空き缶

空き缶を拾った。

何に使うかといえば特に使い道はないけど、何か必要な気がしたのだ。どう必要なのか?自分なりに考えてみた。

例えばこの空き缶を捨てれば、おれはこの町に貢献したことになる。いいことをして、気分も良いだろう。

例えばこの空き缶を思いっきり投げれば、少しはストレス解消になる。ストレスが減って、気分も良いだろう。

例えばこの空き缶を使って、缶けりをして遊べば、楽しい時間を過ごせるだろう。楽しいから、気分もいいだろう。

……とそこまで考えたところで、気付いた。

おれに、一緒に缶けりする友達なんて、いなかった。

空き缶

空き缶

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-23

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