幼馴染

幼馴染の女装マニアの彼と男にしか見えない女の私は家族同様・・・いいえ・・・
本当の家族その彼を殺してしまったそれから私に変化がはじまりやがて・・・・

一番目



ねえねえねえねー! あの人・・ お釜じゃないかしら? どう思う?・・・(通行人のOL)
うんうんうん!! 絶対にオカマよぉ!!・・・・(別のOL)

ちっ! またアタシのことお釜扱いしてる!!・・・(顔を顰め立ち止まる私)
だいたいねぇ!! アンタが! そんな格好してアタシの横にいるからよおっ!!・・・(怒る私)

なっ なにさぁー! 関係ないっしょー!!・・・・(女装した美人の幼馴染)

あんたと一緒に歩くと いっつも! もうヤダから 今度から誘わないでよ!!・・(怒る私)
・・・・・(幼馴染の女装子を両手で突き放した)

キイィィィィーーー!!! ドカンッ!!   バタッ!!・・・ ピポー ピーポー ピーポー

私が・・・ 幼馴染の彼を殺した瞬間だった・・・女装子の彼は私に押された弾みで歩道から車道へ
そこへトラックが・・・ 私は自分を責めた 幼稚園の頃から高校も一緒で同じ会社で勤め
そして同じ日に街をぶらつく・・・ いつもの休日の過ごし方 嫌だ嫌だと言いながら、あの日も・・・
彼は同い年の男性で子供の頃から女の子見たいに可愛く、遊び相手は殆どが女子
私は子供の頃から男見たいに活発で高校生になにっても良く男と間違えられるほど・・
あの日も私が通行人のOLたちにお釜と間違えられていた・・・・・
いつものこと・・ だった・・ でもあの日は違っていた・・
不慮の事故として処理された 私は何度も警察に私が殺したと言って罰を申し出たが却下された・・
あれから 一ヶ月が経過した・・・ そんな私に変化が訪れた
何処からどう見ても男らしい女の私が 自分の意思でもなく化粧品を買って帰宅したらしい
一ヶ月もたっているのに 頭から離れないアイツの笑顔・・・
誰も私を責めない アイツの家族も誰も・・・ 私はアイツを殺した張本人なのに 誰も責めない
罪の意識からか記憶に無いことをし始めて一週間が経過した頃だった・・・
私はまた自らの意志ではないのに スカートを買って戻って来たらしい

その頃・・・・

母さん! 何か姉ちゃん最近、変なんだけど・・・(弟の○○が母親に語り掛ける)
無言のまま台所に立つ母親・・・・

ねえっ! ねえってば! また姉ちゃん スカート買ってきて 部屋に入るなりビックリしてた
絶対、変だって! 姉ちゃん 病気かも知れないって!・・・(弟)

そうねぇ・・ 病気かも知れない・・・ あんなことがあったら 誰でも病気になっちゃうかもねぇー
・・・・・・(台所に立って後の弟にか細い声で話す母親)


なんで?? 記憶にない!! 何処で買って来たの! こんなもの・・(スカートを前に青ざめる私)
こないだもそうだ・・ 化粧品の選び方も種類も何にも知らないのに・・ 第一 記憶にないのに!
これで二度目・・ 一体どうしちゃったのよぉ!・・・(耳を塞ぎベットの前の床に埋まる)


更に二日後・・・・

キャアァァーーー!! キャアァーーー!!・・・・・(七転八倒して自室で転がる私)
どっ! どうしたあー!! ダンダンダンダン! ズダダダダダダダッ!! 
姉ちゃん!!・・・・・・(弟)
○○大丈夫か!!!・・・・(大きな声の父親)
○○ちゃん!!・・・・・(慌てる母親)
・・・・・・・・・(父親や母親・弟が私の部屋に慌てて駆けつけた)

アァアアアァァァァ・・・ アアァァーァァァァアアアアー!!・・・(頭を抑えて跪いて叫ぶ私)

どうした!! どうしたんだ○○!!・・・(前から私の両肩に手を乗せて前後に揺らす父親)
○○ちゃん!! しっかり・・ しっかりしてえぇー!!・・・(左側で叫ぶ母親)
姉ちゃん!! しっかりー しっかりしてくれよぉー!!・・・(後で叫ぶ弟)

顔がー!! 顔があぁー!! 化粧顔を家族に見せた瞬間 全員無言に・・・・・・
私は化粧なんてしたこと 仕方も解からないのよおぉ!! なのに・・ なのに 帰ってきたら
帰ってきたらあぁー!! 何処で・・! 何処で化粧したのかも覚えてないのよおぉー!!

助けて! 助けて! 助けてー!! 怖い!! 怖いのよおぉー!!
・・・・・(父親に母親に弟に跪いて号泣して恐怖を伝える私)

大丈夫だ! 御父さんが! 御父さんが着いてる!! 母さんや弟の○○だって側にいるから!!
安心して・・ ホラ・・ 母さん! ○○の化粧、落としてやってくれんか・・
・・・・・(私をギュッと抱きしめて左側の母親に静かに話しかける父親)


えっえぇぇー そうね・・ 一緒に お風呂入ろっか! 久し振りに・・ねっ! うふふふ~
・・・・・(私の両手を掴んで優しく接してくれた母親)

翌日、私は街の精神科医を家族で尋ねていた・・・・


2番目



恐らく・・ お嬢さんは幼馴染、それも極めて親しい それでいてその~ まあ女装と言いますか
趣味を持っておられた方を事故であるにも関わらず 自分が殺した・・ 自分が殺したと自らを責め
その自責の念といいますか・・ そう言う思いがあって まぁ推測でしかないのですが・・
彼の分も生きなきゃならん そう思う気持ちが通常よりも強く無意識の行動となって現れた
簡単言えばそう言うことでしょうか・・・・・
まず会社を辞めさせるなり休職させるなりの手段を講じて少しでもストレスから開放して上げて下さい
暫く薬の服用と週一回の通院で様子をみましょう・・・ 大丈夫! このケースは直ります!!
精神科医は自信を見せ付けた・・・・

精神科へ家族で行った日から数日は無意識の行動も抑えられていた・・・・

あれ? 姉ちゃん知らない??・・・(母親の声を掛ける弟)
見てないけど アナタ、二階に居たんでしょう?!・・・(顔色を変える母親)
いや・・ トイレに降りて来て戻ったら姉ちゃんの部屋のドアが開いてて!・・(焦る弟)
大変!! 探さなきゃ! ねえ! お母さんは右側行くから○○は左側探して!!・・(母親)

