みのむし
鬱っぽいけれど、作者は鬱ではないのです。
蓑虫というのは、可哀想だ。
雄は成長できるが、雌は出来ない。
小さな蓑から一生外に出ずに死ぬという。
その事実を知った、私はただただ哀れに思った。可哀想だと思った。
だって。こんなせかいを知らないんでしょう?
一生、見ないんでしょう?
可哀想だと、思った。
あれから、月日は流れた。
何を思ったのか、私は今蓑虫になっている。
蓑虫になって知ったことは、得たことは、あまりにも多かった。
失ったものは知ったこととは比べられないほど多かった。
毎日を、小さな部屋で過ごす。蓑虫のように。
取り敢えず寝て、取り敢えず起きる。
お腹が泣くからなだめてやる。喉がからからになるから潤してやる。
脳みそは絶えず、私に聞いてくる。
・・・・・・このままで良いのか。
私はその問いに答えたことはない。これからも、答えることはない。
だがしかし。いつかは答えなくてはならない。
蓑虫の雌は、一生を蓑の中で過ごすという。
それを知った私はかつて、可哀想だと言った。
今の私は、可哀想だとは思わない。哀れにも思わない。
ただただ、どうして蓑からでないのか。不思議に思うばかりだ。
なぜ、外に出ない?
お前が答えれば、私の答えも出るはずだ。
何故、世界を知ろうとしない?
何故、周りを見ない?
なぜ、お前は蓑虫なんだ?
なぜ、私は蓑虫なんだ?
みのむし
しんろになやんでいるのです。それ故こんな鬱っぽい作品になったのです。それから、将来私が引きこもりになってしまった時(なりたくないです)にこれを読んで欲しいなぁと思ってこの作品をしたためました。