縄奥続き

縄奥Ⅷ



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 1番目

あらあら・・・ 私の下着身に着けて無理矢理スカートまで履いちゃって~♪♪ うっふふふふ♪ 全くもおう!!
メイクしてカツラかぶって 私はそんなに厚化粧じゃないよおーだ!!・・・・ うっふふふふふー

おっ どうしたのじゃ?? そんなに嬉しそうに・・・  うむっ? まあーた 覗き見か?! もうその辺に・・・・(御婆ちゃん)
まっ! ええかのおうー こっちに来てまだ一月(ひとつき)じゃてのおぅー 想いも募るじゃろうて
・・・・(心配顔の御婆ちゃん)
まあー・・・ ほどほどにのおぅ! 帰りたくても帰れんのじゃから・・・・ 早くこっちの生活にも慣れんとのっ! 
・・・・(御婆ちゃん)

はーい! 解ってまーす!! あっはー あっはははははー!! みてみて!! 今度は・・・ 

あれっ? 御婆ちゃん・・(キョロキョロの私)

私は死んでから天国に来ている・・・・ 私たち人間のために天に召された別の世界の住人たち・・・
そう・・・ 私は私と亭主 そして義妹や義母たちが暮らしている天国に同居させてもらっている・・・ 
今 何してかったて??
童話の中のシーンじゃないげと 雲の隙間から 下界にいる亭主を覗き見してのっ! うふふふふふ~♪♪
それを 御婆ちゃんにみつかっちゃって・・・ うっふふふふ  
この世界には家とか壁がないから誰でも近くに寄ってこれるの!
だから ちょっと不便なのさっ!・・・・ でも身体はあるのにトイレにもいきたくならないし 御飯も食べたくないし 喉も渇かない

亭主ったら私の下着と衣類で女装して ホラホラ!!  もおうー!! 私はそんな格好でオナニーなんかしないってー!! 
全部取っておいたんだねー うっふふふふ お陰で私は着る物が少なくって 生霊の私から服を借りてる・・・・
私はオバケで私の生霊は生霊のまんま・・・ つまり ここでは私が怖がられる立場・・・・ 
でも誰も怖がらない・・・ 変でしょ!

毎日 泣いて暮らしてた下界の住人達・・・  亭主は義父の会社を建て直したのに 私が死んで社長を退いちゃったし・・・
義母や義妹・・・ それに私を発見してくれた義弟も会社の経営から全員撤退・・・・
  
他の彼女たちもみんな辞めちゃったし・・

そんな大袈裟なことじゃないのに・・・ もおう~ ホラホラ駄目だってイタズラしちゃあー!!

あはははははははは!!! あはははははははは!!! お姉ちゃんこんにちは!! あはははははははははは
・・・・・・・(私の背中に乗ろうとする彼女)

ちょっとっ! ホラホラ! イタズラしちゃ駄目でしょおう!! 全く! 高校生にもなって この子(娘)ったらー!!・・・

お姉ちゃん お姉ちゃん あそぼーよー!! あそぼー あそぼー!!・・・・(手を握って引っ張る彼女)

なにして遊ぶかなあぁー??・・・・・(私) 
お山っ! お山へ行こうよおーー!!! そーれ! そーれ! うんしょ! うんしょっ!!・・・(私の手を必死に引っ張る彼女)

あっ! こんなとこに居たの!! 全くこの子ったら・・・ すいません・・・ 毎日毎日・・・(彼女のお母さんで白狐さん)

着物の似合う色白のステキな貴婦人・・・・(下界の義母に長年とり憑いていた 旦那さんを交通事故で亡くしたあの白狐さん)


ホラホラっ! 邪魔したら駄目でしょおー さっ! 帰りましょう!! アナタは学校があるんでしょ!!?? ホラ!! 行くのよっ!!・・・・・・(白狐)
ヤダヤダヤダヤダッ お姉ちゃんと居る居る居る居る 居るのおー!!!
・・・・・・・・(足をバタつかせ地面で転がって駄々をこねる彼女)

だーめ! ホラ! 学校行かないとー!!・・・・(白狐)  すいません!!・・・(申し訳なさそうに謝る白狐さん)

よっしゃあー!! ホラヨッと!!・・・・(ヒョイと担ぎ揚げて白いモヤの中へと消えて行った こっちの義弟)
ホラ!! 学校行かんと お姉さんに嫌われるぞっ!!・・・・(彼女(妹)を宥める義弟)

ヤダ ヤダ ヤダヨー!!・・・・(モヤの中から聞こえる彼女の声)  軽く頭を下げると消えて行った白狐さん・・・・

ここでは突然誰かがやってくるものの 私にはまだ来る予兆が解らない・・・・

さてと・・・ もう一度 見てみるかなっと・・・・ 両手で地面の雲を避けて・・・  穴が空いて下界が見えた・・・・

あれっ?? 何処?? 何処いっちゃったのー!! 


2番目



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆2番目

お前 すんぱいなら ちょっくら下行って見てくればええべっ!・・・ うん?? どんだや!!・・(突然後から声かけられる)
振り向くと御婆ちゃんが立っていた・・・・
行くって!! そんなこと出来るの??!! 私・・・ 死んでるのに・・・  みんなのとこに行けるの??・・・
張り裂けそうな気持ちを抑えて聞く私・・・
あぁー あぁー なんぼでもゆげるがら・・・ お前は死んだと言うても我々生霊預かりになっとるし術(すべ)さえ
身につけりゃ何ぼでも行げるど~・・・(か細い声の御婆ちゃん) 

私は御婆ちゃんの教えに従って何日も降りる術を習った・・・・ 生霊の私そして亭主や義弟 義妹も加わって
みんなから降りる術を習った・・・ 不思議と術を少しずつ身に着けるごとに 今まで家や壁がないと思ってた周囲は
少しずつ色や形が出て来て 私にも見えるようになっていた・・・・
数日経過・・・・・
気付けば なんと私は家の外・・・・ 御婆ちゃんが用意してくれた私の家の玄関前で寝泊りしてたことに気付いた
本当は数ヶ月かかるところを 下界に下りる術を習うことで数ヶ月分が一気に流れたらしかった・・・
そう・・・ 私は下界で亭主と二度目の結婚生活を送っていた あの懐かしい祖父の家の前にいた・・
少しずつ見えて来た景色は下界と全く変らない あのころの街そのものだった・・・
家の中に入る・・・ 改築されていない古い壁と しっかりした柱 そして逞しい梁が目に入って来た・・・・
掃除が行き届いている・・・・  あっはははははは もう一人のアンタが来て毎日 毎日掃除してたからなあ~・・
アンタは周りが真っ白で何にも見えとらんかったじゃろ・・・ あっはははは じゃがっ! もう大丈夫じゃろっ!! のう!!

今夜はアンタがこっち(生霊の世界)の世界になじんだ祝いじゃで まっー酒でも飲むかいなー あっははははは
あぁ それど アンタは身内にしか見えとらんからなー いくら生霊の世界っちゅーても こっちの者たちには
アンタはオバケ・・・ まっ! 幽霊ってとこだで・・・ アンタが関った者たちはには見えとるで不自由はないはずじゃ
・・・・・・・・・・・・・・・・御婆ちゃんは私に教えるとニコニコ笑みながら家から出て行った

ガラーッ・・・ ダッダダダダダダダダダー ジャーンッ!!!     お姉ちゃーーん!! あはははははははははは・・・・
来ちゃったよーーー!!! あはははははははは・・・・(後から体当たりで抱き着く彼女)
ねえねえねえ!! 聞いて聞いて!! 今日ねえ~ 学校(高校)で100点取ったじょおぉー!! ホラホラ 見てみて!!
どう?? 凄いだろお!! 凄いだろう!! 凄いって言って!! 言って!!  言ってよーー!!!・・・・・あはははははは
私にしがみ付いて 顔の前に答案用紙をヒラヒラさせる彼女(こっちの亭主の実妹)・・・・
ねえねえねえ!! 遊ぼう!! 遊ぼうよおー!! あははははははははは・・・・(座る私を引っ張る彼女)
うんしょっ! うんしょっ! うんしょっ!!・・・・(彼女に両手を引かれて玄関へ行く私)
ガラ ガラ ガラ・・・ こんにちは・・ 誰か入ってきた・・・    うんしょっ! うんしょっ!・・・(私を引っ張る彼女)
入って来た人の顔を見る・・・・  あっは~!! いらっしゃい!!・・・(オバケの私)
見えるようになったんだって??・・・・・・(生霊の私)
あっ! うんっ! 見えた!! まさか外で寝泊りしてたなんて~♪♪ うっふふふふふふー・・・(手を引かれ笑む私)

突然 私の手を放し オバケの私と生霊の私を立ち上がってキョロキョロ見回す彼女
あっ・・・ あっ・・・ あわわわわわわわわわわわわわ・・・・・ あわわわわわわわわわわ・・・・・声にならない声
お姉ちゃんが・・・ お姉ちゃんが!!! お姉ちゃんが二人居るーーーー!!!!   あわわわわわわわわわ
キョロキョロキョロキョロ・・・・ 突然、私から離れ玄関の私の元へ・・・ そして玄関の私から離れ こっちの私へと
小刻みに行き来する彼女の顔は真っ青になって遂には玄関の私の横をすり抜け大声を出して飛び出してしまった
きゃあぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!  あわわわわわわわわわーーーー!!!
私が慌てて玄関に出て玄関の私と並ぶと一旦立ち止まってこちらを見た彼女は物凄い勢いで逃げ出した!!
思わず生霊の私の顔を見た幽霊な私・・・  ぶっ!・・・(幽霊の私)   ぶっ!・・・(生霊の私)
うっふふ~♪・・・・(幽霊の私)  うふっうふふふふふ~♪♪・・・・(生霊の私)・・・・(抱き合う二人の私)

良かったねえ~ 見えるようになって~・・・(生霊の私)    うんっ!! みんなのお陰よっ!!・・・・(幽霊の私)
・・・・・・・・・・・・二人は抱き合ってお互いを確認しあった

私は彼女(生霊の私)に話して聞かせようとする 彼女が私の額に額を重ね合わせて来た・・・・・・・

いろいろ・・・ あったんだねえー・・・ そう言うと彼女は目を潤ませた・・・・

でも・・ 私は幸せだったよ・・・(私)   解ってるってー!! うっふふふふ~・・・(私の両手に両手を重ねる彼女)

彼女は私の手を引いて家の中を見せて歩いた・・・・ 変ってない なにもかもが昔通り!! 嬉しくなる私 

もし一人で暮らすのが寂しかったら・・・ 私の家で暮らしてもいいよっ!! 亭主もいいって言ってくれてるし・・(彼女)
だいじょうぶ!! 寂しかったら アナタの亭主のとこ行くからっ!! うっふふふふ!!!・・・(笑む私)
もおうー それは浮気でしょおぅ!!・・・・・(彼女)  
あれっ?? 同じ私たちだから・・ 浮気じゃないのか・・な???  うふふふふふふー♪♪・・・・(楽しい彼女)
気付けば寝室に来ていた・・・・
ねえっ! 抱いてあげよっかっ!! 慰めてあげたい・・・・(彼女は私をゆっくりとベットに)
ごめん・・ 今、そんな気分じゃないから・・・・(彼女の下で顔を横に伏せる私)
あっ! そっ! そうねえー!! ごめん・・・私こそ・・・ 自分なのに・・・ バカな私・・・(うろたえる彼女)
仕方ないよ・・・ 離れてたんだもの・・ 私達・・・・(私はそっと上にいる彼女の背中に手を回した)
そっと私の唇に重ねてきた彼女・・・・・・・・(私はキスを受け入れた)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気付けば愛し合っていた私達だった

互いが互いに溶けるように激しくそして優しく・・・・・ 私は泣いていた・・・・ そして彼女も・・・・・

ねっ! 着るものとか少なかったら電話頂戴 下の亭主 入れてくれなかったんでしょ??・・・(箪笥を見る彼女)
うんっ! そうなの!! 衣類とか下着とか私が身に着けてた者は殆ど亭主が使ってるわっ!! 全く全くだよ!!・・(私)
まだ そんなことしてたんだー下の亭主っ! うっふふふふ~♪♪・・・・(笑む彼女)
笑い事じゃなーーい!! アナタと同じサイズだからいいけど 見てみなよ! 女装して仕事も辞めて全く!!・・・(私)
仕方ないってっ!! 愛妻が死んだのに仕事なんか手につかないって!!・・・・(彼女)
解るけどーお!! 毎日 毎日 私の服とか下着着けて・・・・ 家の中でゴロゴロしてて・・・(不満な私)
まあーねっ! メソメソして何にもしないで過ごしてる亭主の姿なんて見たくないものねっ!・・・(彼女)
お風呂 一緒に入ろうっか!!・・・・(私を元気付ける彼女)
うんっ! いこいこっ!・・・・(彼女の気持ちに答える私)

キャッハハハハー♪♪ ホーラホーラ!! 懐かしいでしょおうー このお風呂ー!! うっふふふふふ・・・・(彼女)
うっふふふふふー♪♪ ちょっとおうー ヤダーってばあー もおうー!!・・・・(お湯を掛けられて嬉しい私)

お風呂でも愛し合った私達だった・・・・・



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆3番目

私は彼女(生霊)に抱かれそして私も彼女を抱いた・・・・
彼女が帰った後、私は一人孤独を感じていた・・・ 彼女(生霊の私)には亭主がいる でも私にはもう居ない・・・
今夜はここにみんなが集まって宴会をする予定だけど私はそんな気分にはなれない・・・・ 寂しい・・・
私は家を出て裏の桜の木へと向かった・・・・
桜の木は私の知っているまま老木ながら元気な艶を見せていた・・・  木の根を手で下界に・・ 下界にと念を掛け
少しずつ 少しずつ 掘り下げる・・・・ 下界へ・・ 下界へ・・ 下界へ・・
突然頭を何かで叩かれたような衝撃・・・・・・・・・

気を失っていたようだ・・・・  ゆっくりと目を開ける・・・・  ここは??  何処??  キョロキョロと辺りを見回す・・・
両手を地面に着いて少しずつ起き上がる・・・・  上半身が起き上がったところで心の中から込上げて来る何か・・
目の前には懐かしい亭主と暮らした家・・・ 静まり返る我が家だった・・・
帰って来た!! 帰って来たんだ!! 心の中で叫んだ!! 叫ばずにはいられなかった!!・・・・
慌てた!! 私は慌てて立ち上がった!! 懐かしい鉢植え達・・・・  木々や草花が咲き誇っている・・・
家の二階の屋根に目を奪われた・・・・ えっ!! えっえぇぇーー!!    天狗様??  天狗様の姿がハッキリと見えた!
頭の中が真っ白になりかけた時だった 凄い速さで私のところに・・・・ ビューンッ!!

久しいのお~!! 下界に下りてこれるようになったとはのおぉー!! ばば様から聞いとったが まさかこんなに早くとは
生きとったころは そちにはワシの姿は見えんかったじゃろうが・・・・
そちだけじゃったのおぉー ワシの気に気付いておったのは~ うわっはははははは・・・(扇子で扇ぐ天狗様)
怖がらんでも良いよい!! そちのことは天界の婆(ばば)様から聞いとるで 何か困ったことがあったら
ホレっ! この笛を吹くと良かろうっ!!・・・・・ ビューンッ ビュッ ビュッ ビユッーン・・・・(何処かへ去った天狗様)
凄い速さで木々の間を飛び交って消えてしまった・・・・ 私の首にヒモでかけられた木で出来た小笛・・・
人間だったころに見聞きした天狗様とは違い普通の人間・・・・ そう山伏の格好をした人だった
ばば様・・・・ 一体 あの人は何者なんだろう?? どうして私に良くしてくれるんだろう・・・・
あの時も・・・ そう いつも見守ってくれててピンチになると助けてくれる・・・・   優しい御婆ちゃん・・・・

ガラガラガラ・・・ 突然玄関が開いた!! 玄関を向く・・・・・・・・・・・・

出て来た・・・・・ 青白い顔した義母・・・そして義弟に義妹だった みんなヤツレて覇気が感じられない・・・
その奥 玄関には洗濯していないのかヨレヨレのワイシャツとスラックス・・・・ 目は空ろだった・・・

じゃあ ワタシたちはこれで帰るけど 戻りたくなったらいつでも戻っておいでっ!!・・・・(亭主に語りかけた義母)
義妹も強張った顔を無理して笑みを浮かべ亭主に小さく手を振って車に乗り込んだ・・・
義弟も亭主の肩をポンっと叩き運転席へ座った・・・・
無言でみんなを見送る亭主・・・・・

みんなには私は見えていないのが直ぐに解った・・・・ 

みんなの乗った車が家の前から消えた時だったっ!!!  空ろな亭主の目が一瞬 私の方を見ると大きく開いた!!!
首を左右に何度か傾け 一歩・・ また一歩・・ ゆっくりと足を引きずりながら近づいて来た!!!
フラフラと千鳥足になりながら私の方へ近づいて来る・・・・・
あうっ・・  あうっ・・  何かを話そうとしているのが解った・・・・・・・・・(口をパクパクしなかせら近づく亭主) 
私は私の後ろを何度も振り向いた・・・・ 
両手を前に突き出し口をパクパクさせながら数メートル先まで来た時だった・・・
亭主は突然立ち止まってその場に屈み込んでしまった・・・・・
頭を抱えて何かブツブツと言っていた・・・・
突然だった!! 亭主が四つん這いに!!! 四つん這いになって少しずつ手足を動かして私の方へ近づいて来た!!

ムニュッ!!!・・・・・・・・・・・・  ハッ!!・・・(私)   亭主の両手が私の両足首を掴んだ!!!・・・・(動けない私)

うわあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーん!!! 大きな声を出して突然泣き始めた亭主・・・・・

私の両脚に伝わる亭主の温もり・・・・・・ 痛い程に伝わる感覚・・・・ 

徐々に号泣する亭主の両手が上がり膝まで来た時だった!!!       号泣しながら立ち上がった亭主!!!!
少しずつ 少しずつ 上半身を起し始め 私の胸の辺りに来た時だったっ!!!!
あははっ! あはははははは!!! そんなバカなことがっ!!! うわっはは!! あはっ!・・・ バカなことがっ!!!
泣き笑いしながら下から私を見上げた亭主の目は涙で溢れていた・・・・

瞬間っ!!! 亭主は私を抱き寄せ大きな声を出して叫んだ!!!   うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!!

ポタポタと私の頭に零れ落ちる亭主の涙は暖かかった・・・・・・・・

うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!   うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!

何度も何度も私の頭の上で大きな声で泣き笑い叫んだ亭主!!!

私から咄嗟に出た言葉だった・・・・・・・  みっ・・  みっ!・・・  見えるのおぉ!!!

うんっ!! 見える!! 見える!!  見えるぞおぉぉぉぉーーーーーー!!!!!・・・・・(叫ぶ亭主)

中腰になって私の顔を覗きこむ亭主の目からは空ろさは消え 爛々と輝く光さえ感じられた・・・・

私をもう一度抱き寄せた時だったっ!!! 亭主の頭を右にして家の二階の屋根に目が行くと天狗様がそこに居た・・
天狗様の方を見た時だった!! 耳元に天狗様の声が聞こえた・・・・・
信心深いそちへのワシからの贈り物じゃと思えばよかろう!!! 良かったのおう!! 遠くにいる天狗様の声が聞こえた

こりゃっ!! 天狗!! ちとばかり善人過ぎやせんか!!! 空から聞こえた御婆ちゃんの声だった・・・・・
まあ よかろう 天狗!! おまえも生き物の心や絆が解るようになった証拠じゃてのおぅ~おっほほほほほほ・・・
しかし、よいかっ!! ○○よっ!! 亭主の口から一度でも 周りの人間達にお前が見えるなどと漏れたら
二度と亭主には見えんようになるで・・・ ちゃんと亭主には誓いを立てさせるのじゃぞ!!
1年間・・・!! 下界の時間で1年間だけそこに留まることを許そう!!
こりゃっ!! 天狗っ!! ちゃんと見守るのじゃぞっ!! お前の所為で全く よけいな仕事が増えたわいっ!!

解ったよ~ ばば様!!! ワシが見とるから安心してくれや~!! それにしても幸せそうだのおぅ!! ばば様!!!

二人の会話が耳元でまるで側にいたかのように私に聞こえた・・・・・

亭主の涙はいつ枯れるんだろう??? 身体がバラバラになるくらい痛いんだけど・・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆4番目

亭主はやがて涙から笑顔に変わったもののニコニコと満面の笑みを浮かべ何を話すわけでもなくただただ
私の手を引いて歩いては 急にこっちを見て安心するの繰り返しだった・・・・・
家の中に入りたいというと急に顔を青ざめさせた・・・・  ちょっ ちょっと待って・・ ちょっとまってて!! 
何処にも行っちゃダメだからなっ!! なっ! なっ!・・・・・・(私を見ながら中腰で後退りして家の中に入って行った)

おいっ! お前っ! いいかっ!! 天上界の話しは余り深く話してはならんぞっ!! まあ~ワシの存在を話す分には良いが
因みにのおぅー ワシは串団子と濃い煎茶が好きだからなっ!! 解ったか!!・・・・・(耳元で天狗様の声が聞こえた)
家の中に入った亭主 慌てて掃除してるみたいだな・・・・ ちょっと覗いてみようかなっ!!
私は家の壁をすり抜けようとした・・・  ドンッ!!!  鼻を壁にぶつけた・・・・  イタッイタタタタタタタ・・・・  何でー???
お前はバカかっ!! 下界では幽霊は壁をすり抜けるとか言われているがあれは大嘘じゃ!!・・・・(耳元の天狗様)
第一 今のお前は半幽霊と言うてな天上界が・・・・・  いやっ・・・  兎に角、お前は身体があるから無理じゃ!!
解ったか!! ではそろそろ消えるとしようかのおぉー・・・・  シーーーーーーーーン・・・・  消えた!!
そう思ってあたりを見回す・・・・  あれっ??・・・  あのおうぅー 天狗様??・・・  天狗様ー!!
なっ! なんじゃ!! うるさいのおぅー!!    あのおぅー 何で木にしがみ付いてるんですか???
なっ! なにっー!! おっ お前 ワシの姿が見えるのか!!! 見えるのかあー!!!・・・・(木に掴まり急に慌てる天狗様)
えっ・・ あっ はいっ・・・・(小声の私)
なにいぃーー!!! 何てことだっ!! 霊力が落ちてしまったのか!! あわわわわわわわ・・・・・(木に居る天狗様)
おーーっほほほほほほ バカな天狗じゃのおおぅー お前がこの女(私のこと)に贈り物をしたんじゃろうがっ!!!
自分でしたことも解らんとはっ!! おーっほほほほほほ・・・・(空から楽しげに天狗様に語りかけた御婆ちゃん)

なっなんて言うことだっ!!! ワシとしたことがっ!! お前と繋がっておったことを忘れていたわい!!!・・・・(天狗様)
ちっ! 仕方ない ワシはチト昼ねをするから 好きにしておれ!!・・・・・(木に逆さにぶら下って寝てしまった天狗様)

バタバタバタバタ・・・・  おっ おおぉぉーー!!! 夢じゃねー 夢しせゃねえーよおー!! あはははは・・(歓喜の亭主)
はあはあはあはあはあ~・・・・・・・・(私の前で両手を膝に着いて息を切らせる亭主)
さっ 早く ホレホレホレ!! 家に・・・  家に入れ!! ホラホラホラっ!! ・・・・(嬉しそうに手招きする亭主)

久し振りの我が家の匂い・・・・ 懐かしい私と亭主の家・・・・  胸いっぱいに深呼吸・・・・
ソファーに座ると隣に来て抱きついて離れようとしない亭主・・・・ 無言でずっと抱きついている・・・・・
頬と頬をくっ付けて 何も言わずに私の手を握り締める亭主・・・・・ 横に見える亭主の頭は半分以上が白髪に・・
黒々としてたあの頭も白髪になるほど・・・・・・ さてとっ!

