空き缶
空き缶を拾った。
何に使うかといえば特に使い道はないけど、何か必要な気がしたのだ。どう必要なのか?自分なりに考えてみた。
例えばこの空き缶を捨てれば、おれはこの町に貢献したことになる。いいことをして、気分も良いだろう。
例えばこの空き缶を思いっきり投げれば、少しはストレス解消になる。ストレスが減って、気分も良いだろう。
例えばこの空き缶を使って、缶けりをして遊べば、楽しい時間を過ごせるだろう。楽しいから、気分もいいだろう。
……とそこまで考えたところで、気付いた。
おれに、一緒に缶けりする友達なんて、いなかった。
空き缶