あわせ鏡

ベゴニア

花言葉は“切ない片思い”

彼女はあいつに好意を寄せている。
〈彼は彼女を好いておる〉
やめなよ。
〈やめておけ。〉
あいつは誰か一人と恋愛をする気なんてないんだよ。
〈彼女は芸者で誰と何をしておるのか知れぬ。〉
そんなに辛そうな顔をしているのに。
〈そのような辛そうな面持ちをしとるのに。〉
どうしてあいつのことを好いていられるんだよ。
〈何故彼女を想い続けるのだ。〉
あいつはあんたのこと見ちゃいないってのに。
〈彼女はお前の事など見ておらぬ。〉
辛い顔しかさせられないのに。
〈苦々しい顔をするばかりであるというに。〉
あいつを思って何度泣いた?
〈彼女を思うて何度心痛めた?〉
隠れるようにして何度目を腫らした?
〈心の中で何度雨を降らせた?〉
ああ。
〈嗚呼。〉
ばかじゃないの?
〈愚かしや〉
でも
〈しかして〉
そんなあんたから目が離せない。
〈彼女から視線を背けられぬか。〉

あわせ鏡

鏡花ちゃんが芽衣ちゃんを見てる様子と、そんな鏡花ちゃんを見守る紅葉先生という設定。

あわせ鏡

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-10

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