ベッドの中で二人だけのお話

ベッドの中で二人だけのお話

ベッドの中はあなたと私だけの世界。夜に二人でお話しするのって本当にドキドキするよね。この二人だけの時間はすごく大切にしていきたいな。

辺りも静まり返った深夜のお話

ピピピピピ


 おはよう。ねえ、寝ちゃったかな。少しお話ししていい。ちょっとだけ、ね。
 ふと彼女がそう呟くのが聞こえた。僕は目を開いて声の主の方を見る。それからゆっくりと時計の方に目をやり、溜め息を一つついた。おはようもなにも、まだ深夜の3:00を少し回ったところだ。鶏も鳴かないし、新聞配達のお兄さんもまだ来ていない。こんな時間に呼び起こすなんて…いやまあ、彼女からしたら仕方ないんだけれど。ベッドの中で姿勢を変えて、少し当惑した彼女が何を話すのか、聞いてみることにした。
 ふふふ。ごめんね。なんだかお話ししたくなっちゃって。寝ちゃってたかしら。
 少し当惑しながらもしてやったりな顔を見せて笑っている。背中を向けて寝たのが良くなかったかな。そんなことも少し思いながら大丈夫、大丈夫と返答する。取り合えず、何の話かはわかんないけれど電気をつけようかとベッドを出ようとすると、背中の方からそれを止める声が聞こえる。
 あ、電気はいいよ…このままにしてて。お話しながら寝たいから。
 電気をつけないと聞いてるだけじゃ僕はすぐ寝ちゃうんだけどなあ。そんなこと口が裂けても言えないけれど。180度身体の方向を変えて、ベッドに入って彼女の方を見た。ありがと、とはにかんで少し照れ臭そうに頭を僕の胸に当ててくる。なんだか慣れないなあ…と心の中では思ってみたものの、すぐにそんな気持ちも薄れていった。顔を上げて僕の様子をうかがうと彼女は口を開いて喋り始めた。今日ね、どこどこに行ってきたんだけどね…毎度同じような出だしだけど僕は静かに耳を傾ける。


ピピピ

 どこかでそんな電子音が聞こえた。目をうっすら開けるとほんのりついた蛍光灯が目に入る。その奥に少し青みがかった黒で塗られた窓がぼんやりとうごめいていた。朝…か…。時計の方に目をやると白で5:18…いや、5:13を示しているのが見えた。横でぐっすりと動かなくなった彼女を見てから、少し頭を撫でた。話し込んでた途中に寝ちゃったんだな。申し訳ない。寝息をすーすーと立てながらもその向こうでは何を思ってるのか、なんて考えてみたりもする。


ピピピピピピピピ

 目覚ましがけたたましく部屋になり響く。慌てて飛び起きると時計は7:30を示していた。遅刻には全然ならないけれども、二度寝、三度寝の感覚がどこか残っていて心臓に悪かった。ベッドでは静かに彼女が横になっている。静かに僕はベッドを出て会社に出掛ける用意をした。
 8:13。そろそろ出ないとまずいな。いくら会社の近くだとはいえ30分を過ぎると危ない。忘れ物がないか確認をしていると、携帯に一件メールが届いているのに気付いた。

 夜遅くに電話ゴメンね。ちゃんと起きれたかしら。話し込んじゃって先に寝ちゃってたね。少しお話聞いてくれてありがとう。声聞けて嬉しかったよ。じゃあ、私も寝ます。あと、2ヶ月頑張ってね。おやすみ。
 
 メールを確認してから、僕はベッドに向かった。彼女は静かに寝息をたてていた。頭をくしゃくしゃして、おでこを親指で撫でた。う…うーん、と言葉が漏れた。僕は少し笑いながら耳元で囁いた。

 おはよう。昨日は途中で寝てゴメンね。ちゃんと起きれました。じゃあ、お先に行ってきます。そっちも頑張って。

 彼女が少し笑ってるのを見て、僕はそっと家を出た。また、こっちからも電話しなきゃ。

ベッドの中で二人だけのお話

夜中に、ふっと思って書いた小説でした。今では当たり前になった携帯も、ないときは夜の孤独さはもっとすごかったのかな…。今後は自分の大切な人がベッドにいてくれて、少しその場を共有しながら会話が出きるのかな?相手が実際にそこにいる安心感って本当に大きいですよね。好きな恋人と遠く離れていても一緒に話をしながら寝れる…そんな世界がいつかは訪れるのかもしれません。それでは、私も寝るとしましょう。おやすみなさい。

ベッドの中で二人だけのお話

辺りも静まり返った深夜、ふと話始めた彼女。日常的で、けれどもどこか非日常的なその空間はとても大切な時間。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-05

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