ねえっ! お話しがあるの!!・・・(亭主から少し離れ間を取った私)   急に顔の強張る亭主・・・・・
もういっちゃうのか?? もう少し!! もう少し居てくれっ!! なっ! なっ! なっ!!・・・・(振るえて私の両手を掴む亭主)
ちがーーうっ!! まだ居るからっ 心配しないで!! これから私の言うこと ちゃんと聞いてっ!!・・(亭主を見る私)

いいっ! 約束なの!! これは絶対に守って欲しい約束よっ!!・・・・(亭主の両手を握り返す私)
私はアナタにしか見えてないの!! 私の姿がアナタに見えて!! こうやって話せるのも 触れるのも・・・・
ねえっ! 聞いてる?? ちゃんと聞いてっ!!! 大変なことになる前にっ!!!・・・・(亭主を見つめる私)

あっあぁぁぁ ううぅぅぅぅ・・うんっ!・・・・(震えながら背中を丸めて両手を必死に掴む亭主)

私の姿はアナタにしか見えてないのと触れるのはねっ!! この山を守って下さってる天狗様のお陰なのっ!!
アナタは信じてないだろうけど事実なのっ!! だからっ これからは天狗様に感謝して欲しいの!!
天狗様は人の心もお見通しだから心から信仰して感謝して欲しいのっ!!
それから もう一つ・・・・ これが私とアナタの大事な約束っ!!・・・・・(亭主の目を見つめる私)
よく聞いてっ!! 私の姿が見えるって例え、お義母さんでも絶対に喋ったりしないこと!! 私のこと他人に話したら・・
アナタは私が見えなくなるし 触れもしなくなる・・・ 私も帰らなければならなくなるの!!!
アナタが誰かに私のこと話したら その瞬間に私は消えちゃうのっ!! 解った?? 解った??・・・(繰り返す私)

うんっ! うんっ うんっ うんっ!!! 解った!!! 誰にも・・・  誰にも喋ったりしねえー・・・ うんっ! 誰にも 誰にもっ!!
・・・・・・・・・・・・・・(身体をガクガク震わせ首を小刻みに振る真剣な目の亭主)

言って見て!! 声に出して言って見て!!!・・・・・・(亭主に言う私)
お前のことは例え母さんでも 誰であろうと決して見えると話さないし天狗様に感謝する・・・・(ゆっくり語る亭主)

でっ! 俺は 俺は・・・ 何を 何をすればいいんだ!!!・・・・・・(真剣な表情の亭主)
なにって 特には・・・ う~ーん・・・ そうっ!! 串団子と煎茶が欲しいって天狗様が言ってたっ!!・・・(手を叩く私)
団子?? 煎茶??・・・・(首をかしげながら私を見る亭主)   ヨシっ!! 俺は今から串団子と煎茶を買ってくるっ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(突然右手で拳を作り私の横で立ち上がった亭主 メラメラと燃えていた)

奥の部屋へ行くと財布を取って 慌てて車に飛び乗ると街の餅屋に行ってしまった亭主だつた・・・
私は久し振りに亭主から漲る何かを感じて一人笑みを零した・・・・
洗濯物・・・・  うわっ! くっ くっさーい!!~♪♪ 洗濯機に入れて回す・・・・ 久々の家事・・・・
歩くたんびに足の裏に何かがくっつく・・・・ 掃除機・・・・ 拭き掃除・・・・ 窓も床もピッカ ピカに・・・・
亭主の部屋・・・・ 開いたまんまだ・・・ チラッとドア越しに覗く・・・・  大きな涙が溢れて来た・・・
壁中 天井もビッシリと引き伸ばして貼り付けられた私の写真・・・ 机の上に置かれた何百枚もある写真・・・
知り合ってから一緒に暮らし入籍して私が死ぬまでの全ての写真だった・・・・
部屋にはいらなくても私には直ぐに解った・・・・・ 亭主の部屋はそっと知らぬことにして寝室へ・・・
激しい刺激臭が鼻を突く・・・・  カーテンを開けて窓を全開にした・・・・ 速射して放置された形跡が山ほど
ベットの壁にかけられた私の衣類・・・・ 干してある私の下着にパンスト・・・ 
私は窓を閉めてカーテンを元通りにして寝室を出て下の部屋を掃除し始めた・・・・・ 下は使ってないようだった
冷蔵庫の中の物は殆ど腐っていて 床下の野菜庫は腐った野菜で一杯に・・・ 台所の隅に詰まれた酒瓶の山
人が・・・・ 私が死ぬって言うことがどう言うことなのかって初めて解った気がした・・・・
もし・・ 私が生きてて死んだのが亭主だったら・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私も同じだったに違いない・・・・・・
私は一生懸命 掃除をした・・・・  私の部屋が気になって再び二階へ・・・・

私が山小屋へ移り住んだ時のまんまになっていた・・・・ 床はきれいに掃除されていた他は そのままだった・・

私は下へ降りた・・・・・

暫くすると 亭主の車の音がして ドアが開くとガサガサと買物袋を家の中に運び込み始めた!!
買物袋が何往復もする度にドンドン玄関に積み上げられ 運ぶのも間に合わないほどだった・・・・・
キレイに掃除した冷蔵庫に食料品をドンドン入れる私とセッセと運ぶ亭主・・・・
そして高さ1メートルくらいにまで積み上げられた串団子と煎茶にポットと湯飲茶碗にきゅうすのセット・・・
一旦、荷物を降ろし終えると また車で何処かへ行ってしまった亭主・・・・
物凄い量の買出しだった・・・・ 外へ出て 天狗様を見ると ニヤニヤと口元を緩ませ足をブラブラさせていた・・・
天狗様~♪♪ 亭主がいっぱい買って着ましたけど食べきれますか~♪♪・・・・(なぜか嬉しさで一杯の私)
首を小刻みに数回振ると無言でニヤニヤし始めた天狗様だった・・・・

私は家に入って片付け物を始めながら夕食の準備に取り掛かった・・・・ 久し振りに亭主に美味しい物を・・・
夕方も4時を回った頃だった・・・ 亭主が戻って来た・・・  車が止まると家には入らず何やら始めた
家の裏の方からバシュッ バシュッと草を刈る音が聞こえてたと思っていると今度は ゴンゴンゴンッと何かの音が
時計の針も6時を過ぎた頃だった 玄関を開けた亭主はドロ塗れ汗塗れで全身がクタクタに・・・
腕には無数の擦り傷で血も滲んでいた・・・ たっ 大変!! 救急箱と叫んで取りに行こうとすると 腕を掴まれた
亭主に連れられ家の裏に行くと 大小の角材と板で出来た2畳ほどの祠(ホコラ)が建っていた!!!
色こそ塗られてはいないものの キレイに周囲も草が刈られホコラが夕日に染まっていた・・・・・・・・・・・
木の上から下を見る天狗様の目に涙が見えたように思えた・・・・・ 穏やかな顔立ちの天狗様だった・・・
私に見せると 玄関に積み上げられ串団子をホコラに供えた  私も急いで家から湯飲茶碗ときゅうすとポットを
ホコラに手を合わせる亭主の横で濃い目のお茶を入れて供えた・・・・
私も亭主の横でホコラに手を合わせた・・・・・
天狗様は目を手で拭うと サッと木からホコラに移り奥の方で嬉しそうに満面の笑みで舌鼓を打っていた・・・・

えがったのおうぅーーー!! おーっほほほほほほほほほほ のうっ!! 天狗っ!! えがったのおぅ!! えがったのお!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(空から天狗様に笑みながら声を掛けた御婆ちゃんの声が聞こえた)

私は大喜びで舌鼓を打つ天狗様の横へ塩のピリッと聞いたポン鱈を袋の口を切ってそっと置いた・・・
一瞬 大きくニヤーーーーーっとして私に軽く頭を下げた天狗様だった・・・・

二人は深々とホコラに頭を下げると家に戻った・・・・・


さっき見た時は亭主の黒塗りのベンツの屋根はボコボコで傷だらけだったのに 今見ると不思議と直っていた・・
天狗様がウチワを使ったんだって何となく解った私だった・・・・・・

さてとー 今日はガンガン食うぞおうぅー!! 亭主の笑顔が嬉しい夕暮れだった・・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆5番目

亭主は何も言わない ただ 黙って私の作った料理を少し食べてはジーッと私を見つめ微笑む・・・
亭主の好きな煮物・・・ 一口食べては毀れる程の笑みを浮かべる・・・  ケンチン汁・・ 熱いのも忘れて・・・
うわっちっちちちちち 口元がウニョウニョ・・・ 私から目を離さない お酒・・・ お猪口がずれてる・・・ 毀れる・・
気付かずそのまま・・・ 箸が何かを探してる 右へ左へ上に下へと動き回る・・・  スーッと小鉢を押す私・・
小鉢の中の炙り竹の子に箸が・・・  スルッ・・・  スルッ・・・ 上手く掴めずに何度も スルッ スルッ・・・・
ニコニコしながら繰り返す・・・ スルッ・・・  スルッ・・・ 堪り兼ねて私が箸で食べさせてあげる・・
モシャモシャモシャと口を動かす・・・・・・・・・・・・・  ねっ! お願いがあるんだけど・・・・(亭主に語り掛ける)
ジーッと 私を見たまま微動だにしない亭主・・・  お猪口を口に ポタポタと少し毀す亭主の口元・・・
私の衣類とか下着とか お炊き上げしてくれないかなー・・・ 着るものが無いのっ!
ぼおーっとして 軽く頷く・・・・・・・・・・(左のお猪口と右の箸)  まるでカニ見たいな亭主・・・・(うふふな私)
一向に進まないお酒・・・ 食事・・・・   ねえー 美味しい??・・・・(亭主に聞く)
ゆっくりと大きく無言で頷く亭主  顔を上げた亭主の目からポタポタと落ちる涙・・・・・・・(微笑みながら)
サッと 料理を亭主の前から非難させる私・・・・・・・(気付かぬ亭主)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・幸せな一時

私が台所へと席を離れる度に不安げに顔を強張らせる亭主・・・・   大丈夫だからっ!! これは夢じゃないのよ!!
神様がねえー しばらくアナタの側に居てもいいって言ってくれたから安心してっ!! ねっ! だから食べてっ!!
お願いっ!!・・・・・(亭主の後から抱き着く私)

あっ・・うっ・・・うんっ!! あはははははは そっ! そうかあー!! そっか そっか そっかあー!!!
首を何度も大きく振って元気になった亭主・・・・ うっはっ! うっははっ!  うっはははははははははは!!
途端に料理に箸をつけ舌鼓ちを打ち始める亭主・・・・  久し振りだなあぁー!! こんな美味い酒に料理!!
美味いっ!! 美味いっ!! 何度もいいながら首を振っては笑みする亭主・・・・
時間は進み夜も9時を回った辺りだった・・・・ 私が台所で片付けをしていると 何かを思い出したように二階へ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(寝室を片付けに行ったらしい)

10時近くなってようやく戻った亭主は汗だくになっていた・・・・  急いで片付けてきたんだな・・・ うふふふふ

ねえっ! お風呂に入ってきたら??  亭主に声を掛ける私・・・・(エプロン姿のままソファーに居る亭主に近づく)
おっ そっ そうだな!! ヨシ!! 入って来るかなっ!! ・・・・・(喜んで私を見る亭主)
片付けも終わって亭主の着替えを奥の部屋から持ち出してお風呂場へ・・・ あらっ? 脱衣場のドアが開いてる?
中に入る・・・・ お風呂場のドアも全開で開いてる??    心配しなくてもいいのに・・・・(私の心)
お風呂場の亭主は静かにしていたから私はワザと鼻歌を大きめにして亭主に聞かせた!!
突然 お風呂場からお湯をかぶる大きな音が聞こえた・・・・・(安心してっ!! 私はちゃんと居るからっ!! 心の私)
お風呂場のドアが静かに閉まった・・・・  私は二階の寝室へ・・・ 入るとカーテンと窓が全開になっていた
芳香剤が4つも置いてある 買い置きしていたものを全部 持って来たらしい・・・・ うっふふふふふ~♪♪
シーツも取り替えてあって 壁にかけられていた私の衣類や下着類も箪笥に仕舞われていたし
ストッキングも私のやり方を真似してかイビツだけど丸められていた・・・・ うっふふふふふ~(笑む私)
壁の速射の跡も薄っすらと残ってはいるものの 頑張ったらしい・・・・  芳香剤がキツイ・・・・
下へ急いで降りて牛乳とブラシとタオルを持って寝室へ 速射の跡の上から牛乳で少しずつ溶かしてタオルで・・・
ベットのヘッド部分や木で出来た箇所を残りの牛乳で軽く一拭き 芳香剤を片付けて 扇風機を窓の外へ向ける
数分後 寝室は何とか眠れるくらいに回復・・・・・  下へ降りると亭主も調度で出て来たところだった・・・・ 
その夜はずっと手を繋いで眠った・・・・

時折魘されるように怯える亭主・・・ 亭主の頭を撫でてあげると納まったようだった・・・

朝日が眩しかった・・・ 目覚めると亭主の姿はなかった
箪笥から着替えを出し身支度して下へ降りると台所のポットがなくなっていた・・・
家を出て 裏へ回ると ホコラの前でお茶を入れて供えていた・・・・  中を覗くと御満悦の天狗様が居た・・・
必死に手を合わせる亭主がいた・・・・・ 側へ行こうか迷ったものの亭主をそっとしておきたかった私だった

朝御飯のしたくをしていると 亭主が戻って来た・・・・・・(私が寝ていると思ってか静かに入る亭主)
おはよー!! 声をかけると一瞬ビクッとする亭主   あっ! おっ! おはようっ!! いっ いまっ! ホコラへ挨拶に・・・
ポットと茶具を持って照れくさそうに俯いて台所へ入った亭主・・・
うーーん・・・ いい匂いだあーー!!・・・・・・・(顔を左右に振って喜ぶ亭主)
あっ! そっ! そうだった!! 仏壇に水をと・・・・ 水・・・  水・・・・ 私の横で立ち止まって私を見る亭主・・・
無言の亭主・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ どっ! どうすんだろっ!! 俺の前ににはお前がいてーー???
で、仏壇にもお前が居て・・・・????  私の前で首を傾けて考え込む亭主・・・・・
両手で頭を抱えてしまった亭主・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もおぅ!! 私はここにいるんだからあー!! ねえ!! 聞いてる?? ここにいるのに ホラっ! お水はコップでえー!!
・・・・・・・・・・・・・・・(ゴクゴクゴクと飲んで見せる私)
あっ! そっ! そっかあー そうだよなあー!!! あはっ あっはははははははは・・・・(大笑いする亭主)
ところで仏壇は??・・・・ 私の??・・・・・・・・・・・・・・・・(一瞬 顔の曇る亭主)
あっ いやっ 実は・・・ 客間の方をゆっくり見てショゲる亭主・・・・
私が客間の方へ行こうとする咄嗟に私の手を掴んで行かせまいとさせる亭主・・・・・
軽く振り切って客間へ・・・ ここは昨日見たから何もないと・・・(心の私)
でっ もう一つの客間かっ!?・・・・ 向かってフスマを開こうとする・・・・・・・・(慌てて走って来て止めてきた亭主)
止める亭主を振り切ってフスマを開けると・・・・・・

きゃっ!! 何これー!!


6畳の客間に左右に3体ずつのマネキンが立っていた・・・・ しかも顔には私の顔写真が丁寧に貼られていた・・
ショートパンツの私・・・・ ミニスカートの私・・・  スーツの私・・・ ドレスの私・・・ ワンピースの私・・・・
セーラー服の私まで・・・(しかも高校時代のセーラー)  奥へ進むと押入れだったところが改築され真ん中に仏壇
左右にも私の顔写真を貼り付けたマネキンが2体・・・・ 右側にパンティーとブラとパンストだけの私・・・
左にパンティーにブラとガーターベルトとストッキングの私・・・・  唖然とする私・・・・
後を振り向くと床に尻餅ついて座る亭主 両手で顔を多い恥ずかしそうに下を向いている・・・・
ドキドキしながら仏壇の扉を開ける・・・・ カチャッ スーッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

忘れていた・・・・ 私が元彼に追い詰められて外に飛び出しタクシーに跳ねられて重体に陥った時に着てた服・・
私でさえ忘れていたものを亭主は黙って取っておいてくれたんだ・・・・・
仏壇の中身は一番低いところまで取り払われ顔写真の貼られたマネキンに着せられていた・・・・
事故の衝撃なのか所々 破れているるものの丁寧に着せてあった・・・
下段には私が大好きだった草花の鉢植えが供えてあった・・・・ 無いと不思議に思ってた私の茶碗にお椀とお箸
土の匂いが大好きだったからか 山の土が供えられていた・・・・・ 土のいい匂いが漂う・・・・
私が持って来たものがキレイに並べられてあった・・・・  掃除も行き届いてホコリ一つない・・・・

仏壇の中の私と亭主が写る写真・・・・ 

何??  これ??・・・・ 下段の隅に置いてある小瓶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 農薬???    何故???



ポタポタと涙が溢れて止まらなかった・・・・ 

亭主の前に尻餅着いて座ると 私はそっと 顔を覆う亭主の両手を握りしめた・・・・

大粒で亭主の顔が見えなかった・・・・・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆6番目

亭主の秘密を亭主の前で見てしまったことへの罪の意識を感じた・・・・
女房が死ぬと言うことが残された亭主にとってどんなものなのか解った気がした・・・
生霊の世界に身を置いて雲を避けて藁って亭主を見ていた私は一体何だったんだろう・・・・

その夜・・・・・

亭主と二人で夕飯をとりおえ10時を過ぎたころ・・・(相変わらず亭主は私から離れようとしない)
さきにベットに入っている亭主の前で寝室に行き服を脱いで寝間着に着替える・・・(下着だけになる)
ギシッ・・・(ベットが軋む)  後に亭主の気配を感じる・・・・
して・・も・・いいよ・・・・・・(後向きに床を見る私)
サバサバサバッ・・・・ベットのシーツの音・・・・・(元に戻った亭主)
私は下着姿のまま寝間着をベットの横の小机に置いてベットに入った・・・・・・・(明かりを小さく絞る)
仰向けに亭主に近づく・・・・・  亭主は背を向け私から少し離れる・・・・(スーソバソバソバッ シーツが鳴る)
しても・・・ いいよ・・・・(小声の私)
時計の針の音が部屋に響く・・・・・・・・ カッチ カチッ カッチ カッチ・・・ カッチカッチカッチカッチカッチ・・・
急にベットの上 私の真横に座り下着を脱ぎ始める・・・(ゴソッ ゴソゴソゴソ・・)
ヘッドの小引き出しを開ける音・・・・・(カチャッ ゴトゴトゴト・・・ スーッ コトッ コンドームを取り出す音・・)

ねえっ・・・・ コンドーム・・・・ 要らないと思うんだけど・・・(小声の私)
シーーーーン・・・・ 私の真横でゴムを着けようとする亭主の手が止まった!・・・・
ゴソゴソ ニュルニュルニュル パチンッ・・・ 亭主はゴムを着けた

ゆっくりと私の方を振り返る・・・・ チラッと見ると亭主の硬く大きくなった物にはしっかりとゴムがフィットしていた
久し振りに見る亭主自身・・・・ 大きく撓りを見せていた・・・  ゆっくりと私の前に来て静かに私を抱きしめた・・
閉じる両脚に当る熱くて硬い物・・・ ギュッ ギュッと何度も私を確かめるように抱きしめる亭主・・・
左耳たぶを唇で鋏ながら舌を絡ませてくる・・・・ まるで味わうように口を窄めて舐めたり吸ったり・・・
耳からウナジへとゆっくり ゆっくりと舌を這わせる・・・ 私が生きていた頃とは違う愛し方・・・・
優しく優しく舌を唇を滑らせる・・・・  首・・・・  そして肩・・・ スリップの肩ヒモがゆっくりと降ろされる
優しく静かに左胸を揉み回す 同時に右乳首に舌を絡ませる・・・・ 右手でゆっくり私の左脚を開かせる
右乳首を口を窄めて吸う・・・・ 右手で足首から脹脛 そして太もも お尻・・・ 亭主の手の温もりが私を和ませる
舌先が徐々に私の左側に流れる・・・ 亭主の右手が私の左腕を優しく上へと導くと亭主の舌先は脇の下へと・・
脇の下に感じる亭主の吐息と暖かい舌先・・・・ 無言で身悶えし身体を震わせる・・・・ 声にならない声・・・
前とは違って激しさはないものの私の身体に溶け込むような亭主の愛撫・・・・
両手両脚の指一本ずつ・・・ 足の裏・・・  カガト・・・ 膝・・・ そして膝裏まで 隅々に舌を滑らせる・・・
何度も何度も、優しく体位を変えられては私を求めてくる亭主の唇・・・・・
両脚を開かせられる・・・・ 急に恥ずかしくなって両脚を閉じようとしたものの 身体に力が入らない・・・・
恥ずかしい・・・・ 顔が火照るのが解るほど・・・・ 亭主の顔が陰部に入った・・・ 処女の頃のような感覚が・・・
陰部にゆっくりと入る舌先 私から溢れる愛液に亭主の舌が絡みつく音・・・・ 恥ずかしさに両手で顔を覆う・・
ピチャッ・・・  ピチャッ・・・ 耳にはいる恥ずかしい音・・・・ 亭主の舌先が陰部の隅々をゆっくりと這う
舌先が滑る度にビクンッ ビクンッと私の意志とは逆に激しく反応する・・・ 大陰唇・・ 小陰唇・・ クリ・・・
そして・・・・ 中・・・・・  優しくお尻に手を当て親指で陰部を開いてる亭主の震える親指・・・
全身を仰け反らせて反応する私・・・・・・    そして・・・・ アナルへ・・・・ 息が出来ないほど反応する私・・・

そして・・・ スーッと私から一瞬離れると私の両太ももを左右で抱き抱える・・・・
時計の音が聞こえる・・・・ カチカチカチカチカチカチ
私の両太ももから手を放すとベットから降りた亭主・・・・・  入って来ないの?・・・(心の私)
ゴソゴソとゴムを外してクルクルっと結んで屑入れに・・・・  ボチャンッ・・ 音がした・・・・
私に背を向けゴムを付け替えている亭主・・・・   外れたのかな・・・・(私の心)
身体の火照りがまだ治まらない切ない私・・・・   ゴムを着け終わると再び 私の陰部へと舌を這わせ始める
チューチューと陰部を吸う嫌らしい音が愛液を溢れさせた・・・・ ピチャッ・・ ピチャッ・・・ ピチャッ・・・
アナルから左の太ももの付け根に沿って上に舌を小刻みに震わせ上下したかと思うと 今度は左側へ・・・
頭が真っ白になるほど息苦しい・・・ 身体が熱い・・・ ピョロピョロピョロと小刻みに震える舌先
知らず知らずに両手で両膝を抱えて大きく開く女の鳴き声を部屋に響かせる・・・・・・・ 恥ずかしいほどに

突然亭主の両手が両太ももを軽く持ち上げたと思った瞬間・・・・ ヌプヌプヌプヌプと私の中へ入って来た!!
全身が左右に捻じ曲がるほど我を忘れた・・・・・・・・鳴き声を部屋中に奏で自分の鳴き声しか耳に入って来ない
恥ずかしい!! 恥ずかしい!! 心で思いながらも鳴き声が止まらない!!
前後に動く亭主の振動が全身に伝わる・・・・・ パンッ! パンッ! パンッ!
アンッ! パンッ!! アンッ! パンッ!! アンッ! パンッ!! アンッ! パンッ!! アンッ! パンッ!! アンッ! パンッ!!