家の玄関を出ると左右に伸びる住宅街の道路を分かれて走りだした母と弟の二人・・・


ダメだ! はぁはぁはぁ・・ 家に戻った弟の○○・・・(肩で息して両膝に手を合わせる)
ぅん?? これ・・誰の靴??・・ もしかしたら! ダダダダダっと家に入り二階へ・・・
ドアが閉まってる!? さっき開いてたのに! 
ドアを開けて中を見る・・・・ 姉ちゃん!! 思わず叫んだ弟・・
何処へ行ってたんだよ! 黙って出たら心配するだろう!!・・(○○の肩にてを掛け前後に揺らす弟)
それに! どうしたんだよ! その格好!!・・・ 唖然とする弟
(化粧顔にキラキラ光る貝殻のネックレスにピンクと紫のシマシマの服そしてミニスカート)
さっきは普通にしてたのに 何処でどうしたんだよ! その服!! 何でそんな格好してんだよ!!
姉ちゃん!!・・・(○○の両肩を揺らし怒鳴る弟の○○)

似合う! うっふふふふふ~♪ やっぱー 女はキレイにしなきゃ変じゃん!
アタシ・・ この服 気に入ったしー! 買っちゃったのぉー! うっふふふふふ~♪
○○くん! 久し振りねぇー! 元気だったー?? アタシのこと覚えてないかなぁー
うっふふふふ~♪ アナタの姉さんの幼馴染の○○っ! そう言えば○○は何処??
どうして居ないの♪ うふふふふふふ~・・(両手を広げクルクル部屋で回る姉ちゃん)

姉ちゃん・・ 何 言ってんだよぉー! 姉ーちゃん!! しっかりしろよ!! 
笑いながらクルクル回る姉・・・(何が何だか解からず必死で止めようとする弟)

うふふふふふふふふ~♪ うふふふふふふふふ~♪ クルクルクルクルー♪
バタンッ!! 床に倒れた○○・・・・

姉ちゃん!!・・・(慌てて姉に寄り添う弟)
○○ちゃん!・・・(真っ青な顔で姉の横に座る母親)
さっ! 早く! 今の内に!!・・・(○○の服を急ぎ早に脱がせ始めた母親)
何 ポケッと見てるの!! あんたも手伝いなさい!! 弟の○○に叱り付けるように怒鳴った母親

○○は下着だけにされてベットに寝かしつけられた・・
母親が下からお湯の入った洗面器と化粧落しのクリームを持ってきては静かにそっと○○の化粧を落した
何度もお湯を替えに風呂場と二階を往復する、大忙しの弟・・・

やっと化粧は落された頃に○○は目を覚ました・・・・
アレ・・私・・ 寝ちゃってたんだぁー あはははは・・・?? でも私の部屋で何してるの??
二人で?? 
○○のおでこを、そっと撫でると母親は弟を連れ立って部屋を出て行った・・・

いい! さっきのこと!!・・・(母親)   解かってるって!・・(弟)
今度からは!!・・・(母親)  それも解かってる! 目を離さないよ!・・・(弟)
でっ! 次は何??・・・(怪訝な弟) 今夜カレーにしよっか!?・・・(微笑の母親)
ヤッホー!! OK! OK!・・・(大喜びの弟)

弟は母親に自分が聞いた姉の言動を話して聞かせた・・・

母親の顔は青ざめて行った・・・



3番目



『家』

ただいまあー・・・・・・・・(父親の声を聞きバタバタバタと出迎える母と弟)
お帰りなさい・・・・
どうした!! 何かあったのか!!・・・(母親の異変に気付いた父親)
実は・・・(弟)

お帰りなさーい!! 御父さん早かったんだねぇー♪・・・(二階から降りて来た娘)
あっ あぁ・・(ただいま! カバンを娘に渡す父親)
ねぇねぇ聞いて! 聞いてー!! 私ねぇー! 今日で何日も病気になってないんだよー!!
凄いでしょー!!・・・・(満面の笑みでボーズを決める私)


おっ! そっかそっかあぁー!! そりゃーいいことだ!! うんうん・・(娘に微笑む父)
母親と弟の顔を見て少し頷くと直ぐに娘を見てニコッと微笑んだ父親

ねぇ! 今日で何日目なの?? ねぇねぇ!! 喜んで母親に聞く娘・・・・
あぁーそうねぇー 病院に行ってからだから~ 結構起つわねぇー これなら! アッハハは・・・
無理して笑みを作る母親とそれにあわせたように笑う父と弟そして・・娘

お! 今夜はカレーか!! うんうんうん・・♪ 母さんのカレーは世界一だからな!!
もおぅ! 御父さんたらー!!(母親)
母さん照れてるよぉー!!(弟)
あっはははははははははははははは!! 楽しいひととき・・・ 幸せなひととき・・・


『数ヵ月後』

懐かしいなぁー よく皆で父さんの下手な冗談に着きあわされたっけ・・・(弟)
そうねぇー 楽しかったわね~・・・ でも・・母さんは心底 父さんの冗談は笑えたのよ!
あはははははははは♪ うふふふふふふふふふ~♪

おい! うっせーぞ!! 何 ゴチャゴチャ話してんだい!!・・・
目の下に大きな隈・・ 吊り上がった目と繭・・ 乱暴な口調・・ 別人のような娘
また俺の悪口言ってんだろう!! おい!! 俺は誰だ!! 言ってみろ!!
おい!!・・・・(弟の前に花瓶を投げつけた娘) ガチャーンッ!!

アンタは姉さんの○○の幼馴染で○○だろ! もういいだろう! 毎日毎日 同じ質問して
いい加減に飽きたぜ!!・・・(両手に拳を握り絞め立ち上がって娘と睨みあう弟)

ところで 俺の飯はどーーしたあーー!!・・・(身体をグルングルンと振り回す娘)

ふんっ! お前の飯なんぞここにはありゃーしねえー!! テメーの家に帰って食いやがれ!!
テメーは姉貴の幼馴染なんだろう?? だったらテメーの家に行くのが筋だろう!!
いつまで姉貴の身体に居るつもりなんだい!! 姉貴の身体はテメーの玩具じゃねえーんだよ!!
この女装野朗の弩変態があぁぁー!!・・・・(娘を威嚇する弟)

やめてー!! 姉弟で争うなんて・・ もうヤメテー!! うぅぅぅ・・・・(娘に縋りつく母)

うぜーえんだよ!! このクソババア!! ドンッ!!・・・・・・(母親を蹴る娘)

野朗!! 娘に飛び掛った弟・・・

この身体を殴っても蹴っても 俺あぁ! 痛くも痒くもねえーんだよ!! ○○が傷ついて
苦しむだけなんだよ!! うっふふふ この弟はマジで頭の弱えー子だぜ!!
俺あぁー ○○に殺されたんだよー ○○に殺された俺が○○の身体を使って何が悪い!!
どうだ! 俺の方が筋が通ってるだろ~う!! ふっ! あっははははは!!
取り合えず飯の仕度しろ!! 俺はいいが ○○の身体が弱っちまうからなぁー!!

ヤメテ! それ以上は何も喋らないで!!・・・ 今、仕度するから・・・(フラフラ立ち上がる母親)

一つ答えろ!! 姉貴は! 姉貴は何処に居るんだ!! まだ、そこ(身体)に居るんだろうなあ!!

