丹鳥

時たま更新してます

真夜中、賑やかな繁華街の真ん中を、脚の長い黒々とした馬が駆けていきました。
賑やかな繁華街も、この時ばかりは人っ子一人いなくなりました。
退化したとはいえ、人も本能で分かるのだなァと私なんぞは思います。

蛤は幻を吐き出します。
男は女から生まれますが、女の蛤から生まれるゆえに男は幻。
女も女の蛤から生まれるから幻にすぎません。
巡り巡って考えますと、海の底に大きな蛤がいるだけで、他には何も無いのでしょう。

「時計たちの大事な砂時計」
いま、人によって、さかんに作られている沢山の時計たちが大事にしているのは、
カンブリア期の地層にしまわれた砂時計。
自然発生的につくられた唯一の時計で、過去に数回動いた事がーーつまり地層がひっくり返った事がーーあります。
時計たちは、最初の時計が次に動くまで、休まずに時を刻みます。

「受胎告知」

「ええっと、今、大丈夫ですか？」天使が駅前をうろつく勧誘のお兄さんのような事を言いながら、
私のまわりをバッサバッサと羽ばたいている。
「大丈夫だけど、もうすぐ大丈夫じゃない」
「そうでしょうねぇ、落ちてる最中ですもんね、これ投身自殺ですよね？」
「振られたんだよね。死ぬしか無いっしょ。好きだったし。お迎えありがとう、天国ってどんな所ですか？」
「えーと私はですね、お迎えではなくて、受胎告知に来たんですよね」
「なにそれ？」
「なんにもしてないのに子供が生まれるって例の奴です」
「そういう事ならいっぱいしました。その上で捨てられたわけで死ぬんです」
「お気の毒ですね。あと地面まで１０mくらいかな。あの私、一回分の奇跡もってきてるんですが良かったら、それ使って、今回は生きちゃいませんか？おなかにかわいい赤ちゃんもいる訳ですし」
「それ誰の子？」
「神様の子です」
「こんないい日に、将来だんなと決めた男に捨てられた上に、神にまで犯されたわけですか、死のう。いいんですよ、わたしなんて。クリスマスに捨てられた女の気持ちとか、天使さんわかんないでしょ？そのうえ神様にやられた訳ですよね。これで生きろってほうがおかしいよ」
「あの？クリスマスって分かっていってます？２０００年程前にあなたと同じ事があった人がいましてですね。その子の誕生日なんですよ。これって先々の事を考えると、あなた方母子の為にみな祝おうってのと良く似てませんか？」
「似てません」
「困ったなぁ。そうだ、神の子ってのを隠して、捨てた男の子って事にしませんか？子供が出来たって仲直りの定番じゃないですか」
「仲直りできるのだろうか、仲直りができるなら、ほんとに仲が戻るのなら死んでもいいかもしれない」
「生きましょう。今回は生きましょう。奇跡一個あるんでそれ使いましょう」
「うふ、うふふふふう。そうなんだあ。お願いしちゃおっかなぁ」
「はいはいはいはい。決まりですね！ありがとうございます！じゃあ、奇跡使いますよ。大気が冷えるので気をつけて」

奸計によって。とまでは行かないが、それでも多少の謀略でもって、神の次男およびその母親を奈落より救出。
ゆえに、神の子（次男）は性格が少し黒め。将来グレなきゃ良いんだけど。

「六円玉」2011-12-20更新

少し前に六円玉を拾った。知る人ぞ知る幻の硬貨。マニアの間では大層な値段で取引されているお宝だ。
なんでも六円玉は造幣局で作られるものではなく、自然発生するもので、
硬貨を作る技術の無かった遠い昔に、魔術でお金を作り出そうとした時の名残なのだという。
そんな六円玉がお金としてちゃんと使える事が、日本という国のおかしな所だ。