頭の中が真っ白で何も考えられない・・・・  無心

数分後・・・私は完全にエクに達した・・・・ 幽霊になって始めてのエクは亭主だった・・・・

気付けば時間は深夜の2時近かったが私はパンティーとスリップを身に着けていた・・・・
亭主は私の右手を握り締めたまま眠っていた・・・・

翌朝、亭主より先に芽の覚めた私がベットの左側を何気なく見ると屑入れが・・・・ ゆっくり亭主と繋げた手を放す
屑入れの中に捨ててあったコンドームを見て絶句した!!
最初に亭主が着けたであろう縛られたゴムの中の凄まじい量の亭主の体液だった・・・・
パンパンに膨れまるで水の入った風船のように膨らんでいた・・・・ 速射6連発分・・・ もっとかも知れない
そして私に入った時のゴムにも3連発分の体液がタプンッ タプンッと入っていた・・・・
亭主は私を愛撫しながら6連発した跡に私の中で3連発分も出したのだろうか・・・
初めて見た亭主の凄まじい量の体液だった・・・・

そっと亭主の側にお尻と両手を着いて顔を覗く・・・・ えっ! どっ どうしたの!!・・・・(心で叫んだ)

亭主の目の下に熊が出来ていた・・・・・



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆7番目

ぐっすり寝入ってる亭主を残し下に降りて来て朝御飯の仕度 そして家の周りで鉢植えへの水まき・・・・
日に日に寒くなってきている・・・・(両手を組みブルブルっとくる半そでの私)
秋も終わりに近づいていると辺りの景色に目を向ける・・・・・
おっ! 今朝はお前一人か??・・・ 天狗様??・・・・(声の方向に首を振る)
大木の枝に座って足をブラブラさせる天狗様を見つけた・・・・・ 軽く頭を下げる私
ニコニコしながら突然飛び立った パタパタパタ ビュウゥーン!!!   スーッ・・ 私の真横に立つ・・・ クンクンックンクンッ
私の身体の匂いを嗅ぎはじめると笑顔だった顔が少し曇った・・・・・  男の匂いがするっ!!
お前・・・・  亭主と情を交わしたな!? ・・・・・・(低い声の天狗様)
ふうぅ~・・・・・  腕組みして大きな溜息をして見せた天狗様
婆(ばば)様から聞いとらんのか!! よいか!! 亭主と情を交わすなとは言わんっ!! 言わんがっ・・・ ふうぅ~・・・
夫婦(めおと)なら仕方ないじゃろうが・・・ お前は幽霊 生霊の世界では何をしても良いが 下界では・・・・
幽霊のお前し人間の亭主が交われば亭主は窶れ(やつれ)て行くのじゃ!! 一度交わるごとに亭主は窶れ
徐々にその生気を失う 一月に数回交われば亭主は・・・ 亭主は死ぬ・・・
解るか!!・・・・・・(急に怖い顔になって私を見る天狗様)  わっはははははははは!!!!!・・・・・・(突然笑う天狗様)
じゃからのっ!  交わりは月に一度程度に止めおけっ!! さすれば問題は無い!! わっはははは・・・(笑う天狗様)
天狗様の話しに驚き同様しながら頷いた私だった・・・・   ビューンと目に見えない速さで大木に戻った天狗様

あぁー それとなあー もう 団子は食い飽きたで 暫くはなんもいらんからのおうぅ~ わっはははは(天狗様)

天狗様は大木の枝にぶら下るとそのまま寝入ったようだった・・・・
亭主とセックスをすると亭主が生気を失う・・・・ 昨日はあんなに出して・・・ 私は天狗様に頭を下げて家に戻った

家に戻って朝御飯の仕度をして亭主が起きてくるのをまっていた・・・・

おーっほほほほほほ  何を悩んどるー おっほほほほほほ いつもと変らん いつも通りってことたべえー
いつも通りにしとりゃー 大丈夫じゃて のおう~ ○○っ!! いつも通りで帳尻は合うはずじゃあー
悩まんと 精一杯 一日も無駄にするでねえぞおー おーっほほほほほほ・・・・・(御婆ちゃんの声がした)

私は起きて来ない亭主が心配になって二階の寝室へ・・・・ さっき見たときよりはクマも薄くなっていた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(私のためにこんなに出して(射精)・・・ 屑入れを持って下に降りる)
階段を降りてる途中だった・・・・ ブルブルブルブルと車の音が外から聞こえた・・・・
慌てて屑入れの中身を捨て外の様子をうかがう・・・・  ガラガラガラ・・・ 義兄さん!! 居るー!! 義兄さーん!!
彼女(義妹)だった・・・・・  どうしてこんな時間に・・・・  
勝手に靴を脱いで中に入って来たっ!! 玄関に向いて立つ私の姿は見えていないようだった・・・・
ドタドタドタ・・・ 私の中をすり抜けた彼女(義妹)  
あらぁー 何これっ! ヤダー・・・  朝御飯の仕度がしてあるじゃなーい!!・・・・(食卓を見回す彼女)
ジーッとして動かない彼女・・・・・・・・・・(目は家の中をキョロキョロ見回している)

台所へ向かう彼女・・・・・・・・   まるで義姉さんの味なんだけど・・・・・(お味噌汁を味見する彼女)
どうして?? あんなに汚れてても掃除もさせなかったのに・・・・・ (一人呟く彼女)
どおーゆうーことなのっ!??・・・・(胸の上に両手を握り締めキョロキョロ ウロウロする彼女)

突然 二階へ駆け上がった彼女だった・・・・(ダッダダダダダダ)  彼女を追う私・・・・・・・・
バタンッ!! ちょっとっ!! 義兄さんっ!! 起きてっ!! 起きてよっ!! 義兄さん!!・・・・(大きな声で亭主を揺する彼女)

キャー!! ちょっ!! ちょっとぉー!! 義兄さん!! ヤメテー!! ヤメテよー!! 義兄さん!!  イヤー!! ヤーダー!! イヤッ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(私と勘違いして彼女をベットに引きずりこむ寝ぼけの亭主)
咄嗟に彼女を助けようと手を差し伸べた!! スーッ・・・  スーッ・・・ スーッ・・・(すり抜ける私の腕)
私は・・・・・  幽霊・・・・・
それならと亭主の身体に手を伸ばした!! スーッ・・・  あれっ?? スーッ・・・  あれっ??? どっどうして!!
亭主に触れない・・・ 彼女同様にすり抜けてしまうっ!!!  どう言うことなの???・・・・(動揺する私)
私は亭主の耳元で叫んだっ!! アナタっ!! ヤメテー!! アナター!!!・・・・・・・(聞こえていない)
亭主はベットに彼女を下にして布団の中で彼女の服を破り始めていた・・・・ ビリッ!! ビリビリビリビリ!!!!
布団の中で抵抗しながら泣き叫ぶ彼女・・・・  布団の外に次々に放り出される彼女の服・・ そしてスカート
必死に布団をはぐろうとするものの 何度やっても私の腕はすり抜けるばかりだった・・・・
ヤーダー!! ヤメテー・・・・ お願いだからー・・・・ お願いヤメテー・・・・ 彼女の泣き声も弱弱しくなった・・・・
このままじゃ 彼女が!! 私は首から提げている木の縦笛を力一杯吹いた!!! ピーーーーーーーーー!!!!
何も起きなかった・・・・ そして天狗様も現れない!! どっ どうしてー???
コンコン・・・  コンコン・・・・  コンコン・・・ 音がした・・・ 音の方向を見ると窓の外からだった・・・・
私は咄嗟にカーテンに手を・・・ 手がすり抜ける・・・・  彼女のパンティーがパンスト一緒に脱がされかけていた
微かに聞こえた・・・・  天狗様の声・・・・  笛・・・  笛・・・  笛を吹くのじゃ!!
私は笛を吹きながらカーテンに手を掛けた!! ジヤー カーテンが開いた!! 外に天狗様がプカプカと浮いていた
続けて笛を吹きながら窓を開けた!!  ガタッ スーッ・・・・  次の瞬間天狗様がウチワを仰いだ!!
するとベットの中の二人の動きが止まった!!
やれやれじゃったわい!! しかしまあぁー お前の亭主ときたら獣のようじゃのおう!! わっはははははは
あれだけ情を交わしておきながら まだ余る生気があるとは!! わっはははははは・・・
大丈夫 いまワシが時間を止めたから それにしても危ないとこじゃった・・・・
気付いたと思うが亭主の鯖に別の人間が一人でも居れば お前は誰にも触れぬし声も届かん・・・
ついでに申すが 家の中にはワシでも入れん ここには家を守る神が住まわれておるからじゃ!!
家を守る神にとってはワシらは敵であって仲間ではないのじゃ!! 家は人間を守る結界・・・・ ワシらは入れん!!
でっ どうしたものよのおぅー??・・・・・・(プカプカ中に浮いてる天狗様)
おっ そうじゃった もう笛を吹かんでも触れるから お前が何とかしろ 片付いたら笛を吹け さすれば時間は動く
それとなあー その笛を吹かれると 頭が割れるほどに痛むのじゃ じゃから程々に頼む!!
ではワシは疲れたから一眠りするからのおぅー・・・・(パタパタと両手でフワフワしながら飛んで行った天狗様)
私はベットの前で呆然立ち尽くした・・・・ どれほどの時間が流れたのかわからない
我に帰った綿はベットの布団をそっと持ち上げ避けた・・・・・
亭主は目を瞑ったまま 彼女の上に居る・・・・ 口は彼女の右乳首に吸い付き左手は右乳房を掴んでいる・・・
右手は彼女の左脚からパンティーをパンストと一緒に引き降ろそうとしている・・・・
彼女は大きく目を見開いて苦痛の表情を浮かべ左手で必死にパンティーを守ろうとし右手で亭主の尻を抓ってる
自分の亭主ながら情けない気持ちで一杯になってしまった・・・・・  亭主が義妹を私と勘違いして犯す瞬間
私は恐る恐る亭主の身体に障って彼女と分離した後で 彼女の下着を整えて、破れた衣類を見る・・・・・
スーッと、破れたはずの衣類は元に戻り私は彼女の身支度をした・・・・・(天狗様の力だった)
持ち上げた彼女の身体は風船のように軽く感じられた・・・・・
そして居間のソファーに寝かせた・・・  亭主はそのままベットに寝かしつけて 下へ降りた
窓を少し開けたままにして笛を吹いた・・・・・  ピーーーーーーーー!!!
突然二階からハバタンッ!! ドスンっと音がした同時にソファーに寝ていた彼女もキャー! キャー! と叫んだ・・・
叫びながら あれっ?? あれっ?? と言う顔して周りをキョロキョロ・・・ 自分の衣服の乱れを確認していた・・・・
顔色は真っ青になり 彼女はスーッと立ち上がると一目散に家を飛び出して行った・・・・
二階の寝室へ行くと亭主はベットから落ちて気絶していた・・・・
ねえっ! 起きて!! もう朝よ!! ねえっ!! ねえってばあー!! ・・・・(亭主を揺すり起こす私)
うんっ?? うにゃむにゃ・・・・・・・・(ボーっとした顔を横に跪く私に向ける亭主) 
むふふふふふ・・・・・・・・・(私の膝に顔半分乗せて両手で私のお尻に抱きつく亭主)
なーんか お前とさっき、してる夢みちゃったよーん・・・・・・・・・(笑顔で喋りのフワフワな亭主)
亭主の頭を撫でる私・・・・・・  ナデナデナデナデナデナデナデ・・・・・  ナデナデナデナデナデナデナデ・・・・・ ウットリの亭主

ホラホラホラッ!! 起きて!! 起きて!!・・・・・   亭主を即すと突然スカートの中に顔を無理矢理入れた亭主
ゴロンっと後に倒れた私・・・  ダーメ!! ダメだってー!! もおうぅー!! 中で陰部の匂いを嗅ぐ亭主・・・ スーハースーハー
朝 こんなことすると私消えちゃうよっ!! ねっ! やめて・・・ お願い!!
慌ててスカートの中から顔を出し辺りを見回し目をキョロキョロさせて怯える亭主だった・・・・(震える亭主)
ねっ! 朝からなんて罰当たりだし 天狗様にも叱らちゃうし・・・  ねえっ 御飯食べよっ♪・・・・
あっ! そうだった・・・・ 天狗様がねっ! お団子美味しかったって喜んでた!! でもねー もういらないって!!
だってー いくら天狗様でも一日に10パックも20パックも食べきれないでしょーう うっふふふふふ~♪♪

何事も無かったように亭主と二人で朝食をとった
亭主の目の下のクマはすっかり消え普段の亭主に戻った・・・・
私は亭主にセックスは月一回までと決められていると嘘を着いて亭主を納得させた・・・
もっとも生きていた頃もセックスは平均すると月一回か二ヶ月に一回だったような気がする・・・

亭主とは・・・



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆8番目

亭主は相変わらず御飯を食べる時も私が掃除していても片時も私から離れようとせず ずっと着いて回る
私の姿がホンのちょっとでも見えないと心配して家の中を探し回るほどに・・・・
日に日に外の景色が秋に終わりを告げると同時に亭主の顔も穏やかになり安心したのか私を追わなくなった。
外はもうすっかり冬仕度・・・・ 遠くの山々はもう雪が降り始めている・・・・ 

釣りにでも行くか? 逝きる前に裏の池にでも? 珍しく亭主から誘いを受けた・・・・  死んでから始めてのことだ!
うんっ! 行く行くっ!! 亭主と二人準備に追われた!! 裏の祠(ホコラ)の横を通って急な斜面を釣り道具を持って登る
木の上の天狗様に 虹鱒と山女釣れたら 供えますけど生がいいですか? とっ心の中で聞いてみた・・・

木の枝に座って背中を太い幹によりかかりながら・・・・ バカも休み休みもうせ!! 生なんぞ誰が食うか!! 塩焼きっ!!
塩焼きがいいなっ!! あと酒も頼むか!! 人間共も昔 信仰心があった時はよく 生の魚を供えたものだが
何を勘違いしとるのか いっつも生でのお!! タヌキや狐じゃあるまいしっ!! 塩焼きに酒・・・ くあぅー 楽しみ楽しみ!!
満面の笑みの天狗様を後にドンドン登る私達 木々はもう葉もすっかり落ちて 湿った葉に足を滑らせる
ザッ・・・ ザッ・・・ ザザッ・・ ザザッ・・ ズルズル・・・・ ザッザザザ・・・・  パキ パキッ ザッ・・・・
亭主と繋がるロープがビンッと張ったり緩んだりを何度も繰り返す・・・・  ビーンッ! スーッ!  ビーン! スーッ!・・・

ヨシとっ! やっと天辺に着いたなあっ!!  はあぁ~ 久し振りだから疲れたよっ!!  あっはははは 立ち止まる亭主
今度は下るぞ!!  二人で天辺から下のホコラを見る・・・・・・  うぅぅーん いい気持ちだっ!!・・・(喜ぶ亭主)  
あれっ?? 何か今・・ ホラホラ!! アソコ!!  あの木の辺りで動いたような・・・・ 木のせいか・・??・・・・・(亭主)
亭主の指差すところをみると天狗様が寝返りをうっていた・・・・
秋の山の下りは登りより慎重になっ!!・・・・(振り返って)真剣に私に教える亭主)
うんっ!!・・・・・(何故か嬉しい私)
同じ距離なのに倍の時間をかけて降りて来た・・・  途中に山葡萄のツラがあちこちに伸びて調度ロープのように
暫く歩くと懐かしいプールのような池が見えて来た・・・・  ススキいがいは全て枯れ果てて見通しもいい
亭主と二人並んで釣り糸を垂らす・・・・  ヨシっ!  そーれっ!・・・  ポチャンッ!! 池に波紋が広がる・・・・
浮きがプカプカ浮いている・・・ 時折ググッと沈む浮き・・・  温度が下がってるから食いも悪いなっ!・・・(亭主)
二人の浮きがプカプカ並んで浮いている・・・ 引きはあるものの合わせるほどの引きが無い・・・
浅いのか?? もう少し棚を深くしてみるか??・・・・(私を見ながら笑む亭主)
このままで いい・・・  私 こうやってるのが好きだから・・・(小声で返す私)

バサーッ!!! 突然 大きな鯉が波を立てて水面から顔だした!!!

夫婦仲ようて良いのおぅー!!  突然顔を出した鯉が喋った!!  あわわわわわわわわっ!!・・・(驚いて亭主を見る私)
亭主は微動だにしていない・・・・・ 何っ! 何っ?? どうしたの?? 心の中で叫んだ!!

こりゃこりゃ!! 慌てるでないっ!!・・・・・  驚かせてすまんかったのお!! ワシは池や沼を司る主と呼ばれる者じゃ!!
山には山の主である天狗がおるように 沼や池にもそして川には川の主がおるっのじゃ・・・・
婆(ばば)さまから聞いとるで心配いらん・・・・・・ 期限つきながら戻って来たんじゃから時間を大切にのおぅ!!
では さらばじゃ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(池の主は私に語りおえるとスーッと池の中に沈んだ)

亭主を振り向くと 何事もなかったように 微笑ながらジーッと水面を見ていた・・・・
この日は 亭主の言う通り気温のせいか二人合わせて10匹の山女を池から頂いた 入れ食いを予定してか
亭主はバケツ一杯分の餌(ミミズ)を持って来ていたものの 帰り際に池の魚たちにと惜しげもなく投げ入れた・・
バシャバシャバシャッ!! 一斉に信じられないほどの魚達が餌に群がった・・・・・(機嫌良くそれを見る亭主)

あっぱれ!!・・・・・・・・・・・・・・・・(私の耳には確かに主の声が聞こえた)

ちっ! 今日は魚たちにヤラレたよっ!! あっはははははははは・・・・(満面の笑みで水面を覗き込む亭主だった)

二人は手を繋いで斜面を登って行くと天辺の木の上に天狗様が座っていた・・・・
ニヤニヤしてビク(竹で編んだ壷籠)を見ている・・・・ 下で鯉に合ったじゃろう??  あのデブはお喋りでいかん!!
黙って沈んでろと言うたに・・・・・  10匹かあぁー 一人3匹だと一匹残るが??・・・・(ニヤニヤの天狗様)
もおぅ!! 食いしん坊なんだからー!!・・・・(心の中で天狗様に語りかける私)
ウッヒョヒョヒョヒョ すまんのおぅー!!!・・・・(妙な笑みを浮かべ私の顔の横にプカプカ浮いてる天狗様)

下へ降りて早速 山女の下拵え・・・ 外の水は冷たかった・・・ 死んでいるのに生きてる実感を味わう・・・
亭主が片付ける間に塩揉みをして笹を弾いたザルに乗せる・・・・
山女から、一時も離れない天狗様・・・・・・・(はぁはぁはぁはぁはぁ・・ 嫌らしいオジサンのような天狗様)
おいっ! お前っ! 酒はぬるめの燗で頼むぞい!!・・・・(聞きもしないのに勝手に注文する天狗様)
あのねえー!! お前 お前ってさあー!! ちゃんと名前で呼んでよ!! いくら主だからってっ!! お前 お前って!!
あっ! おっおぅ!! こりゃ すまんかったわい!! でっ! あのおぉぅー ○○殿っ!! お酒ですがあ~・・(気弱な天狗様)
殿ってさあー 今 西暦何年だと思ってんのさあー!! ○○でいいよ!! ○○でっ!!・・・・(カチンッと来た私)
あっ! あー! なるほど!! そっ そうか!! よしっ!! しからば!! ○○!! お酒はのおう~・・(気弱な天狗様)
ハイハイハイハイハイッ!! 解ってますってー 何度も言わなくてもっ!!・・・・(竹のザルを持ってスタスタ家に入る私)

亭主が家の中で釣り道具の手入れを入念にしていた・・・・   さっき誰と話してたんだ??・・・(私を見る亭主)
あっ うん・・ 天狗様とちょっと・・・・ 
天狗様かあー!! どんな人なんだろう!! こんなに親切にしてくれるなんてっ!!・・・(目を爛々とさせる亭主)
どんな人って言われてもー うーん・・・ 気の抜けた竹○直人見たいな感じかなあ~・・(苦しい私)
ふうぅーん 気の抜けた竹○直人かあっぁー 何か楽しそうな人なんだなっ!! あっはははははは・・(うける亭主)

なっ! それはそうと 天狗様にお供えしねーと なっ! なっ! 天狗様っ!! 喜んでくれっかなあー!!・・(笑む亭主)
うんっ! 大喜びすると思うよっ!!・・・・(ザルを持って台所へ向かう私)
七輪で亭主がニンマリしながら あともう少しと言うところで私にお酒を頼んだ・・・ 私は天狗様の言う通りに
ヌルめの燗を数本つけ持ち出す準備をして玄関へ・・・ 亭主がスーッと立ち上がると手袋をした・・・
天狗様には熱々を食ってもらうべと七輪を持ち上げた・・・・ 一瞬驚いた私だったが玄関を開けると亭主が・・・
ホコラの前に来ると亭主が・・・・  天狗様っ!! 熱々を是非!! 食って下さい!! そう言うと手を合わせた
ニヤニヤして顔がトロケそうなダラシナイ顔の天狗様が七輪の前に座っている・・・・
天狗様の前にお酒を供えると・・・・  ○○よおぅー!!  すまんなあぁー!! こんな持成しは100年ぶりじゃて・・・
団子も茶も何千年分も食わせてもろたし 本当にお前っ!・・・ すっ すまん! ○○には世話になにったで!!
心から感謝するでのおうぅー!!・・・・・・・・(神妙な顔して涙ぐむ天狗様)
うふっふふふふふー 亭主と二人でホコラに手を合わせて七輪とお酒を置いて家に戻って来た・・・・

喜んでくれたかなあー 天狗様・・・・・ (和んだ顔する亭主)
うんっ! すんごい嬉しそうだったよ!!・・・(私)

おーーっほほほほほほ まんだ まんだ ええごと すたなあー!! ええど ええどおぉー!!!・・・(御婆ちゃんの声)
ええごとすれば かならず 返ってくるもんだ!! 天狗の奴 泣いとったぞお!! おっと こりゃ内緒だどおー!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(嬉しそうな御婆ちゃん)

御婆ちゃんっ!!・・・・・・・・・・・・・・・・(空に向かって手を合わせる私)

この夜、天狗様を大切にしてくれている亭主にあることをさせてあげた・・・・・

亭主と暮らしていて 亭主が望んでいたこと・・・・・・ 恥ずかしいの一点から拒否し続けていたこと
明かりを少し落としベットで仰向けに寝ている亭主の上から逆向きに・・・・ 生まれて初めて亭主とする6・9だった
セックスはせず 出したいだけ出させてあげようと思った・・・・ 口の中へ
私のお尻を両手で抱きしめ 恥ずかしい部分に舌を入れる亭主・・・・ 溢れる愛液が亭主に滴り落ちる・・・
恥ずかしい音が部屋に響く・・・ 時折 お尻から手を放し 両乳房を・・・・ 
亭主の撓る竿は私の口には治まりきれない・・・・ 左から 右からと 上へ下へと優しく銜え滑らせる・・
根元の下にある巾着袋に舌を這わせ滑らせる・・・ 生きていたころに出来なかったこと 嫌で仕方なかったこと
亭主は私の口の中に何度も激しい唸り声とともに・・・・熱いものを発射した・・・ 亭主の竿が縮んだ・・・
終わった!! そう思ったものの 亭主は私から離れようとせずにお尻に両手を当てて陰部にムシャぶりついている
私の愛液で亭主の顔はベタベタに・・・・ 想像できた

亭主の縮んだ物を口に銜え舌を絡めるものの 大きくはならなかった・・・・  その時だった!!

