一昨日見た夢

 火星のように荒涼とした場所に学校の机が並んでいる。礫砂漠のような岩がちの荒れ地のうえに机があるわけだが、露天ではなくちゃんと「教室」になっている。並んでいる机が向かう前方には黒板があるが、壁や天井があったかは定かではない。
 机の上には信じられないくらいゴミが散乱していて、しかもそのゴミはティッシュとかつま楊枝とか、決して誰かに見せたくなるようなものではなく、さっさと捨ててしまいたい。それに、捨ててしまってまったく差し支えないものばかりだ。
 この状況は自分ひとりのものではなく、誰もが机の上に純然たるゴミを抱え、それを何とかしようとするのだが、捨てるところもなく持て余している。
 ゴミはそれなりに山盛りになっているからちょっと隅に寄せてコンパクトにしようとしたりすると机の端から落ちて余計面倒なことになる。
 いい加減うんざりしてもう半分どうでもよくなってきていると、ごみ箱に捨てればいいと誰かが指摘してくれて、それですべてが解決した。

 夢の最後になぜか「糸人間」が出てきたが、それだけがストーリーから遊離していて、何だったのかよく分からない。何の脈絡もなく現れた(と思える)糸人間はかえって、この夢を支配しているようにさえ思えて少し無気味だった。
 あの時「ごみ箱に捨てればいい」と言ったのは誰だっただろう。そう思うとこの糸人間がどうしても候補者に浮かぶ。夢は一体何を伝えたかったのだろうと思う。決定的な答えは往々にしてこの糸人間みたいなシンプル極まりない人間が出す、とかいう、そういうメッセージだったのだろうか。
 どうせ睡眠中に訪れただけの支離滅裂な幻想なのだから、別にそこに意味があると考える必要はない、とは言える。けれどもし何か意味があるとするなら、その意味はどんなものだったのだろう。

一昨日見た夢

一昨日見た夢

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-20

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