あたりまえ

あたりまえ

私(作者ではないです)の知り合いに面白い人がいます。
ひねくれてるんです。
口癖は「死にたい」
少しいやなことがあると言ってしまう困った人です。

大きな地震があちらこちらであり、命の大切さを皆様は実感していることと思います。
それなのに、あちらこちらで殺人のニュースが絶えません。

あぁ、命ってこんなにも弱くて、そしてすぐに壊れてしまう。


・・・でも、命って強くてそして何にも負けない力を持っている。
矛盾していますね。でも世の中矛盾していることだらけですよ。

日常

朝起きて、学校へ行って、バイトへ行って、かえって、寝る。
別に珍しくもない日常。
しかし、それが当たり前でない人がいたとすれば?
学校へ行くお金もなければ、暇もない。そんな人がいたら?


午後9時のテレビ。
ゴールデンタイムなのにこんなにもつまらない内容をお届けして、数字とれてるのだろうか。
人の心配している暇があったら、俺は寝たい。
目の前にある課題の山を終わらせなければならない。
昨日からゲームをして徹夜。課題に気付いたのはついさっき。・・・死にたい。


我が番組は一人の男の子に話を聞くことができた。
彼の名前はアレン君9歳。
――――――君は学校へ行きたい?
「学校へ行きたいけど、僕のうちにはお金がないんだ。もし学校に行けるお金があるならお母さんの病気を治してあげたい」
9歳の男の子が家族の心配をし、家族のために働く・・・
我が番組はそんな子どもたちのために、ノートと鉛筆をプレゼントすることにした。


午後9時30分。
・・・文字もかけないのにノートと鉛筆をプレゼントするあいつらは馬鹿か
本当に心配なら、その“我が番組”がお母さんの入院やら手術の費用を出せばいい。
ついでに俺の大学進学の金も出してくれ。
・・・そろそろ本気をださなければやばい。終わらない。
普段はかけない黒縁メガネをかけ、本気をだした。俺は怠け者だが頭はいい。

テレビを消して、ガリガリ課題を終わらせた。

出会い

夏休みの課題を終わらせた俺は、新学期に心を躍らせて・・・はないが、普通に登校した。
周りの奴らは転入生が来るとかなんとかで、騒がしい。
興味がないといえば嘘になるが、興味があることを表に出すのは何となく恥ずかしい。
自分の株を下げるような気がする。
株なんてないだろうけど、そういうところを気にしてしまうのが男なのではないだろうか。

チャイムが鳴る。
誰も座る気配を見せない。
チャイムが鳴り終わるころに担任が教室に入ってきた。
この担任自体俺は好きじゃない。周りの奴らにはなぜか好かれているが、へらへらしてるその態度が気に食わない
「みんなも知ってると思うけど、転入生が来ました」
担任の口から吐き出された言葉に、クラスのテンションが上がった。
「入って」 それを合図に同じ年とは思えない天使・・・女子が入ってきた。
男子はもちろん女子でさえもその美しさに惚れ惚れしていた。

「桜田 美緒です。好きな言葉は一期一会です。仲良くしてください」
はきはきと喋る彼女。
彼女みたいな人が転入してくるこのクラスはラッキーだと思う。
ほかのクラスは不細工ばかりだからな。

次の授業から俺は全く頭に入らなかった。
どのように自己紹介すればいいかわからない・・・
「津田 浩輔だ。」「津田 浩輔って言います。よろしく」
「津田だ。」・・・どれも不愛想になってしまう。
いつもの優等生キャラで行かなくては・・・「初めまして 桜田さん。津田浩輔って言います。よかったら校舎、案内しようか?」
・・・よし。これでいける。最後に微笑むのも忘れてはいけない。
俺は優等生 優等生 ユウトウセイ・・・
よし。行くぞ!

「あの・・・俺、津田。よろしく」・・・死にたい。なんてことを言ってしまったんだ。
「え。ふふっ。桜田です。よろしくね。まだこの学校わからないことだらけだから、いっぱい迷惑かけちゃうかもしれないけどよろしく」
「あ・・・あぁ。うん大丈夫だよ」
「じゃあ、早速だけど校舎案内してほしいな」
「うん・・・いいよ」 俺のセリフをいとも簡単に奪っていく。この女・・・恐ろしい。

校舎案内

後ろからついてくる彼女・・・
彼女は何で俺に頼んだんだろう。俺が自己紹介したから?俺に惚れたか?
彼女の微笑みを見てると、勘違いしそうになる。であってまだ90分しかたってない。
でも、なぜか昔から知っていたかのような・・・そんな気持ちになる

「あの・・・津田君?」 彼女が不安そうな顔を俺に向ける
「ん?あぁ・・・」 どんな返事をしたらいいか、俺にはわからない
「ごめんね・・・。私が急にお願いしたから・・・。やだったよね」 何を言ってるのかわからない
「校舎案内、何でか津田君にお願いしたかった。ごめん」 そうか。俺が考え事ばかりしてるから怒ってると勘違いしたのか
って、ん?“津田君にお願いしたかった”。え? それってそういうことか?勘違いしてもいいのか?
「それって・・・どういう意味?俺にお願いしたかったって」
「え。特別な意味はないよ?」 困ったような笑みを俺に見せる。天然なのか。狙ってるのか。


「ここが体育館。よし、たぶんこれで全部だけどわかんないこととかある?」一通り説明し終えた俺がいう。
「とりあえずは大丈夫だよ。忘れちゃうかもしれないけどね」 いたずらをする子供のような笑みを浮かべた
「その時はまた俺が教えてあげるよ」 何気なく「次」の約束をする俺。
「うん。ありがと」 彼女は寂しそうに笑った。 いろんな表情をする子なんだ・・・



俺は家に帰っても彼女のことが頭から離れなかった。
ただ単に、可愛い転入生だからなのか、それとも惚れたのか・・・。
今の俺にはわからなかった

あたりまえ

あたりまえ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-04

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  1. 日常
  2. 出会い
  3. 校舎案内