艦これ―割と暇な鎮守府の日常―

鎮守府に新たな提督が着任。しかしその提督は軍事知識皆無な若造だった・・・

―新米提督着任!―

提督「今日からここが俺の職場か〜」

提督「ノリでこの仕事始めたんはええんやけど・・・俺、軍事知識が皆無やねんなぁ・・・」

提督「そのへんのこと、今度軍艦マニアのダチに聞いとこ」

提督「まぁええわ。とりあえず中入ろ。なんや艦娘っちゅうエライ可愛い子が待っとるらしいやん。早速話弾ませて好感度上げたろ!」

提督「んじゃ、邪魔するで~!」



?「邪魔をするなら帰って」

提督「あいよ~…って、なんでやねーんっ!!関西じゃ「邪魔するで~」は「お邪魔します」と同義やってことは常識やろ!てかなんやこの新喜劇的ノリっ!」

?「はぁ?何をいってるの?意味わかんないんだけど。…てかアンタ誰よ?」

提督「俺か?俺は今日ここに着任してきた提督や!ていうかアンタこそ誰やねん!人に名を聞くときは自分から名乗るもんやで!」

?「ああ、アンタ提督だったんだ。ふーん」

提督「な、なんや!?なんか文句あるんか!?」

?「べっつにー。ただ地味だな~と思っただけよ」

提督「やかましいわ!この世に華やかな人間なんてそうそうおらんっちゅうねん!てかはよ名乗れや!」

?「はいはいわかったわよ…」

叢雲「私は特型駆逐艦吹雪型の5番艦、叢雲よ」



―初めての艦娘―

提督「むら…くも…?」

叢雲「そうよ。どうしたのかしら?…もしかしてあまりの凄さに驚いたとか?当然よね!なんせ南方侵攻作戦、ミッドウェー海戦、ソロモン諸島作戦などに参加した名艦だもの!」

提督「えっと…むらくもさん?」

叢雲「なに?私の武勇伝が聞きたいの?なら教えてあげるわ!まずは─」

提督「た、タンマタンマ!その前に聞きたいことあんねんけどええか?」

叢雲「なによ。私の武勇伝以外に聞きたいことって?」

提督「駆逐艦…はまだ分かるんやけど、特型?吹雪型?五番艦?なんやそれ…?」


叢雲「私を知らないって!?全く、ありえないわね!アンタ、もぐりでしょ!」

提督「いやもぐりもなにも俺、軍艦とか詳しないねん…」

叢雲「もぐりどころか無知だとは…救いようないわね。なんでこの仕事選んだのよ」

提督「なんていうか…ノリ?」

叢雲「さっきからノリばっかじゃない。そのうち海草にでもなるんじゃないかしら」

提督「嬢ちゃん、流石にそれはおもろないで…」

叢雲「う、うるさい!」



提督「それでその吹雪型とかよーわからんけど、駆逐「艦」ゆうてるってことは、あんたもしかして艦娘か?」

叢雲「そうよ。これからアンタには艦娘たちと共にこの鎮守府を守ってもらうの」

提督「守るゆうてもな…俺なんも知らんし…」

叢雲「その辺は私が教えるから大丈夫よ」

提督「そりゃありがたいわ。いやはや、こんな美少女に手取り足取りとは俺もなかなかついてる男やで」

叢雲「な!?よ、よくそんな恥ずかしい台詞を平然と吐けるわね…」

提督「ただ…俺ガキにはそこまで興味ないねんな~。やっぱナイスバディな姉ちゃんやないと…」

叢雲「…アンタ、海の藻屑になりたいの?」

提督「海蘊?俺海蘊はあんまり好きやないねんな─ってすまんすまん!ちょっとした冗談や!!だから砲口向けんのやめてくれ!!」

叢雲「まったくもう…」



提督「それでまず、なにをすりゃええの?」

叢雲「そうね。まずは任務(クエスト)を見ていきましょう」

提督「クエスト?あー…俺友人の為にG級銀レウス何回も回したな~。十時間くらいずっと…」

叢雲「それはクエスト違いよ。こっちのクエストは言わば上からのお達しよ。どんなものがあるかは直接見て確かめなさい」

提督「どれどれ…なんや、こんだけかいな?」

叢雲「任務はこなしていくにつれて増えていくの。その辺はモ○ハンと同じよ。それと、任務は一度に5つまで受けられるの。まぁ…最初は5つしかないから全部受けちゃいなさい」

提督「あいよ~」



叢雲「次は建造ね。名前のとおり艦娘を建造するのよ。素材の個数に応じて出来る艦娘が変わったりするけど…最初は最低値のオール30でいいわ」

提督「個数に応じて変わるんなら…いきなり全投資したらレアなんがとれるってことやな!?」

叢雲「ただ多いだけじゃダメよ。艦娘を造るのにも条件があって、決められた個数じゃないと作れなかったりするわ。まぁ正確な個数はまだ分からないけど、おおよそなら統計で出てる」

提督「その辺もちゃんと考えなあかんのか…難しいなぁ」

叢雲「簡単に出来ちゃ面白味ないでしょ。それに、司令部レベルっていって言わばアンタ自身のレベルによってレアな艦娘の出現率が変わるの。レベルが低いと確率も低い。だから新米のアンタじゃ素材の無駄にしかならないわ」

提督「げ、原理はよーわからんけど、大体のことは頭に叩き込んだ。とりあえず今は高望みせず数を増やせゆうことやな?」

叢雲「そういうこと。取り敢えず五隻建造しましょ」

提督「ん?なんで五隻も造るん?」

叢雲「理由はあとで説明するから。取り敢えず建造スタート!」



残り時間 01:00:00

提督「一時間…」

叢雲「まぁこんなもんでしょ。一瞬で造りたかったら高速建造材を使えばいいわ」

提督「う~ん・・・でも数少ないしなぁ」

叢雲「どうせすぐ溜まるわよ。とりあえず三つあるから三隻ちゃちゃっと造っちゃいなさい」

提督「へいへーい」

───高速建造───

叢雲「さて、どんな艦娘が来るのかしら」

提督「わくわくどきどきやで…」


名取「長良型軽巡、3番艦の名取です」


提督「なんやえらいおとなしそうな子が来たなぁ」

叢雲「確かに争い事が好きそうな感じじゃないわね」

提督「お前とはえらい差やな」

叢雲「うるさいわね!大きなお世話よ!」

名取「あのぅ…」

提督「おっと、すまんすまん。俺はこの鎮守府で提督やってるもんや。よろしゅうな!」

叢雲「秘書艦の叢雲よ。よろしく」

名取「よ、よろしくお願いいたします!」

提督「なんやまた可愛い子が来たなぁ。…学生時代周囲にゃバケモンみたいな女子しかおらんかったから感慨深いわ…」

名取「か、可愛いだなんてそんな…あ、ありがとうございます!」

叢雲「こらこら。なにいきなり口説いてんのよ」

提督「口説いてへんわ。素直な気持ちをゆうただけや!」

叢雲「本当、よくそんな恥ずかしい台詞平然と吐けるわね…まぁいいわ。取り敢えず2隻目造るわよ」



―2隻目!―

残り時間01:00:00


叢雲「(また軽巡?)高速建造材使うわ」

提督「どうぞどうぞ」


五十鈴「長良型軽巡、2番艦の五十鈴です」


提督「次は気が強そうな子やな。…て、あれ?長良型っちゅうと…」

名取「わー!五十鈴お姉ちゃんだー!」

五十鈴「名取!貴女もここにいたのね!」

名取「会えて嬉しいよ~」

叢雲「姉妹か…私、できれば身内とは会いたくないわ…」

提督「姉妹ねぇ…俺は兄貴ならおるけど…兄貴元気にしとるかなぁ?」

叢雲「て、何しんみりしてんのよ。ちゃちゃっと三隻目造るわよ」



―3隻目!―

残り時間01:00:00


叢雲「(また軽巡!?)…使うわよ?」

提督「やっちゃってーな」


神通「せ、川内型軽巡の2番艦、神通です…」


提督「陣痛?」

叢雲「こら。イントネーションが違うわよ。神通ね。神通川の神通」

提督「了解した。よろしくな、神通ちゃん」

神通「よ、よろしくお願いしますぅ…」

提督(なんやえらい弱々しい子やなぁ…大丈夫か?)

神通「あのぉ…私、何か失礼なことをいたしましたか…?」

提督「いやいや!こんな可愛い子が来てくれて嬉しいな思っただけや!」

神通「あぅ…恥ずかしいです…」

叢雲「…ま~たそうやってアンタは…」


―4隻目と5隻目!―

叢雲「さて、じゃあ四隻目と五隻目を造るわよ」

提督「よし、これで建造終わりやな」

叢雲「ええ。ただ、もう高速建造材はないから、出来るまで待ってもらうことになるわ」

提督「おーけーおーけー。んじゃ四隻目建造開始!」


残り時間01:00:00


叢雲「(軽巡…)五隻目造るわよ」

提督「ばっちこーい」


残り時間01:00:00


叢雲「だぁらっしゃぁぁぁぁ!!!!」

提督「うわ!急にどないしたんや!?」

叢雲「…なんでもない。じきにわかる」

提督「さ、さよか」


─1時間後─

叢雲「…それじゃあ会いに行くわよ」

提督「テンション低っ!」

叢雲「もうどうとでもなれ…」


北上「球磨型軽巡洋艦の3番艦、北上だよ~。よろしく~」

提督「…なんやえらい気の抜けた子が来たな」

北上「あはは~。よく言われる」

提督「でもあんたみたいな子もこの艦隊には必要や。今後ともよろしゅうな」

北上「提督固い~。もっと肩の力抜いてこーよ」

提督「せ、せやな。ほな後で一緒に遊ぼうや」

北上「いいよ~。何する?モ○ハン?遊○王?TRPG?」

提督「えらい多趣味やなぁ。俺はどれも出来るで」

北上「なら全部!」

提督「よっしゃ!どんとこい!」

叢雲「…何かダメなコンビが出来上がりそう…」


叢雲「…五隻目どーん」

提督「適当すぎるやろっ!」


多摩「球磨型軽巡2番艦の多摩だにゃ。…猫じゃないにゃ」

提督「いや…うん。猫やん」

多摩「猫じゃないにゃ」

提督「いや、語尾に「にゃ」って…」

多摩「…猫じゃないもん」

提督「あ…うん。ごめん」ナデナデ

多摩「な、撫でるにゃ~!」

提督「なんや…こいつめっさ愛くるしいで…」グリグリ

多摩「う、うにゅ~」

叢雲「…猫ね」


―初めての編成―

叢雲「気をとり直して…次は艦隊を編成していくわよ」

提督「編成か…これでもスパ○ボシリーズとかパ○プロの栄○ナインとかやっててな。周りから廃人並みって言われてたから采配とか自信あるで」

叢雲「なんか随分偏ってる気がするけど…まぁいいわ。1艦隊に編成できる艦数は六隻。旗艦一隻でその他五隻で編成するの」

提督「旗艦に司令塔となるやつを設定してそいつを中心に編成…なんやいよいよらしくなってきたやん!」

叢雲「ちなみに第一艦隊で旗艦になってる艦は秘書艦となるの」

提督「今あんたがやっとるやつやな」

叢雲「ええ。正直今すぐやめたいけど」

提督「よっしゃ。お前はしばらく秘書艦固定やな。おめでとさん」

叢雲「ちっ…つい口が滑ったわ」



叢雲「で、どう編成すんの?」

提督「全員クロマティ!」

叢雲「あのCMは何気に好きだけど…真面目にやりなさい」

提督「ん~、そうゆうてもやな…旗艦お前であとは残りの面子に入って貰うだけやしなぁ」

叢雲「ちょ、何で私が旗艦なのよ!?」

提督「いや、だってお前しばらく秘書艦やし」

叢雲「さっきの本気で言ってたのね…」



―初めての演習―

叢雲「艦隊の編成も完了したし、早速戦場に…とはならないわ」

提督「なんでなん?」

叢雲「取り敢えず初めは演習で戦闘の基本を覚えていくわよ。演習では艦は沈まない上に演習で傷付いた艦は無償で修復してくれるから、戦闘での経験を積むにはもってこいなの」

