奇妙な悪魔物語
第五話 ライフル①
奇妙な悪魔物語 第五話 ライフル①
シナ海。強い日差しが照りつける。波の音と........[おらッ!さっさと吐けよ間抜けがッ!]
[君が耐えるなら僕たちは蹴り続けるだけだよ!]
とルキフグスとサタナキアが拷問する声が響き渡っていた。ムーロロは口と手をルキフグスの能力で凍り付けにされて、その場に倒れている。そのムーロロを二人は必要以上に蹴りつけている。
[くそがッ!なめやがってくそがッ!くそがッ!]
ムーロロは痛みで叫び声をあげたくても口を塞がれていて何も言えない。その顔は苦痛に歪んでいた。
その光景を少し離れた場所から心配そうに姫子が見ていた。そして二人の前に足を進めた。
[ちょっ、ちょっとあなたたち。もうそのくらいにしなさいよ。そのままじゃ彼死んじゃうよ]
するとルキフグスが振り向いた。そして姫子の目の前まで足を進めた。そして姫子のデコを人差し指でちょんっとした。
[あのな、小娘。これは拷問してんだよ。こいつに仲間がいたらどうする?]
そしてサタナキアも現れた
[そうそう、それに彼はベルゼブブ様への反逆罪もあるんだよ。君も砂に変えられたでしょ?]
[でっでも....]
と納得のいかなそうな姫子にルキフグスが視線を会わせ[チビには理解できねぇよ。向こうに言ってろクソガキ]
そう言うと二人は再びムーロロを蹴り始めた。
姫子はムッとした表情でベルゼブブのもとに向かった。そして愚痴をこぼすようにベルゼブブに言った [もーベル君!あの二人どうにかならないの!?あれじゃ言うにも言えないじゃない!?]
[まぁ、あれは拷問というよりはただの憂さ晴らしだからな........気がすんだらやめるだろ]とベルゼブブは冷静に言った。
[憂さ晴らしって........]と呆れたように言う。
しばらくするとサタナキアがスッキリした顔で戻ってきた。[ふぅ、スッキリした!]
その後ろで物足りなそうな顔をしてるルキフグスがついてくる。[ちっ、まだたんねぇよッ!]
[ダメダメ、あれ以上やっちゃうと死んじゃうよ♪それに、いいもの手にいれたしね♪]
とサタナキアは無線機を取り出した。
[彼の懐にあるのをさっき見つけたよ♪]
無線機。それは誰かと連絡を取るのに使う。それを持っているという事はムーロロが仲間と連絡を取るのに使っていた恐れがあるのだ。
[ほぉ、なら早速やってくれ]
とベルゼブブが言う。
[了解♪]
[無線機がさっきまで使われていたならこの無線機は会話を記憶している。僕の能力で記憶させた。]
と言いサタナキアが無線機に手をかざすと無線機の中からムーロロの声が聞こえてくる。
[俺だ、ムーロロだ。聞こえるか?ライフル]
そのあと別の男の声が聞こえてくる。
[あぁ、聞こえてる。どうだ終わったのか?]
その声に三人は反応した。
[やっぱり仲間がいやがったか!]
とルキフグスが声を上げる。それにサタナキアが[しっ]と人差し指を口元に当て、黙るように仕向ける。
[気がはえぇよ、今ベルゼブブとルキフグス、そして知らねぇ女を砂に変えた。あとはサタナキアのアホを拷問して場所を吐かせる。引き続き悪石島で待機してろ]
アホと言う言葉を聞き瞬時にサタナキアはムーロロを蹴り飛ばした。
[あぁ、わかった....へまするんじゃねぇぞ?金が手に入ったら二人で食った事の無いほど旨いもの食うぞ。俺たちゃ無敵のコンビだ]
[あぁ、楽しみにしてな]
プツッと通信の切れる音がした
通信はそこで終わっていた。
サタナキアがムーロロの頭を踏みつけながら無線機を上に投げたりキャッチしたり繰り返す。
[やっぱりこいつには仲間がいやがった....。どうします?ベルゼ様]
[今のを聞いた所、ムーロロの仲間、つまりライフルと言う人物が既に悪石島にいるようだ。このまま行き片付ければいい]
とベルゼブブが言うとルキフグスが[いやっ、ちょっと待ってください]と割って入る
[どうした?]
