奇妙な悪魔物語
ではでは第二話!新キャラが増えますよ!楽しんでいただけたなら嬉しいです!
第二話 無法者①
奇妙な悪魔物語 第二話 無法者①
5月2日 土曜日
私は今、照りつける強い日差しの下、シナ海の中心にいた。向かうは那覇よりの孤島、悪石島だ。
ボートの上、操縦しているのはべるくんが呼んだ部下のルキフグス。べるくんの親衛隊の一人、彼は愛想悪くいつもイライラしているようだ。何かと私に突っかかってくる。
私は正直苦手だ。だけど、べるくんが言うにはかなり頼りになる部下だそうだ。
そして、ボートの上で見張りをしている一見美少年の金髪のマスクを着けた彼もべるくんが呼んだ部下、サタナキア。彼もべるくんの親衛隊の一人................変態です.....。
今の所、まともな部下が来ていない....。あと4人の部下がいるそうだ。
何故私たちが今、悪石島に向かっているかと言うと。さかのぼること5日前....。
この日私はべるくんに呼ばれて、べるくんのアパートに来ていた。
[話ってなにー?]
[あぁ、来たか。実は姫子に紹介しておきたい奴らがいるんだ。私の親衛隊だ。]
ベルゼブブがそう言うとキッチンの方から一人の男が姿を表した。身長180越えの金髪でマスクを着けた美少年だ。
姫子は一番に男のつけているマスクが気になった。姫子が軽く挨拶をしようとしたその時、男は一気に距離を積めて顔をぐっと覗きこんできた。
[近っ]
とつい姫子は言ってしまう。が男は聞いているのかいないのか、姫子の顔をジッと見つめている。そしてうなずくと姿勢を戻し体全体を見ている。その時姫子は品定めされていると感じた。
男はまたうなずいた。
[ありだな]と言った。
[えっ?]
[君がベルゼ様の契約者?想像していたのと違って僕は嬉しいよ。もっとこう、ゴツいのを想像していたからね]
[はっはぁ]
と姫子の控えめな態度に男はニヤリと笑った。
[君ってさ、凄く子供っぽいよね?でも僕はそれもありだと思うよ。君たちはそれをロリって呼ぶんだろ?別に僕はロリではないけどさ、ロリもありかなって思ったんだよ]と急に語りだした。
[君って何歳?自己紹介を僕にしてみてよ。歳はたぶん60くらいだろ?]
姫子は男の事を知らないけど変人だということはすぐに理解した。男にそう言われ姫子は軽く自己紹介をした。いや、少しムッとした。
[壱承 姫子 。16歳!の普通の女子校生です60歳ではありませんので、悪しからず]
と16歳を強調した。
すると男はまたニヤリと笑った。
[へぇー16歳かぁ....いいね、いいね。まだまだ子供だぁ]
[子供じゃないです!]
だんだん男の態度に腹を立てる姫子
[うんうん、そうだね。だってセックスできる歳だもんね?君セックスしたことあるのかい?]
姫子は男の言葉に顔が一気に赤くなる。そしてかなりあわただしく。
[はははははははは?べべ別にににににっ]と、かなり動揺している。その反応を見て男は姫子の耳元で囁いた[君、処女でしょ(笑)?]
姫子はこうゆう事に体制が無いのだ。頭がぐるぐるになって目が回っている。ゆっくり後ろに下がる[せっ........セクハラよ....]と言いその場に倒れた。
それを見て男は笑った。[はっはっはっ可愛い!気に入ったよ。]
と言いしゃがんだ
[今日のパンツは何色かなぁ?]と除こうとした瞬間。男はベルゼブブに弾き飛ばされて壁に叩きつけられた。そして弱った声で
[何故........?]
[いやすまん、体が勝手に動いた。多分これが姫子の命令だ]
[契約の力です....か]
と言い男はそのまま気絶した。
人間と契約した悪魔は命令に逆らえなくなる。意思とは関係なしに体が勝手に動いてしまうのだ。
次に姫子が目を覚ましたのはお腹に妙な重みを感じた時だ。
[んっ....重い....]
と言い腹部に目をやると20冊近くの本がお腹に重なるように乗っかっていた。
姫子はそれを崩して起き上がった。ベルゼブブのベッドの上だった。その枕元にはもう一人、見知らぬ男が本を読んでいた。赤い眼鏡を掛けた水色の髪の男だ。姫子はこいつが自分のお腹の上に本を置いたと悟った。
いや、実際男は次々本を姫子の足の上に置いている。男は全く姫子にきずく様子がない。見かねた姫子が男に
[あのっ、ちょっと重たいんですが]
と言う。男は全く反応を見せない。ムッと思ったその時、さっきのセクハラの男が姫子に話しかけた。
[やあやあひめちゃん、おはよ♪さっきは失礼したね。僕はサタナキア。ベルゼ様の親衛隊なんだ。よろしくね♪]
[げっ!さっきの変態!]
と顔色が悪くなる
[失礼な!僕は変態と言う名の紳士だよ!]とどや顔をしている。
すると全く反応を見せなかった赤眼鏡の男がサタナキアに言った。
[あぁ?誰に話しかけてんだてめぇ?]
[えっ?誰って........]
[あぁ]なるほど、と言う顔をするとサタナキアはその場から離れた。
ほんとにこの眼鏡の人は私にきずいていないのだと姫子は思った。姫子はとりあえず立ち上がった。それにきがついたベルゼブブ
[具合はどうだ?]
[ええ、とりあえずあの変態(サタナキア)を近づけなければ大丈夫よ]
するとそれを聞いたサタナキアが聞き捨てならないッ!と言う顔で姫子の前に姿を表した。
[違う違う、僕は紳士だよ、紳士。]
[へー]と言った姫子は棒読みであった。
[セクハラ紳士なのね、理解しました]
[せっセクハラ紳士!?なにそれッ!ちょっとやだ!............。いや、以外とありかもしれないッ!いやッ!ありだよ、うんッ!]
[ありなの!?]
サタナキアは目を輝かせて言った
[だってなんか今までに無い感じしないかい!?新感覚って言うかさ!紳士だけどセクハラやろう!いいねぇいいねぇ。]
[こんな事思いつく君って........一体なんなんだ?]
[うざ]
すると赤メガネの男が立ち上がった。
そのまま歩いてくる。そして姫子にぶつかった。
[いてっ]
[あぁ?]
そこで姫子の存在に築いたようで、姫子を見下ろす。
[なんだこいつ?]
[あぁ、この子はね、姫子ちゃんっていんだよ♪処女なんだ♪]
[なっなっ何であんたが言うのよッ!余計なこと言うなッ!]
フッ、と男は鼻で笑った。
[へーこのチビがベルゼ様の契約者か。]
ピクッ、とチビと言う言葉に反応をする姫子。
[べっ別に、チビじゃないし....高校生ならこんなもんだし....。]と少し反発した。男の目を見たりそらしたり。
[あぁ?んだそりゃ、今なんつったー?背もちっちゃいけど声もちっちゃいんですかー?]
付け加えるように[胸もちっちゃい!]とサタナキアが言う。
そんな二人のちょっかいに
姫子は何も言わない。下を向いている。ただ怒っているのは言うまでもなく、雰囲気で感じ取れる。
[俺はねぇー、184㎝ーー。君はぁー?]と言い姫子の顔に耳を近づける。
姫子は小声で言った
[べるくん]そして親指を立て、首を斜めになぞる
赤メガネの男は
[あぁ?なんだっ....
次の瞬間。赤メガネの男はベルゼブブに弾き飛ばされ、ガラスを突き破り窓の外に飛んで行った。
[まったく....]とベルゼブブは呆れた顔で呟いた。
そして一段落つき、本題に入る
ひとつのテーブルを四人で囲む。そして赤メガネの男が立ち上がる。
[あーとりあえず本題に入る。まずはベルゼ様。これを常、日頃着てください。]
と赤メガネの男はベルゼブブに黒い頭巾と、黒いマントを渡す。
[これはなんだ?ルキフグス]
とベルゼブブは不思議そうに言う。
[それは、63世からです。何かと狙われる立場であられるでしょうから、一応着てくれと]
[それと、63世様から依頼を受けた]
[依頼?僕は知らないなぁ]
[黙って聞け。]
[依頼と言うか、これは別に失敗が許されている。だが、失敗すると結構痛い。それは我々の生活費調達だ!]
[生活費調達?あなたたち悪魔に生活費?]
[あぁ?バカかおめぇ?金が無くてどうやって生きていくんだ?常識を持てよチビ]
[えぇ、そうだったわね。でもね、言葉にきおつけるべきよ....]