アッアーン・・・  アンッ アンッ アアッハーンッ!!  まるで女のような声を出して身悶えし始めた・・・・・
動揺する私・・・・ 舌を絡めてレロレロする・・・  ウッンンン アッアッ アッハーーン!! アンアンアンアン!!
女の子としているような気になってしまう亭主のヨガリ声だった・・・・
亭主は今 女に変化した そう思った私は 縮んで大きくならない亭主の自信を必死に攻めた・・・・
激しく身悶えしながら部屋に響く亭主の鳴き声・・・・・
数分間経ったころだった・・・・ 亭主は 一際大きな鳴き声を上げると両足をピンッと伸ばし揃えた瞬間
アッアァァァー!!  縮んでるはずの自身からドロッ ドロドロッと体液を出してグッタリしてしまった・・・
亭主は女としてエクに達した!! 私はそう思った・・・・・
ベットから降りて亭主の顔を見ると 溢れた私の愛液は何処にもなく 顔にも着いてなかった・・・・・
私の愛液は全て亭主が飲干した・・・ そう思った・・・・
亭主の顔は和みの顔だった・・・
私は亭主を残しお風呂場へ・・・・ シャワーを流し屈んだ瞬間だった・・・ 急に嘔吐し亭主の体液を吐き出した・・
喉から鼻の奥へと苦いものが大量に流れ 口と鼻から生臭い液体が・・・・
嘔吐して床に両手を着いた・・・ シャワーは私を経由して嘔吐したものを排水溝へと導いていた・・・・
辛くはなかった 亭主のことを思うと嬉しさが込み上げて来た・・・・
初めて見た男の女性化だった・・・・・  男として果てた後から来る女性化・・・・・  

あれで女装してたら・・・・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆9番目

亭主と二人ベットで寝ていたときのことだった 下から聞こえる物音で目が覚めた・・・・ ギシ ギシ ギシ ギシ
時間は朝方の4時 起きるにはまだ早い時間・・・・ 1人?
誰かが階段を上がって来る・・・・ ミシッ ミシッ ミシッ 普段は聞こえない階段の音・・・ 早朝4時
ねっ! 起きて! ねえっ!・・・・(小声で亭主を揺り起す私)  ミシ ミシ ミシ・・・・・
ねえー 起きてってばあー 泥棒!! 泥棒よっ!!・・・・(亭主の耳元で囁く)
うんっ??   なにっ!!・・・・・・・・・・(目を大きく開きパッと上半身を起す亭主)
ミシッ・・・ ミシッ・・・  ミシッ・・・・(階段を上る足音)    パタッ・・・・・(二階の廊下上がった)
パスッ・・ パスッ・・・ パスッ・・・・(廊下を歩く音)  ゆっくりとベットから出て近くの布団叩きの棒を手にする亭主
少し屈んで棒を上に構えてそっとドアの横に立ち私を自分の後に手招きする・・・・(勇敢な亭主)
私は亭主に言われた通り亭主の後に隠れるものの右手は壁をすり抜けていた・・・・(切ない私)
カチャッ・・・・ ドアが開いた・・・・  スッ ススッ スー・・・  ドアが開いた瞬間だった!!!
うおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!! 亭主がドアを開け大声で叫んだ!!!  うおおおぉぉぉぉぉーーーー!!!
ギャアアアァァァァァァーーーーーー!!! ドンッ!! ドスンッ!! ・・・・・(誰かが驚いて転がったドアの向こう)

咄嗟に明かりを点けようとスイッチに手を伸ばした私・・・・・ すうぅー すり抜けた・・・
ドアを開けて廊下に出た亭主が叫んだ!!  おっ お前!! お前 何やってんだよ!! 何でここに居るんだよ!!
痛ーい!! イタタタタタタタタッ・・・・  もおぅ! 突然大声出してえぇ~・・・・ 亭主の陰から覗くと義妹だった・・・
何で こんなとこに こんな時間に居るんだよ!!・・・・(怒り出す亭主)

何でって!! こうやってたまに覗きに来ることになってたの!! お義母さんと二人で交互に義兄さんのこと!!
何で!! 何で見に来るんだよ!! 何でさんなことすんだよ!!・・・・・(床に尻餅着く彼女に起こる亭主)
もおう 何だっていいでしょう!! 早く起してよ!!・・・・(逆切れして怒り出す彼女)
よくねーよ!! 勝手に家に入って来て覗かれてたなんてっ!!・・・・・(両手に拳を作って左右下に下げて怒る亭主)

わかったわっ!! そこまで言うんだったら!! お義母さんとの約束で言わないことになってたけどっ!!
お義兄さんさあー!! 一階の客間の奥の、お義姉さんの仏壇てか仏間 別にあれはあれでいいけどおー!!
仏壇の中の一番したの小瓶っ!! あれって農薬でしょ!! まあ~ 中はラムネに摩り替えておいたけど!!
あんな物があるから!! 週に何度か交代で心配して見に来てたのよっ!! 旦那(亭主の弟)は毎日 家の明かりが
着いてるか見に着てるしー みんなー!! 義兄さんのこと心配してんのよっ!!・・・・・(怒りながら顔を背ける彼女)

うぐっ!! うんん うぐっ!! だ・・  だからって・・・ こんなこと・・・ あんまりだ・・・ あれほど入るなって言ったのに
くそっ!! 帰れ!! お前(義妹)の顔なんぞ二度と見たくない!!  帰れー!!! ・・・・・(魔人のような顔つきの亭主)

ふんっ! 何さ!! いつまでも いつまでも死んだ義姉さんのこと追いかけてっ!! そんなに追いかけるんだったらっ!!
何で・・・・  何で生きてる時に一緒に居てあげなかったのよ!! 無理に会社へ連れて行って仕事させたりっ!!
女装してテレビに出たりっ!! 何で・・ 何で一緒に静かに暮らせなかったのよー!! 散々 生きてる間・・・
引っ張り回すだけ引っ張りまわしてっ!!!! 用が済んだら自分だけの手柄見たいに浮き足だっちゃって!!!
義姉さんが死んだ時だってテレビのインタビューで得意げになって知らなかったくせに!! 最低よっ!!
最低だわっ!! そんなに愛してるなら・・・・  病気のことも知らなかったくせにっ!! 何でよ!! 何でよおぅ!!
もう アンタなんか義兄でも何でもないわ!!  もう二度とここには来ないからっ!!・・・・(起き上がる彼女)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(両手をブラーンとさせガックリと立ち尽くす亭主)

・・・・・・・・・・・・・・・ 私・・・ 帰るから・・・・(小声で囁く義妹)

義妹が廊下から階段に向かおうと後を向いた瞬間だった・・・・・ 

スーッ・・・ 後ろ向きになつた彼女に近づくと突然 後から義妹を抱きしめた・・・・・
す・・ すまん・・・ 心配かけて・・・(彼女の後から抱きしめて謝る亭主) 

ハッとしたものの無言の彼女・・・・  微動だにしない・・・・

お前に怒られたの二度目だ・・な・・・・ 覚えてるか??・・・・  俺が小学6年だった時のこと・・・

すまん!!・・・・・ 彼女の耳元で囁くように謝る亭主・・・・(抱きしめていた両手を彼女から離す)

また・・ 来るから・・・ 今度は昼間・・・・(そう言うと彼女はゆっくり階段を降り家を出て行った)

ガックリとうな垂れて廊下から寝室に戻る亭主・・・・  ゆっくりとベットに座った・・・

言われちまったなっ!! あはっ あはははははは アイツ(義妹)が正しいや・・・(ガックリ肩を落とす亭主)
・・・・・・ いいじゃないっ!! ここに!! ここに居るよっ!! 私はここに居るよっ・・・・(亭主の横に座る私)
それに!! そんじゃそこらの幽霊じゃない!! 御飯も作れて食べれて触れるし夜だって・・・ ねっ! 元気出して・・・
あっはははは そっ そうだよなあー・・ ここに居るんだから・・・ 居るもんなあー!!・・・(私の肩を左から抱く亭主)
そのまま・・・ベットに引きずりこまれて・・・・・・・♪♪

だははははははははっ!!! 本物かどうか確認しねばなんねえーなあー  だっはははははは・・・・・・(笑む亭主)

おぉ!! 一晩寝かしたのは きっくーーー!!    ヤーダー♪ そんなこと言んだったら閉じちゃうも~ん♪♪


二人は愛し合った・・・・

目覚めると日も高くなっていたものの亭主の目の下にはクマはなく熟睡しているようだった・・・
私は静かに起きると箪笥から下着と衣類を持って下へ降りお風呂場へ・・・・ 肌に確かに感じるシャワー
亭主に愛撫されて太ももや乳房に残る形跡・・・・ 私は生きている実感に感謝した

ヒュー ヒュー・・・ 通り過ぎる風がキリキリと肌を斬るように冷たい・・・・
枯れかけたススキが風にユラユラと・・・ 大好きな木々や草花も徐々に枯れて行く・・・・
来年の今頃 私は亭主の前から消えてなくなる・・・・・・・・・・  時間を大切しなきゃ・・・・  時間を・・・・

どうしたあぁー こんなとこでぇー 風邪引くぞぉー・・・ビクンッ!!・・・・・・・・(肩に何かを掛けてくれた亭主)
ホラっ!! ヨイショっと これでいいなっ!!・・・・  掛けてくれたものを見るとチャンチャンコだった・・・・
私が山小屋で死ぬまで壁に掛けてあった亭主とお揃いのチャンチャンコ・・・・・
振り向くと亭主も着ていた・・・・・(込上げて来る私)
横に並んで家の前の景気を手を繋いで見ていた・・・・・ 
ところで・・・ その・・ なんだ・・・ お前も風邪とか引くんかなー?? いや! なに!! ちょっと気になったんだが・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(気まずそうに辺りをキョロキョロしだす亭主)
風邪は引くと思うっ!! だってー 寒いのは寒いし 暖かいのもわかるしー 痛いし痒いし・・・ うっふふふふ
そっ そっかー そうだよなあぁー さっきも・・・ したし・・なっ・・・(下を向いて照れくさそうな亭主)
ところで どうだ! 今日 スーパーに買物でも行くか??・・・・・(私の肩を引き寄せる亭主)
うんっ いいけど・・・・ でも・・・ 私の姿はアナタにしか見えないから うっかり話しかけたりしたら・・・・(私)
あっははは  まあー そうだわなっ!! 頭の可笑しい奴ってことになるわなっ!! あっはははははは・・・・(亭主)
よしっ! じゃー決まりだなっ!! ついでにお前の下着とか衣類も揃えんとなっ!! あはははははは・・・(元気な亭主)
でも・・・ 大丈夫ー?? 私の姿は・・・(心配する私)
ふっ!! 今更何をおっしゃいますかー 奥さん!! アッシはこの街どころか全国に女装変態として名を売った男っ!!
何処で何を買おうと誰の目も気になりませんよっ!! あっはははははははは・・・(陽気な亭主)
うふふふふふふぅーー!!! あはははははははぁーー!!! ・・・・・・
でっ?? 奥さんは空とかは飛べないんですかねっ??・・・・(ニコニコ顔の亭主)
だからあー 私は空も飛べないし壁も通れないの!! わかったあ!!・・・・・(微笑み繋いだ手を大きく振り始める私)
そっ そっだったのかぁー 飛べるんならいいのになぁー なんて思ってたりして!! あはははは・・・(嬉しい亭主)
さてさて 買物に行く前に家で暖まるか?・・・・・
うんっ!・・・・・・・・・・(手を繋いで家に戻った二人だった)



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆10番目

死んでから初めて来きた街のスーパー 見る顔ぶれは時間も早かった所為か少なく感じられた
亭主は横を歩きながらニコニコしていたが周囲の目は亭主を木にしていた・・・・
籠をカートに積んで二人並んで歩き出す・・・ 野菜のコーナー お肉に魚のコーナー 私が先行して亭主が後から
品定めして亭主にコレとコレねっ! ねえー! 聞いてるの!? 後を振り向くと何やらキョロキョロする亭主・・・・
ねえーっ! 亭主の肩に手を・・・・  スーッ・・・  透き通る・・・・・・・・・・・・・・  忘れていた・・・
私は亭主以外の人が側に居たら亭主からは見えなくなってしまうことを・・・
車からここまで誰にも会うことなく 居ても少し離れてたいたりだったから解らなかっただけ・・・・
側に居た店員さんが台車を押して離れて陳列棚の陰に隠れた瞬間だった・・・
おっ! いたいたっ! 急に見えなくなったから心配しちまったよ アハハハハハハ・・・・(顔を引き攣らせ笑む亭主)
側に人が居ると私・・・・ 消えちゃうんだっ!! 仕方ないよ!・・・・(亭主を前に残念な顔の私)
だったら 人がいない時に出来るだけ早く決めて教えてくれればいいさっ アハハハハハ・・・・(安心顔の亭主)
じゃあ これと これっ! それから これ!・・・ 店員さんや他のお客さんの姿をみながらの買物・・・ 
バタバタと買物してレジのカウンター・・・  うっかり忘れて袋に入れようとするものの スーッと手が透ける・・・
その時だった!! たまたま来ていた他のお客さん・・・ 何処かの若い奥さんだろうか 後から私に気付かず・・・
スーッ ギュッギュギュッ・・ 一瞬頭が割れそうなほどの強い衝撃が走った!! ズキズキズキ・・・ 痛い!!
落着いて目を開ける・・・  あっ! ちょっとすいません・・・ えっ?? 亭主の声 右横を見ると亭主が袋詰めしていた
私の目の前のカゴをすっと自分の方へ引く亭主・・・・ 亭主には今は私が見えてないはずなのに・・・・
アナタは誰?? 何処からから知らない人の声が聞こえた・・・・ 辺りを見回す私・・・・ 何秒か黙っている私に
もう一度 誰かが声を掛けてきた!! アナタは誰?? 後も前も天上も足元も見たものの 何処にも人はいない・・
横の亭主はドンドン袋に詰め込んでいる アナタは誰??・・・・・・・(頭の奥の方から聞こえることに気付いた)
混乱する私・・・・ あっ! 奥さん ちょっとすいません そのカゴを取りたいのですが・・・(他人行儀な亭主)
私は自分の服が違ってることに気付いた!! なっ 何っ! これ! 私の服じゃないっ!! 
近くにあったロール袋の金具に映った私の顔・・・・  あわわわわわわわわ!!!! どうしたのよ これ 誰???
何で知らない人の顔になってるのよぉー!!! ・・・・・(身体をガクガクさせ振るえる私)
気付けば奥から聞こえてたアナタは誰と言う声も聞こえなくなっていた!!!
亭主が袋詰めを終わらせかえろうとしていた!!  待って!! 咄嗟に亭主の腕を掴んだ!!  えっ! 掴める!!
どうして?? レジには店員さんがいるのに どうして掴めるの??!! 
はあー 何か御要ですか??・・・・・(他人を見る目の亭主)   サッと手を引っ込める私・・・・
いえ・・ あの・・・ 入っちゃったの・・・・  亭主に近づいて小声で言う私
入った?? あのおぉー 私には何の・・・・・??・・・・・・??・・・・・(首を捻る亭主)
だから 後からこの人(女性)が来て私の中に入ったら物凄い頭痛がして・・・・(亭主に急ぎ言葉で話す私)
えっ!! ええぇー!!・・・・(突然大きな声を出して自分の声に驚く亭主)
出られないのか?? 何か念じてみるとか??・・・・・・・・ (私の横にピタッと張り付く亭主)
とにかく ここを出よう!! まずはそれからだ!!・・・・・・・(しきりに辺りをキョロキョロ気にし出す亭主)
でもっ!! この人の買物は??・・・・・(慌てる私)   そんなのはお前が入れろ 俺が入れたら変だろ!!??・・(亭主)
無心で袋詰めすると店を出る亭主を追うに私も慌てて歩き出した!!
店から出て外に出た瞬間だった!! おーっほほほほほほ 人混みでは気をつけろって言い忘れてたわいっ!!
御婆ちゃん!! 助けて!! 出られないよおー!! 聞こえて来た御婆ちゃんの声に言葉を返す私・・・・
落着け!! 落着いて そうだのおぅー 普通に部屋から出るように普通に 何も考えずに歩きだせばええんだ!!
やってみろや!! ええか!! 普通に・・・ 普通に・・・ 
出た!! 出れた!! わーい!! 出た出た出れたー!!・・・・ ピョンピョン跳ねて喜んだ瞬間だった!!
何処かの奥さんが買物袋を二つ持ったまま スーッとヘタるようにシャガみこんでしまった・・・・・
あっ! そう思って手を伸ばしたものの 私の手は擦り抜けてしまった・・・・
しっかり! 大丈夫か!? おいっ! しっかりしろっ!!・・・・・(亭主が手を伸ばす)
付近に居た警備員の男女が駆けつけてくれ 女性を介護するように店へ戻って行った・・・・・
側には人影なくなった・・・・・  おっおわっと!! 出れたのか!?・・・・(身体全体で驚いて後退した亭主)

おーっほほほほほほ 出れたようじゃのおぅー それでええんだっ!! 驚いたじゃろうがのおぅ!!
そりゃ 憑依と言うてな!! たまに起こることなんじゃ!! テレビでよく見るじゃろ! 憑依は霊が望んで入る場合と
さっき見たいに偶然入る場合の二通りあるんじゃが もし入ったらさっき見たいにやれば直ぐに出られるがらのお!!
あとは・・ 故意に人様の身体に入らんことと さっき聞こえたのは あの人自身の魂・・・ 霊じゃのっ!!
まっ! 何かあって誰かを助けたりする場合は仕方ねえーがのおう! おーっほほほほほほほほ
お前のこどだから すんぱいはすてねえが あんまり悪さには使うなよおー おーっほほほほほほほほ
じゃあ 彼女達(私の周囲の女性)にも憑依って出来るのお??・・・・・(聞く私)
まあー ええじゃろう 但し・・・・ 身内だけじゃぞー!! それから 天上界のことは内緒はわかっとるなっ!!
さっきの人(女性)は 大丈夫なの??  すんぱいすねくても もう直っとるころじゃて・・・・・・

亭主は私に何度かさっきのことを聞いたけど 私は深くは語らずに曖昧な返事をしていた・・・
ねえー お義母さんに会いたいなあー ・・・・・・・・・(無意識に出た言葉ではなかった)
身内だけじゃぞ!!・・・・・・・(御婆ちゃんの声を思い出していた)
会いたいったって・・・・ まあ 見るだけなら出来るだろうが  俺までお前のこと見れんようになるでっ!!
随分と誰にも会ってないような気がするし・・・・・(助手席で窓の外を眺める私)

ヨシっ!! わかった!! お前の姿が見えんようになっても一日くらいなら 俺も我慢出来るから!! 行くか?? 向こうに??

こうして 私達は一旦 家に戻り買出し品を片付けると一路 義母と義妹が住む向こうの家を目指した・・・
今はクロスカントリーのコースを離れ 人に貸していた 元々の家に義母は帰り 義母の真ん前の家に義妹夫婦も
戻って暮らしていたことを初めて亭主から聞かされ 少し驚いたものの納得・・・・・ あそこが一番・・・(心の私)

家に着くと玄関チャイムを急いで鳴らす亭主・・・・  中から青白い顔して痩せた義母が姿を表した・・・・
私の知っている義母とはまるで別人で着物姿で白髪も目立ち殆ど構っていない様子だった。

無言で玄関を開け 無言のままおくへ入ってしまった義母に老を感じてしまった・・・・・
じゃあ行くぞ!! 俺にはお前がみえんから・・・・ もし帰りたくなったら 外の木の下にでも居てくれれば見えるから
そう言うと私をジーッと見つめて中へと上がりこんだ亭主だった・・・・
居間へ入る・・・・ 義母は何するでなく黙って椅子に座って中庭を見つめていた・・・・

お前・・ 元気になったようだねぇ 母さん 安心したよぉ・・・ 一言 喋るとまた中庭を見続けた義母だった・・・

車の音で気が着いたのか義妹が繋がり廊下から入って来た・・・・    瞬間 亭主を見る義妹・・・・
椅子に座る義母の横で床に直に座り義母の椅子に持たれかかる彼女(義妹)・・・・
あの子(私)が死んでどれくらいたったのかねえー・・・(ポツり呟く義母)
あんな商売なんてやったばかりに あの子の病気も知らないで死んだことも知らないでお金を数えてたなんて・・
一人で寂しく山小屋で死んだ あの子の気持ちを考えると・・・・・ ウグッ アグググ・・・(涙ぐむ義母)
それでも・・・・  この子が・・・  居てくれるから・・・・・・・・(側にいる義妹の頭を撫でる義母)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(あのおぉー 聞こえてないでしょうけど そんな深刻じゃないんだけど・・・私)

あの子のお陰で毎日が楽しかったのに 慣れちゃったんだねえぇ・・・ 心を無くしちゃったんだねえぇ・・(義母)

母さん!! アイツは天国で楽しく暮らしてるし そんな弱弱しい母さん見たら成仏も出来んだろー
もっと元気ださんと・・ なっ! 元気だせよ!!・・・・・(義母の後から慰める亭主)
お・・お前に何が解るっ!! お前にも責任はあるんだよっ!!・・・・・(目を吊り上げて怒り出す義母)
お義母さん! もう やめよ! いくら悔いても義姉さんも戻ってこないし・・・ (涙ぐむ義妹)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(あのぉー 聞こえてないでょうけど 私 元気ですから・・・・語り掛ける私)

無言の時間が過ぎて行く・・・・   バタバタバタッ おっ!! 兄貴!! 着てたのか!!?? 何だ何だ!! 湿ってんなあー
この家はよおぉう!! ホレっ!! ジンギスカン!! いいのがあったから買ってきたぞ!!・・・(明るく振舞う義弟)
買うって!! そんなにかっ??・・・・・・・(驚く亭主)
うぅんっ!?  何言ってんだよ!! いつ来るか解らん兄貴と義姉さんの分っ!! あわせりゃいつもと同じだろ!!・・(義弟)
義姉さんの好きだった 鹿肉もルイベ用の肉もホラっ!!・・・・(大きな袋を片手で亭主に見せる義弟)
俺はなあー 義姉さんが側で俺らの話しに参加してるような気が毎日してるんだよ!!・・・・・・
だから 義姉さんの分は母さんもずっと作ってるし コイツ(義妹)もいつ義姉さんが着てもいいようにってっ!!
向こうでも3人分の用意は毎日3食してるんだ!!    ホラホラっ!! 湿った話しは止めて 食うべ 食うべ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(豪快に笑う義弟)

しかし お前 元気だなあー!!・・・(亭主)  あたぼーよー!!・・あの義姉さんが湿った話し聞きたいかって・・(義弟)

そっそうだったねえぇ ヨッシ じゃあー 母さんも用意するよ!! ホラホラ アンタも手伝って!!・・(義妹に声掛ける)
そうねえー!! ヨシっ!! 今日は義兄さんも来たし ジャンジャン食べて飲むぞおぉー!!・・・(無理して元気な義妹)
チラチラと外の木の下を何度も心配そうに覗く亭主・・・・ ニコニコと笑顔になってソファーに座った

準備も出来テーブルに着くとジンギスカンの焼ける白い煙が立ち込めた・・・・ 亭主が窓を少し開けながら外を見る
私が木のしたに居ないのを確かめると満面の笑みで席に戻った・・・・・
亭主の横には生きていた頃と同じに私の席が・・・・ 最後に私が座った・・・ ジョッキをみんなで回す・・・
私の前にもジョッキが置かれ乾杯することに・・・ カンパーイ!! ジュージューと焼けるジンギスカンの匂い
目の前にはジンギスカンのルイベがピカピカに光ったピンク色に霜が掛かっていて雪のような油・・・・
義母が別のルイベを少し焼いて目の前の皿に置く・・・・ それを見た義妹が違う! 違うって! 義姉さんはー(義妹)
もう少し焼くって言いたいんだろ!!・・・・(義弟) 
 
いやっ! 違うな!! コイツ(私)はと私の方を見て、一口目は生で次は一分(いちぶ)焼きだ!!・・・・・(亭主)

ふんっ! 流石は兄貴だな!! ちゃんと見てやがったとはっ!! うわっはははははははは・・・・(豪快に笑う義弟)
アハハハハハハハ・・・・  キャハハハハハハハハ・・・・(吊られて爆笑するみんな・・・私も)

ところで・・ 見間違いかも知れないんだが・・・・(ジーッと私の方を見る義弟)
うん?? なんだ??・・・・・(亭主)
誰かビール零したか??・・・・・・・(義弟)
どうした??・・・・(亭主)
いやあー 見間違いかも知れんが義姉さんのジョッキのビール・・ 減ってるんだけど てか半分ないぞ!!・・・(義弟)

誰か飲んだのか??・・・・・・(義弟)   えっー!! うっそおぅー!!・・・(咄嗟にこっちを見る義妹)
無言で見る義母・・・・・・・・  シーーーーーーーーーーーーン・・・・・・

いいじゃねーか!! 誰が飲んだって それに 案外 ホントに居るのかも知れんし!! あっはははははは・・・(亭主)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(私の方を見る亭主)

ふっ!!~♪(義妹)  ふふふっ!!~♪(義母)  あはははは~♪(亭主)  うおっほほほほ~♪(義弟)
ト゜オォォォォーーーーーッと目を潤ませて大笑いする・・・・・

今日は来てくれたんだねえー・・・(嬉しそうに微笑んで私の方を見る義母だった)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆11番目

久々の楽しかった宴会も終わり亭主は昔の自分の部屋で寝ることに・・・ 一階の一つ目の奥は義母
そして義弟夫婦は字部の家へと戻って行った・・・・  亭主は部屋のドアを開けるとドアは直ぐには閉めなかった
亭主の気遣いを感じながら私も部屋に入った  どうだった?・・・ 久々にみんなの顔みた感想は?・・・(亭主)
なんだかホッとしたー!! やっぱ彼(義弟)の存在っておっきいよねえー♪♪・・・・(ドアから亭主の側へ)
まあーなっ! アイツは昔からあの大らかさからか友達も山ほどいるんだ・・・・(ベットに座り足を組む亭主)
うぅーーん!! 飲みすぎてまったなあー!! ふあぁー!!・・・・(両手を伸ばして大きなアクビをする亭主)
もう眠い・・・・(ベットにゴロンと横になっ亭主)
でも 危なかったわねー・・・ まさかビールが減るなんてっ! うっふふふー あれっ? ねえー 寝たのー?? うふっ!
私の話しも全部聞かないうちに眠ってしまった亭主・・・・・・・・ 
明かりを落として布団をそっと亭主に掛ける・・・・・   みんなにも私が見えればいいのに・・・・

私の所為でみんな苦しんでいる・・・・・

眠れない・・・・ 一時間ほどしたあたりで喉が渇いた私はそっと部屋を出た・・・・
側に誰もいなければ冷蔵庫は開けられる・・・・  生のフルーツジュースがあったはずっ!・・・・・ 
居間へ降りて台所へ・・・  シーンと静まりかえってる居間が少し怖い幽霊な私・・・・ 台所に入る・・・・
ジュースを出して飲み終え冷蔵庫を閉めた・・・  さてと部屋に戻ろうっか・・・・  居間へ出て階段を向く・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・義母の寝顔 少しだけ見ていくかっ!