提督「なるほどな…相手はどんなやつがおるんや?」

叢雲「自分と同じくらいのレベルの他提督が四人と、圧倒的高レベルの提督が1人の計五人から好きな相手を選べるの。はい、これリストね」

提督「ふむふむ…よし、んじゃあこの「元帥」ゆうのに挑むか」

叢雲「ちょ、いきなり「元帥」!?なんで!?」

提督「いや、経験積むなら最初から強い相手に挑む方がええやん?だからこいつで」

叢雲「ほ、本気なの?」

提督「おう!…なんや、なんか都合悪いんか?」

叢雲「うぅ~…わ、分かったわ。やるわよ。やればいいんでしょ!?」

提督「なんでそない怒られてんのかわからんけど…まぁええわ。早速演習申し込むで!」


─しばらくして─

提督「負けましたー!」

叢雲「そりゃそうよ!!」


―初めての出撃―

叢雲「演習も終わったし出撃しましょうか」

提督「あれ、こんな話前にあったっけ?」

叢雲「メタいわね・・・作者が書きそびれたのをこっちで編集ついでに書いてるのよ」

提督「さよか・・・」

叢雲「それで、出撃したいと思うんだけど、これだけは覚えておいて」

提督「な、なんや?」

叢雲「羅針盤には気をつけろ」

提督「なんやそれ」

叢雲「いずれわかる日が来るわ・・・」



提督「ほんじゃま、行ってらっしゃい」

叢雲「この辺の敵は雑魚だから、ちゃちゃっと片付けてくるわ」


―しばらくして―

提督「1-3まで楽々突破」

叢雲「運いいわね・・・」


―一日の終わり―

提督「ふぅ…今日はこんなもんでええやろ。…初日からえらい滅茶苦茶やったけど…ま、いずれ慣れてくるか」

叢雲「お疲れ様。はい、コーヒー」

提督「お、サンキュ。…うお!パジャマ姿やん!」

叢雲「…なに?文句ある?」

提督「いや、えらい似合うな思て。可愛いで」

叢雲「はいはい。…で、今日1日どうだった?」

提督「ん~、なんか色々ありすぎて肉体的にも精神的にも疲れたけど…かなり充実してて楽しかったわ」

叢雲「そう。ま、私もなんだかんだ言って、こんな日常も悪くないって思ったわ。…ねぇ提督」

提督「ん?なんや?」

叢雲「私は昔…貴方のお爺さんが生まれる前くらいの時のことね。人の手で造られたただの無機物だった頃…こんなにも平和で充実した世の中になると思ってなかったのよ」

提督「戦争の頃か…」

叢雲「うん。あの頃は、力こそ全てで何人もの人が犠牲になり、私も沢山の人を殺めてきた…」

提督「責任感じてるんか?」

叢雲「ええ。…戦争ってすごく罪深いことなの。じっとしていては殺される。だから殺されないようにする。そのためには相手を殺さなければならない…そんな生産性もなく醜いだけの戦…。私はその中でたくさんの罪を重ねてきた…」

提督「それは仕方ないんとちゃう?お前は人間の手で勝手に造られて、人を殺させられた。お前が罪を感じることはない」

叢雲「そうはいかないのよ。…正直な話、人を殺めない方法だっていくらでもあるのよ。内部で異常を起こせば戦場に出ずそのまま雷撃処分で消えていく…そういった方法だってあった。でも私は行動を起こさずにそのまま殺戮兵器として操られるだけの存在となったのよ…」

提督「そいつは違うで叢雲…」

叢雲「え?」

提督「お前がいたおかげで助かった命もあったんちゃうか?お前達が一所懸命に戦ったからこそ、昔の日本人達の命は守られてたんとちゃう?」

叢雲「それは…」

提督「それに、お前達が頑張ってくれたおかげで今こうして平和な時代ができたわけやし、俺もこうして生まれてこれたわけやろ?」

叢雲「あ…」

提督「俺は戦争のことなんか史実でしか知らん。でもこうしてお前らと出会ってこういう話ができるんは、そうゆう背景があったからこそちゃう?」

叢雲「でも…」

提督「でももへったくれもない。こういうときは、散っていった人たちを憐れむんやなく、感謝するんや」



提督「叢雲ちゃん」

叢雲「…なに?」

提督「戦ってくれてありがとう。それとお疲れ様。…そして」


提督「これからもよろしゅうな」


叢雲「!!」

提督「ははっ。ちょっとクサかったな。やけど少しでも気が楽になってくれたならそれでええ─」

叢雲「うぅ…うわぁぁぁぁぁぁん!!!」

提督「ちょっ!?どないしたんや!急に泣き出して!」

叢雲「だってぇ…だってぇ!!」

提督「ああもう!落ち着け落ち着け!ほらハンカチ!涙ふけ」

叢雲「うぅ…ひっく。ブーーー!!」チーン

提督「うぉい!ハンカチで鼻かむな!…まぁええわ。落ち着いたか?」

叢雲「う、うん…ありがと」

提督「はぁ…なんやえらい疲れた。明日も早いしもう寝よか」

叢雲「そうね…あ、提督」

提督「なんや?」

叢雲「ありがと…」

提督「どういたしまして、や」

叢雲「ふふっ」

提督「お、やっと笑ったな!」

叢雲「え?」

提督「いや、ここに来てからお前の笑顔見てへんな~思て。…笑った顔めっさ素敵やで」

叢雲「なぁっ!?」

提督「ん?どないした急に赤なって」

叢雲「アンタってのはほんとにもう…」

提督「?」

叢雲「なんでもない!!…それより提督!」

提督「まだなんかあるんか?」

叢雲「私…あんたを─」


ドンガラガッシャーン!!

