-two world-

世界は1つだけでない。2つ…3つ…4つ…と
現在私達のいる人間界以外にたくさんの世界が存在している。
そこで、ここではそんないくつもの世界の人間界と冥界、
いわゆる死者の世界についての物語をつづっていこうと思います。
ひょんなことから繋がれてしまった人間界と冥界。
そこで出会った冥界のお姫様と人間界の幼馴染の男女高校生。
3人が繰り広げる友情ストーリーと幼馴染が繰り広げる初々しい恋模様。
そこに向かってくる黒い影とは…!?

出会い

この世界は2つに別れている。
ひとつは同世界、もうひとつは異世界である。
同世界は、ここ人間界のことである。
人間界君も知っているだろう…そうだ、君の住んでいる世界のことだ。
異世界、つまり冥界のことである。
冥界とは、見た目は私たちのよう(そうでないものもいる)だが、私たちの持っていない''特殊能力''というのを持っている。
いわゆる、化け物だ。

これから始まるのは、多分いや…絶対に誰も体験したことのない、最悪で最高の物語だ。


シャッ。
「ん~…ふぅ」
いつも通りの起床、朝ごはん、登校。
どれもいつも通りの時間…これでこのまま登校できれば全て普通なんですけど、私は毎朝学校に行く前、隣に住んでる男の子を起こしに行かないといけません。
こんにちは。私の名前は小坂悠(はる)。蝶蘭中学に通う中学2年生です。
そして隣に住んでる男の子は、私の幼なじみの喜田村優です。彼の両親は共働きなので朝はいないのです。
だから、私が代わりに彼を起こしてるのです。
「いってきまーすっ」
私は家を出て、優の家の合鍵を取りだし開ける。
「ゆーうっ、起きてるー?」
「……起きてる~……」
「もうっ、まだ寝てるの?早く起きないと遅刻するよ?」
私は靴を脱ぎ、優の部屋へ行く。
「ほーらっ、早く起きて!服着てっ」
「うぅっ…布団とるなぁ……zzz」
「って、また寝るんじゃないーっ!」
「……やだ」
やだって…はぁ…これはもうあれを使うしかないな……あんまやりたくないけど。
ドサッと鞄を落とし…ピトっと優の背中に引っ付いた。
「………………zzz」
「まだ寝るか…ゆーう?まだ起きないの?ねぇってばぁ……はぁ…ん」
「う、うわぁぁぁ!」
「へっへーん♪優が耳をかじられるの苦手なことくらい知ってるもん、このくらいはしないとねっ」
「むむむ……今度仕返ししてやる!」
「はいはい、なら食パンでも焼いとくから早く着替えてくるのよ?」
「うっす」
「あ、ジャムとバターどっちがいい?」
「バター」
「了解♪」

ーーーーーーーーーーーーシュッ、ドカンッ、キンッ。
爆発音や金属音だけが響く中、100人以上の兵士と1人の少女が戦っていた。
「あははっ、皆ざっこーいっ…さぁ、次はあんただよ♪……ん?」
「あの方の所には…行かせない…!」
ーーーっ!…………蘭名…ーーー
「雑魚のくせに、私に触るなっ!」
蘭名と呼ばれる少女は剣を刺され、大量な血液を流れ出している。
「さぁ!ショーはクライマックスだよ…その命…もらおうかな…」
少女はクスリと笑い、崖の上にいる少女に話しかけた。
ーーーなぜ、こんなことをするの…?ーーー
「は?そんなの今から死ぬあんたに言って意味あんの?」
ーーー答えてっ!!ーーー
「嫌だよ~そんなの時間の…無駄でしょ!?」
少女は地を蹴り勢いよく、崖の上の少女の元へ行った。その瞬間ーーーーーー。
今まで崖の上にいた少女の姿が消えた。
「ちっ、逃がしたか…まぁいっか~♪楽しみはとっておくべきだからね…」
少女はクスリと笑ながら呟いた。
ーーーーーーーザブーンっーーーーーーー
何かが水のなかに入る音がした…少女だ。
ここは…?……っ!?……海…?
そうか、海か…ふふ…このまま沈めばきっと楽なんだろうな…
少女は体が沈むのも気にせずただぼーっとしていた。すると、聞きなれた声が聞こえた。
『大丈夫…ですか?』
ーーー蘭名……よかった…無事だったのか…そっか…ーーー
『はい…村の人に…助けてもらって…』
ーーーそうか…よかった…ふぅ…ーーー
『すみません……ご迷惑をおかけして…ぅ…ぅああああああ!!』
ーーー蘭名!?っ!ぅ…ぷはっ…ゴホゴホっ、大丈夫か?ーーー
『は…い……すみません…』
ーーーあ、いや私は…だ…い…じょう…ぶ………ーーー
『どう…されましたか?』
ーーー見たことのない景色だ…ここは…ここはどこなのか?ーーー
『少々お待ちを……………人間界…です…』
ーーー人間界…?ふふ…あれかあの地に私は来てしまったのか……蘭名…お主は私を冥界に戻すことはできるのか?ーーー
『すみません…今の私には…』
ーーーそうか、私はここで死ぬことになるのか…ふふ…奴に殺されるよりかはましだけどな…ーーー
『すみません…あ、1つ…私が…い…なくても…帰れる方法が…あります…』
ーーーえ…?なんなのだ?その方法は?ーーー
『特殊能力の血を受け継がれし人間を探すのです。その人間には貴方と同じ…又はそれ以上の力を秘めています…なのでこちらに帰れるか……と…』
ーーーそうか…何か…手がかりはないのか?ーーー
『……………………………………………………。』
ーーー蘭名?……どうしたのだ……?ーーー
『す………せん……し……らく……れ…ん……ら……とれ……ま……せん』
ーーー蘭名…?大丈夫なのか?蘭名っっっ!!!ーーー
ザバッ…少女は海から上がり涙を拭った。
そして、人間界の町へと歩きだした。