ふっ! いるともさぁー! 何処へも行きはしねぇー! ここに居るよ!! 今 話させてやる!

・・・・・ ○○・・・ 私よ・・ 私なら平気だから・・安心して・・ ごめんなさい!
私の所為でこんなことに・・・うっうぅぅぅ・・

もう いいだろう!! おい! 飯の仕度をしろ!!・・・(ふてぶてしくダイニングへ向かう娘)



『とある家』

お願いです!! 娘を・・娘を助けてください! お願いです! 医者も頼りにならず・・・

娘さんを見ていると どうやら身体を貸しているような気がするのですが・・・(霊能者)
つまり 身体を使うことを肯定している・・・ これではワシの力を持っても無理じゃろう
娘さんが この身体は自分の物だと強い信念を持てば別じゃが・・・
残念じゃが 娘さん次第じゃて・・・(霊能者)

では! 娘を助けることは出来ないと言うのですかー!!・・・(仏像を見回す父親)

あるには・・ あるが・・・
まず、娘さん自身が憑いてる人物が昔のような人格で無いことを知る必要がある!
同時に娘さんに自分の身体だから返して欲しいと強く思わせることが大切じゃ!
そうすれば 娘さんを救うことが出来るが! 厳しいじゃろうのおぅー・・
娘さんは今・・自分が消えれば全てが上手くいくと考えてるようじゃ
それしか救う手立ては無い・・・・・(辛そうな表情の霊能者)

アナタ! あの方に頼んで見ては如何でしょうか・・・・(霊能者の奥さん)

ぅん!? あの人にか・・・・(重苦しい表情になった霊能者)

あの方なら霊界ともまだ通じていると聞き及んでおります・・・ 頼んで見ては?・・(奥さん)

そうじゃのおぅ・・・・(重い顔の霊能者)

あの方とは!? あの方とは誰のことですか! 教えて下さい! お願いします!!・・(土下座の父親)

今は平穏に暮らしていると聞くが・・・(瞑想する霊能者)

奥さん! お願いです!・・・(弩気さして頭を床に擦る父親)

この世で唯一・・ 一度死んで霊界へ そして霊界からこの世に戻って来られた方が一人・・
今も姿や形は変われど人間として家族仲良く暮らしている方がいるのです・・(奥さん)
・・・(憑依参照)

その方ならば何かの手立てが打てるやもしれません・・

但し、霊能者ではありませんが・・・

もしかしたら奇跡が起きるかも・・・


4番目



確かに俺は一度死んであの世に行き また戻ってきました・・
ですから、これが死ぬ前の写真・・ こっちが生帰った後の家族と写した写真です
ですが 俺には何も出来ません 俺は霊能者でもなけりゃ坊さんでもない ただのサラリーマン
俺の所へ来るのはオカド違いです・・・ 逆に 俺が以前 この家の改築を頼んだ時に友達に
なった建築家が地方なんですがねえー 幽霊と数ヶ月間暮らし幽霊から人間に戻った女性と
一緒に仕事してる人がいるんですよ
かえって彼の・・ 彼と言うよりは人間に戻った彼女に相談してみる方が懸命でしょうか
取り合えず貴方と会ってくれるかどうか問い合わせては見ますが・・・
期待はしない方がいいかと思いますが・・・
死んだ人間に生まれ変わる方法なら教えることも出来ますがね・・・ 生きてる人間となると
話しは別ですし・・(顔を曇らせる主人)

取り合えず 今日のところは・・ 後ほど連絡入れますから・・・(主人)

何分にも宜しく・・・・・(愕然として力を落す娘の父親)


『電話』


でっ どう言う状況なんだい?・・・(建築家)
どうもこうも 無いんだが 娘に憑依して離れない幼馴染が居て悪さをしてる見たいなんだが
家族も娘は憑依されてることに気付いてるし 娘本人も身体に憑依されてることを黙認して
挙句、霊能者の話しだと 自分が死んで身体を明け渡すくらいに思い詰めているらしいんだよ
何とかなるか? 彼女の力で・・・

いや! ちょい待ち! おーい! ちょっと こっちに来いや!!・・・(建築家)
なーに! 何かいい話しなのぉー・・・・(スーツ姿でニコニコ微笑む彼女)
ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ・・・・・ゴニョゴニョゴニョゴニョ
あぁ・・すまん! 悪いが後で連絡するわ・・ 一旦電話切るわ!!・・(建築家)


でっ?? どうなんだ 憑依されてるヤツを取っ払うことは出来るのか??・・(建築家)

アタシさぁー ヤダヨ! そんなことに関わるのなんて! だって幽霊からようやく
人間になれたのに・・ つまんないことで元に戻りでもしたら・・・(寂しげな彼女)
第一、ずんだ餅の俺って言う小説を見れはアタシがどれほど苦労して人間になったのか
その娘の父親にも読ませてやりたいわ!
まして! 街の○○さんなんか 死ぬ思いしてあの世から人間界に戻って来たんだよー
オジサンだって、いい迷惑よ! アタシ・・ 嫌だから
・・・・・(不機嫌な態度して建築家の側から離れて無言になる彼女)

なぁー 嫌なのはわかるけどよ ヒントとか無いのか! せめてアドバイスくらいは?
おい! おいっ!・・・・(彼女の側へ来て聞く建築家)

あるよぉー! あるけどぉー 出来るのかしら!! 果たして・・・(薄笑みを浮かべる彼女)


『娘の家』

どうだったの! お父さん!!・・・(父親に寄り添う母親)
肩をガックリと落して小声の父親・・ あるには あるんだが・・・
でっ! どうなんだよ! 父さん!?・・・(焦る弟)
それが・・・
誰かが仮死状態になって そこへ霊能者がヤツを追い込み 更に仮死状態の身体から追い出す
ただ、失敗すれば仮死状態のまま息を吹き返すことは難しいらしい・・・
そ! そんな! それじゃ身代わりじゃない! そんなこと出来るわけないわよ!・・(母親)
何とかならいのかよ 父さん! お金で解決出来るんじゃないのかよ!!・・・(弟)
お金で命を売る人間はおらんだろう! まして他人なら・・・ 身内でも考えてしまうのに
それに、一番嫌うんだよ 金って言う言葉を・・・ 霊能者は・・(床に両手 苦悩の父)

もし! もし! 失敗しても僕ならまだ若いし生き返るかも知れないし! 僕が! 僕がなるよ!
僕が必ず・・ 必ず姉貴を助けるから!! 僕に任せて!! 父さん!!


