日本奪還  ライド ~REDO~ 一話

2152年、日本は滅びた。
2145年、世界は第四次世界大戦の始まりを迎えていた。何故、大戦が勃発したのか、それはとある小国の宣戦布告から始まった

  その国の名前はバルニスク。
そして、宣戦布告された国は、アメリカだ。
 アメリカはバルニスクに一斉攻撃をしかけすぐに戦いを終わらせようとした。しかし、バルニスクはいまだどこの国も手に入れていない技術を駆使して作られた兵器「ライド」を使いアメリカはたったの4年間で壊滅されると、ロシア、フランス、イタリア、ドイツなどほとんどの大国を占拠し、世界最大の大国となった。
  
    そして2152年8月6日、日本も壊滅しバルニスク領となった。
 2155年、日本の名前はエリア24区と指定され、今となっては、バルニスク以外の国は中国、アラブだけとなった。そして日本の奪還を目指し戦う者を「グレード」と人々は呼んだ。

 グレードは、軍事テロやちょっとした奇襲攻撃など、常にバルニスクに反対していたが、バルニスクのライドはどんどん進化していく。グレードがやっとの思いでライドを手に入れてもバルニスクのライドにはまったく歯が立たなかった。

 
2155年7月16日、一人の男が墓に花を添えて手を合わせている。この男の名前は田畠大地。田畠は日本が滅びた日に両親を失った。田畠は今グレードとして生きている。だが田畠の所属しているグレードは他のグレードと少し違った。
「母さん、父さん。あれからもう三年もたったよ・・・」
大地は小さな声で言った。 田畠の所属しているグレードの名は「EBC」。そしてそのグレードの会長は江良眞登。もちろん、江良は日本奪還を目指しているが、それよりも正義を求めている。他の社員たちも何故正義を持っているかは分からないが、EBCのメンバーは皆、江良の正義に賛同して集まった。もちろん大地もその一人だ。
「よぉ、大地おひさ~」
このなんか軽い男は表広樹。彼は独自のルートを持っていてライドを入手することができるのでEBCの戦力を支えている意外とすごいやつなのだ。
「なんだ、表か。どうした?」
「なんだはねーだろおい! ああそれがよぉ、ライドの一部分をすこしアップすることができたぜ」
「おぉ!まじか、それじゃ、行きますか!!」

  二人は旧湘南市茅ヶ崎区共同墓地からEBCの本部がある練馬へと向かう。途中横浜新道で運転していた大地がふと口を開く。
「神奈川一帯、ほんとに変わっちゃったな・・・」
「ま、横浜が何とか持ちこたえたんだ。それだけでも良かったよ」

  首都高を乗り継ぎ、一時間半ぐらいしてやっと本部に着いた。大地は自分の車を止め、中へと入る。セキュリティーカードを機械に当て グレード役員専用のところへ入る。エレベーター「下」を押し、地下の格納庫へと進む。
だいぶ深いところでやっと降り、少し歩くと頑丈な扉があった。
「おぉ!!これが・・・」
「そう。これが新しくなったライド。基本的にパワーやエネルギー持続は前の4倍になってる」
「すごいな、たったこの短い期間でこんなに出来上がるとは」
「だが、制御、電磁バリアととも関してはまだ未完成だ」
「そうか。後どれくらいで完成だ?」
「五ヶ月かな」
「五ヶ月・・・」
 表は大地が何を考えているか分かった。今から五ヵ月後、ちょうどバルニスク軍の中国総攻撃が迫っているからだった。
 

  大地は併設されたコンビニで弁当を買う。車の乗って、自宅のある所沢へ向かう。
アパートに入りテレビをつける。ニュースではバルニスクの特番がやっていた。といっても国民たちは怖くて何もできない。このニュースだってバルニスクのいいようにされているのだ。


 次の日、大地はEBCの本部にいた。今日は作戦会議で各部の隊長がずらりと並んだ。
「それではまず、一部隊ニ部隊より報告をお願いします」
大地がすくっと立った。
「今現在、試作品ライドは攻撃、そして追撃までは完成です。しかし戦闘中重要な電磁バリア、そして制御についてはいまだ開発中とのことです。
 今のところは、何かがあれば従来の部隊で持ちこたえるより他はないでしょう」
大地は、二部隊の隊長だった。一部隊は柴山将太が隊長で、今まで数々の戦闘を体験してきた。
もともと二番隊は存在せず、最初は旧日本の自衛隊のように陸・海・空から成り立つ一番隊が主流だったが、ライドの開発によって二番隊が発足した。一番隊の副隊長だった大地は其のまま二部隊へと昇格されたのであった。
「全体的な完成は?」
4部隊情報入手部隊長の内田が聞く。
「少なくとも、五ヶ月はかかる」
柴山が答えると皆がざわめいた。
「五ヶ月!?それではちょうど中国総攻撃と時期がかぶってしまうぞ!!柳谷は何をたらたらしてるんだ!?」
「落ち着けよ内田!」
六部隊防衛部隊長山本が内田をたしなめる。皆、どうして内田があわてたか知っていた。内田の唯一残った家族、父が中国に移住していたからだった。

 ライド調節・メンテナンス担当の七部隊隊長の柳谷が言った。
「早く完成させたいのは全員一緒だ。でもバリアと制御は開発にどーしても時間がかかっちゃうんだよ」
柳谷はいつもこの開発に悪党苦戦していた。
「それでもこのまだ未完成の状態で出動するっつーのなら勝手にしろ。けどそれをすると、制御が中途半端な上に暴走事故でもあったら洒落になんねーぜ?そうなったら今までの苦労が水の泡さ」
「そういえば、会議始まる前にこの情報拾ったんだけど、バルニスク政府軍が中国総攻撃に備えてエリア24‐1区に陣をおいたそうだ」
「マジか?だんだんやばくなってきたなぁ」
表が答える。エリア24-1というのは北海道のことだ。
「ん?でもなんでわざわざそんなとこに?一番候補に有力だった九州じゃなかったのかぁ・・・」
5部隊本部コントロール部隊長の森谷が言った。
「それはきっと、陣をおいた場所に近く、青森に通信傍受センターがあるからだろ。敵のデーターが手に入っちゃえば、お手のもんだからなー」
表が言う。
「えぇ?でもあれってアメリカの保有してたもんじゃなかったけか?」
「アメリカの軍事設備はぜーんぶバルニスクに持ってかれてるよ。それに札幌にはバルニスクのデッケー基地があるからな」
「とりあえず、今何かあった場合、従来の武器と部隊で対抗する。それから中国政府には警戒を呼びかけておくしかねーな・・・」
大地がそう言って締めた。



  120円を自販機に、缶コーヒーを買う。大地は休憩テラスでため息をついた。
「従来の武器・・・ね」
山本が着てそういった。
「そうさ、何もしないよりはましだろ。それに内田のこともある・・・」


 一見、そのテラスから見える風景は、夕日をバックにきれいな風景だが、今、人目のつかぬところで旧日本政府の役員が逮捕され殺されていくのだろうと考えると、すごくい暗い気持ちになった。

 「日本奪還・・・か。いつ叶うかな・・・」



 




 

日本奪還  ライド ~REDO~ 一話

日本奪還  ライド ~REDO~ 一話

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-12-02

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