提督「な、なんや!?」

叢雲「誰っ!?」


五十鈴「いたたぁ~…ちょっと北上!押さないでよ!」

北上「私じゃないよ!多摩っちが…」

多摩「多摩じゃないにゃ!名取が…」

名取「わ、私!?あうぅ~…じ、神通さぁ~ん」

神通「み、皆さん落ち着いてください!まずは状況の確認を…」

提督「…」

叢雲「…」

軽巡達「あ」




五十鈴「あの…これはその、なんていうか…」

北上「えへへ~…」

多摩「にゃ~…」

名取「あの、その…」

神通「えっと…とりあえず」

軽巡達「「ごめんなさい」」

提督「…ぷ…くくっ」

叢雲「…ふふっ」

提督・叢雲「あっはっはっはっは!!!」

軽巡達「え?」

提督「いやぁ~、やっぱこうやないとなぁ!」

叢雲「…そうね…これでいいんだわ」

五十鈴「あの…怒らないの?」

提督「?何で怒らなあかんの?」

名取「だって…大事な話、盗み聞きしちゃいましたから…」

提督「別にええよ。いずれ皆にも話そ思とったから」

北上「さっきの提督かっこよかった~」

提督「からかわんといてーな…思い出すとめっさ恥ずかしい」

神通「恥じることはないですよ。…あのお言葉、私たちにも深く刻み込まれましたから」

提督「そっか。ならよかったわ」

叢雲「アンタって不思議よね…アンタを見てると不安が一気に消え去っていくわ」

提督「それは俺のこの明るく元気なパワーにあてられたからやろ!」

叢雲「悪く言えば能天気ね」

提督「うっさいわ!…あ、そういやさっきなんか言いかけてへんかった?」

叢雲「…なんでもないわ。また今度話す。二人きりの時にね」

提督「おう。わかったわ」

北上「おっ?何だか怪しい雰囲気ですなぁ~」

提督「ん?なにが?」

北上「またまたぁ~惚けても無駄ですぜぃ旦那~。この北上様の目は誤魔化せない…お二人の関係は砂糖よりも甘く蜜よりも濃い…」

名取「えぇっ!?」

五十鈴「ま、マジで!?」

提督「んなわけあるか!第一俺はガキに興味あらへんわ」

叢雲「せりゃあ!!!」

提督「ぐぼあぁ!!!」

神通「て、提督さん!!」

多摩「大丈夫かにゃ?」

提督「なかなか…ええボディブローやで…」

叢雲「ふんっ!」



ワイワイガヤガヤ


五十鈴「さてと、そろそろ良い時間だしもう寝ましょう」

名取「そ、そうですね…提督さんは…」

提督「お、俺なら大丈夫や…とりあえず皆部屋にもどり」

神通「はい。おやすみなさい提督さん」

多摩「また明日…にゃ」

提督「おう。お疲れさん」


提督「さ、叢雲ちゃん。あんたもはよ部屋にもどり」

叢雲「いえ…今日は戻らないわ」

提督「へ?なんで?」

叢雲「今日は一緒に寝ましょ」

提督「ちょ、なにゆうとんねん!」

叢雲「今日は色々ありすぎてまだ心の整理がついてないの。お願い、今日だけでいいから」

提督「分かったわ…おいで」

叢雲「ん…」

ガサゴソ

提督「電気消すで」

叢雲「うん」


提督「…んじゃ、おやすみ」

叢雲「おやすみ…ありがと」

提督「どういたしまして、や」

ここからはほのぼの日常ものになります

―二日目、夜に起こった奇跡―

提督「今日は朝からなんや色々起きたな~」

提督「艦娘は増えたし、艦隊が2つ目まで開いたし」

提督「戦闘続きでこっちはクタクタ…はぁ、癒しがほしい…」

提督「…建造しにいこっかな。丁度新しいレシピ届いたし」

提督「…空母レシピか。上からは水母造れ言われとったけど…どっちが出来るかわらんなぁ」

提督「とりあえず叢雲呼ぶか」


叢雲「呼ばれて飛び出てなんとやら…で、水母建造するの?」

提督「どこから湧いたんや…事情も把握しとるし…」

叢雲「秘書艦だから当然よ」

提督「さよか。それで早速建造しにいくから着いてきてくれ」

叢雲「分かったわ」


─工廠─

提督「よし、早速水母造るか…出来るかわからんけど」

叢雲「ま、そこは運よ」

提督「せやろなー。ま、ええわ。ついでやし戦艦レシピとやらも試してみよか」

─建造開始─

水・空母レシピ

残り時間06:00:00


提督「なん…やて…!?」

叢雲「六時間!?え、まさか…」

提督「どゆこと?」

叢雲「これ…水母じゃないわ」

提督「つまり…空母?」

叢雲「ええ。しかも軽空母じゃなく正規空母…」

提督「な、なんやよう分からんけど次や次!お待ちかねの戦艦!」


戦艦レシピ

残り時間04:00:00


提督「待て、まだ二日目やんな!?」

叢雲「い、いきなり戦艦!?…普通重巡ばっか出て苦難するところなのに…」

提督「しかし…どいつもこいつも長すぎや!関西人はせっかちなんやで!」

叢雲「高速建造したらいいじゃない」

提督「その手があった!…高速建造材は余っとるし、使う!」



瑞鶴「翔鶴型航空母艦2番艦、瑞鶴です!」



榛名「金剛型戦艦3番艦、榛名です!」



提督「」

叢雲「」


提督「なんやこの神々しいオーラ…」

叢雲「これが正規空母と戦艦よ…」

瑞鶴「どうしたの提督?…」

榛名「どこか具合でも悪いんですか?」

提督「いや、そうやないんやけど…」

瑞鶴「あっ!もしかして私に見惚れてたとか…!?」

提督「まぁ…そうやねんけど(なんか凄い運気が上がりそうなオーラや)」

瑞鶴「!!も、もう!お世辞言ったってなにもでないわよ!!」

叢雲「………」

提督「なんで世辞言わなアカンねん…二人ともめっちゃ綺麗やで」

榛名「うふふ、ありがとうございます提督」

提督「まぁええわ。とりあえず部屋用意せなな。叢雲案内…ってどないしたん?」

叢雲「鼻の下伸ばしてからに…」

提督「叢雲?」

叢雲「別に、なにもないよーだ!」

提督「む、叢雲…」

叢雲「な、なによ」

提督「今のめっちゃ可愛かった…」

叢雲「なぁ!?何いってんのよ!ば、ばか!」タッタッタッタ…

提督「ちょ、叢雲!案内を…まぁええか。二人ともとりあえず部屋に案内するわ」

瑞鶴「え、えぇ」

榛名「そ、そうですね!」



―ヲ級―

─提督着任から一週間後─

提督「艦隊が強くなってきたし、ジャンジャン攻めていこか」

瑞鶴「第一艦隊出撃するわ!」

提督「いってら~」


─海上─

瑞鶴「さぁて、敵艦はどこかしら」

艦載機「ピコンピコン」

瑞鶴「3時の方向から?…おいでなすったわね!」

ヲ級「」フワフワ

瑞鶴「ん?艦娘?」

ヲ級「」フワフワ

北上「なんか…やる気無さそうだね」

摩耶「お前が言うな」

ヲ級「」フワフワ

響「攻撃していいのかな?」

瑞鶴「まぁ…敵だしいいんじゃない?」

ヲ級「」フワフワ

不知火「いえ…捕獲しましょう」

瑞鶴「なんで!?」

不知火「戦力になりそうですから」

摩耶「よし!じゃあ総員捕獲!」

瑞鶴「ちょ、旗艦はわたs」


捕獲。

ヲ級「」Zzz

川内「寝てるね」

瑞鶴「提督にどう説明すんのよ…」


─執務室─

提督「なんやこいつ」

ヲ級「」フワフワ

瑞鶴「摩耶たちが捕らえたのよ…」

ヲ級「」フワフワ

提督「捕らえたって…これ敵艦か!?」

ヲ級「」フワフワ

瑞鶴「みたいだけど…なんかぼーっしてて敵意がないみたいな…」

ヲ級「」フワフワ

提督「おいおい…それが敵の策略やったらどないすんねん」

ヲ級「」フワフワ

瑞鶴「大丈夫よ。鎮守府には艦娘が大量に配備されてるし、いざとなれば一斉に叩くわよ」

ヲ級「」フワフワ

提督「アホか!そんなんしたら鎮守府消し飛ぶわ!」

ヲ級「」フワフワ

提督「てか会話の間に無言入れんな!行の無駄遣いすな!」

ヲ級「ハーイ」

提督・瑞鶴「キャァァァシャベッタァァァ!!!」


提督「お、お前喋れたんか!?」

ヲ級「うン、一応」

瑞鶴「意外だわ~」

提督「ていうか、話せるんやったらドンパチせんと最初から話し合いで解決しようや…」

ヲ級「それは無理」

提督「なんで!?」

ヲ級「自分で考えろタコ」

提督「初対面やのに暴言吐かれた!!」

瑞鶴「ちょっと!私の提督に対して暴言吐かないでくれる!?」

提督「瑞鶴…」

瑞鶴「いじめていいのは私だけよ!」

提督「瑞鶴、お前解体な」

瑞鶴「ちょ、レア空母に対して言うことそれ!?」

ヲ級「それはさておキ、テートク」

瑞鶴「いや、おくなし」

提督「…いや、俺アンタの提督ちゃうんやけど…」

瑞鶴「え、無視?」

ヲ級「細かいことは気にしなイ。で、テートク」

提督「まぁええか。で、なんや?」

ヲ級「ここ住んでいイ?」

瑞鶴「はぁ!?ダメに決まってるでしょ!アンタは敵じゃない!それとも、内部から潰すつもり!?」

ヲ級「うるさイ。アンタに聞いてなイ。で、どーなのテートク?」

提督「うーん…まぁええよ」

瑞鶴「ちょ、アンタ正気!?ていうか何で許可すんの!?」

提督「なんでって…提督やから?」

瑞鶴「なんで疑問形なのよ。つーか答えになってない!」

提督「うっさい。自分で考えろ七面鳥」

瑞鶴「七面鳥ですって!?冗談じゃないわ!」

提督「とにかくや、一応条件として、ここに住む以上誰一人と危害加えへんことな。それと戦闘には参加させん」

ヲ級「どーしテ?」

提督「味方が後ろ警戒して戦闘に集中できんくなる。それにお前も相手に寝返ったと思われとおないやろ?」

ヲ級「気が利ク」

提督「ま、主に書類整理や家事等をやってもらうわ。その条件呑むなら住んでええよ」

ヲ級「わーイ。ありがとうテートク」

瑞鶴「え…マジで?」

提督「マジで。よし、瑞鶴。空いとる部屋に案内したって。ついでに他の連中にも事情説明よろしゅうに」

瑞鶴「ちょ、提督どこいくのよ!」

提督「遠征から帰ってきた第二艦隊迎えにいくわ~。じゃ、あとよろしゅう」トビラキィ…

瑞鶴「ちょ、提督!ちょっとぉぉぉぉ!!」トビラバタン!

しーん…

ヲ級「幸運の空母?」

瑞鶴「やかましい!」


提督「瑞鶴にめっちゃ怒られた…なんでや提督関係ないやろ…」

提督「そして執務室に戻ってきたと思ったら」

若葉「ふむ」

不知火「何か?」

提督「なんでお前らここにおんねん」

若葉「別に問題ないだろ」

不知火「不知火に何か落ち度でも?」

提督「いや、なんでおるんか聞いとんやけど」

若葉「理由はない」

不知火「強いて言えば暇だから、でしょうか」

提督「…まぁええわ。特に理由ないんやな?」

若葉「ないこともない」

提督「どないやねん」

不知火「ヲ級の件ですよ」

提督「ヲ級?あいつがどうしたん?」

不知火「私は戦力になると踏んで捕獲を指示したのですが…戦闘に出さないとはどういった了見なのかと」

提督「瑞鶴から事情聞いてないんか?」

不知火「聞きました。しかし詳しい理由ははぐらかされたと聞き及んでいますが」

提督「いや、はぐらかしたつもりはないんやけどな。ただな、勝手につれてこられたのに勝手にさようならって訳にゃいかんやろ?それにな、あんな提案してくるっちゅうことは何か事情あるんちゃうか思ってな」

若葉「なるほど、なんとなく理解した。しかしだ」

若葉「なぜ非戦闘要員にする必要がある?」

提督「いやせやからそれは」

不知火「後ろから撃たれるかもしれないという恐怖により戦闘に集中できない、という意見ですが」

不知火「そんなもの私たちが敵ごとまとめて始末すれば解決ですよ」

提督「せやけど…でももし不意に前後から挟撃されたら」

若葉「それでやられるようなら艦娘やめた方がいいだろう。それとも司令官は私たちを信用してないのか?」

提督「そういうわけやない。心配やねん…お前らが怪我すんのも嫌やし、轟沈なんて考えとおないねん…」

不知火「司令官が私達のことを考えてくださってるのは理解しました。それで本当のところどうなんです?」

提督「というと?」

不知火「貴方の真意ですよ。今まで話したワケはただの思い付きでいったこじつけでしょう?」


提督「…まぁええわ。言うよ」

提督「深海棲艦ってさ、戦ってるとこしか見たことないやん?いつも無言で攻撃してくるだけ。俺はてっきり言語を持たへん獣みたいなもんやと思ってた」

若葉「確かに私もそう思っていた」

提督「せやけどそれは違った。あいつらは話せた。しかも同じ言語で。それがなんか新鮮でな、もっとあいつらを知りとおなったんや」

不知火「司令官…」

提督「あいつら戦闘以外ではどうなんやろ、普段どうやって過ごしてんのやろ、そんなん考えたことないやろ?」

若葉「確かにな…」

提督「せやからあえてそういった処置をとったんや」

不知火「…貴方の真意は分かりました。問い質すようなことをして申し訳ありません。非礼を詫びます」

提督「ええよええよ。それよりよう分かったな。俺が理由とは別の真意があること。エスパーかなんかか?」

不知火「違いますよ…ただ、見ていただけです」

提督「見ていた?」

不知火「はい。あなたを…あなただけをずっと…」ヨリソイ

提督「お、おう」タジッ

若葉「司令官!」ダキッ!

提督「おわ!若葉どうしたん?」

若葉「私も司令官を見ていたぞ、ずっとな」

提督「さ、サンキューな」

不知火「司令官…」ギュッ…

若葉「司令官!」ギュッ!

提督「な、なんやこの状況…ありがたいけど」

叢雲「提督いる~?…て」ガチャ

提督「あ」

不知火・若葉「あ」

叢雲「な、なにしてんのよアンタぁぁぁぁぁぁ!!」

チュドーン!



―艦娘と遊戯―

川内「夜戦しよ?」

提督「うん、ようわからんけど何で俺に砲口向けてるん?」

川内「だって…夜戦したいし…」

提督「いや、演習行ってきぃや。俺ができるわけないんやから」

川内「ぶー。つまんなーい」

提督「んなこと言われても…艦娘と戦ったら死ぬっちゅうねん」

川内「え…提督死んじゃうの?」

提督「そりゃ人間やし。砲撃食ろたら跡形もなしに消えてまうがな」

川内「や、やだよ提督!死んじゃやだ!」

提督「いややらんかったら死なんて」

川内「我慢する」

提督「元より人間相手に喧嘩売んなって」

利根「提督いるかの?」ガチャ

提督「よお利根。どないしたん?」

利根「遊びに来た!今暇かの?」

提督「おう。今日の仕事は終わったで。今川内と雑談しとった」

利根「それはまた珍しいのぅ」

川内「夜戦しに来たんだけど…」

利根「執務室にか?」

川内「うん。提督強そうだから…」

利根「できるわけないじゃろうて…」

提督「よう分かっとるな…いや普通か」

利根「それよりの、別のことをやらんか?」

川内「別のこと?」

利根「うむ!実は面白いものを持ってきたのじゃ」

提督「なんやそれ?」

利根「ふっふっふ…じゃじゃん!」バン!

川内「人生ゲーム?」

利根「そうじゃ!懐かしいじゃろ?」

提督「人生ゲームか~。なついな~。学生ん時ようやったわ」

利根「ま、息抜きもかねてやろうぞ!」

川内「やるにしても人数足りなくない?」

利根「むう…確かに」

提督「そう言うことならちょいと待ってな」


北上「提督~来たよ~」

鈴谷「ちーっす。人生ゲームとかなついな~」

提督「おーう」

利根「ほう、これは中々面白い面子じゃの」

提督「まぁな。こないな遊びに付きおうてくれるやつはこいつらくらいやからな」

川内「人数も揃ったし、始めよ」

利根「うむ、準備も整ったし始めようかの」


───────────

北上「あ、また散財だよ~」

鈴谷「ラッキー、2万増えた!」

利根「ふむ、そろそろ家がほしいな」

川内「うわっ、事故った!」

提督「さてと…お、結婚マスやな。嫁はんゲットか」

鈴谷「ゲットって」

北上「結婚か~…そういや提督って結婚とか考えてないの?」

提督「ん?ああ~…今はええかな。出会いないし」

北上「え~。この職場かなりレベル高い子ばっかだよ?」

提督「流石に部下に手は出せへんって。それに、今の生活も楽しくて好きやし」

北上「でもさ、いずれは身を固めないと駄目っしょ?…あ、そうだ。アタシが立候補するよ。提督の妻」

鈴谷「ちょ!」

利根「ほうほう」

提督「マジか。立候補してくれんのは嬉しいな…せやけどなんで?」

北上「提督と一緒にいるの楽しいもん。それに結構息合っててお似合いだと思うんだ~」

鈴谷「ちょい待ち!勝手に話進めないで!ていうかゲームに集中しなよ!」

北上「いーじゃん。こういった機会にしか聞けそうにないし。それで、どうかな提督!」

提督「まぁ北上のことは好きやで。でも皆のことも同じくらい好きやしな~。一人を特別扱いってわけにもいかんやろ」

北上「え~。でも実際提督のこと好きな人ってどれくらいいんのかな。ちなみにアタシは大好きだよ」

利根「吾輩も好きじゃぞ。いつも優しくしてくれるし、甘えられる唯一の存在じゃ」

川内「私も好きかな。ていうかわざわざ嫌いな人に近付こうと思わないし」

鈴谷「わ、私は別に嫌いじゃないケド?…そりゃ好きっていわれたら、す、好きなんじゃないカナっ?」



北上「皆提督のこと好きなんだ~。で、提督どうよ?」

提督「う~ん…でも皆の好きっちゅうのはちょいとちゃうんやないか?」

北上「どゆこと?」

提督「恋人とか夫婦のそれやなくて、家族または友人的な好きなんちゃう?」

川内「ラヴじゃなくてライクってこと?」

提督「家族愛っちゅうならラヴでもええかもしれんけど、まぁそういうこっちゃ」

北上「なるほどね。言われてみればそうかも」

提督「それに、皆が皆俺に好意持っとるわけやないしなぁ。結構嫌われとるし」

利根「そうかの?気のせいじゃないか?」

提督「いや。曙にはクソ呼ばわりされるし、満潮には蹴り入れられるし、摩耶にはウザイ言われるし、叢雲には雷撃撃たれるし、龍田には槍向けられるし…なんもしてへんのになぁ」

川内(この前摩耶が提督の好物聞きに来てた)

北上(龍田さんが提督の上着を恥ずかしそうに抱き締めてたなぁ)

鈴谷(叢雲なんか誰が見てもただのツンデレじゃん)

利根「ま、皆に好かれるというのは難しいことじゃ。そこもこれからの頑張り次第じゃろうて」

提督「せやな~。頑張って信頼関係築いていかんと…おっと上がりやな」

鈴谷「げ、提督一番乗り!?」

北上「ふっふっふ…しかし人生ゲームは金があるものが勝つのだよ」

川内「北上現在最下位じゃん」

北上「それは言わない約束…っておお!?石油堀当てた!…よし、三位まで上り詰めた!」

川内「げ!私最下位!?」

利根「吾輩も上がりじゃ。順位は二位か…提督には及ばなかったの」

提督(…こないして見るとただの少女やな。せやけど皆兵器として造られた…)

提督(平和な現代…戦争こそないけどまだ戦っとる。鎮守府を守るために)

提督(でもいつか、戦わなくて済むような世の中になったら…)

鈴谷「…提督?」

提督(…早く戦を終わらせんと)

北上「やりぃ!一位抜け!」

提督「ちょ、逆転された!?」



─皆、俺の大事な家族や!─

番外編―金剛型四姉妹と提督―

※注意!

これは現行のストーリーのパラレルワールドです。

この鎮守府にはまだ金剛型が1隻もいない設定です。

あと妄想全開なので、キモいと思われたかたはそっと閉じることをおすすめします。



提督「金剛型を四隻そろえよ…?なんやこれ」

瑞鶴「上からのお達しよ」

提督「それはわかっとる。せやなくて金剛型ってなんなん?」

瑞鶴「戦艦の艦級のことよ」

提督「戦艦ね…四隻も揃えんのか…」

瑞鶴「戦艦の中でもわりかし手に入りやすいわよ。南西諸島海域でよく見掛けるらしいし」

提督「後で探してみよか。四隻の名前は…「金剛」、「比叡」、「榛名」、「霧島」、ね…ん?」

瑞鶴「どうしたの?」

提督「いや、おもろい偶然もあるもんやな。学生時代この四隻と同じ名前のやつがおってん」

瑞鶴「同じ名前?」

提督「せや。生徒会に君臨する四人の美少女…四天王とか言われとったな。そいつらの名前が金剛、比叡、榛名、霧島やったんや」

瑞鶴「すごい偶然ね。霧島以外名前っぽいのがいないけど」

提督「確かに。しかも金剛ってやつは帰国子女のハーフでな。一番人気やったで」

瑞鶴「へぇ~…提督さんは誰が好きだったの?」

提督「………いや、俺はあんま興味なかったな。友達とばか騒ぎする方が楽しかったし」メヲソラシ

瑞鶴「…なんで目を逸らしてんのよ?」ジトー

提督「ま、まぁええやんか気にすることないやろ?」

瑞鶴「ま、いいか。それで、探索するの?」

提督「やってみる価値はあるで。上からのお達しやしこなせば何かしらええもん貰えそうやし」

瑞鶴「編成はどうする?」

提督「せやな~…五十鈴、川内、神通、長良、北上、名取でいこか」

瑞鶴「わかったわ。伝えてくるね」ガチャ…バタン!


提督「ふぅ…まさかここでもあいつらの名前聞くことになるとはな…」

提督「金剛、比叡、榛名、霧島…」

────────────


─学生時代─

教師「今日は転校生を紹介する。中々のイケメンだぞ」

マジ?イケメン!タノシミー!ケッ!ヤロウカヨ

教師「さ、入ってくれ」

「失礼します」

イケメン!オーサワヤカ…バクハツシロ

教師「自己紹介してくれ」

提督「兵庫から転校してきました○○です。よろしくお願いします」

パチパチパチパチ

教師「えっと…それだけ?」

提督「は?」

教師「いや、趣味とか特技とかないの?」

提督「え、言った方がいいですか?」

教師「いや、言いたくなかったらいいが…」

提督「いや、そういうわけじゃ…まぁええわ。趣味は麻雀、音楽鑑賞、野球、サッカー、筋トレ、マンガ、ゲーム、釣り、ダンスそれから」

教師「ストップストップ!多すぎないか?」

提督「そうですか?あ、それと特技は人見知りしないことです。以上」

教師「それだけ!?多趣味なのに…」

提督「人間ってそんなもんですよ。特技とかって自分じゃ分からないもんですよ」

教師「いや、確かにそうかもだけど…」

提督「あ!あともうひとつ特技思い出しました!」

教師「なんだ?」

提督「どこででも寝られることです。ではおやすみなさい」

教師「ちょ、ここで寝るな!というかもう授業だぞ!?」

提督「……」

教師「え!?マジで寝てんの!?」

提督「……」グーグースヤスヤ

教師「えっと…」

ネタ…ネテルネ…ドウスンノコレ…

教師「取り敢えずこいつ保健室に運ぶ…お前ら自習な」

ハーイ

───────────

提督「転校初日でやらかしたなあれは。そのおかげで友達が結構出来たけど」

提督「そんときくらいからやな…周りから「提督」ってあだ名つけられたんは」

────────────


友人「お前はこれからこう呼ばれる…提督」

提督「なんで?」

友人「だってお前、転校初日にあんなことするなんて大物過ぎるだろ?だから」

提督「大物やから…提督?」

友人「ああ。まぁ最近ペリーを授業でやったから適当にそっからとっただけだけどな」

提督「さよか…皆聞いてくれ!」

友人「!?」

ナニナニ?テンコウセイノ…ドウシタノ?