『建築家の事務所』

どうやら・・ 命がけで助けたいって言う風になった見たいよー キャッハハハ♪
感じるもの! 多分・・これは弟さんかな! 強い信念を感じるわー♪
さてさて・・ 街のオジサンの守備はどうかなー・・・・(合掌して目を閉じる彼女)
そっか! 身内なら何とかなるだろう!! それより お前 アイツには名前があんだから
ちゃんと○○って呼べ いつまでも女子校生じゃないんだぞ・・(建築家)
ヘイヘイ!!・・・(彼女)


『憑依1の主人公の家』

ジャン日は出来たよ・・ アイツ(建築家)にも先生(霊能者)にも伝えて・・・
目を閉じて北の方角に合掌するサラリーマン
だが、これって電話より疲れるが早いなっ・・あっはははははは
オジサン! 頑張ろうねっ!・・・・(強い意志の彼女)
あぁー! 頑張って取り戻してやろう!! 娘さんの身体!!・・・(低い声のサラリーマン)


『霊能者の家』

おーい 母さんやぁー あの方も 向こうの方も力を貸してくれるそうじゃ・・・
まずは、安心 一つ目の坂を上ったな!
次は日取りじゃ・・・ 釈迦の来られる日にするかのぅ・・・
と言っても、来るのは着グルミのアルバイトじゃろうが 人間よりは力も頼りになろうて・・
フォッフォフォフォフォ・・・・・(一人大笑いする霊能者)


『娘の家』

テメーら 何を企んでる!! うおぉぉー!! 感じる!! 感じるぞお!!
霊界に精通してる者が三つ・・・・ 俺の周りをグルグル回ってやがる!!
テメーらー!! 許さねえぞお!!・・・・・(二階から降りて来て暴れる憑依された娘)

おい! 暴れるのも今の内だな!! 姉貴の身体は返してもらうからな!!・・・(弟)
そうよ!! 今にアンタなんか神様に罰を受けるわ!!・・・(握り拳の母親)

ほほぅ!! 神様かい! 信仰心もねえ神棚も奉らないものが・・・ カッカカカカ
信仰しねえもんに神様が助けに来るとでも思っているのか!! 哀れな人間共よのぉぅ!!
やっぱり!! やっぱりそうだ!! 霊能者の言う通りだ!! 幼馴染を操って娘に憑依させた
真の姿・・・・ 悪霊めー!!・・・・・(大きく怒鳴った父親)

ふっん! 何を言うかと思えば・・つくづく哀れに人間共よのおぅ~・・・(蔑む悪霊)



5番目



心構えは出来ましたか?? 霊能者が娘の弟に尋ねると、弟は無言で軽く頷いた

ではやりましょうか?? 霊能者の持ち込んだ物々しい仏像や仏壇の横に立つ
小説【憑依】の主人公であるサラリーマンと小説【俺】の主人公である建築士と元幽霊の彼女
ノーマクサンマンダーラ ノーマクサンマンダーラ~ 霊能者の祈祷が始まった
二階に篭って出てこない憑依された娘を連れて来ようと父親と母親が連れに行く・・・
白装束に身を包んだ弟が霊能者の横に並んで座る

二階からケタタマシイ叫び声と怒号が聞こえて来た・・・
両親が憑依された娘を連れて来れないようだった

アタシ行って見るわ!・・・小説【俺】のヒロインの彼女が二階へ上がった・・・
じゃぁ 俺も行って来ると言い残し二階へ上がった小説【憑依】の主人公のサラリーマン
二階から聞こえるドタンッ バタンッと言う何かが飛んで落ちるような音・・・
ウギャギャギャギャー 放せ!! 話しやがれー!! 声を低くして悪霊が連れて来られた

アンタねぇー! 面倒かけさせないでよっ!! 全く! 大した力もないくせに粋がっちゃって!
『小説【俺】のヒロインが悪霊の首根っこを捕まえて二階から降りて来た』

では、参りますか?? 霊能者が建築士に弟をしっかりと押さえるように即した
これから、弟の魂を一旦抜きます! 抜いた魂は肉体を離れこの建築士さんの身体に憑依します
そして、娘さんの身体から悪霊を追い出し・・ 弟さんの身体に憑依させます。
仮にコヤツ(悪霊)が娘さんから離れない時は、コヤツを弟さんに憑依させ封じ込めます
そして、今日は天上界から釈迦の降りる日・・・ まぁー 釈迦と言うても・・
船賃稼ぎのアルバイトの着グルミなんですが・・力はソコソコ与えられていますからなっ!
そこで霊界から生き返った彼の出番です 釈迦が降りた時に彼は幽体離脱して頂き
釈迦の着グルミのアルバイトの方に交渉して頂き力を貸すよう働きかけます。
交渉を進めるために、お母さんにご馳走と お酒にお菓子を供えて頂きました・・・
恐らく交渉は成功するでしょう!!・・・・(満面の笑みする霊能者)
更に、ヒロインの彼女にも一旦 幽体離脱して頂いて近所にタムロしている浮遊霊と自縛霊を
ここへ導いて頂き力を合わせて弟の身体に憑依したコヤツを引っ張り出します!!
勿論!ここへ集まられた各種、様々な幽霊たちにも御馳走と酒が振舞われます・・・
場合によってはワシが天上界に希望者を上げてやることも出来ますしのう!! 笑う霊能者
さてさて、話はそこそこに やることやりますかのぉ~・・・

【弟の背中に人差し指と中指を二本並べ親指薬指に小指で円を書いて弟の背中に文字を書く】

霊能者の呪文が部屋に響き渡った!!
ヒロインとサラリーマンに取り押さえられた悪霊はケタタマシイ声で罵声し怒声を繰り返した
悪霊の声に耳を貸さない霊能者が テイヤアァァァァー!!! と声かけると弟はバタッ!!と
倒れてしまった・・・ 

おい! おるか!! 建築士に低い声で聞くと 建築士と弟が声をダブらせて返事をした・・・
ここに、いますよ! 私の中に・・・(建築士)
先生! 僕もここに居ます!!・・・・(弟)

ハイハイ! 見えてますよぉー!!・・・・・(嬉しそうに笑む霊能者)

ケッ! 茶番なんぞいつまで続ける気だぁー!! もう止めろ!!・・・(さけぶ悪霊)
ハイハイ! 次は御前の番だねぇー!!・・・・(嬉しそうな霊能者)

霊能者が悪霊が憑依している娘さんにの背中に呪文を唱えるた!!

熱い・・・ 身体が熱い・・・ うおぉぉぉ!! 熱い 熱い 熱い・・・ ううぅぅ!!
転げまわる悪霊・・・ 怨敵退散カンマンボウロン!! 怨敵退散カンマンボウロン!!
キエエエェェェェイイィィー!! 霊能者が数珠を天上に投げつけた!!

うおおぉぉぉー!! ゴロゴロゴロー・・ 転げまわる悪霊・・・
うっ! うっぐぐぐぐぐー おのれえぇー!! 俺を・・ 俺を怒らせたなあぁー!!

