無様には死ねない

どんなものでも、吸っている
その内に取り込んでいる
饒舌な君の息を僕が吸う
博識な老父の知識を紙が吸う
芳醇な色を撒く蜜を蝶が吸う
高慢な聖なる肉片を腸が吸う
アスファルトが雨を吸う
朝が夜を吸う
今日が昨日を吸う
明日が今日を吸う
明後日が明日を吸う
吸われたものは何処へゆくのか
おそらく飛んでいる
おそらく破壊
おそらく透過
おそらく再構
みんな生き急いでいるのだ
いや、退屈なだけかもしれない
生きる矛盾
とにかく僕らは
一点しか見えていないようだ

無様には死ねない

ありがとうございました。

無様には死ねない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-28

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