いつも通り。
笑ってよ。
今日もいつもと同じ日常が始まる。
一学期。
朝のニュースを見て
僕はいつも通り笑うだろう。
何気ない毎日が、
なんとなく楽しくて。
いつも通り笑うだろう。
登校中は、何気なく。
向こうから来たおばさんに、
さりげなく笑うだろう。
笑って、頭を下げるだろう。
学校に着いたら。
男子がこっちを向いて、
いつも通り笑うだろう。
無邪気に、明るく。
僕もまた、いつも通り笑うだろう。
二学期
朝のニュースを見て、
僕はいつも通り笑うだろう。
非日常のことが続いて。
口の端を吊り上げて。
いつも通り笑うだろう。
登校中は、さりげなく。
向こうから来たおばさんに。
顔を向けずに。
下を向いて。
いつも通り笑うだろう。
下を向いて。
学校に着いたら。
男子はいつも通り笑うだろう。
グループを作って。
こっちを片目で見て。
口の端を吊り上げて。
いつも通り笑うだろう。
三学期
朝のニュースを見て、
僕はいつも通り笑うだろう。
人がどんどん死んでいって。
何故か心が踊り出す。
そんな僕は。
いつも通り笑うだろう。
登校中は、さりげなく。
いつも通り笑うだろう。
向こうから来たおばさんに。
変わらない日常と。
つまらない対象として。
僕はおばさんを直視して。
いつも通り笑うだろう。
学校についたら。
男子は両目でこちらを向いて。
いつも通り笑うだろう。
僕が机が無いと言ったら
いつも通り笑うだろう。
君は知らないと言って。
進級。
朝のニュースを見て、
僕はいつも通り笑うだろう。
変わり行く皆の世界と。
変わらない自分の世界。
対比して。
面白くて。
ケタケタと。
僕はいつも通り僕を笑うだろう。
登校中。
登校は、片手で出来る。
たまにすれ違うこともあるが。
SNSなら挨拶しないでいいか。
ただ、この時間にすれ違う。
この変わらない世界の住人。
君は僕を、いつも通り笑うだろう。
僕もまた、君を笑うだろう。
学校についたら、
皆は尊敬の目でこちらを見てくれる。
そして、
いつも通り僕を笑うだろう。
変わらない世界での自分。
その自分は強い。
そんな自分を。
僕は、いつも通り僕を笑うだろう。
笑えよ。
僕を。
こんな僕を。
僕は怖い。
変わらない世界にいる僕が、
変わり行く世界の住人に。
いつも通り笑われるのが。
怖いのだろう。
変わらないはずの。
『家族』という世界。
その世界までもが。
僕を笑いだす。
僕はなんだろう?
いままでのはなんだろう?
変わらない世界にいる僕。
変わり行く世界にいる僕。
変わらない世界では。
変わり行く世界に笑われる。
変わり行く世界では。
変わり行く世界に笑われる。
なんて報われない、
僕の人生。
誰にも伝わらない。
それで楽にはなれない。
‥‥‥このままただ、
瞳を閉じていよう。
落ちていく僕を。
笑ってくれてありがとう。
いつも通り。
いつも通り。