では! お姉さん(ヒロイン)にも一仕事頼みますよ~・・・(霊能者の目がキラリと光った)
霊能者が彼女に呪文をかけると スーッと彼女は倒れ すぐさま彼女の身体の周りに結界が張られた
同時にサラリーマンにも呪文をかけ倒れた彼の周りにも結界が張られた・・・

バタバタバタバタ・・ 窓が台風のように鳴り響く・・・ 家が左右に歪み 妖気が漂う
連れてきたぞおーい♪♪ 爺ちゃん!! こーーんなに力貸してくれるってさぁー♪
【身体が透けて宙を自由に飛びまわり大喜びの彼女】
ひゃあぁー♪ 久し振りー!! うわあぁーい気持ちいいぞおーい♪

おーっほほほほほほ こりゃこりゃ! そんなにハシャぐでない!!  おっほほほほー
【嬉しそうに宙を飛びまわる彼女を宥める霊能者】

わあぁーい♪ わあぁーーい♪ きゃっはははははー♪
爺ちゃーん!! みんなが早く中に入れろって 煩いから入れちゃうよおぉー♪
霊能者が彼女を向いて軽く頷いた・・・
よおぉーーし!! みんなーいいってさあぁー♪

瞬間、家の中は自縛霊や浮遊霊で溢れ家は何十にも捻れるようなグルグル回っては元に戻る
百人・・ 二百人とドンドン幽霊は家に入り込み重なるようにして弟の身体を取り囲んだ
爺ちゃん! みんな 待ちきれなってってさぁー!!・・・(彼女)
よしよし!・・・霊能者が娘の身体から悪霊を弟に移す呪文を唱えた時だった・・

ギエエエェェェーーー!!! 悪霊が一瞬凄い形相をして娘から抜け出た!!
おのれーー!!! グルグルグルーーー!!! 外に出た悪霊は竜巻のように勢い良く回り始めた!!
家具が飛び本や食器が壁にバチバチ ガチャン ガチャンと飛び散っては割れる・・
南無妙法蓮華経!! 南無妙法蓮華経!! 南無妙法蓮華経!! 南無妙法蓮華経!!
エエエェェェイィィィー!! キエエェェェーーーー!! 霊能者の呪文
ウゲゲゲゲゲー!! 雄叫びを上げると弟の身体がピクピクっと動き出した・・・

今じゃ!! お嬢ちゃん!! 今じゃ!! 霊能者が声を掛けた!!

よーし!! 爺ちゃん!! 掛かれーーーー!! 
一斉に彼女の号令の元 数百の幽霊達の手が弟の身体目掛けて手を入れた!!
グエェェ!! 悪霊が苦しそうな声を上げ!!

スーっと弟の身体から引っ張り出された悪霊は仰向けになって宙に浮いている・・
纏わり着く幽霊達・・・

その正体とは!!



6番目



【あの世の入り口】

『お釈迦様』
そなたかえ?? 私を呼んだのは?? で、?? 私に何の用じゃな! 


『憑依の主人公のサラリーマン』
おい! その声・・まさか!!・・・・・
お前 お前まだこんなところをウロウロしてたのかぁー??

『お釈迦様』

何と言う口の聞き方!! 無礼であろう!!

『サラリーマン』

おい! 待て! 俺だよ! 俺!! 覚えてないのか!!
一緒に三途の川で船賃稼ぐために土木作業員のアルバイトやった! 俺だよ 俺!!
そんな着グルミ着てて暑くねえーのか!! バイト代高いのか?? これ??

『お釈迦様』

お前・・・ 私を知っておるのか??

『サラリーマン』

いいから 被り物 取れって!! どうせ人間たちには見えてねえーんだからよおー!!
いっやぁー 懐かしいなあぁー!! 酒も食いもんも ホラ! お菓子もこんなにあるぞ!!

『お釈迦様』

て言うか・・ お前かあ!! あの人間界に戻って暮らしてるって言う噂の・・・
しかも俺と三途の川でバイトしてたぁ!! あん?? そうかぁー!! そうなのかー!!
懐かしいなぁー!! 元気だったかぁー!! こんなとこで会えるなんてよぉー!
まさか お前 また死んだのか??

俺は人間界で起きてることを包み隠さずに懐かしい友に打ち明けた・・・

『お釈迦様』

あいよっ! 解かったよ! ようは訳の解かんねー 子悪党を退治すりゃーいいんだろ??
この釈迦の着ぐるみはなぁー 半端じゃねえんだよ・・・
バイトの裁量で使えるパワーには まぁ 限界はあっけど 地球くらいなら吹き飛ばせる!
でっ?? 何処の誰を退治すりゃーいいんだい!

俺は霊能者との打ち合わせどうり釈迦を連れて人間界へと降り立った・・・・


【家の中】

悪霊が身動き取れずにあお向けに宙に浮いていた
激しい呪文を唱える霊能者と彼女が連れて着た何百もの浮遊と自縛の霊たちが悪霊を抑えた
悪霊は激しい攻撃の中で身動き一つ取れずに 唸り声を上げるだけだった。

ううぉぉぉーーーー!!! 釈迦が!! 釈迦が舞い降りてきたぞぉー!!
娘の家族達のために一人迫真の演技で釈迦に驚く霊能者だったが殆どの霊たちは白けていた
釈迦が着ぐるみだと言うことは一度死んだ者なら誰でも知っていることだったからだ
シラケムードの中 迫真の演技で釈迦を迎える霊能者の後で合掌して膝折で座る父と母親
七色の眩しいほどのひかりが家の中を覆いつくし 清い空気が辺りを包む
ありがたや! ありがたや!と合しようする娘の両親・・・
お釈迦様の後で七色の光のスイッチを入れるサラリーマン・・・
釈迦を冷めた目で見る無数の霊たちと小説【俺】の主人公のヒロイン役の小娘・・・
更に小説【俺】の主人公の建築家と皆 釈迦を冷めた視線で見詰めていた
盛り上がってるのは霊能者と娘の両親だけと少々寂しさもあった
霊能者が叫んだ!! では!! お釈迦様のお力で浄化の儀をお願いいたしまするぅー

お釈迦様が扇子を一度振ると悪霊は美しい衣に変身し釈迦の持つ壷へと吸い込まれた!!