うっと少し身を引いたが咳払いをして本題に戻すルキフグス
[生活費はシナ海、悪石島のビロウ山の天辺に埋めて用意している。そこに代理人がいるからつき次第掘り返せだそうだ。金額は自分で見て確かめろだそうだ。]
[えーちなみに今回の作戦には契約者である壱承 姫子にも動向してもらう事になる]
[えーーー?何で私も?]
[黙れやカス。今話すよ。]
姫子はメモ帳を出し何かを記入した。顔は笑っているが怒りを感じる
[ 63世が生活費の10/1を壱承 姫子に受け渡すそうだ。そのつどはすまなかった。だそうだ。]
[えっ!?10/1!?]
姫子は思った。一国の王がくれる生活費っていくら?1千万?もしかして1億!?それの10/1って........[ぐふふふっ魔王様も良いとこあるじゃない]
[何があったか知らんが調子に乗るなよマ○カス女]
とルキフグスが言う。
一気に表情が変わる姫子。
[ベルゼブブッ!?]
言わずともこのあとルキフグスはきついお仕置きを受けた。
............................................。
ボートの上。吹く風は塩の臭いを運んでくる。半袖でも照りつける太陽のお陰で全く寒くない。むしろ肌がヒリヒリと焼けているのを感じる。姫子はもちろん日焼け止めを塗っていた。
ボートの先頭にベルゼブブと姫子が並んで地平線を眺めている。
[ねえねえ、べるくん]
[どうした?]
[あなたのお父さん、て。結構いい人じゃない]
と姫子の顔には微笑みが浮かんでいた。
[................。]
その姫子の言葉にベルゼブブは何も言わなかった。ただ、前を見つめていた。
操縦席、ルキフグス。彼は操縦しながら能力で生命探知をしていた。いつ敵が来てもいいように。
ルキフグスが一つの生命を探知した。
すると、通信機で上にいるサタナキアに通報する。[生命反応一つ確認。方角はまっすぐ。距離は50メートル。何がいるか見てもらいたい]
すると通信機の向こうからサタナキアの声が
[了解]
サタナキアは指示のとうり、まっすぐに双眼鏡を向けた。そこには一羽のカモメが飛んでいた。
それを確認したサタナキアは通信機を使いルキフグスに知らせる
[カモメだよー、カモメ。以上なし♪]
[了解]
ルキフグスはなんとなしに窓ガラスから上空を見た。そこには確かに一羽のカモメが飛んでいた。
不審に思うハズがない。本当にただのカモメなのだから。カモメがベルゼブブたちの上を飛んだのを見たルキフグスはなんとなしに視線を操縦席にそらした。すると突然大量の生命反応を感じた。その数は100を越える。
[何ッ!?]
と視線をベルゼブブたちの方に戻した。
だが、そこには二人の姿がなかった。
ほんの一瞬目をそらしただけなのに、そのすきに二人の姿が消えた。
すぐに無線機を手にした。敵の攻撃だと気がついたのだ。
[サタナキアッ!きおつけろ!敵だッ!敵が既にこのボートに乗り込んできやがった!!ベルゼ様と姫子が消えたッ!上からも確認してくれ!]
[何だって!?]
とサタナキアはすぐに姿勢を低くした。そして双眼鏡で辺りを見渡す。だが、どこにも二人の姿は見当たらない。
[二人はどこにもいないよ........敵は?]
[俺のいるところからは見えねぇんだよ、だけどこのボートのいたるところから生命反応を感じる]
[いたるところ?]
サタナキアは不思議に思った。双眼鏡で見た時は二人どころか、誰も見当たらなかった。
[何かの間違えじゃ無いのか?このボートの上には誰もいないよ]
[何?]
ルキフグス嘘をついてる訳ではない。実際生命反応をいくつも感じているのだがら。
[一体........どうなってやがる....?]
[とりあえず、僕もそこに向かうよ]
[あぁ、]
ルキフグスは生命反応を感じるのに神経を費やした。確かに間違いなくこのボートのいたるところに生命反応を感じた。そしてさらに詳しく読み取る。大量に現れた生命反応はとても弱い、それは虫よりも小さいものだった。だが、ルキフグスには敵だと確信できる理由があった。さっきまで二人がいた場所から、二人の反応をまんま、感じ取れるのだ。生きていると確信できた。だが、全く動かない。何より全てが不自然であった。恐らく何らかの能力であろうと、そう考えていた。
[誰だか知らねぇが絶対に見つけ出して八つ裂きにしてやるッ!]
奇妙な悪魔物語
次回!!謎の敵の能力に苦戦する一行!一体二人は無事なのか!?