照れ屋な彼と、誘導する私。

「紺野さん、」

「何?」



紺野さんの細くて柔らかい髪がサラサラと揺れた。



「……なんでもない。」

「ふーん。」



あ、また下向いちゃった。

そうして分厚い少年漫画のページをめくる指に触れたいのに。



「紺野さん、」

「何?」

「………なんでもない。」



紺野さんのお部屋のソファーに寝そべったまま天井を見上げて、柔らかいクッションをギュッと抱いた。

横目に紺野さんを確認すると、すっと目が合う。



何にも言わないで見つめると、ほら、やっぱり。

ため息一つはいて立ち上がって、紺野さんは私の横に座る。


大きな手に優しく頭を撫でられて、その気持ち良さに目をつむった。

そして見なくてもわかる、
頬杖ついた紺野さん。




照れ屋な彼と
誘導する私。




(とんだ勘違いだね。)
(はいはい。)

照れ屋な彼と、誘導する私。

照れ屋な彼と、誘導する私。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-10

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