提督「俺はこれから提督て呼ばれるらしいわ。せやから皆も提督って呼んでくれ。よろしゅうな」

ハーイ

友人「ちょ、どういうことだよ!」

提督「どうもこうもあるかいな。お前が名付けてくれたんやろ?せやからこの名前を広めるんや。提督ってたいそうな名前に見合うようにな」

友人「マジかよ…」

───────────

提督「それから俺は提督の名に恥じへんようにといろんなことをした。クラスメイトの悩み相談に始まり学校行事でのばか騒ぎ…ええことばっかやないな」

提督「名前は次第に有名になっていった。そしてそれは生徒会の耳に入り…」


「hey!stop、そこの少年!」

提督「あ?」

「あなたが噂のテートク?」

提督「おう、噂の提督やけど…なんや?」

「なんか…冴えない男ネー」

提督「やかましいわ。初対面で失礼なやつやな。てか誰やねん」

「申し遅れマシター!私、金剛って言いマース!」

提督「金剛…なんか強そうやな」

金剛「oh!あなた分かってマスネー!」

提督「意味不」

金剛「そんなことヨリ、今からあなたに生徒会室に来てほしいのデース!」

提督「行かん」

金剛「ガーン!ナゼ!?」

提督「何故もなにも初対面のやつにいきなりどこか分からんとこに連れていかれとおないわ。じゃ、帰る」

金剛「わわ!待ってヨー!」

───────────

提督「これが金剛との出会いやった…それからしつこくつけ回されては生徒会室にこいと言われて…ついに折れたんや。そして行ってみれば…」

───────────

提督「な、なんやここ…」

金剛「生徒会室デース!」

提督「なんやて…どう見ても西洋のお嬢様が住むような部屋やで…」

「あ、金剛さん!」

「お客様ですか?」

「珍しいわね、あなたが客人を招くなんて」

提督「な、なんやぞろぞろと…生徒会メンバーか?」

金剛「yes!私の大事な仲間ネー!皆、この人が噂のテートクだヨー!」

「へぇあなたが…」

「まぁ、爽やかな人…」

「でも頭は悪そうですね」

提督「やかましいわ」

金剛「ま、まぁまぁ落ち着いてヨ。皆、自己紹介してあげテ」


「副会長の比叡です!仲良くしましょう!」

提督「テンションたかっ!!」

比叡「元気が取り柄です!大好きな言葉は「気合」です!」

提督「お前と話すときはテンション合わせたるわ」



「次は私ね…書記の榛名です。取り柄はありませんが、仲良くしてくださいね?」

提督「おお…聖母のようなオーラが…」

榛名「あの…どうされました?」

提督「いや、あんたを見てると癒されるなぁ思て」

榛名「ふふふ、気のせいですよ。私なんか見ても保養になんかなりませんよ?」

提督「いや、なんかもう…こんな嫁さん欲しい…」



霧島「次は私…あーあーマイクチェック…よし。私は会計の霧島です。頭脳ならこの三人には負けないわよ!」

提督「頭良さそうなのは見たら分かんねんけど…マイク付ける意味あるん?」

霧島「気分の問題です。それに、こっちの方が印象付けしやすいじゃないですか」

提督「印象付けされてもなぁ…こんな美少女忘れることないで…」

霧島「ば、ばか!面と向かって恥ずかしいこと言わないでください!」

提督「…は?別になんも変なこと言ってへんけど…」



金剛「そして、生徒会長の金剛デース!」

提督「お前会長やったんか」

金剛「そうデース!一番偉いんデスヨ~」



金剛「取り敢えず自己紹介終わりましたネー。早速teatimeと洒落こみましょうカー」

提督「待てい」

金剛「何ですカー?」

提督「当初の目的は?まさか生徒会メンバー紹介して終わりとかやないやろうな?」

金剛「当然!テートクも一緒にteatimeするんデース!」

提督「はぁ!?なんや特に用ないんやったら帰る」

比叡「残念ですけどさせませんよ」

霧島「一応、生徒会の仕事も兼ねてますから」

榛名「あはは…すみません」

提督「…もう好きにしてくれ」

───────────

提督「彼女らとの出会いが俺の学生生活を狂わせたんや。あの後になぜか生徒会の雑用として雇われてコキ使われたんや…」

提督「金剛に振り回され、比叡と遊んで、榛名に癒されて、霧島に怒られて…いろいろあった」

────────────


金剛「テートク!校庭の水道が壊れたから直してキテ!」

提督「クラシ○ン呼べ!」

比叡「提督!チェスやりましょう!」

提督「よし、コテンパンにしたる」

榛名「提督さん、これ今日の調理実習で作ったドーナツなんですけど…食べますか?」

提督「ありがとう。いただくわ」

霧島「提督!委員会の仕事、またサボったでしょ!?」

提督「知らん!んな話聞いてへん!」

比叡「う…詰んだ…」

提督「相変わらず弱いな~…チェックメイトや」

比叡「ひえぇぇぇ!また負けたぁ!」

榛名「あの…お味の方はどうでしょう?」

提督「めっちゃ美味いわ。流石榛名やな」

榛名「ふふふ…ありがとうございます」

金剛「テートク!次は私が相手になるヨ!」

提督「ふ…また鴨がやってくる」

金剛「威張ってられるのも今の内ネー!」

霧島「まったく…遊んでばっかり」

提督「ええやん。堅いことは言わんことやな」

霧島「一段落ついたら文化祭の材料、買い出し行ってもらいますから」

提督「げ、マジか…」

榛名「良かったら手伝いますよ」

霧島「おっとそうはいかないわ。榛名には各クラスから企画用紙を回収してもらうから、提督には一人で行ってもらいます」

榛名「提督さん、ごめんなさい力になれずに…」

提督「かまへんよ。俺はあくまで雑用やから…お、チェックメイトや」

金剛「ガーン!負けマシター…」

提督「精進しいや。さて、俺は買い出し行ってくるわ。荷物置いとくからよろしゅう」

比叡「また遊びましょう!」

榛名「お帰り、お待ちしております」

霧島「店の方に迷惑かけては駄目ですよ!」

金剛「お土産期待してるネー!」

───────────

提督「楽しくもしんどい日々が続いて、いつの間にか生徒会室は俺にとって第二の家となった。…そして文化祭が迫ったある日。ある出来事がおきた。それは…」

────────────


提督「君は確か1年の村田さんやったかな?悩み相談しに来てた…」

村田「はい…急がしい中来ていただいてありがとうございます」

提督「別にええよ。それで話って?」

村田「あの…私、貴方のことが好きなんです!付き合ってください!」

提督「え、えぇぇ!?」

村田「貴方のおかげで自分に自信が持てるようになって…あの相談以来貴方のことが頭から離れないんです!」

提督「えっと…悪い。いきなりすぎてちょっと混乱しとるんや。せやから返事は保留させてくれ。早い内に返事するから」

村田「は、はい!」



─生徒会室─

提督「」ポケー

金剛「テートク!一緒にteatimeしマショウ!」

提督「いや…ちょっとパス」

金剛「あ…うん。わかったヨ…」

比叡「え、えっと…トランプしませんか?面白い遊びがあるんですけど…」

提督「ごめん…今は無理や」

比叡「は、はい。すみません…」

霧島「ちょっと。一体どうしたんですか?さっきから様子が変ですけど」

提督「あ~…いや、ちょっと考え事をやな…」

榛名「あの…何か悩みがあるなら相談に乗りますよ?」

提督「ん…せやな、誰かに聞いといた方がええかもな…」

榛名「はい!榛名で良ければ相談してください」

───────────


榛名「え…?こ」

金剛「告白ぅぅぅぅぅ!?」

提督「せや…いきなりすぎてビックリした」

比叡「そ、それで返事は!?」

提督「保留した…いきなりで頭がごっちゃになってもうてな…」

霧島「それでどうするんです?答えは出さなきゃいけないのでしょ?」

提督「ああ…俺、断ろうと思う」

金剛「え?どうしテ…?」

提督「俺さ、今は誰とも付き合うつもりないねん…。今は友達と馬鹿やってる方が楽しいし…それに俺さ、実は女性が苦手やねん…」

比叡「え、女性が苦手って…」

提督「いや、友達としておる分にはええんやけど、付き合うとなると…ちょいとな」

榛名「何か過去に嫌な思い出でも?」

提督「…まぁ色々とな」

霧島「聞いてはいけない感じかしら」

提督「別にそういう訳やないけど…」

金剛「…納得いきマセーン」

提督「金剛?」

金剛「テートクは告白してきた女の子の気持ちを考えたことはありマスカ?」

提督「え?」

金剛「テートク、その子はきっとすごく勇気を振り絞って告白してきたんだと思いマース。泣きそうになりながら、断られるんじゃないかという恐怖と諾なわれるんじゃないかという希望で心は締め付けられてると思いマース」

比叡「金剛さん…」

金剛「私は恋をしたことがないからその気持ちを真に理解は出来まセーン。でも、何となく分かるんデース…同じ女の子だカラ。だから、その辺もちゃんと考えてあげて欲しいデース」