ーーーーーチーン
「あちちちち……ふぅ」
「んじゃ、行くか」
サクッとパンをかじりながら家を出る優。
「あ、うん!」
それに続き、私も優の家を出た。
「ねぇ、優っ」
「なんだ?」
微笑みながらこっちを真っ直ぐ見てくれる優。
「……こんな平和な日々が毎日続けばいいねっ」
「あぁ、そうだな……俺もそう思ってる」
「てか、これ毎日言ってるね」
クスクスと笑う私と、それにつられて優もクスクス笑った。
「言い出すのはいつもお前からだけどな…でもそれもいいんじゃないのか?毎日の日課っぽくて…」
「そうだね!」
そうして、学校に着き午前、午後の授業を終えた。
今日もなにもなく1日が過ぎたな…退屈…こう思える私は幸せなのだろう…平和が当たり前と思える私たちは幸せだな……私も部活入ればよかったかな…。
教室の窓からサッカー部の練習(主に優)を見ていると優と目があった。
「が、ん、ばっ、て」
と、口パクで言うと優は親指をたてニッと笑い練習に戻った。
優とはいろんなことがあったな…喧嘩もしたし…でも優はいつでも優しかったな…。
そう思っていると、キーンコーンカーンコーンとチャイムがなった。
私は鞄をとり優の元へと走っていった。
「帰ろっか…」
「うん!」
「あ、こっちの商店街の方から帰ろ?」
「なんか、買い物か?」
「え、あ、うん…多分」
「大丈夫か?」
「大丈夫…でも何故かこっちに行かなきゃいけない気がするの…だから、ね?」
「あ、あぁ…と、とりあえず行ってみるか」
「ありがと…」
商店街に行くと、色々な声が聞こえた。
昔ながらの商売方法…ここに来るとすごく落ち着く…すぅぅ…はぁぁぁ……うん、今日も1日が平和だったな…すごく、すごく楽しかった…。
「落ち着いたか?」
優は私がここに来る理由を知らない、ただ落ち着きたい時に来るとしか言っていない…いつかちゃんと言わなきゃな……。
「うん、ありが……と……」
ドサッ…ザワザワ…ガヤガヤ
「悠!?」「悠ちゃん!?」「え?」「大丈夫なの?」
あぁ、皆の声が遠く聞こえる…え?……ここは…どこなの?商店街…の路地裏…?……え、人?
ーーーたす…け…て……ーーー
誰?誰なの?助けてって…大丈夫なの?
「ねぇ!」
「うわぁ!?」
「あれ…?ここ…私の部屋…え、私…商店街にいたはずじゃ…」
「倒れたんだよ…全然意識戻らないから……初めは救急車呼ぼうと思ったけど、寝てるだけだから俺が担いできた」
「そっ……か……あ、私行かなきゃ…!」
「行くってどこに?」
「商店街の路地裏!…………助けなきゃ…」
「おいっ!待てよ!」
ガチャ。はぁはぁはぁはぁ……確か…ここら辺だった気が……
ーーーたす…け…てーーー
こっちだ!………確か……こっちで、こっちだ!……はぁはぁはぁ……こ…こ?
ーーーた…す…け…てーーー
ここ…ゴミ捨て場?ほんとに…あ!足だ!早くゴミをのけなきゃ!
「ちょっと待ってね…うぅぅぅん……!」
「はぁ、お前の力じゃ無理だよ」
ひょいと後ろから、聞きなれた声がした…優だ。
「こーゆーのは俺がするからそこにいる子を助け出せ」
「わかった!」
ガサッ、ドサッ、ガサッ、ドサッ。
「あ!大丈夫?手、出してっ」
ーーーあ、あぁ…すまない…助かった…礼を言うーーー
顔は整っていて、とても長く綺麗な銀色の髪をもち、長袖のブカブカな上着とスカート、そして厚底のブーツを履いても、小柄だとわかる少女がそこにいた。
「ど、どういたしましてっ。貴方、なんでここにいるの?」
ーーー知らぬ、ここで寝てたらいつの間にかこいつらに潰されたのだ。全く…おかげで身動き1つできなかったじゃないか…ーーー
「え、家は?ご両親は?」
ーーーそんなのこの世界にはいないーーー
「ん、んー?と、とりあえず行くとこないんだよね?」
ーーーあぁ、そう言っておるーーー
「なら、うちに来る?」
ーーー行かぬ、貴様ら人間と関わる時間なんてないーーー
「ふふふ、君も人間でしょ?」
ーーー違う、私は人間ではないーーー
「と、とりあえずうちに来よ?優、この子おぶってうちに連れてきて」
「そうだな、汚れてるし」
「とりあえず、お風呂入ろうね?」
ーーーお風呂……は、入る!…………ゴホン…入ってもよいが…ーーー
「ふふふ、じゃ行こっか」
ーーー…………うむーーー
この子かーわいっ♪
そう思いながら私と少女は手を繋いでお風呂場へと向かった。

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更新日
登録日
2014-04-06

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