[いいですか?今の会話を聞いた所、敵は一人。ライフルと言う奴だ。やつはこのボートが悪石島について、出てきた奴がムーロロじゃなかったらどうしますかね?多分逃げますよ?そうなったらこいつらが誰から金の情報を手に入れたかわからなくなる]
[なるほど、で、どうするつもりだ?]
[もちろん、このボートが悪石島に付く前に俺が先に行って奴を捕まえますよッ!そうすれば奴も逃げる暇が無いでしょう?]
そのルキフグスの案にベルゼブブは黙った。何故なら危険が大きいからだ。もし、敵が一人でなく三人、四人いたら。ルキフグスでも人たまりも無いからだ。
[待て。ならサタナキアもつれてけ]
その命令にルキフグス、サタナキアが声を揃えて
[断りますッ!]
と言った。命令を聞かない事にではなく、二人の顔に覚悟を感じた事に驚いた。
[ベルゼ様.........我々はあなたの安全を第一に考えます。もし僕たち二人で行って敵がボートを襲ったらどうします?敵は容赦しません。姫ちゃんを死なせるつもりですか?]
[............]
不安そうな顔をしている姫子。その顔を一瞬チラと見るルキフグス。そしてボートの先頭に足を進めた
[それに、この海をボートより早く移動出来るのはこの俺の能力だけですよ?]と言いボートから海に飛び降りた。
三人は直ぐに駆け寄った。ボートの下を覗くとルキフグスの足下の水面が凍っていた。その上にルキフグスが立っている。その足にはスパイクのように針のようになっている。そしてこちらを見上げる
[今から安全を確保しに、悪石島に向かうッ!任務を遂行する!]
ルキフグスが後ろを振り向くと、悪石島がひょこっと顔を出していた。それを見るなりルキフグスは足元を凍らせ、行きよいよく、氷の地面を蹴り一直線に走った。
その後ろ姿を三人は直ぐに見失う。それほどに早かった。
[ふんっ、まぁ奴の能力ならそもそも心配は無さそうだな]
[ですね♪ただでさえ、奴はこっちにきずいてませんからね。]
するとサタナキアの耳にノイズのような音が聞こえる。ジジッ、ジジジッ!....音にきずき音のする方に視線を反らした。それはサタナキアの手からで。握っている無線機からだった。ジジジッ!ジジッジジジッ![わかっ....ぞ]
[!?]
ノイズから男の声が聞こえた。
その声は確かにムーロロと話していた奴の声だ。
[すべ....て聞いた....ぞ]
サタナキアはいつの間にか無線機のスイッチを押していた。急いで話そうとするものの、不思議な事に指がスイッチにくっついていて離れない。
[しまったッ!敵にきずかれたッ!]
とサタナキアは皆に知らせる。
[何ッ!?]
[スイッチが切れないッ!手が無線機にくっついていてスイッチを押しているッ!敵の能力だッ!]
無線機から男がなにかを言っている。
[貴様らの話はすべて聞いたッ!今からルキフグスがこっちにくるんだなッ!?ぶっ殺してやる!ムーロロは生きているのか!]
三人は何も言えなかった。この状況をどうするべきか考えていた。
[いいやッ!いい!死んでしまった事にする。貴様ら絶対に許さねぇッ!絶対に殺すッ!金なんてもうどうでもいいッ!ムーロロの仇だッ!]
その声からは怒りと憎悪を感じ取れる。
[今から来るルキフグスをぶっ殺して次は貴様らだっッ!覚悟してろッ!]
ブツッ!と言う音と共にサタナキアの手から無線機が離れる。通信が着れた。
三人は唖然としている。突然の出来事と....ルキフグスの危機に.....。
[ルキフグス......... 。]と姫子が心配そうに悪石島を見つめる
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