榛名「…」

提督「…確かにそうかもな。自分のことばっか考えてたわ…相手のこともちゃんと考える、ね」

金剛「わかったならいいんデス。さぁ、今日は早く帰って答えを考えてきナサイ」

提督「金剛…ありがとうな」

金剛「いいよいいヨ。明日ちゃんと笑顔でここに来るならネ!」

提督「おう!じゃ、今日先に失礼させてもらうわ。また明日な~」

───────────

提督「そして俺は彼女に返事をし、そのあと堂々と生徒会室に行ってやったんだ」

────────────



提督「ただいま!」

金剛「あ!おかえりテートク!どうでしたカ?」

提督「断った」

金剛「え!?」

比叡「ひぇ!?」

榛名「…理由はお聞きになっても?」

提督「…確かに相手の気持ちを考えるのも大事や。せやけど振るのは可哀想ってのもちゃうと思う。情で付きおうても長続きせん…だって俺が彼女を愛せんからな」

霧島「…それでお互いは納得出来たのかしら?」

提督「出来たやろ。向こうは諦めないって言うとるけど。少なくとも俺はできとる」

金剛「そうデスカ…」

比叡「ま、納得出来たのならいいじゃないですか。さ、そんなことよりトランプしましょう!昨日できなかったので!」

金剛「そんなことっテ!」

提督「ええよ金剛。…比叡、面白い遊びとやらを教えてくれ。トランプは好きやからな!」

比叡「分かりました!気合い入れて教えますよ!」

提督「ほどほどにしてな~」

金剛「………」

霧島「金剛さん…いえ、姉様。少しだけホッとしてません?」

金剛「ど、どーシテ?」

霧島「それは貴女が一番分かっているでしょう?」

金剛「…そんなことないネ」

榛名「…金剛姉様、素直になられたらどうです?」

金剛「そ、そういう榛名はどうナノ!?」

榛名「私ですか?…私は凄くホッとしてます。提督さんは取られたくありませんから…」

霧島「あら意外。榛名が恋するなんて」

榛名「私もこんな気持ち初めてですよ。これが初恋でしょうか…」

霧島「しばらく話のネタに困らないわ…榛名の初恋相手は意外な人だった…いけるわね!」

榛名「何がいけるんですか…それに霧島、あなたもでしょ?いつも仕事と託つけて二人っきりになったりして…」

霧島「ちょ、何でバレてっ…じゃなくて!べ、別に私はそういうのじゃなくて…仕事は仕事なんです!」

榛名「素直になればいいのに…」



金剛「あーモウ!勝手にテートク取り合わないデ!テートクのハートを掴むのは私デース!」

榛名「…これは大胆発言ですね」

霧島「そんな大きな声出したら聞こえますよ?」

提督「バッチリ聞いたわ!」

金剛「て、テートク!」

提督「俺から言えるんは…やれるもんならやってみい!やで!」

金剛「むー!そんなこというナラとことんやってやるネー!だから目を逸らしちゃNOなんだからネー!」

比叡「提督、私も頑張ります!」

提督「お前もかい!」

ギャーギャーギャー

霧島「ま、これで丸く収まったわね」

榛名「でも、私達も負けてられませんよ」

霧島「…そうね」フフフ

提督「あ、そうそう榛名、霧島」

榛名「はい、なんでしょう?」

提督「お前らのこそこそ話今の含めて全部聞こえてたからな。お前らの愛もちゃんと届いとるで!」

榛名・霧島「」

────────────

提督「あの二人の顔、今思い出しても笑えるわ!…まさか四人とも俺のこと好いてくれてたなんて思いもせんかった」

提督「それからというもの関係はとくに変わることなく迎えるは文化祭…」

────────────



司会「今年のミスコン優勝者は…金剛さんです!」

パチパチパチパチ!!!

金剛「皆ありがとネー!」

提督(流石金剛やな。四天王言われるだけあるわ)

ウォー!コンゴウサーン!デース!

提督(しかしファンうるさいなぁ)

司会「金剛さん。今の気持ちはどうですか?」

金剛「そうネ…去年は榛名が優勝しちゃったカラ、今年は勝てて嬉しいデース!」

提督(へぇ、去年は榛名が優勝したんや。納得)

司会「そうですか。ならこの勝利は誰に捧げたいですか?」

金剛「その質問は意味がわからナーイので、今回は少し趣向をこらしたいデース」

提督(…なんやろ。嫌な予感が)

司会「は、はぁ。それはいかなるもので?」

金剛「マイクプリーズ!」

司会「は、はい」

金剛「えー、コホン。…ヘーイ!テートク!」

提督(ギクッ)

ザワザワ…テートク?テートクッテアノウワサノ?

提督(さぁて帰ろかなぁ)

金剛「逃げても無駄ネ!覚悟!」

提督「ちょ、なんやお前ら!なんで担いでんねん!まてまてまて!やめろ、壇上まで運ぶつもりか!?…って誰や今殴ったやつ!出てこんかい!…ちょ、マジで待って!」



金剛「テートク!やっと会えたネー!」

提督「ミスコンの前におうたやろ…」

金剛「細かいことは気にしないノ!それより…テートク!」

提督「な、なんや!?」

金剛「私はテートクを愛してマース!」

提督「おまっ!!」

ザワザワ…ナ、ナン…ダト…ミンナノアイドルガ…ナカチャンノファンヤメマス

金剛「だから…私から目を逸らさないでネー!」

提督「こ、金剛…」

霧島「そこまでよ!」

提督「霧島!」

霧島「いくら金剛さんだからといって、そこは譲れません!提督、私も愛してます!」

提督「ちょっと!」

ザワザワ…ザワザワ…

榛名「私もお慕いしております提督さん!」

比叡「わ、私だって提督が好きです!負けませんよ!」

提督「おいおい…」

金剛「モー!こうなったら…逃げるよ、テートク」ガシッ!

提督「え!?ちょ、ちょっと!?」

比叡「に、逃げた!」

霧島「追うわよ!」

榛名「勝手は榛名が許しません!」

提督「助けて~!」

金剛「バァァァニングゥ!ラァァァヴ!」

────────────

提督「…あのあと、学校中の男子に恨まれたのは言うまでもない…大変やった」

提督「文化祭も終わり、楽しい時間は過ぎていって…ついに三年となった俺ら。そして生徒会は引き継ぎの時期になり、そして…」

────────────


金剛「生徒会ももう終わりデスカー…」

比叡「寂しいですね…」

榛名「楽しい時間はすぐに終わりを告げてしまうのですね」

霧島「でも、私達の関係が終わる訳じゃありません。ね、提督?」

提督「ああ、せやな」

榛名「そういえば、提督さんは進路、どうなされるおつもりですか?」

提督「俺か?…実はな、ホンマもんの提督になろうと思ってんねん」

比叡「え…それって」

霧島「海軍に入る…しかも士官として…」

金剛「そ、それってかなり大変なのデハ…」

提督「確かに大変かも知れんな。けど、やっぱ提督ってあだ名気に入っててな。お前らにそう呼ばれてたせいか…この名前は俺と一心同体みたいなもんやし。それに」

提督「意地でも本物の提督になって、クラスのやつ驚かせたろと思ってな」

金剛「なんて適当な理由なんデスカー…でも、嬉しいネー!テートクがテートクで居られるなんて素敵ネー!」

榛名「頑張ってください!私も出来る限りのお手伝いは致しますので!」

霧島「勉強のことなら私に聞きなさい…と言っても、元より貴方は結構勉強が出来るみたいですけど」

比叡「体力を鍛えたいなら私と一緒に鍛えましょう!」

金剛「テートク!頑張って叶えてネ!私、応援してるカラ!」

提督「皆…おおきに!俺、絶対合格したるからな!」

────────────

提督「そして俺はみっちり猛勉強した。あれは何かにとり憑かれとったな」

提督「金剛たちの助けがあったおかげか勉強があんま苦に感じひんかった」

提督「霧島には座学、比叡には体力、榛名には礼儀作法などを教えてもうた。そして金剛にはいずれ役立つやろうと戦闘・戦術の極意やら策略やらを叩き込まれた」

提督「そしてついに試験当日。…テストは霧島のおかげかほぼ満点の自信があった。そして面接では物怖じしない堂々とした態度で挑んだ。…そして数日後、結果が出た…」

────────────


提督「今朝通知が届いてたんやけど…」

金剛「な、なぜ私達のとこに持ってくるネ」

提督「どうせならお前らにも見てほしいんや…一緒に頑張ったからな」

比叡「す、すっごく怖いです」

榛名「榛名も手の震えが止まらなくて…提督さん、手を握っていいですか?」ギュッ

提督「ええって言う前に握ったな…ええけど」

金剛「私も握るネー!」ギュッ

提督「両手塞がった…悪い霧島、通知の封切ってくれへんか?」

霧島「貴方って人は…わかりました。ではいきますよ!」

ビリビリビリ…

全員「…」ゴクッ…

ファサァ…

霧島「結果は…」

提督「!!」

金剛「ご、合格ネ…合格だヨ!」

提督「ああ…ああ!」

榛名「やりましたね提督さん!」

比叡「提督、おめでとうございます!流石私達の提督…」

提督「…でもこれはまだ第一関門や。提督になるにはやはり階級も上げないかん」

金剛「心配ないネー!提督ならすぐに昇進できるよ!」

提督「ああ…頑張るよ!絶対に提督になったる!」

────────────

提督「士官学校に受かった俺はクラスメイトの話題となった。提督が本物の提督に…なんて」

提督「忙がしくも楽しい時間はあっという間に過ぎていきついに…卒業式」

────────────


提督「楽しかった学生生活も終わりやな…」

榛名「ちょっと名残惜しいですね」

提督「色々あったけど…楽しかったわ。皆、ありがとうな」

比叡「てぇぇとくぅ」グスッ…

提督「泣くな比叡。笑顔で去ろうや」

比叡「うぅ…はい!」ニカッ

金剛「でも、提督とは離ればなれになるんですよネー…」

提督「たしかお前らは京都に行くんやったな」

霧島「はい。内定が決まっているので」

榛名「提督さんは横須賀の士官学校に入学なされるんですよね」

提督「せや。だからお前らとは離ればなれになる。…でも今生の別れっちゅうわけやない。会おうと思えば会えるんやから…せやからここで笑顔でさよならしよ」

金剛「テートク…分かったワ!笑顔で別れマショウ!」

比叡「はい!…また、会いましょう提督!」

榛名「榛名たちのこと、忘れないでくださいね?」

霧島「次会うときは女の子複数相手出来るくらいの甲斐性を身に付けておいてくださいね?」

金剛「私達、もっと魅力的になって提督をメロメロにしちゃうカラ、浮気しちゃNOなんだからネー!」

提督「ああ…分かったわ」

金剛「それじゃあ第五十六代生徒会…解散!」

────────────

提督「それからは士官学校に入りがむしゃらに頑張り、首席で卒業した。それからもまた大変で…」

提督「事務仕事をしながらも階級を上げるための近道として社会人個人種目のスポーツ世界大会で優勝ひとつにつき1階級上がるというもんがあって…」

提督「柔道、短距離、フェンシング、水泳などをこなして21にして少佐までに上り詰めた」

提督「せやけど若い上に仕事経験がほぼ皆無で、兵器とかの知識も薄い俺は将校達からは忌み嫌われていた…」

提督「そんな時に舞鶴鎮守府の総督から「うちの鎮守府で指揮を執らないか」というお誘いが来たんや」

提督「どうやら横須賀での扱いが酷い俺に手を差し伸べてくれたみたいで…しかも提督になりたいという願望も知ってたらしく…俺は歓喜して誘いに乗ったんや」

提督「そして今この鎮守府で提督をしている…と」

提督「なんやえらい長い回想やったなぁ…別世界の俺怒っとるんちゃうか」

提督「そんなことより…この鎮守府に来てはや3ヶ月…色々あったなぁ」

提督「結局卒業以来あいつらに会いに行けてないから…忘れられてるかもな


提督「学生時代の友人は皆驚いてたなぁ…名付け親のあいつなんか白目向いてたで」

提督「はぁ…久しぶりに会いたいなぁ…生徒会メンバー元気にしとるかなぁ」

瑞鶴「提督さん、独り言は小声でやりなさい」

提督「ず、瑞鶴!?いつの間に…つうかいつから聞いとった?」

瑞鶴「最後の方しか…」

提督「さよか…それより何か用か?」

瑞鶴「そうそう。新しい艦娘が来たよ。しかも四隻」

提督「えらい多いやんけ」

瑞鶴「近くで漂ってたから拾って来たわ」

提督「さよか。通してええで」

瑞鶴「分かった。…提督の許可を得たわよ。入りなさい」

提督(どんな子が来るのかな…)

「失礼するネ!」

提督(ん?)

