夢一夜

閉じた瞳のその奥に
視えるものは何?
眩いほどの光の流れに
もがきながら溺れていくの

水面に漂う小さな海月
ふわふわと ふわふわと
寄せては返す波に
抗うこともしないで
自らの意志とは関係なしに

丘から見上げた空は
星が近くて 届きそうで
瞳を閉じても きらきらと
そこだけを切り取ったように
瞼の中を彩った

あなたの瞳の奥
視えるものは何ですか?
青空? 星空? それとも真っ暗?
いちばんきれいなものが映りますように

青い海を泳いだ
どこまでも どこまでも
見上げれば、蒼
果てなどない 酷く透明な色

気がつくと 光の流れは消えて
砂浜に立っていた
歩くたびに鳴く砂に
笑みを浮かべながら
きっと流れの果てはここなんだと
目の前に広がる彩色(いろ)に
瞳を閉じた

ゆらゆら 揺れる海月は夢を見た
いつか果てまで流れていって
自分の漂う波間に 星が降る
夢から醒めても忘れない
いちばんきれいな夜の夢

夢一夜

夢一夜

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-03

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