弟の魂は建築家の身体から分離し 更に幽体離脱していたヒロインは自分の身体に・・
そして釈迦を連れて着たサラリーマンも元に戻った・・・・
家の中に居た無数の霊たちは 歌に酒に踊りにと飲めや歌えやの大騒ぎ・・・
久し振りに会ったサラリーマンと釈迦の着ぐるみのアルバイトは陰に隠れて再会を祝った

こうして事態は収拾されたように見えていたが・・・・ 


7番目



あれから数日経過・・・
幼馴染に憑依されていた娘は元気を取り戻して家族と楽しく暮らしていた・・・

そんなある日のこと

憑依の主人公でふるサラリーマンの家に 朝方 お釈迦様が舞い降りた・・・
勿論、釈迦本人ではなく気ぐるみなのだが・・

驚いた彼が着ぐるみの釈迦から聞かされた内容とは信じられないものだった
除霊したはずの幼馴染の男が天国へ昇るための船賃のバイトに登録していないのだと言う
新人担当の着ぐるみも 直ぐに戻ってバイトの口を集めていたのに、当の本人が現れない
受付の窓口にも問い合わせたが 除霊された男は来ていないと言う・・・
そこで、もしかしたらと心配して、来てくれたのだと言う。


『サラリーマン』

あの時、確かに除霊は成功したはずだ・・・
なのにどう言うことだ?? 天界に上ってないはずは絶対に有り得ないし
除霊が失敗するはずは無い・・・では どう言うことだ??
何処へ消えたんだ?? 俺は霊能者に連絡を取った・・
霊能者も感じてはいたらしいが原因が掴めないと言う


【娘の家】

娘は快方に向かい以前と同じ生活になったものの 何かが違っていると家族は気付いていた
好きなものに普段かけるソースは使わない 嫌いなケチャップはタップリ使う
箸の持ち方やスプーンの使い方が微妙に違うらしい
だが、除霊の後は完全に娘そのもので意識がなくなることもなくなった
にも関わらず なぜ家族は娘に違和感を覚えていた
父親の冗談話で盛り上がる楽しい一時でも娘は以前同様の笑みを見せ自らもジョークを・・・
暖かい家族の団欒が構築されていた
家族も娘も何の疑いももたず そして陽は暮れて行く・・・・
何かが・・・ 何かが・・・ 違和感を持つ家族 だが可愛く笑う娘に変化は見られない


【霊能者】

霊能者が娘の家を霊視し始めた時だった・・・
何かが、何かがこの家に獲り憑く気配を感じていたが この時、霊能者にはそれ以上のことは
探る手立てがなかった・・・・


【小説、俺のヒロイン】

この時、同じくしてまた、彼女も只ならぬ妖気とも違う霊気とも違う何かの存在を捉えていた
なんだろ?? この悲しく切なくなる・・霊気でもない まして妖気でもない・・・
胸が・・ 胸が張り裂けそうな泣いても泣いても泣ききれない波動
こんなの初めて・・・・

【サラリーマン】

何だこの深い悲しみは・・・ 地を裂く力にも似た特殊な力だ・・・



この時、誰一人として気付いてはいなかった・・・  


8番目



【弟】

母さん! 俺・・ 俺・・見たんだ!

姉さんが窓辺で隣の黒い影と話してるのを・・・・
仰向けで、姉さんは確かにベットの上で昼寝してたんだ!
それになのに! それなのに居るんだよ! 窓辺に! 確かに姉さんだったんだよ!
窓辺で笑顔で隣の黒い影に話しかけてるんだよ嬉しそうに・・
母さん! 姉ちゃんまだ直って無いんじゃっ!!
確かに 意識が無くなるひとはなくなったけど・・・・


母親は困惑していた・・・


【弟】

母さん! もう一度 もう一度頼んでみようよ! 霊能者の先生に! 絶対に変だよ


母親は思い出していた・・・

『霊能者の言葉』
良いですか 今回の件は本人にも浄霊する我々にとっても大変危険なことで
特に、お嬢さんの身体は一度が精一杯です 従って一度浄霊したら 少なくとも半年は
時間を置かないとなりません
仮に浄霊に失敗しても成功しても半年以上の経過が必要です


【娘】
あらっ! ここに居たのぉー! お昼寝しちゃったぁー! 何かねぇー あれ以来ねぇー
身体が二つある見たいに 直ぐ疲れちゃうんなだけど エヘ!
勉強もクラブも張り切り過ぎかな♪
学校から戻ると直ぐ眠くなるんだけどぉー 少し寝たら直ぐに元気になっちゃう♪
ねぇー お母さん! 何か食べる物ないかなぁ お腹空いちゃった! うっふふふふ~♪



その夜、娘の入浴中に母親と弟は父親に娘のことを話した・・・
娘の異変を父親に訴えるも これと言って被害のないことから暫く様子を見ようと言うばかり
父親もまた、母親同様に霊能者の言葉を思い出していた。
弟だけは、何かとんでもないことが起きる・・ そんな予感に苛まれていた・・・


【サラリーマン】

先生(霊能者)のところにも出ましたか! そうですか・・・ いや実は俺のところにも・・
最近、毎夜のごとく現れるんですが名前を聞くと消えてしまいまして・・
ホトホト 睡眠不足に陥ってますよ・・ 全く 関わり合うんじゃなかったですよ・・
と言ってももう 関わってしまいましたがねぇ~ あっはははは
ただ、気になることがあるんですが 天界に行ってないと 例の着ぐるみから知らせを・・
えぇ! 天界の窓口にも行ってないようなんで 上でも心配しているらしいんですよ
まさか、あのまま天界に上がらないで自縛なんてことは 無いでしょうけど・・


【ヒロイン】

オジサンのとこにも行ったのぉー!! アタシなんて最悪だよ! 夜も昼も無関係でさぁー
仕事になんないし オマケにトイレに入ってても出て来るんだから!
もおぅ! 何とかしてって感じよ! だから関わりあいになりたくなかったのよ!!
オジサンの所為だからねっ! 全く!


【サラリーマンと話す霊能者】

やはり・・ 彼女のところにも? ふむふむ・・ 関わった者のところへ助けを求めた・・
そんなところでしょうかねぇ~・・
それで? 彼女はこの件については? ははぁー でしょうなっ!
誰も関わりたくないでしょうけど・・・
厄介なことになってきましたなぁー
先日電話で聞いたら娘さんの状態は回復したらしいのですが 幽体離脱してるようなんですよ
まぁ、アレだけのことをやってのけましたからねぇ 副作用でしょうが 直ぐに収まるとは
話しておいたんですが、なにか少し違うように思えるんですよ・・(霊能者)

先生もそう思いますか? いや、実は俺も浄霊した時と言うか上にあげた時の手ごたえと言うか
余りにも軽かったと言うか・・・ それで気にはなってたんですよ・・(サラリーマン)


【ヒロインと建築士】

アタシはもう嫌!! 誰が何と言おうと もうヤダ!! 先生(建築士)がどんなに頼んでも
オジサンが頼んでも!! 絶対にヤダから!! 迷惑してんのに!!・・・(女の子)

じゃぁ 何か? お前 今のままでいいのか?  便所にまで出てくんだろう??
まぁー お前は元々 幽霊だから 幽霊なんて怖くもなんともないだろうけど
夜も昼も 煩いんだろう?? だったら 手伝って 早く楽になった方が徳だろ?
まぁー それでも嫌だってんなら 昼夜24時間 付き纏われてりゃいいんだよ カッカカカ
じゃあー そう言うことでアイツ(サラリーマン)には伝えとくからな!・・(建築士)

わかったわよ!! やるよ!! やりゃぁー いいんだろう!! この変態!!
幽霊のアタシを犯そうとしたくせに!! オマケに人間になったらなったで
指一本触れやしない!!
やるって伝えておいてよ!!・・・・(ブヒブヒブヒブ怒る女の子)

【霊能者】

そうですか!! そりゃー良かった!! 何せ霊能者とは言っても天界にはコネもないですからな
これで、戦闘態勢完了ですか!! よかった よかった!!