「ちょ、姉様!いきなり失礼ですよ!?」

提督(あれ、この声…)

「時には勢いも大切です」

提督(聞き覚えがある…)

「まったく…騒がしいったらありゃしない」

提督(まさか…)

提督「金剛?」

金剛「oh!?私をご存知でしたカ!いかにも私がこん…ご…う…デ」

比叡「金剛姉様?いったいどうし…た…ん」

榛名「え…嘘…」

霧島「まさか…」

金剛型「て、提督(さん)!?」

提督「あ、あはは…久しゅうに…」

金剛「テートク…テートクゥ!!」ダキッ!

提督「うぉっ!金剛…久しぶりやな」

金剛「テートクゥ…やっと会えたネー!」

比叡「うぅ…提督…久しぶりです!」グスッ

榛名「神よ…感謝いたします!」ホロリ

霧島「ちょ、何泣いてるんですか!確かに会えたのは嬉しいですが一応人前ですよ!?」

提督「霧島、涙浮かべながら言うても説得力ないで?」

霧島「っ!!う、うるさい!」

提督「はは…とりあえず一端落ち着こ。聞きたいこともあるし」

────────────




提督「なるほどな…金剛達は艦娘で、立場を隠して学校にいたと」

金剛「yes!…黙っていてsorryネー…」

提督「ええよええよ。…それにしても艦娘にも色々あるんやな」

榛名「…私達は現代に少女として生まれ変わりました…自我を持つものとして。私達の製造者は兵器として改修される私達を見て心を痛めたらしく、せめて青春時代だけは体験させてあげたいと上に打診してくれたらしいんです」

霧島「だからあの当時はなんの武装も積めないただの人造人間として学校に通っていんです」

提督「人造人間って言い方はいただけんけど…なるほど、納得したわ」

金剛「それでテートク…駐在許可の方ハ?」

提督「…悪いがそれは聞けん」

比叡「提督!?どうして!?」

榛名「…やはりいきなり押し掛けて迷惑ですよね?でも、貴方に会えて私達は満足です…だから」

提督「駐在は認めんが、永住は許可する」

比叡「え?」

金剛「それっテ…」

提督「駐在は一定期間しかいないってことやん。俺はもうお前らとは離れるつもりないから。悪いがここで永住してもらう…それでええなら許可する」

比叡「提督!…あ、ありがとうございます!」

霧島「口説き文句としては微妙ですが…まぁギリ合格点としましょう」

榛名「榛名、感激です!」

金剛「テートク!」

提督「なんや?」

金剛「また、迷惑かけるかも知れないケド…」

金剛「よろしくお願いしマース!」

提督「おう!お互い頑張ろうや!」

金剛「ハイ!…バァァァニングラァァァヴッ!!」ダキッ!

提督「うおっ!またか!」

金剛「テートク、愛してるネー!」



金剛型四姉妹と提督~fin~


瑞鶴「あれ、私置いてけぼり?」





~あとがき~

以上、番外編「金剛型四姉妹と提督」でした!

ここでいくつか反省を。

とりあえず…長すぎた!
書いてる途中で「あれ、本編より長くね?」と思い、短くなるように色々工夫(言葉遣いの簡略化や展開の少量化など)したのですが、結局長くなりました…。

本当は修学旅行や学校外での話も書きたかったんですが、それをやると本格的に長くなると思い自重しました(十分長いとか言わない)。

番外編って普通本編のおまけで、短くささっとやるものですが…どうしてこうなった。

あと、金剛型四姉妹の口調と性格が凄く微妙な感じになっていると思います…。

だ、だってゲームじゃ詳しい性格とか分からないじゃないですか(逆ギレ)

だからアンソロジーコミックはほとんど読んでるのでそこからイメージに近いものを応用させたんです(言い訳)。

あと、主人公が万能キャラだとか関西弁で他の地方の方々からしては読みづらくなってたりとか反省することは尽きませんね…トホホ。

万能主人公は書いてて面白いのでやっちゃったZE☆

関西弁なのは、ほら…インパクトが出るじゃないですか。

普通だと面白味に欠けるかなと思い工夫したんですが…どうでしょう?

自分自身関西の人間だから関西弁はあまり新鮮じゃないですが…。

さて、これ以上長くなると本編書き損ねそうなので、そろそろ終わりたいと思います。

作品についての感想、質問等のコメント、メールはいつでも受付ていますので、どんどんしちゃってください(なにもない方がつらい)

あと、作者に向けて言いたいことがあれば遠慮なくどうぞ。受け付けます…お手柔らかにね?

次回からは本編に戻りますのでお楽しみに!ではこれにて失礼します!

