルキフグスの拳は空を切り、ライフリの拳は確実に急所を貫く。そしてじょじょにライフリの手数が上回る。そしてさっきと変わらずルキフグスは防戦一方になる。だが、さっきと明らかに違うものがあった。それはルキフグスの"目"だ。
彼にはこの状況を打破する作があった。
それはライフルが攻撃に転じている今がチャンスだった。いや、むしろ今しか無かった。
ライフルが攻撃をする時、それはSからNに変える時だ。つまり唯一互いが触れあえる時だったのだ。つまりカウンターである。ルキフグスはこう考えていた。やつが次に俺の腕をずらしたときだ。そのとき、やつにも隙ができる。
そして、案の定ライフルはルキフグスの右腕は手をかざし右腕を右にずらす。するとSとNで引かれ会いルキフグスのガードが開いた。その瞬間!ライフルはさっきと同様、左を放り込む。それを狙ってルキフグスも左を放り込む。ライフルはそれにきずくが、既に体を戻すことも能力を使うことも間に合わなかった。スピードでルキフグスがうわまっていた。ルキフグスのパンチがライフルの顔面に深々と突き刺さる。
メッシャァッ!
[ぐはぁッ!バカなッ!]
そして二発、三発とパンチを放り込む。その全てがライフルに当たる!パンチの当たる場所は凍ってしまう。
そして腕を大きく振りかぶり。自分の腕を凍らせた。そしてライフル目掛けて放つ。するとライフルは懐に手をやった。何かを出そうとした。が、その瞬間、ルキフグスの凍った拳がライフルの顔にめり込んだ。そして振り切った!

が、ライフルは凍ったルキフグスの腕にナイフを突き刺し、その場に止まった。

ライフルの顔からは血が滴り、ルキフグスの凍った腕にはナイフが刺さり、そこから血がポタポタと垂れる。

ライフルは今にも倒れそうだ。だが、目はまだルキフグスをにらんでいる。
[はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ....]
と息が切れる

そしてルキフグスはそんなライフルを見下ろす。
[もう息を切らしたのかよ?]

[........................]

そして腕からナイフを外し、腕を後ろに振りかぶる。そしてまっすぐライフル目掛けて放つ!!
その時、ライフルは息を切らし立っているのがやっとだ。形勢は確実に逆転した。ルキフグスは勝ちを確信した!!そして、止めの拳があと少しでライフルに届く瞬間!ルキフグスの腕に激痛が走った!と同時に

ボタボタボタボタッ!と何か水の落ちる音が聞こえる。その音が聞こえた時には既に腕の痛みは無かった。そして、ダラッと姿勢を崩したライフルの顔にカスかな微笑みが見える。ルキフグスが地面を見るとそれは"水"ではなく"血"だった。そして視線を自分の腕に移す。すると、自分の肘から深々とつき出している白い物体が見える。それはルキフグスの腕の骨だった。その骨は肘から突き出ていて、10㎝は出ている。
そしてまた、じょじょに痛みを思い出す。そしてついに右腕に力が入らず。"ぶらーん"と垂れ下がる。
何が起きたかわからなかった。だが、多量出血の為、くらっと姿勢を崩す。それを見て逆にライフルは姿勢を正す。そして口に手を置いた。そして[くくくくくッ!.......プッ....くくく....くっはははははははははッ!]と高笑いをした。
[何が起きたかわかるかぁ?わかるのかぁ!?]

もちろんルキフグスにはわからなかった。なにも言えず黙っていた。いや、何を言えば言いかわからなかった。素直にわからないと言えばいいのか?強がればいいのか?自分らしくキレればいいのか?わからなかった。ただ、"やられた"と思った

そして勝ち誇ったようにライフルは
[ナイフで指したのはお前の腕だ!そしてわずかに骨に触れたッ!俺は今貴様の骨のみ、Sに変えたッ!!だから骨だけが俺から離れた!痛いかぁ?苦しいのかぁ?はっはははははははははッ!これで右腕は上がらねぇなぁ?まだ気絶するなよなぁ....これからもっと苦しませてやるからよぉ........]

 【←To BeCont`onued】

奇妙な悪魔物語

次回予告

逆転に次ぐ逆転。........ライフルの底無しの力にルキフグスは死をも覚悟する。覚悟の先に見えるものとは....

奇妙な悪魔物語

ムーロロを殺されたと思い、一行の命を狙うライフル。その力にルキフグスは苦戦をしいられる!

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-05-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted