新興宗教の就活生

新興宗教の就活生

私は高校三年生の時に、新興宗教「誠心篤信会」の信者になった。
当時、私は受験生、父と母は不仲だった。
父は自動車メーカーに勤務しており、ミーハーな性格で、人と交流するのが好き、人と交流して「リア充で誰とでも話をできる自分」が好きなタイプ。母は女子短大を出て会社に勤め、すぐに父と寝て子供をつくり退社。その時の子供は一番上の兄。私は三番目。正直母は、社会をわかっていない。家の中では自分のルールが一番で、それから外れた行動をするといつも自分が「我慢する被害者」となる。女性特有のグループ行動が苦手らしく、学生時代からの友達なんてものはおらず、ご近所づきあいも挨拶程度でかなりのインドア派だ。
そんな父と母は、互いを理解しようと努力しない限り、分かり合えるわけがない。結婚当初は父が強引に攻め切ったらしく、母に考える余地も無かっただろう。
母はいつも、実家や数少ない友人に電話をかけては父の愚痴を言っていた。高い声でねぇ~え、ほんと嫌よねと言う厭味ったらしい声が耳障りだ。しかし、父の悪いところを探してはネタにするのが楽しそうにも見える。父は父で、社会経験を積まずに家にこもっておばさんになった母を事あるごとに馬鹿にしており、母がやっているチェーンレストランのパートを小馬鹿にしていた。あんなチンケな小銭稼ぎ、と。次第に私もそう考えるようになっていた。
私は学校でうまくいってなかった。私の高校は偏差値50程度であったが、担任は生徒の有名大進学に燃えており、マーチやソウケイジョウチなんかを目指していた。私のクラスは理系で、男子:女子が6:4ほど。男子は割と優秀な者が多く、マーチはエーハンとかほざいていた。皆メガネで髪も立てずオタクのようなやつばっかり。女子は様々で、オタクはのびのびしていたし、優しくおとなしい子が多かった。4人を除いては。
この4人というのはいわゆるスクールカースト上位に位置する子たちで、そっと髪を茶にしてみたり、化粧してみたり、この進学校のなかではそれだけでも浮く、洒落てると言われる存在だった。彼女たちは「LUCK」というグループ名を自ら名付けていた。るみ、うるう、ちひろ、かな の頭文字だ。元々は「LUCKY」だった。Y、ユキちゃんが抜けたらしい。それは正しく私のことだ。

新興宗教の就活生

新興宗教の就活生

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted