GIRL MEETS A GIRL .2

第1章 横田麻紀 続き

それでは、短大を卒業し、地元に就職した頃からのお話を、しましょう。

その前に、高校卒業の間際に知った、ある真相とその結末を、先にお話します。

高校三年の冬休みの事です。
地元の短大に、学校推薦の進学を決めていた私は、のんびりと冬休みのイベント、クリスマスとお正月を満喫していました。

そのお正月の年賀状に、ある女性からのが1枚ありました。
それはコンビニで売られているような普通の年賀状です。

差出人の名前に、心がざわつきました。嬉しいとか、懐かしいという感情ではありません。不意に、昔の知人から、声をかけられたような気持ちです。

年賀状の印刷された文面の脇に、ボールペンで、
『今も、スタートダッシュの練習をしています』と、書かれていました。

私は、差出人の女性、池上涼子先生に電話番号に架けてみようと思いました。
年賀状の市外局番の数字は、かなり離れた街の番号でした。

電話口で、涼子先生になぜ突然、転勤をしたのかを訊ねました。
転勤は、教頭の白河先生の、指示だったそうです。

しかし、その白河先生指示は、学校の管理職としてでは無く、とてもプライベートな意図に基づくものだと、涼子先生は話してくれました。

私が、その『プラベートな意図』の意味を訊ねると、涼子先生は、白河先生との関係を話してくれました。

涼子先生と、教頭の白河先生は、あの当時お付き合いをしていたそうです。
とても親密な、女性同士のお付き合いだったそうです。

『今は、別れてしまったけど』と、涼子先生は、電話口で付け加えました。

つまり『涼子先生の浮気に、白河先生が、怒った』というのが、転勤の真相でした。
涼子先生からは、2度ほど電話で、白河先生との関係を教えてもらいました。

冬休みも終わり、3学期になると、私たち3年生は受験の事などで、登校する日も少なくなりました。私も、短大の形ばかり面接試験を受け、合格しました。

卒業式を翌日に控えた、金曜日の夜に、私は白河先生の自宅を訪ねました。

白川先生は、元は、古文の先生だと聞いた事があります。
小柄で、プロポーションはいいのですが、やや検のある顔をしていました。
その頃、40歳ぐらいだったと思います

先生は、街中のマンションに一人で住んでいました。
私は、前日の木曜日に電話で、翌日の訪問の許可を取りました。

「横田です。夜分すみません・・」と、私。
『いいですよ、まだそんなに遅くないから・・』と、白河先生。

「先生には、とてもお世話になりました。それで、ぜひ、お礼を直接させて頂きたいのですが・・」
『ありがとう。では、明後日の、卒業式が終わったら、職員室にいらっしゃいな』

「いいえ、学校ではなく、出来れば、先生のご自宅の方へ・・」
『えっ、ウチに・・?』と、意外そうな白河先生。

「ええ、学校では、ちょっと、お礼をしにくいので・・」
私は、お礼の品があるのだけれども、学校では渡しにくいので、というニュアンスを込めました。

教頭の白河先生は、すぐに私のニュアンスを理解してくれました。

『明日の午後、そうね・・7時に来てもらえるかな』と、教頭の白河先生。
「ハイ、ありがとうございます」と、私。

『ご両親も、ご一緒かしら・・?』
「いいえ、私一人ですが・・できれば、私だけで・・お邪魔したいのですが・・」

『もちろん、いいですよ。では、明日ね・・』
私は、白河先生の話し方に、少しイラつきました。

まさに、上から目線です。私が白河先生を訪ねようと思ったのには理由があります。ある計画を、実行するためです。

それは、涼子先生が、わざわざ私に「真相」を話してくれたのは、白河先生への「懲らしめ」を、期待してのことだと思ったからです。

それと、私へウソをついた事への「懲らしめ」です。
ウソをついたことと、隠していたことへの怒りです。
涼子先生と関係を、隠していましたから。


「懲らしめ」、ですか?つまり、復讐と、いうことです。
涼子先生は、教頭先生に、学校を追い出された訳ですから。

さらに、私との間を引き裂いたことへの、復讐もあります。

えっ、私の方が変、ですか?
涼子先生と白河先生の関係は、私に隠す方が、自然だと・・。
そうですか・・?

もちろん、涼子先生から、「懲らしめ」を、具体的に頼まれてはいませんが・・。
でも、私は実行することにしました。

金曜日の午後、白河先生へのお礼として、街のデパートで出来るだけ嵩張り、そして軽いギフト商品を選びました。

「バスタオル&ハンドタオル」のセットです。自転車の籠には入りきらないので、私は、それを風呂敷に包み、両手で抱え、先生のマンションを訪問しました。

マンションの一階には、パン屋さんがテナントとしてはいっていました。
白い上着を着た従業員が、ちょうど店じまいをする時間でした。

制服姿の私を見て、軽く会釈をしてきました。
私も、会釈を返しました。

白河先生の部屋は、最上階、と言っても三階ですが、その一番奥まった部屋です。私は、風呂敷包みを抱えたまま、ドアのインターフォンを押し、名前を告げました。

中から、先生の気取った声で、返事がありました。
『はぁい、いま開けるわね・・』

スチールドアの内鍵と、ドアチェーンを外す音が聞こえ、ドアが開けられました。
「いらっしゃい・・さ、どうぞ・・」

満面に笑みを浮かべた、白河先生が迎えてくれます。
学校と同じような雰囲気の姿でした。

私は、用意されていた室内履きのスリッパを使い、部屋へ上がりました。
先生の自宅は、一人暮らしいサイズです。

キッチンと、和室と、もう一部屋が襖の向こうにありそうです。
大人の女性らしい、あまり華美すぎない雰囲気です。

部屋の中に洋服などが下がっていることもありません。
さらに、テレビや、ステレオの類いも見当たりません。

部屋のサイズにしては大きめの本棚、電話機が載ったサイドボード。

和室には絨毯が敷かれ、ちゃぶ台と座布団ではなく、ソファ・セットが置かれています。
二人掛と一人掛のソファ、間に背の低いテーブル。
テーブルの上には、マーガレットの束が入れられた小さな花瓶。

私は、二人掛に座りました。隣に、風呂敷包みを置きます。
白河先生は、キッチンから、二人分の紅茶を運び、テーブルに。

「何も無いでしょぅ・・先生のお部屋・・」と、言いながら、私の前にティ・カップを。
「いいえ・・」と、私。

「先生ねぇ、あまり音の出るモノ・・好きじゃないのよぅ」
先生は、本棚に自慢気な視線を送りながら、そう言いました。
語尾を伸ばす言い方に、少しイラッとしました。

テレビやステレオの類いを『音の出るモノ』と、白河先生は表現したのです。
『テレビ、ステレオで、どこが悪いのよ!』と、心の中で毒づく私。

そして、心とは裏腹に「素敵ですよね・・」と、私。

私は、隣の風呂敷包みをソファの上でほどき、化粧箱をテーブル越しに、教頭先生に差出しました。
「先生には、大変お世話になりました・・これ、お礼というほどでは・・」

「まぁ、こんなこと、しなくても・・・」と、一応、恐縮する教頭先生。

そして、少し頭を下げて、その軽く嵩張っている化粧箱を、両手で受け取りました。

私は、その仕草に、違和感を感じました。
違和感というよりも、奇妙な感じ、ですね。

『ひょっとしたら、生徒からお礼されたことなど、無いのかもしれない・・』
私もつられて、頭を下げていました。

白河先生は、化粧箱を持って立ち上がり、サイドボードの上に置きました。

そして、ソファに戻り、真剣な表情を見せます。
「あなたには、つらい体験だったでしょぅ・・・」と、例の件を持ち出す白河先生。

「いいえ、そんなことは・・」と、私。

「・・あなた、こっちの短大なんですって・・」
私は、再び、白河先生の「上から目線」が気になります。

「はい、こっちで進学する事にしました・・」
「もったいないわねぇ・・あなたの成績なら・・」と、言いながら、白河先生の口調にはためらいがありました。

ためらうのも、ムリはありません。
私の成績は、有名大への受験すらおぼつかないほど下がっていました。

地元の短大なら合格できそうな成績だったのです。
「でもねぇ、地元なら、ご両親もご安心でしょぅ・・」と、あわてて付け加えます。

「・・あの時から・・ちょっと、勉強に身が入らないというか・・」
「・・ええ、そ、そうでしょうねぇ・・むりもないわ・・」

私の方からも、池上涼子先生との関係を持ち出しました。
白河先生は、動揺しているように見えました。

「でもねぇ、明日はもう卒業式ですものねぇ・・」
「私の中では、まだ、涼子先生の事は卒業できていない・・ような」

白河先生は、片手でソーサーを支えて片手でティ・カップを口に運んでいます。
私は、対抗するように、わざと、片手でティ・カップだけを持って飲みました。

「つまりぃ、まだ忘れられない・・ということかなぁ・・」
白河先生の目が、妖しく光ったような気がしました。

きっと、先生は、あの時の私を、恋敵と思っていたのだと思います。
その恋敵が、打ち拉がれて、人生さえも投げやりになっている・・などと、先生は思っていたのかも知れません。

私は、狙い通りの反応に、小躍りしたい気分になってきました。

この時、私が、教頭の白河先生の前で演じようとしていたのは、
『レズビアンが忘れられなくなった、いたいけな少女』です。

レズビアンの白河先生が、私に食指を動かしたくなる雰囲気を、作りたいと思っていました。

私は、うつむいて、膝の上で組んだ自分の指を、さらに強く握りました。
昔を思い出し、耐えきれずに・・という私なりの演技です。

白河先生が、ソファから立ち上がり、私の横に座ります。
「・・横田さん・・先生ねぇ・・池上(涼子)先生のこと、詳しくは知らないのよぅ・・」

私は、本当に、意外な感じを受けました。

「知らない・・ですか?」
「ええ、校長からも、担任からも・・詳しくはねぇ、聞いていないのよぅ・・」

白河先生は、申し訳なさそうな顔をしました。
先生は、私の口から、涼子先生との「交遊」を話させようとしています。

私が、白河先生と涼子先生の関係を、知る由もないと高をくくっているのでしょう。

私は、ますます、「懲らしめ」に積極的になりました。
『あなたが、涼子先生を追いつめ、私を騙したのに・・』

「最初は、私が悪いんです・・」と、しおらしく。
「・・そう・・何が悪かったの?」と、少し嬉しそうに白河先生。

「先生の、涼子先生の・・裸を覗こうとしました・・」
「はだかを、覗く?!あなたが、涼子先生の、はだかを・・」

きっかけとなった陸上部での出来事を、白河先生は知らないようでした。
涼子先生も、その話はしなかったようです。

「どこで、彼女の、涼子先生の、裸を覗いたの?アパート?」
先生は、勢い込んで訊ねます。語尾が伸びていません。

私は、順を追って、5月の休日に起きた、ことの顛末を話しました。

「それじゃぁ、涼子先生から、あなたを誘ったのね?」と、
怒ったように聞こえたのは私の気のせいではないと思います。

私は、声も無くうなずきました。
先生は、さらに質問を続けます。

「あの子、いえ、涼子先生は、どんな風に、誘ったの?裸を見せてあげるとか・・?」
白河先生は、私と涼子先生の「交遊」にこだわり始めました。

思わず、『あの子、涼子先生』と、言ってしまったのに、先生自身が気づいてもいません。

「・・そうです・・裸を見せてあげるから、ウチにいらっしゃいって・・」
私は、さらに、作り話で白河先生の嫉妬心に火をつけることにしました。

「・・私が、ためらうと、涼子先生は、覗いたことを校長先生に報告する・・って」
「・・あなたを、脅かしたのね・・?」

「・・はい・・それで仕方なく、先生のアパートに・・」

白河先生は、私をじっと見つめてから、立ち上がりました。
テーブルのティ・カップを持って、キッチンへ。

カップに紅茶を注ぎ、紅茶のポットと一緒に、再び、テーブルへ。
私のティ・カップにも、ポットから紅茶を注ぎ足しました。

そして再び、私と向かい合わせに座りました。
私は、そろそろ、白河先生への「懲らしめ」始めようと、考えました。

先生が、私の前で、うつむいて黙って紅茶を啜っています。
何かを企んでいるのかなと、私は思いました。

「・・それで、実は.涼子先生から意外な事を・・聞いていました・・」
「えっ、涼子先生から・・?」と、白河先生は顔を上げます。

「はい、その日ではなく、3度目に会った時に、『秘密を教えてあげる』って・・」
私は、『秘密を教えてあげる』の、ところで白河先生の顔を直視しました。

先生は、ティ・カップを、口元で停めたまま、私を見つめます。
「秘密・・?」

「はい・・秘密です。その・・秘密を教えてあげるって、涼子先生は言いました」
今度は、白河先生は紅茶を飲まずに、カップをテーブルに戻しました。

「・・何かな、そ、その秘密って・・?」
明らかに、白河先生は動揺しています。

私は、改めて先生の目をまっすぐに見て、ゆっくりと言いました。
「白河先生と、お付合いしている・・と涼子先生は言いました」

「お付き合い?」
「ええ、涼子先生は、そう言いました・・」

「・・それは、同じ学校の先生同士だからね・・お付合いぐらいはするでしょ・・」
白河先生は、動揺から立ち直り、軽くいなすように答えます。

「いいえ、そのお付き合いでは、ないのです」
私は、思わず微笑みながら言ってしまいました。

「つまり、私と涼子先生と、同じような事を、白河先生ともしている・・と」
私は、ゆっくりといいました。

「涼子先生が・・そう言ったの・・あなたに?」
「・・はい・・」と、私。

白河先生は、ぎこちなく笑いました。
何とか余裕の笑顔を取り繕っているように見えました。

「バカね・・冗談よ、涼子先生の・・」と、笑いながら白河先生。
私は、そのウソの笑顔に、はっきりと言いました。

「写真を、見せられました・・白河先生の・・写真です」

テーブルのティ・カップに、手を伸ばそうとしていた白河先生の手が止まりました。それから、私を見つめます。

「・・写真・・私の写真を、見たの・・あなた・・?」
「はい、見せられました。涼子先生のアパートで・・」

これは、私のハッタリでした。
ハッタリですが、どうも本当に当たったようです。

涼子先生は、何も言っていません。
さすがに、写真のことは、秘密にしておきたかったのだと思います。

私は、写真ぐらいは撮っているだろうなと考え、ハッタリで言ってみたのです。
否定されても、それはそれで、別の手を考えればいいと。

悪人ですか、私が、ですか?
高校生とは思えない、ですか?

白河先生は、すぐに立ち直りました。
私が高校生であることを、思い出したのかも知れません。

「・・それはね・・別に、深い意味がある訳じゃなく・・。
涼子先生と私の、冗談みたいな写真なのよ」

白河先生は、ついに、写真の存在を認めました。
「懲らしめ」に、一歩前進です。

私は、思わず微笑んでしまう自分を、何とか抑えました。

「じゃあ、誰に見せても、いいですよね・・明日は、もう卒業式ですから、記念にクラスで発表しようかな・・」

「えっ、あなた、その写真、持っているの?」
「はい、涼子先生から、預かりましたけど・・」

白河先生は、やっと理解したようです。
この日の、私の行動を、です。

私がなぜ、卒業式の前日に訪ねてきたか。
私は、ゆっくりと、テーブルの冷めた紅茶を一口飲みました。

白河先生は、ソファの上で居住まいを正し、教頭先生の顔になりました。

「・・その、池上先生があなたに預けた写真だけど・・変な誤解も困るので・・私から、先生に返しておくわ・・だから、先生に、渡してくれる・・?」

白河先生の口調は、命令と哀願が入り交じるような感じになってきます。
最初の「上から目線」は、もうすっかり消えています。

「変な、誤解ですか?」
「ええ、その写真は、誤解よ。ちょっと、ふざけて撮っただけだから・・」

私の想像通りでした。
二人の先生は、見られては困る写真を撮っていたようです。

「そんな風には、見えませんでしたけど・・ふざけて撮ったとは・・」

白河先生は、私の言葉を無視できなくなりました。
きっと、先生の頭の中では、様々な検索作業をしているに違いありません。

あの写真だろうか、それとも、別の写真だろうか。
先生は、明らかに困惑以上の表情です。

そして、自分たちの写真を、私から取り上げる方法を必死に考えていたのだと思います。

白河先生の口から、テレビドラマのような言葉が出てきました。
「・・横田さん・・それで・・あなたの要求というか、のぞみは・・何かな?」

私は吹き出すのを堪えて、言いました。
「・・要求ですか・そうですね・・成績を改ざんして、優秀な生徒にしてください・・」

先生は、ポカンとした顔をしました。それから、嬉しそうにうなずきました。
「それくらいは、いいわよ。いいえ、させてもらうわ。あなたは、元々、優秀ですから・・大丈夫よ・・明日、早速、学校で先生が直してあげる・・」

長々と続く、白河先生の言葉を遮るように、私は言いました。
「ウソです。成績は、どうでもいいんです」

「だって、あなた今、成績を・・」
「だから、ウソです。あした、卒業式ですよ・・」

「じゃぁ、何が、欲しいのよ」
白河先生の声が、気色ばみ、思わず大きくなりました。

「先生に・・涼子先生の、代わりになって欲しいんです」
再び、先生は予期せぬ言葉に、表情が固まりました。
「先生は、私と、涼子先生を別れさせましたよね?」

否定もせずに、返答しました。
「それは、あなたのために・・」

「ご自分の、嫉妬でしょ」
私は、目にいっぱいの力を込めて、教頭先生を睨みました。

「私は、先生・・あなたに奪われた涼子先生の代わりを、して欲しいんです」
「私が・・代わりに・・」

「そうです、あなたに、です」
私は、「懲らしめ」の優位に立つため、教頭である白河先生を、『あなた』と呼び始めました。

生徒から、教頭先生が『あなた』と呼ばれたら、かなり効くと考えました。

策士、ですか?
確かに、そうかもしれませんね。

白河先生は、諦めの表情を浮かべ、すがるような視線を向けて来ました。
「わかりました。横田さん、あなたの言う通りにするわ・・」

「池上先生の代わりになるって・・どうすれば、いいのかしら・・?」
「エッチなことを、してもらいます」

「エッ、エッチなこと!」
「そうです・・先生と涼子先生がしていた、写真のような、エッチなことです」

私は、見たことも聞いたことも無い「白河先生と涼子先生の写真」を、持ち出しました。そうすれば、先生は、求められていることを具体的に理解できると思いました。

「・・先生たちが、どんなエッチなことをしていたのか、私に教えてください」

白河先生は、力なくうなずきました。
でも、奇妙なことですが、私は先生が楽しんでいるような気がしました。

「その、襖の部屋は、先生の寝室ですか?」
白河先生は座りながら後ろを見て、うなずきます。

「そっちの部屋へ、行きませんか、せんせい・・」
先生は、力なく立ち上がると、襖を開けて中に入りました。

私も続きます。
白河先生は、シングルベッドの脇のスタンドを点します。

それから、小さな電気ストーブにスイッチを入れました。
私は、襖を閉めました。

先生は、ベッドに腰を下ろし、私に哀願するような視線を送って来ました。
でも、その目には、期待する色も見えました。

この時、私は、二人の関係を、誤解していた事に気づきました。
誤解というのは大げさかも知れませんが。

涼子先生が、白河先生に可愛がられる方だと、思っていました。
当時は、「ネコ」とか、「タチ」とか、「リバ」という言葉は知りませんでした。

白河先生が、年上だからそう思ったのかも知れません。
しかし、今の先生を見ていると、いわゆる「ネコ」に思えてきます。

たぶん、涼子先生は、私に接したと同じように「タチ」だったのです。

ちょっと、想像と違っていましたけど、私は「懲らしめ」を始めることにしました。

涼子先生とは、「ネコ」でした。
いまは、白河先生相手に「タチ」を、演じなければなりません。

私は、涼子先生にされたことを、そのまま、白河先生にすることにしました。

「・・先生・・その場で、服を脱いで、裸になってもらえます・・」

白河先生は、ハッとした表情になりましたが、特に抵抗もなく立ち上がり、上のカーディガンを脱ぎました。

それから、スカートに手をかけて、ぐるりと廻し、おヘソの位置でホックを外しました。そして、脱ぎ降ろしました。

それから、ブラウスのボタンを上から外し始めます。袖のボタンも外します。
ブラウスの下は、スリップでした。

ブラウスと、スカートと、カーディガンを丁寧に畳み、化粧台の前の椅子に重ねます。

40代とはいえ、未婚未産のカラダは、しっかりプロポーションを保っています。
スリップも、透けて見えるパンティとブラジャーも、すべて白です。

その白が、電気ストーブと、スタンドの光を受け、仄かにピンク色に見えます。
私は、先生に近づきます。先生は両手で自分のカラダを抱くようにして立っています。

「先生、私を見て・・」
今度は、私がゆっくりと制服を脱ぎ、ブラジャーとパンティだけの姿になりました。

先生は、じっと私に熱っぽい視線を注いでいます。
私が先生の肩に両手をかけて引き寄せると、先生は全身をぶつけてきました。

身長も、体重も、私と先生は同じくらいです。
親子ほどの年齢差と言えばそう言えなくもないのでしょうが、私の母親よりはずっと若いです。

私は、涼子先生からされたことを、そのまま白河先生に与えることにしました。

私たちは、下着姿のまま、ベッドに横になりました。そして、抱き合ってキスを繰り返します。

白河先生のキスは、とても優しく、私を慈しむようなキスです。

先生は、私の背中に手を回し、ブラジャーのホックを外しました。ブラジャーを上にずらし、私の乳房を先生の手が、キスと同じように優しく揉み始めます。

私は、白河先生を「懲らしめる」という気が、すっかり消え失せていました。
それどころか、先生からの愛撫に、私のカラダは素直に応え始めています。

先生の唇が、私の乳首を捉えます。
舌先が、乳首を左右前後に転がします。

そして、軽く吸いつきます。転がしと吸いつきを、繰り返しながら、もう片方の乳房の乳首は、先生の指先で翻弄されています。

次に、その手が私のお腹をさすり、脇腹をさすりながら、パンティを穿いた股間へ伸ばされてきました。

先生の手が、私の淫丘を、手の平で包むようにします。
淫丘全体をから、快感が腰に流れます。

先生はパンティ越しに、割れ目に沿って指を上下させます。
私は、うめき声を漏らしてしまいました。

白河先生の手が、パンティの中に滑り込んできました。そして、パンティの中でも、同じような動きをしました。

先生の指が、私の膣に挿入された瞬間、私はその先生の腕を強く抱きしめました。先生は、私のパンティをお尻の方から膝上のあたりまで、下げました。

私は足をよじり、パンティを脱ぎ去ります。
白河先生のカラダが、徐々に下がり始めました。

私は両手を広げ、シーツを掴んでいます。先生の動きに、期待がありました。
涼子先生とのセックスでは無かった愛撫に、私は期待したのです。

白河先生の熱い息が、淫丘に直接かかります。先生は私の太ももを大きく広げます。先生の舌が、期待通り、私の淫部に触れてきました。

先生の舌先が、淫膣の入口、その上の淫核を、ゆっくりと舐め始めました。
私には、初めての経験です。

まったく知らない愛撫ではありませんが、実際に自分のカラダにされるのは、初体験でした。涼子先生は、しませんでした。

えっ、感想、ですか?
その時の私の感覚を、知りたいのですか?

もちろん、気持ちよかったですよ。
上手く言えませんが、正体のわかる快感のはずなのに、正体のわからない快感でした。

えっ、わかりませんか?
変な言い方ですか?

つまり、何をされているのかは、理解しています。
白河先生の舌が、私の淫部を舐めている、私も舐められている感覚はあります。

でも、そこから来る、つまり舐められている淫部の快感は、想像できない快感でした。柔らかく、熱く、優しく、強くもあり、弱くもあり。

自分の指先や、涼子先生の指先のでは、とうてい感じなかった快感です。

何となく、わかる?ですか?
経験ありますよね?

そうですよね・・私よりずっと経験豊富じゃないですか。

声、ですか?
もちろん、上げたと思います。
気持ちよさの声よりも、高熱でうなされるような声だったと思います。

私は、この初めての体験、先生の口唇の愛撫で、達してしまいました。
ベッドで仰向けになり、広げた両手でシーツを掴んだまま、荒い息をしていました。

白河先生は、私を見下ろしながら、ブラジャーとパンティを脱ぎ全裸になりました。
私よりずっと豊かな乳房と、その乳房と同じ色の乳首が見えます。

それから、私は、ふたつ目の初体験をしました。

先生は、ベッドの下からある「モノ」を取り出したのです。
それは、初めて見る「モノ」でした《みったん注:写真有》。

白河先生が、先生らしくその「モノ」を、生徒の私に教えてくれました。
「初めて見るでしょ、こんなの・・」

「・・・」
私は、声も無くうなずきました。

「これが、何か、わかる?」
「・・・」
私は、再び声も無く、今度は顔を左右に振りました。

「想像して、ご覧なさい・・」
白河先生が、「モノ」を私に握らせました。

その「モノ」の表面はとても柔らかいのですが、芯のある硬さがあります。
色は、黒々としています。しかし、全体は少し変わったカタチでした。

突起の部分が、大・中・小と、3カ所あります。
私は、両手で「モノ」をさすりながら、自分の考えた答えを言いました。

「これは・・その・・女の人に・・入れる・・のですか?」
「ほら、わかるじゃないの・・・」

先生は、私から「モノ」を受け取り、三つの突起部分を説明し始めました。
「ここの、一番大きな部分が、女の人が気持ちよくなる、ここへね・・」

いきなり先生は、私のまだ濡れている淫部を触りました。

「この、角度がついて、中くらいの部分は、もう一人の女の人に、入れるのよ」

「えっ?」

「つまりね、こうして私と、横田(麻紀)さんのように、女の人が2人で楽しむ時に、使うモノなの、これはね」

「・・この、もうひとつのシッポみたいな部分は・・」
サイズの違う球体を数珠のように繋いだ部分を、私は訊ねました。

「これね・・フフ・・」
白河先生が、その部分を指先で捏ねながら、私の顔を覗き込みます。

「カラダには、もうひとつ、アナがあるじゃない・・?」
「アナ・・ですか・・えぇ!まさか・・」

白河先生は、その黒々とした「モノ」を手の平に乗せて、かざしました。
「ここと、ここと、これね・・」
三つの突起の先端を指先で、示します。

「・・それは、お、お尻・・の・・アナ・・ですか?」
「・・そこよ・・お尻のアナ・・」

「いいわ、先生が使い方を見せてあげるわ」
白河先生は、ベッドの上で立て膝になりました。

そして、少し膝を広げると、黒い「モノ」を股間にあてがいました。
真ん中の中サイズの突起部分を、淫部に差し込みます。

「うっ・・」

次に、ややカラダを前方に傾けて、小サイズの突起部分を、淫穴に押し込みました。ゆっくりと、小さい球体から大きい球体へ、飲み込まれて行きます。

「ほら・・こうして・・自分にも入れて・・相手の女の人に、ここを入れるのよ」
白河先生の股間から、黒い「淫棒」が生えていました。

私は手を伸ばして、先生の「淫棒」を、擦ります。
先生は、気持ち良さそうに腰を振りました。

「・・お願い・・先生に・・入れてくれる・・?」

先生はベッドに仰向けになり、股間から「モノ」を引き抜き、私の手に握らせます。

そして、私の手を淫部に導き、その「モノ」の一番大きな突起部分を、淫部に挿入させました。

十分に濡れている淫膣は、乾いた「モノ」であろうと、すんなりと飲み込みました。
先端部が埋没し、その根元まで入りきると、先生は大きなうめき声を漏らします。

私は、突起部の先端、男性器の先端部らしい部分を、ゆっくりと動かし始めました。

私は、涼子先生と同じような「指導」を白河先生から受け、先生が登り詰めるまで、乳房を吸い、乳首を噛み、「モノ」を激しく、早く動かすことを、求められました。

15分ほどで、白河先生は、大きなうめき声を上げながら、達しました。

白河先生のマンションを出たのは、10時近い時間でした。親が心配するからと、白河先生は、私が服を着ている間に、バスタオルを巻いただけの裸同然の格好で私の親に電話しました。

その格好と、私の親に伝える内容の落差に、思わず微笑んでしまいました。

白河先生のマンションを出て、私は自宅へ急ぎました。
夜気の冷たい空気に、火照った体が鎮められて行きます

GIRL MEETS A GIRL .2

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  • 短編
  • 恋愛
  • 成人向け
  • 強い性的表現
更新日
登録日
2014-05-01

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