母さん ホラ・ 見てみろよ・ 姉ちゃん・ 二人居るだろ??・・・・(ヒソヒソ話す母子)



9番目



【録音】

俺は姉ちゃんのことを観察すべくパソコンマイクを使って隣の姉ちゃんのことを
霊能者が今度来た時のために状況を録音していた。

隣の姉ちゃんの部屋から聞こえる楽しげな会話・・・ 同時に聞こえる苦しそうな呻き声
今、姉ちゃんは一人で部屋にいるのに誰かと話し続けてかに2時間が経過している
時折怒ったように早口になったり 悲しげな声で話したり・・ かと思うと笑ったり
どうやら、幼馴染のあの人と話してるような感じなのだが

今の時間は夜の11時・・・ 助けてくれー!! 怯える低い声の姉
かと思うと 今度は楽しげな姉・・・ なーにぃー もおぅ! 怖がることないのにぃー♪
姉ちゃんは誰かと談笑しているものの 誰かは怖がっているような感じだ
誰かは完全に怯えていて話しどころではない感じだ。
時折、姉が言う あの言葉の意味が解からない・・・・・・・・
私がアナタを守っているのよ♪ 私しかアナタを守れない♪ 守ってあげる♪
そう言うと必ず決まって姉が言う・・・・・
守らなくてもいいから開放してあげて!! お願いよぉ!! 彼を自由にしてあげて!!
さっきの楽しげな姉とは打って変わって悲痛な叫びにも似た感じだ・・
そして誰かが言う・・・ 助けてくれー!! お願いだあぁー!!  うわあぁぁー!!!
姉の中には複数!! 少なくても三人以上の人格があると思われる・・・
姉の独り言は深夜の2時になると不思議に止まった・・・ 何かあるのか??
よし、今夜の録音はこの辺にしておく。

今夜も録音する・・・ 時間はえぇーっと・・9時30分だ
姉の会話が始まった ぅん?? 今夜は一人多いかも知れない・・・ 言葉使いが変だな・・
関西人が入っているようだ・・・ 今夜も始まった姉の独り言
姉は関西には行ったこともないはずだし友達にも居ないはずなのに ペラペラと流暢に話す
姉じゃない! 俺はそう思う!
大体 あの話し方だと女じゃない! 男?? そうだ・・ 男の関西弁だ・・・
今夜も繰り返される 姉の楽しげな会話に悲痛な叫びに助けを求める声 そして仲介??
助けてやれよと言う雰囲気の関西弁の男・・・・ 4人になったのは今夜が始めてだ
激怒して拒むような低い声の 一体 姉の中で何が起きているんだろう
早く霊能者の先生が来ることを願って止まない・・・・ 

10番目



【建築士の家】

でっ!? どうだった?? 幽体離脱して娘に憑依した建築事務所の娘に聞いた建築士・・・

間違いないわ!

しばし無言の彼女が口を開いた・・・・
私もあの家の娘さんに憑依してみてわかったんだけど・・・  有り得ないよ!! こんなの

彼女(娘)が幼馴染に憑依されてるんじゃないのよ!!
彼女の幼馴染を思う気持ちが大き過ぎて 彼女の生霊が天に昇ろうとした幼馴染に憑依したの
そして、生霊は彼女にも来霊(キレイ)した・・・・・ 雁字搦めなのよ!!
そこへ天界からの使者(大阪弁)が来て頻繁に彼女の生霊を諭している・・・・
最初から幼馴染の霊は彼女に憑依なんかしてなかったのよ!
彼女の生霊が幼馴染に憑依して彼女の身体に戻った・・・・ だから彼女の中には四人いるの
しかも、生霊は自分で考えて行動できるように成長していた・・・
彼女の年齢より遥かに先をいってる・・ アタシと同じ20歳代前半てっとこかな・・・
あれじゃぁ 本体が死んで生霊を消すかしか手はないわよ!
悪霊なんて赤ちゃんだわ!! そして幼馴染は囚われの身に転じていたし・・・
霊能者の先生やアタシたちみんなで浄霊した時、生霊は事前に察知して本体から離れていたし
だから浄霊が終わった時は全てがスムーズだったのに、数日後 生霊は戻って来た!!
あの生霊は手強いわ! 正直・・・ アタシでさえ怖いって思ったもん!
あの生霊・・・ アタシの中にも入って来て探りを入れていたもの・・・・

彼女を救えるとしたら、一度 彼女が死んで天界に行った後に サラリーマンのオジサン同様
誰かの身体に憑依して・・ そう 今のアタシも同じだけどねっ!
それしか無いわ! 怖い 怖い!!
それ以外に生霊を消すことは不可能だもの

アタシ・・・ もう 降りたい・・・ 折角 生まれ変わらせてもらった この身体を・・・
失いたきないもの!・・・

彼女の幼馴染にたいする強い念が作り出した生霊・・ とてつもなく強いわ
あんなの自縛や浮遊霊が束になっても敵わないよー 死人ならなんとかなるけど・・・

つまり 生霊ごと彼女の身体から出して餞別してから元に戻すってことか??・・(建築士)

そうよ! でも そんなの霊能者って言っても死人相手が専門でしょ!
生霊なんて相手に出来ないはずよ!!

ゴメン! アタシ元に戻るから・・・ 体力も限界だし

【霊能者】

本山へ連絡して力を貸して頂けるよう縋ってみましょう・・・

【数日後】

場所が決定しました・・・

比叡山の麓(フモト)の○○寺 今回は事が事と言うことで僧侶たちにも支援を頼んだとか
全国の霊能者100人に対して様々な宗派から僧侶が100人が駆けつけて頂けるとのこと
あとは御仏が生霊に対してどの程度の力を示して頂けるかが勝敗の鍵でしょうか・・・
ただ、着ぐるみの釈迦ではなく 本物が降りて頂けるかどうか・・・
ムムッ!!・・・・ どうやら敵もスパイしているようでなぁ 殺気だつ霊能者
では後日、連絡いたします・・・

御仏に通じる人間達が生霊を相手に戦うなど聞いたことがない・・・
○○宗派も行くそうだし五岳のためにワシらも名乗りを上げておくとしようかのぉー
フエェフェフェフェフェフェフェ・・・・

こうして宗派こそ違うものの様々な僧侶たちが集結することに・・・


11番目



比叡山の麓(フモト)街から山へ向かって歩くこと1時間、少しずつ道は狭まり
電柱の数も民家も減り あるのは雑木林そして木々に止まるカラスたち
緩い傾斜の坂道は徐々に吐息を荒くさせる・・・
左右から覆い被さるように迫る草木そして絡まるツタの数々・・・
休むことも足を止めることもままならない 後を振り返れば何千人と言う霊能者に僧侶たち
皆、無口でひたすら一点を見て歩き続ける・・・
額が汗ばむ・・・ 歩いても歩いても見えてこない建物・・・ 歩くこと2時間
ようやく見えて来た 建物・・・ 見えているのに全然近付いていない気のする寺院
気付けば後から来た霊能者や僧侶たちはドンドン追い越して行った・・・
負けまいとして走り出すものの一向に近付く気配がない

困り果てていると・・・

こっちこっち! 誰かが我々を横道から呼ぶ声がして一斉に振り向いた
草木の中からヒョッコリ顔を出した小坊主さん??

