空と海と白い壁

空と海と白い壁

私の世界と誰かの世界が、このままずっと続きますように。


あの時、言わなかった言葉があった。
面倒だから、言わなかったんだ。
怖かったから、言わなかったんだ。

あの時、言えなかった気持ちがあった。
上手く伝えられないと思ったんだ。
伝えられても、否定されるのがいやだったんだ。

嘘をつくのは嫌だけど、素直にもなれなかったんだ。



砂が靴の中に入るのが嫌で、私は裸足になった。
それだけで、自分が少し変わった気になった。
風は少し強くて、中途半端に伸びた髪が顔にまとわりついてきた。
目の前の海は広すぎて、見上げる空は遠すぎて
それに比べて私はなんてちっぽけなんだろう。
小さくて、なんて面倒なんだろう。なんて怖がりなんだろう。
寄せては返す波が
私の好きだった気持ちも、嫌いだった気持ちも
すこしずつ洗ってくれた。



突然どしゃぶりの雨が降ったり、どんよりと曇っていたり。
嫌なくらい眩しかったり、酷く寒かったり、死ぬほど暑かったり。
肝心な時に太陽がでなかったり、
ここぞというときにうんざりするくらい青い。
いい加減にしろよ、と思うことばかりだけど、
これからも一生付き合っていかなきゃいけない。
そう思うと、しょうがないなあっていつの間にか許してしまうんだ。
時々見せてくれる暖かさや清々しさ、
夜の星の輝きに心を奪われてしまうんだ。



私の言葉には色も形もなかった。
伝えたいことがあった。届けたい想いがあった。
目の前にある白い壁は、あまりに綺麗だったけど、
私は白い壁を黒く汚した。
次の日、黒い壁には輝く星があった。
遠かった空があった。広かった海があった。
私の言葉が続く方へ、さまざまな世界が続いていた。

空と海と白い壁。
私の世界と誰かの世界が、このままずっと続きますように。



༻༓࿇༓༻༓࿇༓༺༓࿇༓༺༻༓࿇༓༻༓࿇༓༺༓࿇༓༺༻༓࿇༓༻༓࿇༓༺༓࿇༓༺

空と海と白い壁

空と海と白い壁

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-23

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted