かわらぬもの

そっと部屋の窓を開ける
冷ややかな風が彼女の肌を撫でるように吹く
そんな秋月のこと

その風に少し寒さを感じて
彼女は朱色の薄い上着を手にかける

彼女の部屋の窓越しに見える今宵の月は
満月ではなく少し欠けていた
そんな月を埋めたがるかのように淡い星々が
月の周りで光を放つ

彼女の真っ直ぐな瞳は
闇の中で輝く月を捉えて離さなかった
そして彼女の唇から深い溜息が一つ零れると
目線を月から彼女の手に握られている液晶パネルに移した

そう彼女は恋をしているのだ
きっとそれも簡単に手に入れられないような

_______
月読みの光に来ませ あしひきの山きへなりて遠からなくに

これは奈良時代の湯源王が女性の心理を歌ったもの

時を遡り昔の人々も月が輝く優艶な夜に
筆を取り和紙に想いを馳せていたのだろう
想い人まであと幾度、と

そして時は今に戻り、流れ
環境は大きく変わり
なんでもすぐに手に入れられるような時代になった

でも一つ昔と変わらないものがある
”恋は人間の永遠のテーマ”であることだ


何度も何度もメールの文面を辞書を片手に確認する彼女の姿は
とても微笑ましいものだった。

かわらぬもの

お粗末様でした。
初お題もらっての短編
月、古文、筆

色々と感想くれると嬉しいです
人に見てもらうのって初めてだから恥ずかしいね
あと、古典の歴史の知識がそこまで深くないので間違っていたら教えていただけると幸いです。

かわらぬもの

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-10

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