ハナミズキ乱舞

ハナミズキ乱舞

華 瑞樹。
この名前を聞いて多くの人達は、可憐で素敵な女性を連想するだろう。
まるでハナミズキの華の様な…

ところがこの華 瑞樹さん。歴とした男性なのだ。しかもハナミズキの華にはかなり程遠い平凡な、特別素敵でもない華の無い男性だったから悲劇としか言いようがなく…

幼少時代は女みたいな名前だとからかわれ、ハナミズ、とあだ名を付けられる始末。
学生時代は女子達にオカマなのでは無いかと疑惑をかけられ、恋人の一人も出来ず…

名前のせいで親を恨んだ事もある。なんで瑞樹なんだ!せめて違う名前を付けて欲しかった…と責めた。
母はケロリと「名前がハナミズキだなんて素敵じゃない」
全く反省の色が見られない…

華 瑞樹の最後の希望の砦は、結婚して奥さんの苗字になる事だった。
婿養子になる覚悟は出来ている!この名前とオサラバ出来るのなら!

実は今いいな〜と思っている職場の後輩が華 瑞樹にはいる。
彼女の名前は山添 葵。
山添姓になりたい…そんな野望を抱いてはいるが、一向に山添 葵と親密になれる気配も無く、華 瑞樹は焦りを感じていた。

しかし、二人を一気に近付けるイベントが行われた。
花見と言う名の社内の飲み会の席で二人は急接近!

「桜も咲いてるけどハナミズキも咲いてますね、とても綺麗ですね、華 瑞樹さん」
からかう気持ちがこれっぽっちもない優しい話し方で山添 葵が話しかけてきた。
華 瑞樹は心でガッツポーズ!この名前は大嫌いだ。けれどこの名前をきっかけに山添 葵と仲良くなれるなんて何とも皮肉だ…
華 瑞樹は狂喜乱舞した。このチャンスを無駄にはしない!

二人は花見の席で意気投合。なんと名前をきっかけにお付き合いするまでに発展したのだから人生とは本当に分からない。

そして二人のお付き合いは順風満帆に進行。
結婚はまだまだ先になるだろうし、婿養子希望などとは口が裂けても言えないが、山添 葵もまた未来の事を考え始めているみたいで、「私瑞樹さんと結婚したら、華 葵になるんだね。葵って華あるよね?なんか素敵だな…」

その言葉を聞いて華 瑞樹は複雑な気持ちになったが、華 葵かぁ…素敵だなぁとニヤニヤして頬を赤らめるのであった。

ハナミズキ乱舞

ハナミズキ乱舞

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-29

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