スケジュール

おれは、いつものように仕事をこなし、会社を出た。
時刻は、空がまだ少し明るいといった頃。おれは、いつもこの時間に会社を出ている。おれの一日は、おれが考え出したスケジュールによって徹底的に管理されているのだ。
朝食、出勤、昼食、帰宅、夕食。
このように、全てスケジュール通りだ。ではなくては気が済まない。
会社の奴らは、遅くまで残って残業という奴もいるが、おれはそんなことはしない。決められた時間に会社を出て、帰り、風呂、夕食、そして寝る。
おれは駅に着くと、改札口を通り電車に乗る。腕時計を確認。うむ、大丈夫だ。スケジュール通り。おれは心の中でニヤリとした。
降りる駅に着くと、おれは電車を降りて自宅へと向かう。やがておれの住むボロアパートに着いた。階段を上がり、部屋の鍵を開ける。
帰宅。
ここでまた腕時計を確認。やはり時間通りだ。部屋の電気をつけ、おれはスーツを脱ぎ捨てると、着替えを持ったまま風呂場へと直行する。
風呂に入る時間もきっちりと決められている。いつものように頭、体、顔面と洗い、脱衣場でタオルで体を拭いてから、寝衣に着替える。
風呂を出た後も、時計を見る。時間通りだ。おれは満足すると、今度は簡単な夕食を作る。これも時間通り。パッと作って、すぐテーブルの上に皿を並べる。
おれは座ると、テレビのリモコンを手に取り、テレビをつけた。丁度、今みていたドラマがやっていた。何だか変なドラマだが、これがなかなか面白い。
飯を食いながら、ドラマをみていた。たまにちらっと、時計を見る。時間が合っていることを確認し、またドラマの方に視線を移す。
ドラマが、半分程終わったところだった。
丁度良いところだったのに、突然画面が切り替わった。
画面には、緊張した表情のアナウンサーがいて、何やら話し始めた。臨時ニュースのようだ。
「たった今、入った情報です。全国民の皆さん、大変です。大変なことが起こったようです。ついさっき、天文台から、とある隕石が地球に向かっているという情報が入りました。詳細は伝えられていませんが、それは確実に地球に衝突し、100%の確率で地球上の生物は絶滅してしまう、とのことです。隕石は遅くても三日後には地球に衝突するものと見られています。天文台は、明日、緊急記者会見を開く予定で、何故発見が遅れたのか、そこも含めて……」
おれはアナウンサーがそこまで言ったところで、テレビを消した。
画面は黒くなり、そこには悲しい表情をした、おれの顔が映っていた。
あと三日。
あと三日と、テレビでは言っていた。
あと三日で隕石が衝突し、地球上の生物が絶滅してしまうらしい。
つまり、あと三日で、おれのスケジュール通りの生活も、終わりを迎えるらしかった。
そう考えると、悲しかった。残りの命があと三日なのだ。悲しいけども、涙は流さなかった。
おれは、残り三日間、今まで通りスケジュールに従い、生きていこう、と思った。なぜなら、これがおれの生きがい、生きる意味なのだから。

スケジュール

スケジュール

自分の決めたスケジュールに従って、生きていく男の話。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-26

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