私の身体は居間から奥へ繋がる廊下のドアをスーッと擦り抜けた・・・・ 便利かも!!
廊下を進み義母の部屋の前に来た時だった・・・・   静まり返っている・・・・  スーッと襖(ふすま)を擦り抜けた
義母が眠っている・・・・ お酒の所為で熱いのか真横で眠り布団が半部だけになっている
浴衣が肌蹴ていて義母の白い太ももが露に・・・・ 布団を掛けてあげようとしたものの 透けてしまう私・・・
私が生きていた頃は身に着けるものも若返っていたのに今は洋服から着物へネグリジェから浴衣に変ってしまった
義母はすっかり初めて会ったころに戻ってしまったようだった・・・・   寂しい私・・・・
私は義母の寝室を後に居間へ戻って来た・・・・  元気付けてあげたいけど 私じゃすり抜けちゃうし・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は彼女(義妹)の家の寝室に居た
無断で入ることに罪を感じながら・・・・

義弟と彼女が眠っている・・・・  私は彼女の真上に後ろ向きに立つと静かに身体を彼女へと沈めて行った・・・
身体と頭に強い衝撃を感じながら目を開く・・・・ 布団の感触 感じる温度
静かに起き上がると私は一路 義母の寝室を目指した・・・・

義母の部屋へ静かに入ると私は義母の隣へと身体を入れた・・・・・
うっうぅぅんん・・・・・・(気が着いた義母) ちょっとおぅー どう言うつもりなのぉー・・・(小声で疎ましそうな義母)
無言で義母の両手を義母の頭の上で軽く押さえつけると義母にキスをした・・・・
ちょっと・・ やめて・・・ そんな気分じゃないからっ!・・・・(顔を横にして私のキスをかわす義母)
構わず義母の肌蹴た浴衣の裾から乳房に唇を・・・・ 舌を絡めた・・・・
力の入った義母の両手から徐々に力は抜けて行った・・・・(ウッ アッ ウゥッン 鳴き声を上げ始める義母)
義母の浴衣をスーッとしたまで下ろし乳首を吸いながら右手で白い太ももに中指を滑らせる・・・・
必死に鳴き声を堪える義母・・・・・ 右の乳首に移り左手で乳房を優しく揉み始めると次第に義母の足は開いた
右手で義母の足を膝立てさせお尻に右手を回す・・・・  義母の乳房を揉む手を話し別の足を膝立てさせる
私の身体は義母の身体を優しく丁寧に愛撫しながら少しずつ下へ下へと滑り始める・・・
久し振りなのか義母は処女の娘のように身体を震わせている・・・・ 口元をタオルで覆いながら声を耐える義母
私は義母の両腰を抱くように陰部へと顔を埋めた・・・・  懐かしい女の匂い・・・・ 義母の匂い・・・
義母から湧き水のように溢れる愛液・・・・ して欲しいところへ身体を微妙にずらす義母・・・・
ずらされた部分に舌を滑らせる・・・・ 耐え切れないのか身悶えする義母
タオル越しに漏れる重苦しい女の鳴き声・・・・・  体位を変えシックスナイン・・・・ 嫌らしい二人の音・・・・
ピチャッ ピチャッ レロレロレロ ピチャッ ピチャピチャピチャ・・・・  ウッウッ アッアァァァ ウンッ ウンッ・・・ 
互いに互いの陰部を擦り合わせる・・・・ 腰を使い出す義母・・・  ニチョッ ニュチョッ ニュチョニュチョ ニーチョ ニューチョッ・・
必死に声を出さぬように耐える二人   数分後 二人は声にならない声で同時にに逝った・・・・

はぁ~ ふうぅ~ はぁ~ ふうぅ~ 布団で並んで肩で息する二人・・・・
なんか~ 久し振り~ ハァハァハァ~ ふうぅふうぅ~ (息を整えながら私の右手を左手で握り絞める義母)
あの子(私)してるみたいな気がしちゃったよぉ~・・・ あっ ごめんなさい!・・・(私に言う義母)
楽しかったわねえぇー あの子(私)が居たころは・・・・ (義母) 
いつまでも一緒に居られるなんて思ってた・・・  バカだったんだよねえぇー ワタシ達・・・・(義母)
お金に目が眩んでて何もみえなくなっちゃってて アッハ ホンとにバカだったぁ・・・・(握る手を強める義母)
二人は布団の上に跪いて互いの陰部を拭き合った・・・・ 滅多にしない家族だけの秘密の習慣・・・・
私は義母を寝かしつけるように頭を撫でた・・・・  突然 ハッとしたような顔になったものの微笑して目を閉じた・・
立ち上がって襖の前に立った・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう ○○(私の名前)心配掛けてゴメンね!!・・・・(呟いた義母)

一瞬固まったものの私は無言で義母の部屋を後に 彼女(義妹)の身体を元に戻して彼女から離脱した・・・
彼女(義妹)に対して罪の意識が充満していたものの 義母の最後の一言が胸に焼きついた。

翌朝 起きると亭主の声が外から聞こえた・・・  カーテンを少し開けて外を見ると 義弟と二人で車を並べて
大きな声で談笑していた・・・・ 彼女が荷物を車に積み込んでいた・・・  冬手前なのに爽やかな秋晴れだった
下へおりると 台所からトントントントンとまな板の音・・・・・・・ 私は居間を通って台所を覗いて・・・・

着物じゃなくスカートを履いた義母が鼻歌を歌って立っていた・・・・

言葉は要らない・・・・(私の心)

ソファーに座ってジッとしていると彼女(義妹)が慌しく入ってきた・・・・  義姉さん! いるんでしょ!・・・(彼女)
キョロキョロしながら ソファーの前まで来ると私の目の前でピタッと止まった・・・・
ハッキリとは解らないんだけど こないだ向こうの家に行ったときから義姉さんの気配を感じてたんだよ~♪
私の目の前に座ると私が見えているかのように微動だにせず見ていた・・・・
アラー! もう終わったのぉー・・・・ 義母が台所から出て来て彼女(義妹)に語りかけた 微笑む義母

あっ・・ うんっ! 今ねえー 義姉さんに話しかけてたとこなの~♪♪・・・・(嬉しそうな彼女)

そう言えばっ!! アナタ 子供の頃から霊が見えるとか・・・ 霊感のある子だったわよねぇー・・・(笑顔の義母)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーン

えっ!・・・・・(義母)   うっそおぉー!!・・・・(飛び上がる彼女) あわわわわわわわわ・・・・(顔色の変った義母)

二人を前に座る私・・・・・

義姉さん??・・・・(彼女)  ○○っ!!・・・(義母)  たっ!大変よおー!!・・・(急に立ち上がって玄関へ向かった彼女)

ドタドタドタッ バタバタバタッ ドタバタドタバタ・・・ 大きな足音を立てて中に走って来た義弟と彼女と亭主の三人

あっぁぁーーー!!!  戻った3人が私を指差した!!  みっ! 見えるっ!! 見えるわよ!! 義姉さん!!・・・(彼女)
目の前の義母はポロポロと涙を零した・・・・
えっ!! 咄嗟に私は自分の後ろを左右から振り向いた・・・・ 何度か振り向いた時だった・・・

窓がコンコンとなって 振り向くと そこには天狗様がフワフワ浮いて拳骨に親指立ててニコニコしていた・・・・
瞬間 ビューンと姿を消した後 私の耳元で・・・ 仕方ねえなあー まあ お前ら夫婦の信心に免じてよおっ!
しかし ワシも年の所為か涙もろくなっちまったものよのおぅー さらばじゃ!!

天狗様の話しが終わると同時に 私の周りに義弟夫婦と義母が駆け寄ってきた!!
玄関の方から天狗様のホコラへ手を合わせる亭主だった・・・・

義姉さん!!・・・・(義弟夫婦)  ○○っ!!・・・・(義母)

ところで きょうは何処へ行くの??・・・・普通に聞いた私だった


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆12番目

天狗様のお陰で私の姿は亭主の他に義母・義妹・義弟にまで見えるようになった・・・・
みんな大泣きして再会を喜んだ・・・・

今日はねえー!! みんなで山小屋に行こって言ってたのよ!! 義姉さんのこと思い出そうって・・・・
お義母の提案なんだけどっ・・・・ でもその必要も無くなっちゃたねっ! だって ここにいるもん!!・・(嬉しそうな義妹)

あっ! でも折角 用意したんだしー 行きましょうよー!! ねっ! 行こう! 行こう!・・・・・・(みんなに甘えて見せた私)
そう・・ねっ! 行きましょう!!・・・・・(張り切る義母)   ヨシっ! 行くベー 行くべー!!・・・・(義弟)

準備を整えて 私が死んだ山小屋へ一路 向かった・・・・  山に近づくにつれ徐々に道路脇には白い雪が・・・
木々の葉は全て落ちて 厳しい冬を想像させる  山の麓(ふもと)に来ると足首ほどの雪が積もっていたものの
山へ続く道は小動物たちが足跡で教えてくれた・・・・・  運転する義弟が一旦止まって四輪駆動に切り替えた
ゆっくり ゆっくりと登ること夏の3倍の時間で山頂へ到着した・・・・ 一面はグルリ銀世界に変わり
生い茂っていた草は枯れ、木々も寂しげに立っている 木と木の隙間が広がり遠くまで見渡せた・・・・
小屋の前に車を止め辺りの様子を覗う義弟と亭主・・・・ 所々に木の棒が立っていてそこに針金の輪が見えた・・
見るとウサギの足跡に沿って並んでいた・・・・  おっ! そりゃ ウサギの罠だよ・・・・(義弟)
この時期毎年来る爺さんがいて山ウサギの猟師さんなんだ・・・(毛糸の帽子を深々とかぶる亭主)
ウサギはなねー 律儀っつーうか バカって言うか 自分が歩いた道しか通らないから針金の前で何度も跳ねて
何時間も跳ねて・・・ 結局 邪魔な針金を飛び越えられなくて・・・・・(義弟)
そう!! 結局 ウサギの身体の構造を利用した単純なんだけど理論的でしかも簡単な罠っつーう訳よ・・・(亭主)
ホラっ! その立ってる棒に針金の輪を真横に結びつけてんだろ そこにウサギが入り込むっつー訳さ!!
そこにウサギが入るとピョンピョン跳ねるしかないウサギは身体がスポッと嵌る(はまる)とグルグル跳ねて回る
まあー そんな感じかなあー・・・・・・・・・・・(自分の背丈くらいの木を使ってウサギのまねして教える義弟)
でっ どうするの? ウサギは??・・・・・(私)
めどおぉうー!! いんやー あっはははは 美味いんだよ山ウサギは!! 結構高値なんだが・・・(義弟)
爺さんたちの生活費くらいは稼げるわなあー 一匹1万円くらいかなあー 毛皮もいい値つくし・・・(亭主)
フッと見ると 山小屋の煙突から煙が出ていた・・・・  綿帽子かぶった山小屋の煙突から出る煙に驚いた!!
可愛い~♪ 子供のころ見た絵本に出てくるような光景に胸が躍った!!・・・・・(心の私)
私は走り回った!! 山小屋の周りを走り回って 煙突を見て走った・・・・
おいおいっ!! 危ねーぞ!! 雪の下になにあるかわかんねーから!!・・・・・(心配して追いかけてくる亭主)
うっふふふふふ~♪♪ 雪を丸めて亭主に エイっ!!    おわっ! こ・・ こらっ! ヤメレ!! ヤメレって!!・・・(亭主)
あっははははははー うっふふふふふふ~

キャッ!!  ドタッ! 痛ったーい・・・・(足を取られて転んだ私)   ホラっ!! いわんこっちゃない!!・・・・・(笑む亭主)
側に来て起して雪を身体から払ってくれた亭主・・・・・・・・・・・・・・(見詰め合う二人)

おいおい!! いつまでもラブシーンやってっと風邪ひくべー 中に入ればー!!・・・・(遠くから声をかける義弟)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(亭主と二人手を繋いで山小屋に入った)

中に入るとストーブの周りに義母と義妹が座っていた・・・・ ストーブの上には大きなヤカンが蒸気を出してる
奥の方の暖炉には薪が入っていて赤々と炎を揺らしていた・・・・・
ストーブの上のヤカンの周りに並べられた缶コーヒー・・・ 山小屋らしく・・・・  みんな無言で炎を見つめた・・・
みんな無心になっていた・・・・ 私の所為かも知れないと思っていると 突然、義妹が立ち上がって暖炉の側へ・・
みんなに背を向けて薪を調節している・・・・ 義母も立ち上がった・・・・  二人で暖炉の前に立つ・・・
ガサゴソ ガサゴソ・・・・ 二人が振り向くと 突然拍手し出した亭主と義弟 うおぉー!! パチパチパチパチ・・!!!
ストーブの横の木で作ったテーブルに置かれた物を見て私も思わず拍手・・・・ パチパチパチパチッ
いい具合に焼けた見たいねえ~♪♪・・・・(ニヤニヤする義母) 
流石はお義母さん!! アタシも全然、気が付かなかったもん!!!・・・・・・・(義母の横に並んで焼き芋を見入る義妹)
アルミに包まれた焼き芋から立ち上がる白い湯気に自然とニンマリする私だった・・・・

数えると一つ多い・・・・ 一番大きめの焼き芋を軍手をはいて手に持つと 小屋から外へ駆け出した・・・
私も追うように着いて行くと 私と亭主の家の方角の大木の幹の割れ目に亭主がそっと置いた・・・・
一歩 後に下がって 手を合わせた亭主・・・・ 天狗様への供え物だった・・・
私も亭主に並んで手を合わせ 目を開くと 一列に義母と義弟に義妹が並んで手を合わせていた・・・・
暖かい気持ちなった・・・・
無言で小屋へと戻る途中だった 後を振り向くと 木から焼き芋を嬉しそうに受け取る天狗様が居た・・・
俺がみんなに話したんだよ・・・・・・・  すまんっ!! お前・・・ 天狗様に怒られなかったか??・・・(心配する亭主)
俺らには天狗様の姿は見えんから せめて信仰は手厚くしたいって思ってるんだ・・・・ すまんっ!・・(亭主)

ホラホラっ! 早く中に入りましょうー♪♪  私と亭主の手を引く笑顔の義妹だった・・・・

ホフッハフッホフホフハフハフッ・・・・ ホホフッ ハハフッ ホッホッホフフ・・・・  みんなの吐息が妙に笑えた
皮ごと食べる義母に皮をキレイに剥く義妹 焦げだけとって皮ごと食べる義弟  焦げも皮もそのまま食べる亭主
私も亭主と同じに食べる・・・・  おいおい!! 真似して食って何かあったらどうすんだ!・・・・(亭主)
平気だもん!・・・(私)  違うって身体のこと心配してんだよ!・・・(亭主)
大丈夫よねえー! だって義姉さんはもう死んでるしいー キャハッ~♪・・・・(義妹)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーーーーン
あっ! ごっ ゴメンっ! そう言うつもりじゃなくてー 身体が無いから安心ってっ!!・・・・(慌てる義妹)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーーーーン
いいってー もう 別に気にしてないし・・・・・(芋を食べながら俯く私)

そっ そっ そっかー ご・・・ ごめんなさい・・・ 悪気は・・・・ (言葉をトチリながら気遣う義妹)

ふっ! ププププププっー!! なんだよー 全く どうでもいいことでー!! あっはははははは・・・・(急に大笑いの亭主)
うっふふふふふふ~  あはははははは   うわっはははははは  キャハハハハハハハハ・・・・・・・(全員爆笑)

よおーし!! 腹も少し満たされたとこだし!! いっちょう!! 風呂でも入るかあー!!・・・・(立ち上がって大声の亭主)
おおおぉ!! やるのか!!?? 遂にあれを!!??・・・・・(亭主を真顔で見つめる義弟)
おうよ!! 今 やらんかったらもう出来ねーぞ!!・・・・(力む亭主)
だが 上手く動くか心配だな なにせ 何年も使ってねーぞ!!・・・・(力んで心配する義弟)
大丈夫だって!! 人に貸してた時に何度もやってたみてーだし 手入れもバッチリだ!! うわっははは!!・・・(凄い亭主)
そっかあー!! それなら安心だぜー!!! うわっははははは・・・・・(凄い義弟)

ねえー なんの話ししてるのぉ!!??・・・・・(義母と義妹に聞く私)
お楽しみーー!!!  おーしえない!! キャハハハハハ・・・・(笑顔で逃げる義妹)
ねえー ねえーってばー!! ねっ! 教えて??・・・・・(義母にも聞く私)
やーだよー・・・・・アハハハハハハハハ・・・・・・・・(急に逃げ出す義母)

仁王立ちして闘志を燃やす亭主と義弟・・・・  あっ・・・義姉さん知らないか・・・・ 風呂場の天上 全部開くんだよ
・・・・・・・・・・・・教えると同時に肩の力の抜けた義弟

あーあぁー 言っちゃったあぁー!!! ・・・・・・・(急にショゲる義母と義妹の二人)
因みにねえー♪♪  壁もなくなるんだよー♪♪・・・・・(私の目の前で嬉しそうに話す義母と義妹)

ヨッシャッ!! やるか!! 兄貴!!    おおうっ!! やるぞ!!  二人は闘志を奮い立たせた・・・・

ねえー 何であんなに力んでるの??・・・・・(義母と義妹に首を傾げながら聞く私)

だってえぇーー ねえぇーー!! これから屋根の雪下ろしとっ!! お風呂場周りの除雪があるんだものおーー!!!
・・・・・・・・ ネエェーっ!! ・・・・・・・・・・・・・(互いに顔を見合わせる義母と義妹)

なるほどねっ!! それでかっ・・・・ うふっ♪♪

私の知らないこと まだまだ いっぱいあるんだ!! まだまだ死ねないや・・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆13番目

初めて見る光景 ここにこんな凄いものがあったなんて・・・・ 義母と義妹そして私の三人での初風呂・・・
周りの壁は取り外され天井もない 完全な露天風呂にみんな大ハシャギ・・・
お風呂場から見える一面銀世界 お風呂から上がる大きな湯気が湯船を覆う・・・・
無数に広がる亭主と義弟の長靴の足跡・・・・  風が吹くたびに少しずつ足跡が消されて行く・・・
義母の白い肌が雪と重なり吹く風に揺れると思えるほどの義妹の柔肌・・・
掛け流すお湯が身体に流れると一面は一気に湯気があふれ出す ザー シユバシユバシャー ザブンッ ザッザッザー
一斉に3人の女達がお湯を掛け流す・・・・ 湯気に隠れて大事なとこと身体を洗う・・・・
少し大きめの蛇口からドンドン出てくるお湯・・  ズザザザザザー!!  キャッー  屋根に残ってた雪が滑り落ちた
掛け流した身体に雪が・・・・  一斉に湯船に飛び込む・・・ 跳ねるお湯
大きいお風呂なのに何故か私を挟んで座る二人・・・・ 私の肌に肌をピッタリ寄せる義母と義妹
両手は二人に占領されて少し窮屈・・・・・  窮屈さが嬉しい・・・
何も言わずにただジッとしている・・・ 立ち込める湯気が辺りからスーッと消えた瞬間 狐がジーッとこっちを見てた
怖からずに近づいてくる野狐・・・ 後の方からトコトコ着いてくる少し小さめの  子供??
二匹の子を持つお母さん??  見つめる三人・・・・  近くまで来た・・・  こっちへおいで・・・(小声で話す義母)
湯船の下まで来た・・・・  可愛い・・・  湯船の横にある雨具を洗う大きなタライにお湯を洗面器で何杯も入れると
ジッと見つめていた親狐が躊躇いながらも前足を居れると子供達は一斉にお湯の中に・・・ チャボチャボチャボン・・
タライの中で少しつり上がった目じりを垂れ目にさせてウットリする母親狐・・・  ジッと肩まで浸かる子狐たち・・・
義母が狐の親子たちと逆の方をフッと見る・・・・  つられて見出す私と義妹・・・  顔を見合す三人・・・
少し大きめの・・・  そう  お父さん狐  タライの中のお母さん狐がヒョイと振り向く・・・ 軽く頭を傾ける
ジーッと見つめてたお父さん狐がハッハッと白い吐息を吐き出しながら近づいて来る・・・
子供狐たちがタライの淵に両手を乗せてお父さん狐の来るのょ待っている・・ 義母がお湯を足すと少し驚く子狐
二匹の子狐の頭にチョコンと下顎を乗せお湯に浸かるように即す母親狐・・・・
遠くに居た お父さん狐の大きさに驚いた私達・・・・・ 脅かさぬように無言の三人
別の大きなタライをピッタリ母親狐のタライにくっ付けてお湯を洗面器で入れ始めると ジーッと私達を見つめ
小さくコンっと ひと鳴きするとゆっくり 大タライの中に入って沈んだ・・・  お父さんの方に一斉に飛び込む子狐
バシャバシャ 跳ねるお湯・・・・ 下顎で静かにさせようと子供達を撫でるお父さん狐・・・・
お一人ぼっちになったお母さん狐の方に お湯を継ぎ足す義母・・・・

のんびり ウットリの狐の親子・・・・  お腹空いてない!・・・ 狐達に話しかける私・・・ ジーッとこっちを見る父親狐
それをジーッと見つめる母親狐  バシャバシャ歩き回る子狐たち・・・・
義妹が少し立ち上がって 後の窓をを開けて中にいる義弟に バスタオルを数枚と食べ物を頼んだ・・・
数分後 風呂場のドアが少し開いて露天風呂の様子を覗う義弟と亭主・・・・・・
おっおぅ! 来てたのか!! 突然嬉しそうな声を出して出て来た義弟・・・・  キャッ・・慌てて湯船に入る私・・
あっ ごめん ごめん! 父親狐の鯖に近づくとポンっと父狐の頭に手を乗せ撫でる義弟・・・・
元気だったかやあー!! お前!! 結婚したのか?? 子供までいるじゃねーかよ!! あっははははは・・・(喜ぶ義弟)
亭主が後で狐に頭を軽く下げた・・・・ 母親狐が小声で コンと鳴いて答えた・・・・
義弟が母親狐に 初めましてと微笑んで話しかけると コンと鳴いて返事する母親狐だった・・・
鼻で子供たちを義弟の方へ押し出す・・・  撫でていいのか!?・・・・(父親狐に聞く義弟)
子供達に手を振れ優しく撫でる義弟・・・ それを見ていた亭主も撫でようと手を出した瞬間だった・・・
グウルッ グウゥー・・・・・(亭主を威嚇した父親狐)  瞬間・・・・ 手を伸ばして父親狐の頭を叩いた母親狐・・・
咄嗟に・・・ 俺の兄貴なんだっ!! すまん!! 勘弁してくれと父親と母親狐に身体を低くして詫びる義弟・・・
つり上がってた目を垂れ目にする父親狐 後から父親狐を睨みつける母親狐・・・・
父親狐が、コンっと亭主の方に ひと鳴きすると ようやく垂れ目に戻った母親狐だった・・・・
ホラっ! 兄貴っ! 親父から許可が下りたたから 撫でてもいいってよ!!・・・・・(横の亭主に語り掛ける義弟)
恐る恐る手を出す亭主・・・・ 手の方へ子狐を鼻で押してよこす父親狐・・・・・ 
二匹の子狐を無事になでることが出来て感無量の表情の亭主・・・

どうやら義弟は狐と話せるらしい・・・・・

暖まったのか狐達がタライから出たときバスタオルを引いてやった義弟・・・・
ピョンピョンと走り回る子狐をタオルの方へ連れて行く母親と父親狐・・・  タオルに身体ほ擦りつける
一向に言うことをきかない子狐に業を煮やしたのか父親狐が子狐を 1匹ずつタオルへ押し付ける・・・・
身体を拭いたところで中に通じるドアを開けてやると スーッと父親 そして子狐 後から母狐が入って行った
私達も 狐の親子を追うようにお風呂から出て 中へと入った・・・・  バスタオルで身体を包み行くと
暖炉の前にゴローンと横になって身体を乾かす狐の親子がいた・・・・ 気持ちいいのかピクリとも動かない
台所から ジンギスカンを持って来るとストーブの上で焼き始めた義弟と亭主・・・
いい匂いが立ち込める ジュウゥーっと音を立てると狐の親子の耳がピクピクと動き出した・・・
おいっ! 親父っ! もうすぐ飯できっから 待っとれや!!・・・・・(父親狐に語り掛ける義弟)  一瞬振り向く父狐・・・

焼きあがったジンギスカンと御飯を大皿に盛り付けると暖炉のところへ持って行った義弟・・・・
一礼するようにコンと鳴いて近づく父親と母親狐 子供達は夢中で走ってきてムシャムシャと食べはじめた
横に水のはいった鍋を亭主がおくと 亭主を見つめた親狐たちだった・・・・ どうぞと亭主が言うと コンと鳴いた
やがて親子は満腹になったのか玄関へ歩き出した 台所から亭主が何やら買物袋を持って来た
これっ これ持って 食うものなかったら これで凌げっ!! 袋を父親狐の前に置くと義弟がドアを開けた・・・
スーッと冷たい風が中に入り込むと父親狐は コーーーンっと天を見上げて大きく鳴いた・・・
ガサガサと袋をの持手を口で銜えると 何度も振り返りながら雪の中に消えていった・・・・

暖かい気持ちになれた一時(ひととき)だった・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆14番目

狐の親子を見送ると亭主と義弟がお風呂へ向かい義母が番をすることになった・・・
私は奥の部屋が気になっていた・・・・・   自分が最後を迎えた部屋だった
彼女は暖炉の前で横になり休んでいる・・・・  パチパチと炎が薪を包む度に心地良い音が部屋に広がる

静かに奥へ向かった・・・・・

最後を迎えた部屋のドアの前にたった時 心の中が空になるのを覚えた・・・・
ドアノブに手を掛け回す・・・・・・(カチャッ)   ドアを押す・・・・(キッ ギギッ ギッ スーッ)
窓を覆うカーテン・・・・  中は真っ暗・・・  奥へ入って窓へ近づく・・・  カーテンを開ける・・・(カシャッジャアァー)
ジャアァッ ジャッジャァーシャカ シャカ シャカ・・・・  一斉に目の眩むような太陽の光が降り注ぐ・・・
振り返れない・・・・ 私が死んだ部屋・・・ 唇を噛み目を閉じる・・・  身体をやっくりと部屋側へ向ける・・・
ゆっくりと 目を開ける・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私が死ぬまで暮らしたまんまになっていた
フッとドアの方へ目をやると義母が立って私を見ていた・・・  義母は私と目が合うとそのまま静かに廊下へ消えた
強張る足で一歩 また一歩と辺りを見て歩いた・・・・  壁に掛けてあった亭主とお揃いのチャンチャンコ・・・
向こうの家に亭主が持ち帰ったのは知っていた 苦しみだす最後の三日間の前に食べたカップめんの容器と箸・・
食器・紅茶・亭主と写った小さな写真立て・・・・ 死ぬまでクレヨンで書き続けた絵本・・・・ ベットに残る吐血の跡
全てが私の生きてた証・・・・

カーテンを元に戻して部屋を後にした・・・・  廊下の窓から降り注ぐ太陽の日差し・・・

義母の隣に座って義母の肩に頭を乗せた・・・・ 私を抱き寄せる無言の義母  温もりを感じた・・・

かあぁぁー!! あっちい! あっちい!!・・・・(タオルで腰を覆う義弟)
う・・ん・・・ あら? もう上がったの??・・・・(暖炉の前で両手を着いて上半身だけ振り向く義妹)
もう? もうじゃねーよおー 一時間分近く入ってたでやー!!・・・(手で仰ぐ さっぱり顔の義弟)
義兄さんは??・・・・(義妹)
あー 兄貴はまだ入ってるよ 好きだでなあー!! 風呂入って限界になったら急いで出て雪の上に転がるんだよ!!
俺は10回が限界だよっ!! 風呂場の前は人型がビッシリ並んでるよ!! あっははははは・・・・(豪快に笑う義弟)
そう言うと脱衣所に戻った義弟だった・・・・
暫くすると着替えて出て来た義弟の後から亭主がフラフラしながら御満悦顔で出て来て台所で水を飲んでいた
じゃあ 先に行ってやってるからよ!! 亭主に声掛けると玄関から身支度して出て行って・・・・
慌てたようにお風呂場へ急ぎ早に向かった義妹・・・・  えっ! と言う顔して追い掛けた義母・・・ そして私
お風呂場に出て見ると一面の銀世界は大と言う字の人型が無数にビッシリと並んでいた・・・・
なにこれー!! 凄い 凄い!! キャー キャーと声を揃える女たち・・・・
右端から背中に前の順で上が兄貴で下が俺だ!!・・・・・・(照れくさそうに横から出て来て説明する義弟)
逆側からヒョッコリ顔出した亭主・・・ 身体から湯気が立ち込めている いつの間にか着替えて出て来ていた・・
両側から幅30センチ長さ3メートルほどの鉄板の板が一枚ずつ嵌めこまれて行く・・・・
おい! すまんが 板の嵌めこみの溝にお湯掛けてくんねえーか!!・・・・(義弟)
あいよー!! 大きな返事をするとホースを握ってお湯を掛け始める義妹・・・
バタバタと次々に板ははめ込まれた・・・ 見ていて気持ちいいほどテキパキしていて 義妹のホース捌きも中々
おい! 次は中の角に着いてるレバー上げ下げしてくれー!!・・・・・(威勢よく中に語り掛ける亭主)
あいよーっ!! 義母がレバーをカチャカチャする・・
屋根が頭の上に少しずつ 移動してくる まるでアーケードのようだった・・・・
おーい!! 誰か 風呂に熱い湯を足しといてくれー!!・・・・・・(義弟)
シーーーン・・・・・・・・・・・・・・・・ 義母も義妹も動いていた・・・・ あいよー!! 湯船にお湯を継ぎ足す私だった
何故なんだろう?? なんで あいよー!!なんだろう・・・・ うっふふふふふふ・・・・・(心の私)

トンテンカン トンテンカンと屋根や壁から叩く音がし始めると一斉に風呂場から逃げ出した私達だった・・・
亭主も義弟も汗だくで玄関から戻ってくると急ぎ早に風呂場へ向かった・・・・
着替えをゴソゴソとバックから出し始めた義母と義妹・・・・ 私はお客さん・・・・ か・・・・  少し寂しい私だった
仕方ないけど・・・・・

山を降りるころには陽も傾いていた・・・・ 来た道をゆっくりと戻る
来るときと同じに私は助手席の後ろに乗った・・・・ 来るときと違って崖側はスリル満点・・・ 心が騒いだ・・
ゆっくりと気遣いながら運転する義弟 道幅を確認して義弟に伝える助手席の亭主・・・ 息もピッタリだ
ところどころに 雪崩の跡が見え隠れして背筋がゾクっとする場所も・・・・
山をグルグル回って降りる道路は木々の葉も全て落ちて街の様子が何度見ても楽しい私だった・・・
時折崖下から来る突風は義弟にブレーキを踏ませるほどの吹雪で殆ど前が見えなかった・・・
みんなの顔が硬直する・・・・ 吹雪を見て何故か怖がる幽霊な私・・・・
車を止めて待つこと数分 ボワー ボボボボワーと物凄い風に煽られ続けた四駆車の揺れが止まると
辺りは澄んだ空気が見えるほどだった・・・・ ゆっくり車を走らせる義弟
登りは右下が見えるから安心なんだが帰りは山側だからなあー うわっははははは・・・・(義弟の豪快な笑み)
倍の時間を掛けてゆっくりと無事に下へ降りたころだった!! ズドーン!! ゴゴゴゴゴーと物凄い音が聞こえた
キャー 何?? 何?? 今の音・・・・ 義妹の声に一斉に後を振り向く全員・・・
少し上の方の崖下で大きな雪崩が起きたようだった・・・・・  シーーーンとなった私たち女だった
大丈夫!! 大丈夫!! 掛けしたの雪崩は怖くねーんだよ!! 怖いのは道路の上からくる奴だ!! 
なっ!・・(義弟に話しかける亭主)
まあーなあー だけど道路の上は雑木林だで 滅多に起きんけど 雪解期けなら小さいのなら結構あるが・・(義弟)
さあーてと 行くかあー!!・・・・・(義弟)
車を発進させようとした その時だった!! 何気なく窓の外を見ると 狐の親子が並んで私達の方を見ていた・・・
凍り付いて開かない窓からみんなで手をふって別れを告げた・・・・

義母の家につくころには4時だと言うのに辺りは夜のように暗く行き交う車も少なかった
私と亭主は義母の家にもう一泊することに決めた・・・・
台所に立つ義母と義妹 そして私はお風呂の準備 亭主と義弟は荷物を車から運び出していた・・・
お風呂場から出て台所へ行くと冷蔵庫の中を整理するぎぼがいた・・・・
あれっ? 食材があんなに・・・ 昨日のジンギスカンの時で結構使ったのに・・・・ ははっあーん・・買い溜めねっ
みんな私が死んでから塞いでたたから まあー 今の季節なら私でもそうするけどね・・・・うっふふふ
これからは みんなでお買物したり出来るから暫くは買い溜めは無用って言うことで・・・・
ねえーちょっと 悪いんだけどさあー 納戸から買物袋に入った野菜 もってくてくれない??・・・(義母)
いいよいいよ アタシが行ってくるよ!!・・・・(義妹)
今夜は-15度くらいまで冷え込むって天気予報でやってたし・・・・ お願いねっ!・・・・(義母)

よしっ! 今夜はおでんなんかどう??・・・・(私に笑顔で聞く義母)
うっふふふふふ~ 男たちは知ってるの??・・・・(義母の横に立つ私)
うううん・・・知らない~♪ 喜ぶぞおぉー!!・・・・(私の頬をチョンチョンする嬉しそうな義母)

ううぅぅぅー さむっ!! 外は結構冷え込んできたよー・・・・(肩を窄めて腕組みして戻った義妹)
あぁぁぁー さむっ!! もう外はガチガチだぜー!!・・・・・(腕組みして戻った義弟)
あががが さみーー!! 外は-10度はあるぞー!!・・・(腕組みして身体を震わす亭主)

なんで みんな台所に集まるんだろ・・・・ うっふふふふ~♪ 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆15番目

あれから数ヶ月が経過し亭主も私(幽霊)との生活の仕方が解ったのか今では何の支障もない
ただ、時折私が消えかかる現象がたまに起きて支障と言えばそれくらいのものだった。
週に二日は向こうの家に泊まりに行き 義母達も週一日はこっちに来るようになった・・・・・
お互いが見えそして触れ合うことの喜びに浸っていた・・・・ 亭主は祠(祠)り雪かきを欠かさず遂には電気毛布まで
天狗様も大喜び・・・・ 鉄のパイプを固くなった地面に打ち込んで電柱のようにしてコードを引いて さながら
祠は我が家の別宅のように断熱材で外側から覆った。 
普段は外の木にぶら下ってる天狗様も本心では冬はとても辛い・・・  そんな感じに思えたからだった・・・

クリスマスには再会の喜びをキリスト様に感謝しそしてお正月は御釈迦様に感謝した・・・・

寒かった日々も一月を過ぎるころには少しずつ気温が上がり屋根のツララも溶け出している
溶けたツララの露に太陽の光が家の中にピカピカと反射する・・・  溶けては夜にツララになってまた翌日溶ける
雪かきの回数も徐々に減り所々から緑色が薄っすらと見え始める・・・
少しずつ春が近づいてくる・・・・ でも・・・ 夏の次には・・・ 秋が来る・・・・・ 私が消える時が来る・・・
私がいるためか亭主は一向に仕事する気配もなく何かがない限り私から離れようとはしない・・・・
時折 夜寝ていても夢に魘され飛び起きることも・・・・ 私が消えてしまう夢を見ると言う・・
私の側に張り付く割には奥の仏間に私が行くと廊下の端で立ち止まり着いてこない
自分の仏壇を自分で掃除する有り得ないことを私はしている・・・・
仏壇のマネキンに貼られた自分の写真をみるたび死んでいることを実感してしまう 嫌な一時・・・
自分の仏壇を掃除して水を取り替え手を合わせる妙な気分の私・・・・・・・

三月・・・・

雪は溶け溶けた雪の上に新雪が積もりそしてまた翌日溶けるを繰り返す・・・  地面が見える・・・
地面の緑もハッキリと見えスクスクと育ち始める 家の周りの木々たちからもポツンと小さい芽が見え始める
屋根の雪もなくなりツララも溶けてしまった 日差しが家を強い光で覆う・・・・  喜びの日々
外側の窓を覆っていたビニールもなくなり外の空気を見ることが出来るようになった・・・
心が躍る・・・・ 家から見る外はポカポカ陽気に見え つい、いそいそと外に出るものの 結局肩を窄めて戻る・・・
家の前の鉢植えたちは雪の中からその姿を完全に見せ厳しかった冬の面影を消し去っている

今日 向こうの家の冬囲い外しに行くんだけど お前も来るだろ??・・・・(朝御飯を食べてお茶を飲む亭主)
えっ! 今日だっけえ? 忘れてたあ~・・ 洗濯物とか溜まってるし・・・ どうしようかな~・・・(頬杖着いて考える私)
帰ってからやればいいだろおぅー・・・ (口を窄める亭主)
だって お掃除もあるし漬物容器も洗わないと・・・  ねっ 今日は一人で行って来て!・・・(明るく振舞う私)
だったら・・・ 俺・・・ いかねえ!!・・・ お前が行かないなら行かねええ・・・・・・・・・・(駄々っ子みたいな亭主)
ダーメ ちゃんと行かないとっ!! 彼(義弟)一人じゃ大変でしょおー!!・・・・(亭主を即す私)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無言でテーブルの醤油入れを見つめる亭主

あのさあー 私ならまだ ずーーーーーっと ここに入られるから 居なくなったりしないからっ!!・・・・(怪訝な私)

ちっ!! あぁぁあっ!!・・・・(テーブルから離れ上半身を左右に揺らしながらフテ腐れるように玄関へ向かう亭主)

ガタッ・・・・(椅子を引いて玄関へ歩き出す亭主に着いて行く私) 
ね!  その替わり・・・・ 今夜・・・ アレ・・・  アレしてあげるから・・・・・・・・(亭主の前に立ち顔を傾けた私)
えぇぇー!! ほっ ホントかあぁー!! うおぉぉー!! ヨッシャ!! 俺は一人で行ってくるぜ!!・・・(突然元気になる亭主)
大喜びする亭主を見ていて、する気もないのに嘘を着いたことに罪の意識を感じる・・・ トボケちゃうかも・・・
でも・・・ スキップして玄関出て行った亭主に申し訳ないし・・・・・ どうしよう 面倒臭いなあー・・・・

でも・・・・ ホントにしてあげれば嘘じゃなくなるんだけど・・・・

四つん這いになった亭主の尻にバイブ・・・・  うっ! うっぅぅぅぅ・・・ オエッー!! 考えただけで寒くなってくる・・・

考えちゃ駄目よ・・・ 考えちゃ!! 女装した亭主が四つん這い・・・・  もおぅ!! 考えちゃ駄目だってえー!!
ロングのカツラに化粧した・・・・  うっ! うっ!! オエッー!! 駄目だって 無心よ! 無心にならなきゃ!!・・・・
まあ・・ いいや・・・・ 取りあえず仕事しちゃおぅ!! 亭主が纏わり着くから なーんにも出来なかったのよ!!
さてと 最初は洗濯しながら 掃除して 漬物容器が大変っ!! 外での水仕事・・・ あっ! そうだ!
お風呂も沸かしてついでに掃除しちゃおっ!!

私は一気に気分を高めて気合を入れると家事に取り掛かった!!

洗濯機のスイッチを入れて二階の寝室に入った時だった!!  窓を見ると家の前の道路の先の左カーブの辺りに
一台の見たことのない車が止まって側に三人の男達が家の方を見ていた・・・・
誰だろう??  亭主の会社の人??・・・・かな・・・・ 近づく様子もなくジーッとひちらを見ていた・・・
まさかっ!! この家を何かに替えるつもりじゃ!! 亭主に聞かなきゃ!! 焦る気持ちを抑えて男達の方を隠れて見る
そんなはずない!! 亭主は何も言ってなかったし 第一 亭主は会社を退いてるし義母や義妹たちだって・・・・
この家の名義だって確か亭主になってたはずだし・・・・・
数分後 男達は車に乗ってUターンして走り去った 私は慌てて下に降りて義母の家に電話した・・・
トゥルルルルル トゥルルルルルル カチャッ・・・ ハイ ○○でございますが・・・・
あっ! 私っ! ○○だけど あの人 今 そこにいる??
あーん・・・ 今外に出ちゃったとこなんだけど・・・・(義母)
ねえー こっちの家なんだけど何かにするとか そんな話し無いよね!!
えっ? もうそんな話しはなくなったはずたけど・・・ どうしたの?? 慌てて・・・・(義母)
知らない・・・ 知らない車がカーブのとこに来て 家(うち)の様子を三人の男達が見て行ったのよぉー!!・・・(私)
なんだろう 変ねえー あの子(亭主)も何も言ってないしねえー・・・・ たまたま迷って来たんじゃないの?・・(義母)
わかったー 取りあえず 後で電話するから・・・・(意気消沈する私)

取りあえず 掃除 掃除とっ!! 今のうちにやっとかないと次はいつ出来るかわかんないし・・・

ふうぅぅ~ やっと 終わった・・・ 結構汚れてたんだー・・・・・(腰に両手を当ててトントンする私)
あぁぁー やっちゃったー!! パンスト左脚の伝線・・・・ ちきしょー!! ジーパンにすればよかったあぁー!! 
悔しい気持ちを抑えてスカートからジーンズに履き替え外に出した漬物容器を洗いに行こうとした時 電話が鳴った
プルルルルルルルルル  プルルルルルルルル ブルルルルルルルル・・・・
はい、○○で・・・ あっー アナタ!!  えっ?? 知らないってどう言うこと??・・・・・(心配なな私)
いやあ だから俺の指示とかじゃなくって 第一 俺は一線から離れてるし・・・ まあ 会社に聞いてみるけど
迷って来ただけだと思うんだよなあー 今までも街の人間でも結構来てたし 知らない車なら尚だろう・・・(亭主)

どうやら取り越し苦労だった・・・・(気持ちの軽くなった私)

気持ちも軽くなって大きな漬物容器もサクサク洗えて上機嫌な私だった・・・・

家に戻るとジーンズからスカートに履き替える・・・・ 乾燥機の中の洗濯物を畳んで完了~♪♪
別にしていた私の下着とストッキングは脱衣場に干して完了~っと!!
終わった 終わったー!! さてとっ!! 何しようかなぁー♪♪
そうだった さうだった!! お風呂っ! お風呂っと!! 最後は掃除して終了~ 居間を見渡して遣り残しがないか確認
よーーし 完了っと!! 

ザブーンっ!!! 豪快だねえー!! どえせ洗っちゃうし・・・・  ふ~ん♪ ふ~ん♪ ふーーん♪・・・(鼻歌の私)
外仕事で冷え切った身体の芯に伝わるお湯の心地よさ~♪

でも・・・・  気分が今一つ・・・・  完全武装(女装)の亭主との一戦が・・・ あ゛ぁ゛ぁ゛・・・気が重いなあー・・
一度 思いっきり虐めてやれば二度と嫌だって言うかも知れない・・・ かな~・・・・
でもっ!! 病み付きになられたら・・・ あぁー 面倒臭ーい・・・・ どうしようかなあぁー・・・(湯船に顔半分ブクブクブク)

仕方ないよ・・・・ 約束は約束だもん

近日最終回



◆◆◆◆◆◆◆◆16番目

亭主・・・ 遅いなあー・・・・・  向こうの冬囲いも終わってるはずなのに・・・・ 電話してみようかなぁ・・・
ソファーに座ってボンヤリ窓の外を見つめる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・ あれっ? 来たっ!!  うんっ??  ち・・違う  またあいつ等だっ! 今度はこっちに向かって来た!!
たっ! 大変!! 戸締りしなきゃ!! 大急ぎで戸締りしてカーテンをかけた!!
ブルンッ・・・ ブルブルブルブル  ガチャン!! バンッ!! バンッ!!・・・・車が止まって誰かが降りて来た!!
誰?? 誰なのよ!!・・・・ 怖いよおぅー!! 早く・・・  早く帰ってきて!!・・・・

ガシャッ!! ガンガンガンッ!!  バシャバシャバシャ!!・・・・・・・(玄関の戸を開けようと叩く)
おいっ! 誰かいるんじゃねーか!! 中から鍵が掛かってやがるっ!!・・・・・・(玄関の前で男の一人が喋った)
すいませーん!! 何方かいらっしゃいませんかあぁー!!・・・・(中に呼びかけるような若い女の声)
ガシャッ!! ガンガンガンッ!!  バシャバシャバシャ!!・・・ おいっ! 手荒なことはすんな!! 誰か居たらどうすんだよ!!
誰かが誰かに注意されていた・・・・ 

すいませーん!! 何方かいらっしゃいませんかー!! ちょっとお話しをしたいんですがー!!・・・・(若い女の声)

私が人間なら普通に対応出きるのに・・・・・(玄関に向かう老化の隅に隠れるように立つ私)

おいっ! 裏へ回って見て来い!!・・・・  誰かが喋る・・・         駄目っす! 裏も鍵が掛かってて!!・・・

仕方ねえーなあー!! 俺が責任負うから おいっ! お前!! 鍵を壊せ!!・・・・・(男)
えぇー!! かっ 勘弁してくださいよおー!!・・・・(声を裏返す男)
全くっ!! だらしねー野朗だぜっ!! どいてろっ!! 俺がやるっ!!・・・・(大きな声で怒鳴る男)

こっ・・・壊される!! 咄嗟に玄関横の壁を擦り抜けて外に出た私・・・・(私は家族以外の側では完全に幽霊)
外に出るとスーツ姿の大柄な乱暴そうな男とマッチ棒見たいに ひ弱なオカマのような男・・・ そして若い女性
咄嗟に私はスーツ姿の女の後に回って・・・ えいっ!!・・ スーッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
入った(憑依)・・・・ 私はゴメンなさいって強く女性に詫びて二人の男達の前でスーツを急ぎ早に脱ぎ始めた!!
チョッキを脱いでマッチ棒見たいな男に投げつけると ブラウスのボタンを引き千切り脱ぎ捨てた!!
ちょっ ちょっと!! 何やってんですかあ!! 慌てて私の前に来るマッチ棒君・・・・・
後のファスナーに手を回しホックを外して一気にファスナーを下げた!!!・・・・・・・ 地面に落ちるタイトスカート
うわぁっ!! ちょっと!! ○○さんっ!!  突然私の前に後ろ向きに立ちはだかると 大柄の男は目を大きく見開いた!!
なっ!! 何やとんだあー!!! お前はー!!!  見せまいと立ちはだかるマッチ棒君の隙間から私を覗こうとする大男
ブラとスリップの肩ヒモを同時に下まで下ろし胸元見せた瞬間だった!! 大柄の大男の鼻から大量の出血!!
ボタボタと鼻血を出しながら私の方を固まって見つめる大男・・・ 遂にはマッチ棒君までもこっちを向いて鼻血を
私は二人の見てる前で両乳房を晒したままパンストに手を回し脱ぎ始めた・・・・ 固まって動けない二人の男たち
辛うじてカップが乳房をカバーしブラとスリップの肩ヒモはブラブラと風に揺れていた・・・・
パンストを脱ぎ足首の所で引き千切り丸めて大男に投げ付けた!!
大男とマッチ棒君は完全に固まっていた・・・・・・・・・・
私は咄嗟に二人の前から家の前の道路を街の方目掛けて走り出した!!  キャアァー 助けてえー!!! 誰かー!!
突然 二人の男たちが私を追いかけて来た!! 待て!! おーい!! 待てといってるだろーう!!・・・(叫ぶ男達)
大男は走って マッチ棒君は車で私を追いかけて来た!!・・・・
私は全力で走った!! キャアァー 助けてえーー!!! 家のゲートが近づいて来た 走って走って走ると後ろに車が!!
カーブを曲がった瞬間!! 営林署のトラック道の端に止まっていた!! キャアァー 助けて下さーーい!!
叫びながら近づくとトラックから数人の職員が降りて来た!! 私を見るなり咄嗟にジャンパーを着せた!!
追いかけて来た車のマッチ棒君は職員に静止され 息も絶え絶えの大男は職員たちに取り押さえられた!!
けっ! 警察に連絡しろ!! 職員の誰かが叫ぶ!! 
ちっ 違う!! 誤解だっ!! 信じてくれっ!! 誤解なんだ!!・・・・・(車から降りて両手を前に腰を突き出すマッチ棒君)
誤解も糞もあるか!!! こんな状況でっ!! 貴様らあー!!! 大男より更に大きい営林署の職員たちが怒鳴った
大男とマッチ棒君の二人は職員に太い縄でガンジがらめにされた・・・・
私は道端に経たりこんで静かに女性の身体から離脱した・・・・ ボンヤリしていた女性は自分の姿に驚き叫び
両手で頭を覆って完全に我を忘れているようだった・・・・

私は女性に申し訳ないことをしたと反省しつつも自分の家に何事もなかった安心感で一杯だった・・・
テレビで見たけどオバケ(幽霊)って凄い速さで走れるんだっ!! うっふふふふふ~♪♪

家の中に玄関を通らず壁から擦りぬけようとしたときだった・・・・  おいっ!・・・後から声を掛けられた??
振り向くと天狗様だった・・・ 凄い怖い目だった・・・  ちょっとやり過ぎっぽいが 仕方あるまい・・・かっ!!
うわっはははははは・・・ 突然怖い目がいつもの優しい目に戻った瞬間だった・・・
あの場合 アレが一番きくじゃろう!! 目にも留まらぬ速さでシュッと消えたと思ったら数メートル先を歩いていた・・
心の中で笑む私だった・・・・

家の中に入ってカーテン越しに外を見たものの不審者たちは戻る気配もなかった・・・・ ホッと一安心
時計の針を見る・・・・ 2時・・・ もうとっくに戻ってきてもいい時間なのに・・・
義母の家に電話したものの誰も出ず義妹の家にも・・・・ 留守だった・・・  まさかこっちへ向かってるの??
えぇー まずいよぉー 何にも用意してないしー どうしよおぅー・・・ 
あれっ?? て言うことはー そっかあー 今夜の亭主への御褒美も延長ってことでっ!!! やったー!! うっふふふふふ

みんなが泊まれるように準備して時計を見ると時間はとっに3時を過ぎていた・・・・
私の感が正しければ今頃みんなでスーパーで買物してる頃かな・・・・
脱衣場に干していた私の下着とストッキングも片付け終了したし でも・・ 連絡くらいくれてもいいのに・・・
遅いなあー ちょっと外に出てみる・・・  あっ! ヤバっ!! パンストが丸めて落ちてた・・・・
ヤダナー 知らない人の触るなんてっ・・・・ 足で蹴ってコロコロと転がして棒で拾って外のゴミ箱へ入れた

さの時だった 家の前の道路のカーブの方から車が走ってくる音が聞こえた!! 亭主たちが戻って来た!!
何故かワクワクする私だった・・・・

どうやら違う連中が来たようじゃなっ!! 隣に並んだ天狗様だった・・・
あいつ等はちょっと手強いで お前は家の中にジッとしていろ!! よいか!! ワシがいいと言うまで絶対に動くな!!

これは・・・・婆(ばば)様の力も借りんとならんなっ!!・・・・・(初めて見る恐ろしい形相の天狗様だった)

カーブを車が曲がった瞬間だった・・・・ 突然 キウゥィーーーンと頭が割れるような痛みに襲われた・・・
両手で頭を抑えて蹲ったしまった・・・ 痛い!! 頭が痛いよおー!! 痛い 痛い 痛いよー!!!
ホラ! ワシに掴まれ!! 天狗様に初めて触れた瞬間だった!! 頭の痛みがスーッと消え私は家の中に放り込まれた

よいか!! 決して外に出てはならんぞ!! 万一 ワシの身に何かあったと感じた時は天上界へ行け!!
さてと・・・ みんなの力を・・ もはや借りる時が来るとは何百年ぶりじゃろうのおぅー・・・・(真剣な天狗様の声)
大丈夫!! 必ずワシはお前を守るから心配するな!! それとなっ!! 亭主たちの動きは止めてあるから心配するな
こんな時にノコノコ来られたのでは邪魔で仕方ないからのおー・・・・・(天狗様)
ドンドン近づく車・・・・・ 二階へ上がって寝室からカーテンの横から外を見る・・・・・
空にフワフワ浮いて大きなウチワを仰ぐ天狗様がいた・・・・ 力強さが感じられた・・・・

おーっほほほほほほ ○○よぉ!! ちいとばかりイタズラが過ぎたようだのおー おっほほほほほ~
まあっ!! この婆(ばば)も来たからのおぅー 何にも心配せんでよいぞおー!! 
とは言うものの ちと手強い相手ではあるがのおう!!

誰なの??・・・・・・(御婆ちゃんに私は聞いた)

おーっほほほほほ・・・ この婆や天狗を良く思わん奴らもおっての まあー死んだものは天上界に上がる仕来り・・

ホラホラ 天狗に言われたじゃろうっ!! そんなとこに居たら見付かってしまうでのおぅー 床に座っとれ・・・・

何かとてつもない大きな力が家の周りを蠢いてるのが解った・・・・

身体に感じるジリジリと言うなんとも言えない嫌な感触・・・

私は布団を被って床に伏せた・・・・・


◆◆◆◆◆◆◆◆◆17番目

家の前で車が止まった・・・・ バタンッ バタンッとドアの開け閉めの音・・・  車は二台・・・ 大勢の話し声・・・
嫌悪感を伴う異様な空気を感じながら布団の中でジッとしている・・・・
ガタガタと小刻みに揺れる窓・・・・ ミシミシと小音を立てる床や壁・・・・ 怖い!! 怖くてたまらない!!

布団から顔を出し耳を窓へ向ける・・・・・  パンッパンッと手を叩く音が聞こえると同時に聞き慣れない呪文??
部屋の中の空気が乱れ始めると少しずつ耳鳴りが・・・・  頭の中に何か意味の解らない呪文が入り込む
身体が少しずつ熱くなって来る・・・・  失せろ・・・  失せろ・・・  失せろ妖怪!! 怨霊退散 悪霊退散!!
熱い・・・・ 身体が焼けるように痛い!!  御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!
私の身体の周りを何かが蠢く・・・・  失せろ妖怪!! 失せろ悪霊!! 御敵退散かんまんぼーろん!!! 御敵退散・・・・
聞こえないはずの外の音がまるで目の前にいるかのように聞こえて来る・・・・  熱い・・・  身体が熱い・・・・・・・

突然 外の方からギャアァーと言う物凄い叫びが聞こえて来た!! バンッ!! バンッ!! 鉢植えの?? 割れる音??
大勢の人間の叫び声や慌てたような大声・・・・・・  ガシャアーンッ!!・・・・(何かが割れる音)
ガタガタガタンッ!! ドンっ! ドンッ! ドンッ! ガシャアァァーン!!! よし!! 入れー!! うおぉー!! 大勢の男達の大声・・
玄関を壊して入って来たんだ・・・・(直感した)    ドヤドヤドユガヤガヤガヤ・・ 大勢の足音 そして声・・・・
一階は大勢の人間達で埋め尽くされた・・・ そう思った瞬間 ドドドドドドーンッ!!! 劈く(つんざく)ような地響き!!
ドーンッ ドーンッ ドドドドドーーンッ!!!  激しい稲光(いなびかり)が走った!! 止まらない地響き 雷(いかずち)

地震で床が大きな音を立鳴り始める!! 同時に耳元で聞こえる嫌悪な呪文・・・・
御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ妖怪!!
御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ悪霊!!
御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ怨霊!!

知らない誰かの耳に突き刺さる呪文・・・・・ 痛い!! 頭が!! 頭が痛い!! 痛い 痛い 痛い!! 痛いよー!!

鳴り止まない雷・・・ 地響き・・・ 大きく揺れる家・・・  乱れる空気・・・  ゴロゴロゴロッ ピカッー!!!
ゴロゴロゴロピッカーッ!!! ドーン ドーンッ ドーンッ!! 地面から聞こえる激しい揺れ そして音・・・
下から聞こえる大勢の悲鳴そして叫び・・・・ 逃げろー!! 誰かの大声・・・ キャー うおぉぉー!! 逃げろー!!
バタンッ!! バタンッ!! バタンッ!! バタンッ!! 車のドアの音・・・・ タイヤがスリップして甲高い音を立てる・・・
一階にいた人間達は叫び悲鳴をあげ車を急発進して逃げ出した・・・・ それでも止まない激しい頭痛・・・・・・

何か・・・  何かが・・・・ 近づいて来る!! 重圧を感じる何か途方もない物凄い力が少しずつ迫って来た!!
徐々に そして静かに何かか迫ってくる!! 怖い!! 怖い!! 助けてー!! 助けてー!! アナター!! 怖いよおー!!

ドアの前で止まった!! 誰かがドアの前に居る!!! 敵意を感じる・・・ 恐ろしいほどの敵意を!!


御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ妖怪!!
御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ悪霊!!
御敵退散かんまんぼーろん 御敵退散かんまんぼーろん!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ怨霊!!

呪文が始まると更に激しい頭痛そして焼けるような全身・・・・・  全身を針で刺されるような痛み・・・

カチャッ!! ドアノブが回り出しドアが開いた瞬間!!! ズドドドドトドドドドドオーーー!!!!! 
窓が破れ布団を被り床に蹲る(うずくまる)私の上を何かとんでもない力が駆け巡った!!!  ギャアァァー!!
誰かがドアの前から踊り場へ吹き飛んだ!!! 

その時だった・・・・  
ここはお前の来るところではない!! 早々に立ち去れー!!・・・・(怒り狂ったような声)
全身の痛みが消えた・・・・  誰かが・・・ 誰かが私の前に居るのを感じた そっと布団から少しだけ覗く・・・
見覚えのある後姿・・・・ 御婆ちゃん??  そして隣にいるのは??・・・ 天狗様??  四本足の大きな動物 鹿??
フワフワと宙に浮いている大きな鯉・・・ 主??  後にも何人かの気を感じる・・・・・・
ドアの向こうから近づいてくる大きな力・・・・ ドアの前に立つ・・・・  白装束に身を包み藁のミノを羽織った・・・
御婆ちゃん?????・・・・・  久しいのおぅ!! ○○よっ!!・・・・ そうじゃ!! ワシじゃよワシッ!!・・・・(私の名を呼ぶ)
どうして?? どうして御婆ちゃんが二人いるのお!! 心臓が止まるほどの衝撃が私を襲った!!
お前さんも出世しおったようじゃのおぅー・・ ドアの前の御婆ちゃんが私の目の前の御婆ちゃんに語りかけた・・
ツンツン・・・  ツンツン・・・ 誰かが私の後ろから布団越しに突いた!!
ツンツン ツンツン ツンツンツンツンツンツンツン・・・・ 激しく突く後の誰か・・・ 被っていた布団から顔を出した

ゆっくりと振り向く・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 七つの光が眩しい・・・・・ 目を凝らす・・・・
振り向いた私に向かって手がそっちへ行けと合図しているように思えた・・・・
ズリッ・・・ ズリッ・・・ ズリッ・・・(布団ごと私は横の壁へと後退りした)
壁に背中が着いた時 初めて見えた 七福神・・・・ 七福神って本当にいたんだっ!!! 声にならない・・・

七福神たちが全員 私を身と微笑んだ・・・・

私の前に立つ御婆ちゃんが ドアの前の御婆ちゃんに語り始めた・・・・
のおう! 物は相談なんじゃが・・ まあー ソチに事前に知らせなんだワシにも落ち度があろうが 今暫く
今 暫く目を瞑ってはもらえんしせゃろうか??・・・・(目の前の御婆ちゃん)
随分と虫のいい話しよのおぅー ○○は既に死んでおる 死んだものは天に登らせるが昔からの仕来り・・・
その仕来りを曲げてるのはお前ではないのか?? オマケに天狗やら七福神様たちまで呼び寄せおって
なんぼ ワシの化身とてちっとやり過ぎじゃないかえ・・・・・・(ドアの前の御婆ちゃん) 
たしかに ワシはお前の化身・・・ したが今では天上界の・・・ いや そのことはええじゃろう 
この○○はワシらが面倒を見取る そうそうに手を引くがよかろう!!・・・・(私の前の御婆ちゃん)
七福神様の前ではあるが・・・ それは出来ん相談じゃて 死人を上げるのがワシの仕事じゃて・・・
のおう!! 婆(ばば)よ ワシらも正直 呼ばれて迷惑しちょる・・ ここで婆同士が戦っても何れも傷付きはしても
どちらも勝負はつかんじゃろう どうじゃ ワシら七福神に免じて勘弁してもらえんかのおぅー・・・・・(恵比寿様)
そうじゃ それがいいぞ 婆殿・・・・(天狗様)    お前はっ!! 黙とれっ!!・・・・(目を吊り上げるドアの御婆ちゃん)
はっ・・・ははっ!!・・・・・(少し後退りする天狗様)

どうやら~ ワシのほうが分が悪そうじゃわい!! まあ この程度のことで○○観音を呼ぶ必要もなかろう・・・
好きにするが良い!! 但し!! 約束は約束・・・ 時期が来たら必ずや○○を天上界に上げること・・・・
万一っ!! 約束を違えるような時は例え 七福神様でも容赦はせん!! ○○よっ!! 気張るが良いぞ!!
残された時間を精一杯過ごすのじゃぞ!! ええかっ!!・・・・・・ シュッ!!・・・・・(怖い顔のドアの御婆ちゃんが消えた)

いやあぁ~ 良かった 良かった~ あの婆さんは頑固もんだでヒヤヒヤしたぞ・・・(胸を撫で下ろす天狗様)
ではっ!! 婆よっ!! ワシらはこれで・・・・ 部屋の中をクルクルと宙に浮いて数回 回ると七福神は消えて行った
ああぁぁー!! しんどかったわいっ!!・・・・(深呼吸をしながらベットにドンと腰掛ける御婆ちゃん)
知られてもーたなあぁ~・・・・ あっははははははー そうじゃ!! ワシはあの婆の化身・・・・・・・ 元々はのおう!
あの婆はああして人間界に何千年も行き続けとる・・・ ワシは天上界と婆との連絡係りじゃったが
いつもの間にやら 今では天上界の一員になってもうたんじゃ・・・・ お前が二人おるんと同じことじゃ!!
これで お前を妨げるもんはおらんじゃろおう!! 喉が渇いてもーたわい!! ○○よ 茶を一杯頼めるかや?・・・

下に降りると部屋はメチャメチャに壊れ荒れ果てていた・・・・・
御婆ちゃんが天狗をチラッと見る・・・・  天狗様がウチワを仰ぐと一瞬にして元通りに・・・・
壊れた玄関は 外の鉢植えも全てが元通りに・・・・・  御婆ちゃんと天狗様と三人でお茶を飲んだ・・・
でも?? どうして天狗様は家の中に入れるの?・・・・(聞く私)
そうよのおぅー 人間界で言うところの事前に神の方へ通知しといたってとこかのおぅー あーっははははははは
ささっ!! 茶を飲んだらワシらは暇(イトマ)せんとのおっ!!  あーっはははははは・・・・(大笑いする御婆ちゃん)
御婆ちゃん!!・・・・・(御婆ちゃんに抱きついて顔を埋めた私)
おーっほほほほほ めんこい・・・ めんこいのおぅ~♪・・・・・(上機嫌の御婆ちゃん)

でも・・・・ どうしてあんな大勢の人達がここに来たのかしら・・・・(御婆ちゃんの胸の中で聞く私)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お前はぁ なーんも 心配せんでええよ もう誰ーーれも来んから 安心して亭主たちと暮らすがよいぞぉ・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(私の頭を撫でる優しい御婆ちゃん)

あと、今日のことは誰ーれにも話してはならんぞおー ほーっほほほほほほほほ・・・・(御婆ちゃん)

御婆ちゃんと天狗様が帰ったあと 考えていた・・・・  あの人達は何者なんだろう??
どうしてここに押し掛けて来たんだろう・・・・ 何故・・ 私は・・・ 別の御婆ちゃんに悪霊って呼ばれたんだろう・・・

陽も傾き暗くなり始めた頃だった・・・・ 一台の車が近づいて来た 亭主だっ!!
帰って来たあぁーー!!!  喜び勇んで玄関から外に飛び出す 止まった車から義母に義弟に義妹が次々に降りた
咄嗟に亭主に抱きついてしまう私・・・・(アナター!!)
あっ! おいおい!! どーしたんだよおー 急に!! いやあー 照れるなあー・・・(優しく私を抱きしめてくれた亭主)
パチパチパチパチパチッ 私達に拍手する義母たち・・・・・・(照れ臭そうに車から買物袋を取り出す義母たち)

今夜はお刺身よおー♪ 義姉さんの好きなイカのいいのも手に入ったしいー♪・・・・(義妹)
どりゃどりゃ おっ! こりゃーいいもんだべー・・・・(袋からイカを取り出して見る義弟)
はいはいはいっ!! ちょっとどいてぇ・・・・ 台所入るからねえー!!・・・・・(袋を持って台所へ向かう義母)
ねえー 義姉さーん 醤油は何処にあんのおー??・・・・(義妹)
あぁー うん・・・ トントントントン 駆け出す私・・・ 台所に三人で並ぶ私達・・・

あぁー そう言えば隣街の○○町でさあー 雪山に何処かのオッサンが埋まって死んでたんだってよおー
毎年 毎年 なんで年寄りっつーのは夜な夜な雪かきすんだべかなあー 全く!! じっとしてりゃいいのに・・(義弟)
まあなー 毎年かならず約束した見たいに一人暮らしの年寄りが雪の中から発見されるはなあー・・(亭主)
まっ! うちは俺らがいるし母さんは安全だべー うわっはははははは・・・(豪快に笑う義弟)
ちょっとおおぅー アンタたちさあー お義母さんはまだそんな年じゃないわよおー!! ねえ~!!・・・(義妹が私に言う)
まったく!! この子たちと来たら親をからかうもんじゃないのよ!!・・・・(嬉しそうな義母)
まんず 今回は我が町からは一人も死んだ人間がおらんちゅうーことで 乾杯だべやー うわっははは・・(義弟)
全く こんなに張りのある○○(義母)つかまえて 全く! ねえ~・・・・(義母のお尻を撫でる義妹)
ちょっと 見られるってえー・・・(掠れるような声で義妹に呟く義母)
ねえー 義姉さん!! 今夜・・・ 三人で・・・  どおぅ??・・・・・・(耳元で私に囁く義妹)
う・・・ん・・・・ いいけど・・・・ でも・・・・(迷う私)
大丈夫だって 今夜は飲ませて寝かしつけようよ~・・・・ ネッ♪・・・・(私の耳元で囁く義妹)
義母が私のお尻に指を滑らせた・・・・・・・・  アッ♪ 感じてしまった私・・・  (ジュンッ!) 恥ずかしい・・・
ネッ!! いいでしょおぅ~♪・・・・・・(微笑む義妹)

う・・・・ う・・ん・・・ 何故か恥ずかしい・・・・ 気持ちを抑えながら軽く頷いた私だった・・・

今夜は義姉さんのこと可愛がってあ・・げ・・・る・・・(目をギラギラさせる義妹)




◆◆◆◆◆◆◆18番目

義母と義妹そして私たち三人は無事に停車たちを寝かし付け奥の客間で布団を三つ並べて寝ることに・・・
早く電気を消したい義妹とムードが欠かせない義母・・・  共に私を見る目が怖いほどギラギラしていた・・・
二人は寝る前にお風呂に入ったものの私が入ろうとすると止められた・・・・ 汚れてるのに・・・
亭主たちの大好きな釣りの話しを持ち出してグングン飲ませるテクニック・・・ 流石は元スナックのママ(義妹)
男達は爆笑しながら過去の釣り談義に華を咲かせながら義妹の策略にはまり最後は酔い瞑れてしまった
私たち女で亭主と義弟を二階の寝室へ運んだ・・・ 亭主は寝室に義弟は亭主の部屋に夫々・・・・
何度かお風呂に行こうとしたものの 何だかんだで足止めする二人・・・ 汚れたままの私を味見する気なんだ
二人にとって今夜の私は御馳走なんだろうか・・・・

夜も11時を過ぎた辺りお酒も回ってフラフラになった私は どうやら義母と義妹に嵌められたようだった・・・
フラフラで動けない私を真ん中に落とされた部屋の明かり・・・・ 両側から抱きつく二人は両肩に貪りついた
敏感に反応する私の身体・・・・ 肩から腕 そして脇の下・・・二人は恥ずかしくなるほどの嫌らしい音を立てた
チューチューピチャピチャと部屋に広がる恥音・・・・ 左右に身体を揺らし身悶えする・・・ 必死に声をころし耐える
私は身体を完全に二人に任せた・・・・ ピチャピチャと音を立て徐々に下へと移動する二人・・・
女の鳴き声を微かに上げると突然どちらかが私の口にタオルで猿轡をした・・・ 鳴き声はタオルで掻き消された・・
腹部から陰毛を二手に別れ引きにラインへ・・・ 両脚を持ち上げられた・・ 太もも そして脹脛 爪先へ流れた
仰向けにされる・・・・ 下から上へと恥音がゆっくりと上がって来る・・・ 気持ち・・ いい・・・
四つん這いにさせられ両側から外モモ お尻へと・・・ 味わうような音は腰から背中へと進む・・・
仰向けにさせられる・・・・ 持ち上げられ大きく開かせられた両脚・・・ 内モモに貪り付く二人・・・・
舌を回転させながら痛いほど吸い付く・・・ 徐々に陰部に近づいて来る・・・
陰部の側まで来た瞬間 誰かの舌が右側の大陰唇に滑り始めた・・・ ビクンッ!! ビクビクビクンッ!!
急激に大きく反応する私の身体・・・ ???・・・・ 右側の大陰唇を開いて中に入った舌????
右側だけに舌を滑らせる・・・ 時折咽る・・・  彼女(義妹)??・・・ 陰部の右側だけをチュウチュウレロレロする・・
無意識に大きく仰け反る身体そして 止まらない鳴き声・・・ 
左側から舌が近づく ネットリと絡みつくような舌は義母?? 右側の義妹は太ももに貪りついてくるのが解った
少しずつ陰部へ近づく義母の舌はカタツムリのようにネットリ滑るように左側から陰部へ・・・・
銜えられる左側大陰唇・・・・ ムシャぶり着き舌先を起用に回すテクニックは義母 味わうように・・・
太ももを持ち上げ右側の乳房へと這い上がる義妹・・・ 素早い動き・・・ 大陰唇から中へと入る義母の舌・・
咽る義母・・・ 恥ずかしい私・・・  大陰唇と小陰唇の間を執拗に上下させて舐める義母・・ 時折 咽る
二人で半分ずつ仲良く私を味見する義母と義妹だった・・・
義母はそのまま私の中に入って来た・・・ 入り口付近を上下に深くは入らず浅い箇所を行ったり来たり・・
私の上に四つん這いで逆向きになる義妹スーッと義母が離れると上にいる彼女は真っ直ぐにクリトリスへ・・・
ビクッ!! ビクビクビクンッ!! クリトリスに素早い動きで舌先を絡ませる義妹・・・・ 否応なく大きく反応する私
座れるクリトリス・・・・・・・・・ ポタッ ポタッ ポタッ 身体に滴り落ちる彼女(義妹)の愛液・・・ 暖かい・・・
痛いほどに吸い付く彼女は起き上がり私の上で向きを私側に変え陰部を腹部に擦り始めると同時に
両脚を大きく開かせて陰部の中に再び舌を居れレロレロ・・・ チュウチュウと吸い始めた義母・・・・
私から溢れた愛液が義母の舌に絡みつき恥ずかしい音を部屋に響かせた!!
上で陰部を私に擦りつける彼女(義妹)から溢れる愛液は私の体のあちこちに流れ落ちて止まらない
奥へ 奥へと入る義母の舌・・・・  陰部を擦りながら両乳首に自らの愛液をローション代わりに絡める義妹
彼女(義妹)の愛液の匂いが私を覆い始める・・・・  いっそう大きく両脚を持ち上げ突然入ったアナルへの舌先
ビクッ!! ビクッ!! ビクンッ!! 激しく身悶えする身体・・・・ 乳首ならず乳房まで義妹の愛液は広がる・・・
痛いほどに広げられたアナルに咽ながら舐めまわす義母・・・ アナルの中に入りたがる義母の舌
次第に気が遠くなり始めた私は突然・・・・ 大きく鳴き声をあげエクに達した

何んだろう?? 切ない声にならない声を出しそうになって目を覚ます・・・ 身体の中に激しい振動・・ 気持ちいい!!
空ろながらも仰向けで下を少し見る・・・ 義母がペニスバンドを着けて私の中に入っていた
一息つく暇もなくも得るうに広がる刺激 両手が動かない!! 後手に縛られてた!!
もぅ・・・ もぅ・・ 許して・・・ お願い・・・ 許して・・・・ 掠れるような声で二人に語り掛ける・・・ 届かない声・・・
ビウィーン ビウゥイーン 胸元に聞こえる電気音・・・ ヤ・・メ・・テ 許して・・・  掻き消される私の声・・・
両乳首に付けられた乳首バイブが音を上げて乳首を攻め始めた!! 縛られて身動き取れないからだが勝手に身悶え
激しく上下する義母 パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!! 部屋に響き渡る義母と私の音・・・・
無言で身悶えする私を真上から冷静に覗き込む彼女(義妹) 強弱する乳首バイブの回転・・・・
耳の中にネットリとはいってくる彼女の舌先・・・・  チュッ チュッ リロリロリロー ピチャピチャ 耳の中で響く音
味わうように両耳の中に舌を入れる彼女 そして聞こえる彼女の吐息・・・・
二度目のエク・・・・・・

うっ・・・ うぅんん・・・ 目覚めると 側で鳴き声が聞こえる・・・・ 力の入らない私は頭だけ横に振る・・・
義母と義妹が愛し合っていた・・・・ シックスナイン・・・・ 下の義妹が義母の太ももに噛み付いている・・・
上の義母も下の義妹の太ももに噛み付いている・・・ 二人は声にならない声を出して互いを食べるように噛み付く
ハウッ!! ハウゥッ!! 時折出す二人の声・・・・ 互いの両手は互いの身体に爪を食い込ませている・・・
初めて見るプレイに圧倒される私・・・・ プロレス技でも掛けてるかのように 互いが互いを食べていた・・・
陰部に噛み付く二人・・・・ ギリッ ギリッと布団を両手で掴み始める二人・・・・
噛み付いてはムシャぶり着き そして噛み付くを繰り返す・・・・  恐怖を感じる私は寝たフリしながら見ていた
恐る恐る寝たフリで見ていると 今度は義母が布団の上に四つん這いに・・・・
袋から何かを出す義妹・・・・ 何かを大きく振った瞬間!! ビシッ!! あぅっ!! ビシッ!!  あぅっ!・・・
義妹がムチを本気で義母に使っている!! 
大きく振り上げ義母の尻をムチで叩くと 呻くように悲痛な唸りを上げる義母・・・・・・・・
ムチで打たれる度に身体を小刻みに振わせる・・・・
ビシッ!!・・・  あぅっ!   ビシッ・・・ あぅっ!! 何度も義母をムチで打つ義妹の顔は月明の所為か笑顔にも見えた
暫く繰り返すと今度は義妹が四つん這いになって義母がブーンッ!! と大きくムチを振った!! ビシシシッ!!!
あうぅっ!! 右手がカクンとなった義妹・・・・  もっと もっと強く!!! ムチを振り上げる義母に哀願する義妹だった・・
ブウーン!!!  ビシイッ!!!   あっあぁぁーん!!!  全身で身悶えする義妹・・・・・
怖いほどの本気プレイを目の当たりにして振るえる私はいつのまにか眠ってしまっていた・・・

朝、目覚めると二人は一つの布団で裸で抱き合って眠っていた・・・・
はみ出てる義母のお尻・・・・
えっ??・・・・・ うっそおぅー?? 何で?? どうしてー?? 傷一つない義母のお尻・・・  あんなに激しく打たれたのに
ミミズ腫れになってるはずの義母のお尻に傷一つない・・・・ どうしてよぉー??? 私は自分の目を疑った
静かに 義妹の布団を剥ぎ取ってみた!! 強い衝撃が走った!! 彼女のお尻にも傷一つない・・・・
布団を元にして自分の布団に入るや否や怖くなって私は布団を被ってしまった・・・・
もしかしたら あのムチは音だけ激しい新製品なのかも知れない!! きっとそうよ!! でなきゃ!! 
そうだっ!! 確か二人は互いに噛み合してた!! 私は布団から出ると義母のお尻をもう一度見てみた!!
そっと布団を剥ぐ・・・・ 無い!! 噛み跡が一つも無い!! どうしてー!! そんなはずないよおー!!
あんなに激しく噛んでたのに 形跡もなにもないなんてっ!! どうなってるのよー!!・・・・(心で叫んだ私)

目覚まし時計が鳴り響いて目が覚めた・・・・ 眠ってたようだ
布団から顔を出すと二人は服を着ようとしていた最中だった 並んでパンストを履く二人・・・
二人をチラチラ見る・・・・ 身体の何処にも傷ひとつない・・・・・ 何でなの??
あらー 起きちゃった?? ごめんねっ! そっとしとこって思ってたんだけど・・・・(笑顔の義母)
義姉さん おはよう!! 昨日は御馳走様ー♪ 美味しかったよっ!! 義姉さんっ!!・・・・・(照れ笑いする義妹)
二人並んでパンスト履いてガニ股ポーズする二人・・・・
さっき シャワー勝手に借りたからねっ!・・・・(微笑む義母)
身支度整えて部屋を出て行った二人だった・・・・
私は残された義母のバックを開けて叫びそうになった!!!   本物の皮のムチだった・・・・
こんな皮のムチで打ったら・・・・ 大変なことになるはずなのに・・・・???  どう言うこと?? 夢でも見たの??

私は時計を見てパジャマのままでお風呂場へ急いだ 亭主たちが起きる前にシャワーをと思った・・
居間へ行くと義母と義妹の二人が台所で朝御飯の仕度をしていた・・・・
二人に悪いと想いながらもお風呂場で昨日の愛の証を洗い流した・・・・ シャワーが肌に当って心地いい

コンコン!! ドアがノックされた・・・・ カチャッ!! ドアを開ける・・・ 義姉さーん!! 今日さあー山小屋に行こうって
行くでしょう??・・・・ ドアの隙間から顔を覗かせる彼女・・・
あっ! うんっ! 行く行くっ!! 私が返事すると彼女は嬉しそうに戻って行った・・・・
お風呂から出て着替えて台所へ行くと朝御飯の用意は整っていて 山小屋へ行くお弁当まで出来ていた・・
ごめーんっ!! 義母と義妹に謝る私・・・  いいって いいって たまにはねえぇー・・・(ハモる義母と義妹)

亭主たちも起きてきて久々の全員での朝食・・・ 飲みすぎてボーッとしてる二人・・ それを見て顔を顰める義妹
義妹の顔を見て微笑する義母・・・・

朝御飯の片付けをしていると ソファーでお茶を飲んでいた亭主が突然大声を上げた!! うおぉっ!! なんだこりゃ!!
かっ! 母さん!! た・・大変だよ!! うちの山小屋の近くなのかなあー 詳しく出てねえが・・・
亭主の元に駆け寄る全員・・・・ なんでも山小屋の近くで車が崖に転落した状態でえー 雪の中から発見されー
うんと・・・ おっ! 続き 続きとおー ガサガサガサ・・・ 新聞をめくる亭主・・
恐らく数ヶ月前の事故でぇー 転落したまま気が付かれなかったらしい・・・・ 委細は解っていないってー
これっ!? 発見されたのって少し前なんだとよおー!! おっかねえーなああー!!・・・・(義弟と顔を見合わせる亭主)
どうするうー?? 今日の山登り・・・(心配そうな顔する亭主)
行こうよ!! 別にいいじゃん!! あたし達には関係ないし!! ねえー!!・・・・(私と義母を見る義妹)

結局 私達は山小屋へ向かった・・・・・ 雪も殆どなく道路は春の陽気に包まれていた!! 心ウキウキな私・・・
山のフモトに来ると入り口にバリケードがしてあった・・・ 事故ってここだったのか??・・・(義弟)
らしいなあー 来る途中はなんにもなかったもんなあー・・・(亭主)
バリケードを避けて私達は山小屋を目指した・・・・
まさか この道じゃあねえだろうなあー ウサギ猟師の爺さんだったりしてー・・・(義弟)
おいおい!! 勘弁してくれやー うちの敷地だぞここはー あっはははははは・・・・(笑う亭主)
暫く登って行くと こないだ来たところに差し掛かった・・・   おおぉー ここよ ここ!!・・・(義弟)
私が崖下を見ようとしたときだった・・・  おいおい 見たら怖くなるから 見んなって!・・・(亭主)
でも、誰があんなとこにバリケードなんて置いたんだ??・・・・(亭主)
営林署だろう 毎年危ないとこには ああやってバリケード置くことになってっから・・・(義弟)

車はグルグル山道を回りながらようやく山小屋に到着した・・・・
雪も消え 水浸しの地面から緑が広がっていた・・・・
みんなで車をおりて山小屋に入って暖炉に火をいれると 個々に外へと出て行った・・・・
義母が毎回持って来るポータブルラジオ・・・・ 付けてみた
軽やかなカントリー&ウエスタンが流れると私の心もウキウキ気分に・・・
突然 ラジオが切り替わった・・・・  
えー 突然ですが ここで昨日発表された○○地区の四駆車の崖下転落事故で亡くなった方が解りました
○○地区に住む○○○○さん・・・ 続いて○○○○○さん・・・ 続いて○○○○○さん そして
そしてお母さんでしょうか・・・ ○○○○○さんの四人であることが判明しました・・・・速報でした
引き続き音楽をお楽しみ下さい!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言葉の出ない私
何も考えられない・・・・ 何かの間違いだわ・・・ 何かの・・・ だってえー 今 ここに一緒に来たばかり!!
私は走った 走って玄関を開けた!! バーーーン!!!   車は?? 車が無い?? みんなは??? 誰も居ない???
うそよっ!! そんな馬鹿なことって!!!  イヤアァァァァァァァァァーーーー!!!!!
頭を抱えて濡れた地面に跪いてしまった私・・・・・  どう言うことなの!!!???? 私が死んでるのは解る!!! でもおー!!
亭主も義弟も義母も義妹も・・・・ みんな死んでたなんてっ!!! 嘘っよ!! 何かの間違いだわっ!!
きっと みんな何処かに車で出かけたのよ!! 私を驚かそうとしてるんだわっ!! そーうだ!! きっと 車隠して中に!!
バシャバシャバシャ・・・ 私は山小屋に走った!!・・・・・・・・・・・・・・・・・ 暖炉の火が消えていた・・・・
辺りを見るとホコリだらけになっていた・・・・ どーしてえーっ!!! さっきまでキレイだったのに!!
私は一番奥・・・・ 私が死んだ部屋に走った!! バンッ!! ドアを開けた!! カーテンを力任せに開けた!!!
キャアァァァーーーーーーーー!!!!  ベットに!! ベットに!! ベットに私が・・ 私が死んでいた・・・・・・・・・・・・・・・
何が何だか解らない・・・・・ どうしてベットに私の死体が・・・・ この前来たときは無かったのに・・・・
気が変になりそうだった・・・・・ じゃあ じゃあ!! 私はどうやってここに 来たの???
最初から・・・・ 最初から・・・・・  最初から ここに居たの!!! 私は亭主たちのとこえ帰ったんじゃないっ!!
ずっと ずっと ここに居たって言うのおぉーー!!! 誰か・・・ 誰か 教えてよお!!
私は死んでから ずっとここに居たの?? 

最終回 前編


◆◆◆◆◆19番目

両手で頭を抱え床に跪く・・・・・ ベットに横たわる自分の死体・・・・
フラフラと覚束ない足取りで奥の部屋を後にする・・・・
頭の中は真っ白・・・・

暖炉のある食堂(居間)へ窓枠に掴まりながらゆっくりと向かう・・・  パチパチパチッ・・・・暖炉の音??
パチッパチッパチッ・・・・ 近づくに連れ大きくなる暖炉の音・・・・ 廊下を出て左の暖炉を見る・・・ 赤い炎が見える
あらっぁー どうしちゃったのぉー!! 姿が見えないから心配しちゃったぁー!!・・・・(椅子に腰掛け私を案ずる義母)
奥の方、寒かったでしょう??・・・・(義母の隣で座る義妹)   義姉さん!! 真っ青だけど大丈夫か!?・・・(義弟)
いやぁ 寒い 寒い!! やっぱりまだまだだなあー!!・・・・・・・(バタッンっ!! 玄関のドアを開けて入って来た亭主)
何処・・・ 何処に行ってた・・・の・・・・・?? みんな突然居なくなって!・・・・(みんなを見渡す私)
どこって?? どこにも行ってないよおー あたし達ー!!・・・・・・(驚いたような表情の義妹)
義兄さんは薪を広いにに彼(旦那)と林の方に行ってたけど・・・・・ 変な義姉さーん・・ アハハハハ・・・(義妹)

私は静かに暖炉で暖まるフリをして前にシャガンだ・・・・ コツッ コツッ コツッ コツッ コツッ
暖かい・・・ 確かに炎は暖かい・・・・ 後のみんなに見えないようにそっと 暖炉の中に手を入れた・・・
瞬間っ!! 暖かかったはずの暖炉の炎からは熱が消えたっ!! 手を暖炉に入れてそっと後を振り返った!!
たった今までいたみんなの姿は消えていた・・・・・ ホコリ塗れの床 汚れで曇った窓・・・・
暖炉を見ながら 手を引っ込めて見る・・・・・ 炎はパチパチと音を立てユラユラ揺れた・・・ もう一度後を振り返る
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ みんなが・・・・ 居た・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この人達・・・ 自分達が死んだことに気付いてない・・・・・・・ん・・・・だ・・・・・
でも・・・ どうして!!

ちょっと 涼んでくるからっ!!・・・・・(休憩している亭主たちに笑顔で言って山小屋を出る)

辺りをキョロキョロと見回す・・・・ 気付いちまったのかー!!! ビューンッ!! 真横に降り立った天狗様
気付いたんなら仕方ないなあー!! でっ!! どうする?? このまま家族と残された期間を一緒に過ごすか??
それとも!!・・・・・・・(天狗様)

待ってっ!! それよりどう言うことなのか説明してっ!!・・・・・(天狗様に掴みかかった私)

仕方ねえーななー!! いいか良く聞け!! お前は死んでおる!! それは知っておるなっ!!
それから お前の家族・・・ 家族も全員死んでおる・・・ 辛いじゃろうが事実だっ!!・・・・(真剣な顔の天狗様)
でもっ!! でも・・・ どうして・・・・(俯く私)
まあー聞け!!  お前が死んだ次の日じゃったかな あの男(義弟)がここへ何度か電話したのだ
ところが電話が通じない 何度かけても通じない・・・ 心配したんだろうのうー・・・ 家族に連絡を取ったようじゃ!!
そしておの男(義弟)の運転する車で夜道でのぉ あの場所に来た時 道が寒さで凍りついたのを知らずに・・・・
ハンドルが利かずにそのまま崖下へ真っ逆さま・・・・ その上に雪が積もり春を迎えたのじゃ!!
じゃから!! お前の死体は・・・ まだ街の人間には発見されておらん!! 
そして!! お前の家族は自分達が死んでることにまるで気付いてはおらんのじゃっ!!
時期にお前の死体も発見されるじゃろうのおぅ・・・・
あの者たちは自分たちが死んだことも知らずに ここへ来てお前を見つけて葬式を出し悲しみに暮れていたところへ
お前が天から舞い降りてきたのじゃっ!!・・・・・・・・・・
お前の家に来たのは お前と家族を探しに来た街の連中と警察の人間達じゃ・・・・
現世の婆様はお前が辛くなるじゃろうと考えてお前のこと案じて天に上げるべく現れたんじゃ・・・
婆様の化身である天上界の婆様は哀れなお前になんとかして最後の幸せをと相当苦労して地上にお前を降ろした
これが真相だ・・・・・  どうする・・・・ お前さえ気付かんフリしておれば 秋までは一緒に暮らせるが・・・・・・・
しかし 今 家族に死んでいることを伝えれば 全ては消し飛んでしまうじゃろう・・・・
お前が決めるのじゃ・・・・・  時期にここに人間達が来るはず・・・・

もしっ!! もしも死んでることを伝えたらっ!! 一緒に天上界で暮らせるのおっ!!・・・・・(天狗様に聞く私)

それは・・・ 出来ん相談じゃなっ!!・・・・・(ガタガタと身体を震わせ低い声で話す天狗様)
どおしてえぇー!! だって死んだら みんな同じとこへ!!・・・・(天狗様に訴える私)
それは そうなんじゃが・・・・・・・(暗い表情で腕組みして項垂れる天狗様)
教えてぇ!!! 教えてぇ!!! お願い!! お願いだからっ!!!! 天狗様あーーー!!!・・・・・(天狗様の身体を揺らす私)

・・・・・・・・・・・・・・・・・ お前が気付いてしまったからじゃっ!! 気付かんかったら・・・ 良かったんじゃが・・・・
気付いてしまったから・・・ お前はあの者たちとは同じところへは行けんのじゃ!!!・・・・(震える天狗様)

それに・・・ お前の願いは叶えてやりたいがあぁ・・・・ ワシの力ではぁ・・・・(項垂れる天狗様)
期限まで・・・ 過ごすがよかろうっ!! こればかりは婆様でも無理じゃろうから・・・(小声になった天狗様)

天狗よっー じゃから ワシは言うたのじゃー 早く○○を天に上げよとっ!!! それをお前らが壊したのだ
化身の分際で死人と死人を地上界で暮らさせるなど とんでもないことじゃっ!! ○○が哀れでならんっ!!
それは!! お前らが逆に○○を苦しめる結果へと導いたのじゃ!!・・・・・・・(地上界・低い声の御婆ちゃん)

おーっほほほほほほほほ じゃからと言うても結果的にそうなっただけじゃて ○○は十分幸せじゃよ!! のおぅ!!
一緒にこの先 秋まで暮らせるのじゃし・・・・ 何れが○○の幸せかは○○が決めることよのおぅ!!
人を思う心は果てしない空のようなもんじゃ お前が人間界で○○を思う心も ワシが天上界で思う心も一つじゃ
何れが良かった悪かったと今 ここで悔いてもしょうがあるまいっ!! ○○よっ!! 秋まで十分期限は残っておるっ!!
存分に家族との暮らしを 一分 一秒たりとも無駄にせず精一杯生きて天上界に上がって来ればよかろう!!
それが・・・ お前にとって幸いなことじゃろうて・・・ おーっほほほほほほ・・・・・(天上界の御婆ちゃん)

御婆ちゃん!! 教えて!! どうしてそんなにまで私なんかのことを!!! ねえー!! 答えて!!・・・(空に・街に叫ぶ私)

それは 今は言えんなっ!!・・・・・・(御婆ちゃんたちの声が重なるように聞こえた)

では 皆と暮らすと言うことで良いのじゃなっ!!・・・・・(声を上擦らせる天狗様)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は頷くしかなかった

冷え切った身体で山小屋に・・ 中に入るとポータブルラジオから楽しげな音楽が流れてリズムを取る家族が居た
暖炉から聞こえる偽物の燃える薪の音 そして炎・・・・

暖炉から来る温もりは偽物・・・・・・   でもここには本物の温もりが存在していた

私は家族の一員であることに気付いた



ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!!!!!

煩いっ!! あぁーんっ!! もおぅ!! 煩いなあぁー!!!

姉ちゃん!!! ホラっ!! 起きろよっ!! 遅刻するぞお!!! 痛い!! 痛い!! 誰?? 誰よ!! 蹴飛ばさないでよっ!!!

誰よ!!・・・・・ 飛び起きた私・・・・・・ガバッ!!!

遅刻すんぞおー!!    えっ!? アンタ誰??・・・  何寝ぼけてんだよおー!! 遅刻するぞっ!!・・・

遅刻?? 何に??  学校に決まってんだろおー!!  母さん!! 母さーーん!! また 姉ちゃんの病気が始まったよおー!!

タッタタタタタタタタ・・・ 全くこの子ときたら また遅くまで本読んでたんでしょう!! ホラホラっ!! 起きなさい!!
寝ている布団を剥ぎ取られた・・・・ バタッ ゴロゴロゴロッ 転がる私・・・
痛い!! イタタタタタタタ・・・・・ 両頬をムニューっと掴んで引っ張られた私・・・・・ イタタタタタタタタッ・・・・
でっ! 何処へ行って来たんだいっ!! とっとと起きないとまた先生から電話来るでしょうにー・・・
ホラっ! これ着てっ!!  バサッ・・・ 投げつけられたセーラー服・・・・  ヘッ?? これは??・・・・
いい加減にしないと母さん 怒るよ!!・・・・・  えっ?? 母さん再婚したんじゃ??・・・・
バカなことを御言いじゃないよっ!! 全くこの子ときたらー!! サッさと起きて御飯食べて頂戴!! 解ったあ!!!!

見覚えのある光景・・・・ 木の机 本立て セーラー服 箪笥 瞑れたカバン 黒パンストに白いソックス
窓の外は雪・・・・ どうなってるんだろう・・・・・ 私は亭主と山小屋の中に居て・・・・・ ?????

おーっほほほほほほほほほほほ  あっーはっははははははは  やりなおし やりなおし しっかりのぉー!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・懐かしい御婆ちゃんの声が聞こえた  誰の声だろう??

何をやり直んだろう・・・・・

セーラー服に身を包み用意されたストッキングを履き白いソックスも・・・・ カバンを持って部屋に出る・・・
どうしたぁー!! また夢見たのかあー!!・・・・・ 亭主が御飯を食べてる・・・・・(ガタガタ震えスカートが揺れる私)
何だよー!! また病気が始まっちゃったのおー!!・・・・・御飯食べてる義妹!!!!
母さん お茶を頼むよっ・・・・・ 亭主が  母さんって??・・・・   ハイ どうぞっ!!・・・・ 義母が!!!  おっ すまん!
姉ちゃん!! 早くしないとマジでヤバイぜっ!!・・・・・義弟???

ホラよっ!! 義弟が私のスカートを後ろから捲くった・・・・・・・・・・・・(立ち尽くす私)
父さーん マズイよ!!  姉ちゃん・・ キャッって言わないもん!!・・・・・(学生服姿の義弟が亭主に父さんって??)
ホラホラっ!! あんたもいつまでも姉さんのことカラカってないで早く学校行きなさい!!!・・・(義弟を゜叱る義母)
義弟は慌てて学校へ・・・・ そしてセーラー服姿の義妹も出て行った・・・・・(呆然と立ち尽くす私)
義母が亭主のことをお父さんと呼んでいる・・・・・・

私・・・・ また夢を見ていたのかな~・・・・


じゃぁ この結婚指輪は一体・・・・・

縄奥Ⅷ 完了

縄奥続き

縄奥続き

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更新日
登録日
2011-11-24

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