アンタ方だろう?? 今日来ることになってる人達って!?
何で車で来なかったの?? 霊能者の○○先生も御家族の方もみんな来てるから急いで!!
この道はねぇー 霊能者や僧侶たちの修行の道でもあるから、普通の人達じゃ無理なんだよ
辿り着けないよ 永遠に!! さっ! こっちこっち! 小坊主に着いて道を反れると
普通に駐車場があって山道から見て正面だとばかり思ってたのは寺院の真横だった・・・

変だと思ったのよぉー!! 全く!! この人達ときたら!・・・
だから車で行こうって言ったのに!! 
・・・・(サラリーマンと建築士を不機嫌な顔で見る彼女)
・・・・(無言で言い訳しない男達)

さっ! 急ぎましょう! 大僧侶もお待ちかねです・・・

我々は小坊主さんに従って寺院へようやく入った
大きな駐車場には車が頻繁に入り まるでイベント会場のような賑わいだった
何だ・・・ やっぱり車で来るのがベストだったのか・・・(零すサラリーマン)
無言で頷く建築士・・・・

寺院に入るなる既に大勢の僧侶たちが正座して本堂の一点見つめる者に目を閉じて拝む者
真ん中の通路らしき幅30センチほどの場所以外は僧侶と霊能者で埋め尽くされていた。
左右に僧侶を見ながら進むと30メートルほど前方に霊能者らしき人達の列が見える
更にその前方30メートルほどの箇所に 例の家族と霊能者の○○先生が正座していた・・
左右に広がる御本尊を前に見てところ狭しと言うところか・・・
大僧侶が先頭位置に正座しなにやら唱えているのが見えた
宗派ごとにノボリが立てられ肩書き順なのか袈裟の色の違うそれぞれ
我々が定位置に着くと同時に本堂の中で全員が合掌をし何かを一斉に唱え始めた・・
これから、どうなるのかの説明も無いままに大僧侶の跡を追うように始められた。

煙たくなるほどの線香とロウソクから漂う匂いそして白い煙・・・
大きな太鼓がドーン ドーンと鳴り響くまるで地を裂く何かのように・・・
大僧侶の前の高さ30センチほどの寝台へと二人の僧侶に導かれそっと立ち上がって近付く娘
白装束に身を包んだ娘は無言で寝台へと仰向けになり目を閉じた・・・
艶のキラキラして木目の寝台 僧侶達が結界の縄を寝台の周りを取り囲むように張ると
作り紙が縄に取り付けられた瞬間、うおぉぉーんと本堂の僧侶達が一斉に立ち上がって何かを
唱え始めた・・・・



12番目



あれから数ヶ月・・・

娘の生霊が憑依していた幼馴染の霊は開放され天界へと昇り 更に娘の生霊は消滅した・・
人間の生霊が死人の霊魂に憑依すると言う異例の事態に多くの霊能者 や僧侶達は己が信仰の
低さをまざまざと見せ付けられた思いだった・・・・

娘の生霊は娘から幼馴染へ向けられた熱い念が生んだ物異変の賜物なのか、それは誰にも解からない

ただ、いえるのは人間が知らないところで誰かに宿っていると言う事実と霊魂が人に憑依する
と言う当然のことが覆ったと言う事実・・・
霊魂が人間に憑依するのではなく 人間の生霊が死人の霊魂に憑依したと言う事実は誰にも帰られない事実であろう


その後、娘は普段の生活を照り戻し悪霊退治は終焉した


おいっ!! 新入り!! ちゃんと働かないとあの世の船に乗れるだけ稼げないぞ!
しっかしいー! お前も災難だったなぁー 生霊に憑依されたんて俺も長らくここにいるが
初めて聞いたぞ

あははははは♪ 確かに♪ だけどねえー 彼女の生霊に憑依されてて初めて知ったんすけど
女になりたくて女装してた人間時代が懐かしいくらい・・・
こぅ、身体が無い分・・・ 女になるも男のままも結局見た目なんすよねぇー
女になるってのは結局見た目だったんすよ!
魂だけになると男も女も無関係ってか 彼女も鼻くそ穿るし屁もこくし 女ってのは結局
男と何も変わらないってことが よーく 解かりましたよ!!
魂だけになっても女心維持するっつうのは やっぱ 本物の女に生まれなきゃダメってことですよ
おいおい! あの世にも釜は腐るほどいるから、お前も釜の霊に憑依されんようにしっかりせんと
せっかく悟りを開いたんだから気持ちだけでもしっかりせんとな!!
よし! 今日の土木作業はこれくらいにして、 クラブにでも言ってガールハントでもするか!

あのぉー オジサンっていつくらいからここてせ船賃稼いでるんすかー??

あぁー おれは あの世よりここの方が好きでな! 船賃稼ぎじゃぁー ねーんだよ!
ここに居れば 死んで間もない連中から話しも聞けるからなぁー
俺が死んだのは確か昭和45年ごろだったなぁー さてと! おい! 行こうぜガールハント!
そう言えば総理大臣も変わったんだろ!? 確か小泉だったか?? 今のは??
あっはははは 勘弁してくださいよぉー!! 今は安部ですよ安部!!

あれ?? そういえば 総理大臣になれんかったって悔しいとか言って酒びたりのオッサン
確か安部って言ってたなぁー

そうか?? 今は安部ってのが総理大臣かー! あわっははははは 時代よのぉ~♪

お二人さん!! 今は麻生って言うのに変わりましたよ!!

おっ! 入りたての新人じゃねっかぁー こいつは嬉しい!! もっと話しを聞かせろ!!
よーし 今夜は俺のオゴリだ!! おめえら俺に付いて来い!! 

この先にエルビスの聞ける店があるんだが最高にのれるぜ!!

完了

幼馴染

幼馴染

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • ミステリー
  • 成人向け
  • 強い性的表現
更新日
登録日
2011-11-28

CC BY-NC-ND
原著作者の表示・非営利・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

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