照れ屋な彼と、誘導する私。
「紺野さん、」
「何?」
紺野さんの細くて柔らかい髪がサラサラと揺れた。
「……なんでもない。」
「ふーん。」
あ、また下向いちゃった。
そうして分厚い少年漫画のページをめくる指に触れたいのに。
「紺野さん、」
「何?」
「………なんでもない。」
紺野さんのお部屋のソファーに寝そべったまま天井を見上げて、柔らかいクッションをギュッと抱いた。
横目に紺野さんを確認すると、すっと目が合う。
何にも言わないで見つめると、ほら、やっぱり。
ため息一つはいて立ち上がって、紺野さんは私の横に座る。
大きな手に優しく頭を撫でられて、その気持ち良さに目をつむった。
そして見なくてもわかる、
頬杖ついた紺野さん。
照れ屋な彼と
誘導する私。
(とんだ勘違いだね。)
(はいはい。)
照れ屋な彼と、誘導する私。