再び舞い戻る日常編

―九月姉妹―

提督「やることやったし暇やな~…何かないかな…」

コンコン

提督「ん?どうぞ~」

菊月「…司令官」

提督「お?珍しいやつが来たな。どないしたん?」

菊月「…暇だから来た」

提督「おお、丁度俺も暇してたんや。一人か?」

長月「私もいるぞ」

提督「九月姉妹か」

長月「一纏めにするな」

提督「じゃあうっかり座礁姉とミイラ妹?」

長月「悪意を感じるぞ!それにあの時のはうっかりじゃない!」

菊月「なぜ私はミイラなんだ?」

提督「アメリカに引き上げられたお陰で変わり果てた姿ではあるものの今でもまだ残っとるから。フロリダ諸島て言うたっけ?」

菊月「あれは私であって私でない…私は今ここにいる。それとフロリダ諸島の1つのンゲラスレ島にあるトウキョウ・ベイという湾内だ」

提督「まぁそれはええわ。暇なんやったら出掛けへんか?」

長月「出掛ける?どこにだ?」

提督「どこでもええで。気分転換に出掛けるだけやし。行きたいとこあったらゆうてや」

長月「私は特にないな。菊月は?」

菊月「…私はある」

提督「ん?どこや、言うてみ?」

菊月「…大阪」

提督「大阪か…まぁ近いとは言えんけど行けんことはないな…」

長月「ドライブがてら行くのも悪くないんじゃ?」

提督「よっしゃ、わかった。準備するから待っといて」

菊月「…わかった」

~提督準備中~

提督「さてと、行くか」

菊月「提督の私服姿…」

長月「な、中々良いな…」

────────────



─車内─

提督「そういやどこ行くんや?大阪言うても広いからな」

菊月「…新世界」

長月「新世界!?なんだそのファンタジックな名前は…」

提督「いやいや、そう呼ばれとる場所があんねん。浪速にある繁華街のことや」

長月「何を思ってそんな名前にしたんだ」

提督「流石にそれは知らん…それで、新世界に何をしに行くんや?」

菊月「…通天閣に登りたい」

提督「ほぅ…中々子供らしくて可愛いこと言うやん」

菊月「か、かわっ…!な、なんなのさ…」カァァ

長月「菊月、顔が紅くなってるぞ」

菊月「う、うるさいっ…!」

提督「二人とも可愛いなぁ~」

長月「ばっ…!んなことサラッと口に出すな!」カァッ

菊月「…長月、顔紅いぞ」

長月「い、今のはナシだろ!」

提督「仲良きことは美しきかな…」

────────────
─新世界─

提督「着いた~…久しぶりに来たな~。1年ぶりか?」

菊月「凄いな…これは」

長月「活気に充ち溢れてるぞ」

提督「さて…そうそう。大阪やと結構おばちゃんとかに話し掛けられると思うけど…間違っても司令官とかって呼ぶなよ」

長月「なぜだ?」

提督「見た目小学生の子に提督て呼ばれとる若造がおったら怪しまれるやろ。第一艦娘は機密事項だし」

菊月「…分かった。ならどう呼べばいい?」

提督「せやな~…あ!なら兄妹ってことにしよ。呼び方は兄に通ずるなら自由で」

長月・菊月「兄者」

提督「それはあかん」

菊月「…なぜだ?」

提督「明らかにおかしい。一般的やない。…普通にお兄ちゃんとか兄さんとか兄貴でええがな」

長月「兄貴」

提督「お、性格にあっててええで」

菊月「おにぃ…」

提督「うぉ!ギャップがあってええな!」

長月「そんなことより早く行かないか?人が多くて暑苦しい」

提督「分かった行こう」



─通天閣─

提督「着いたー!…のはええけど、何回も来とるから感動せんわ」

長月「ほぅ…これが通天閣か。何と言うか…長距離観測用の見張り搭みたいだな」

提督「その例えはあんま良くないで~」

菊月「…」

提督「ん?どないしたんや菊月」

菊月「…大阪が一望できる」

提督「せやな~結構遠くまで見渡せるからな。大阪城とかATCとかは見えへんと思うけど」

菊月「…大阪には鎮守府はないのか?」

提督「大阪は鎮守府やなくて警備府やな。阪神海軍部…つまり大阪警備府なら昔あったんや。今はもうないけどな」

菊月「そうか…寂しいな」

提督「そりゃな。戦争終わって必要なくなったし。てかむしろまだある方が珍しい」

長月「ま、それのおかげで私達は出会えたんだ。感謝しなきゃな」

提督「せやな…って長月が珍しくデレたな?」

長月「なっ…!?で、デレてなんかない!」

提督「照れんな照れんな~。さっきのセリフ、皆に聞かせたいなぁ」

長月「ばっ、馬鹿!もう知らん!」プイッ

菊月「…まぁまぁ、落ち着きなよ長月。…さて、次どこに行こうか?」

提督「せやな~…ええ時間やし飯行くか?奢るで」

菊月「ほぅ…オススメはあるか?」

提督「せやな…ならあそこがええな。ほな行くで」

長月「あいよ」

────────────

─定食屋─

イラッシャイマセー

提督「とりあえず定食屋にしたけど良かったか?」

長月「問題ない」

菊月「…異存はない」

提督「相変わらず堅いね~…すんません!注文エエですか?」

~~~~~~~~

長月「このお好み焼き…絶品だな!」

菊月「焼きそば…悪くない」

提督「せやろ?この店は大阪来たら絶対寄る場所でな、穴場やで」

店員「あ、提督さん来てくれはったんや!」

長月「ん?」

菊月「…誰だ?」

提督「おうネーチャン久しぶりやん」

店員「ホンマな。最近来てくれへんかったから寂しかったわ~…およ?そこの可愛い二人は?」

提督「義理の妹でな。長月と菊月言うんや。二人とも、この子は店長の娘さんや。昔色々世話なった人や」

長月「そうなのか。…長月だ。よろしく」

菊月「…菊月だ」

店員「よろしく!…って、義理の妹ぉ?隠さんでエエで。その娘ら、艦娘言うのやろ?」



提督「!?…な、なんで知っとんねん!?」

店員「実は私の親友が呉で提督やってはるんよ。それで色んな話聞いとるんやわ」

提督「いやいやいや!この話は国家機密やで!?外部に漏れたらその子、首だけや済まへんで!?」

店員「まぁばれなきゃええんよ。それに、どっかのとある艦娘が身分偽ってアイドルやっとったらしくてな。その子が全国ネットのラジオ番組で口滑らせたせいで沢山の人に艦娘の存在ばれたみたいやで」

提督「…犯人誰か分かってもうた」

長月「あいつだな」

菊月「…奴しかいない」

店員「まぁその子責任とらされて解体されたらしいよ」

提督「まぁそれはしゃあないわな」

店員「そしてその事件のあと、ネットはお祭り騒ぎになり…東京のとある電気街と日本橋のとある通りがお祭り騒ぎに…」

提督「国家機密ってなんなんやろ…聞いた話とちゃうで」

店員「まぁまだ一部しか知らん事やから。これ以上漏れへん用に注意しろっちゅう話やろ」

提督「さよか…っともう行くわ。ごちそうさん」

店員「もう行くん?もうちょいゆっくりしていきぃな」

提督「いや、これからまだ寄るとこあるから、堪忍な。また近いうちに来るわ」

店員「う~…絶対また来てよ~!せやないとうち寂しくて死んでまうわ」

提督「わかったわかった。じゃ、またな」

長月「じゃあな。また会おう」

菊月「…またな」

店員「またね~」ヒラヒラ

ガラガラ…ピシャッ!

店員「あぁ~…行ってもうた…」

ブーンブーンブーン(携帯マナーモード)

店員「誰や?…はい?」

「ちょっと、どこにいるの!?」

店員「ああアンタか。今実家に帰ってんねん。聞いてへんの?」

「聞いてないわよ!どうせまた勝手に休暇とってんでしょ給料泥棒!」

店員「ガミガミうるさいなぁ。ちゃんと仕事しとるわ。書類整理だけやなく細かい指示も秘書に電話で伝えとるやろ?」

「そういうことじゃないの!」

店員「ならどうゆうことなん?」

「え!?いや…その、だから」

店員「もしかして…うちがおらんくて寂しなった?」

「はぁ!?そ、そんなんじゃないわよ!」

店員「まぁまぁ。こっちも一段落ついたらすぐ帰るわ。せやからおとなしゅう待っといてな」


店員「゙敷波゙ちゃん」

敷波「ほんと…゙元帥゙になったからって調子に乗りすぎよまったく…」


提督「さて、そろそろええ時間やし帰ろか」

長月「そうだな」

提督「で、どうやった?大阪見物は」

菊月「…中々楽しかった」

長月「たまにはこういうのも悪くないな」

提督「さよか。なら適当に土産買って帰るか!」

────────────

─鎮守府─

提督「着いたで二人とも…ってありゃ」

長月「スゥスゥ…」Zzz

菊月「スヤスヤ…」Zzz

提督「寝てもうとる…これだけ見たら普通の子供やな」

鳳翔「あら、提督さん。お帰りなさいませ」

提督「ただいま鳳翔。すまんけど、運ぶん手伝ってくれへんか?」

鳳翔「わかりました。…よいしょっと」

提督「…疲れてたんやな。まぁ初めての土地やからしゃあないか」

鳳翔「どこに行っておられたのですか?」

提督「大阪の方にちょっとな」

鳳翔「あらあら、羨ましいことで」

提督「今度暇なときに一緒に行こか?」

鳳翔「あら、デートのお誘いでしょうか?」

提督「い、いやそない大層なもんやないって」

鳳翔「うふふ、私はそれでもよいのですよ?」

提督「あ、アホなこと言うてんと早よ戻るで!」

鳳翔「うふふ、はい」

────────────

瑞鶴「で、言い訳はある?」

提督「ありません」

瑞鶴「…まったく、仕事サボって駆逐艦二人と遊びに行くなんて、提督としての自覚が足りないんじゃない」

提督「返す言葉も御座いません」

瑞鶴「…私も呼びなさいよ」

提督「?なんか言うたか?」

瑞鶴「!?な、何もないわよ馬鹿!」



―居心地―

提督「そろそろ第二艦隊が演習から帰ってくるな…迎えにいくか」


─停泊所─

提督「おお、帰ってきたか。お疲れ」

五十鈴「お疲れ…じゃないわよ!」

提督「うお!?いきなりなんや!?」

五十鈴「もう嫌よこの編成…!」

提督「なんでぇ?別に因縁あるやつなんかおらんやろ?トラウマ掘り起こすような編成しとらんがな」

五十鈴「居心地が悪いのよ!ノイローゼになるわ!」

提督「はぁ?第二って確か…」

五十鈴

不知火

若葉

菊月

長月

提督「居心地悪いか?」

五十鈴「アンタ趣味で組んだでしょこれ!なんで刺々しいやつばかりいんのよ!」

提督「刺々しいか?皆ええ子やで」

五十鈴「あれが!?あんなに尖ってる連中そうそういないわよ!?」

提督「いや尖ってはないやろ。…多分あんまり交流ないからやろ。ええ機会やし親睦深めぇや」

五十鈴「ちょ、マジで言ってんの!?頭イってんの!?他の艦隊の軽巡と変えなさいよ!」

提督「最初の部分ラップみたいやな。…残念、他の艦隊既に遠征行ってんの」

五十鈴「…really?」

提督「yes」

五十鈴「…」

提督「…」

五十鈴「帰ってくるまで待つわ」

提督「そうは問屋が卸さへん!」

五十鈴「何、やる気!?」

提督「上司に砲口向けんな!てかそこまでするほど嫌なんか!?」

五十鈴「アンタはあの苦労を味わうべきだわ!」

提督「…俺があいつらと過ごすんか?」

五十鈴「ええ。私が監視してアンタは1日あいつらと過ごすのよ。他の艦娘の邪魔が入らないように私が事前に話をつけるわ」

提督「そこまでせんでええやろ…」

五十鈴「念には念を、よ。さて、早速あの五人以外に話つけてくるわ!」

提督「ちょ!…行ってもうた。なんでこないなことに…」


─執務室─

提督「霞はともかく、他の四人とは普通に話したけどなぁ…まぁええわ」

コンコン

提督「どうぞ」

不知火「失礼します」

提督「おお不知火。来たか」

不知火「何か用でも?」

提督「まぁ用は特にないんやけどな…他の連中は?」

不知火「後で来ると申してました。…それより、用がないのに何故呼ぶんです?」

提督「ああ、ただ雑談でもしようかと思てな。…迷惑やったか?」

不知火「いえ、むしろ嬉しいです」

提督「さ、さよか…とは言ったものの、改めて話すことってなんやろな」

不知火「さぁ?」

提督「うーん…不知火って趣味とかあんの?」

不知火「趣味ですか?…読書とか音楽鑑賞でしょうか?音楽聴きながら本を読みますね」

提督「ほぅ…どんな本読むん?」

不知火「『静かなる○ン』とかでしょうか」

提督「漫画かい!しかもチョイスが渋い!」

不知火「小説も読みますよ?『殺○という名の○畜』とか」

提督「古い!てかなんでハードボイルド!?」

不知火「憧れるじゃないですか」

提督「君女の子やんな!?」

提督「…まぁええわ。音楽は何聞くんよ?」

不知火「…『広末○子』ですかね」

提督「広○涼子!?お前広○聴きながらハードボイルド読んでんの!?」

不知火「他にも『H○steric Bl○e』とか『SUPE○CAR』とかも聴いてますね」

提督「古いし地味やな!ヒス○ルはまだしもスー○ーカーは分からんやろ!」

提督「…変わった趣味でもないのにものごっつ納得いかへん」

不知火「不知火に何か落ち度でも?」

提督「いや…変な偏見持っとる俺が悪いから気にせんといて…」

不知火「?」



提督「しばらく雑談してたら不知火が用事を思い出したと言って帰った」

提督「こんなんでええんか?五人と過ごすのが目的やなかった?」

五十鈴(カンペ)『形はどうであれあいつらに関わっていればよし』

提督「それならええわ…ところでなんでデスクの下に隠れとるんや?」

五十鈴『アンタだけに見える場所がいいじゃない』

提督「いや、別に隠れんでもええやろ。一緒に雑談でもしたらええやん」

五十鈴『それじゃ意味ないわ。あくまであいつらとアンタが過ごしているところを見るんだから。アンタになら本性さらけ出すんじゃない?』

提督「うーん…納得いかんけど、まぁええか…」

コンコン

五十鈴『お、来た来た!んじゃ、引き続きよろしく!』

提督「はぁ…どうぞ~」

長月「邪魔するぞ」

提督「邪魔するなら帰って~」

長月「あいよ~…て、なんでそうなる!」

提督「そこは『なんでやねん!』やろ」

長月「知らん!…で、何の用だ?」

提督「いや、適当に雑談でもしようかとやな」

長月「雑談?…そ、それは私と一緒にいたいってことか?」

提督「ん?まぁそうなるな」

長月「!!…そ、そうか///」カァ

提督「どないしたん?顔赤いで?」

長月「う、うっさいロリコン!お前のせいだ!///」

提督「なんで!?俺変なこと言うた!?」

長月「自覚ないのか!?///」

提督「いや…俺はただ素直な気持ち言うただけやけど?」

長月「~~ッ!!もう知らん!帰る!///」

提督「ちょ、気ぃ悪ぅしたなら謝る!すまん!」

長月「うるさい!帰る!」バタン!

提督「あ!…あちゃ~怒らせてもうたか…」

五十鈴『ベタな台詞にベタな展開ね…つまらないわ』

提督「いや、つまるつまらんの問題やないねん」




提督「さて、次は誰が来るんやろ…」

五十鈴『アンタ、今の状況楽しみ始めてない?』

提督「気のせいやない?」

五十鈴『そ。…あ、次が来るわ。備えなさい』

提督「なんでわかるん?」

五十鈴『乙女の感よ』

提督「言い回し古~…」

五十鈴『やかましいわ!』ゲシッ!

提督「いった!おまっ!」

コンコン!

提督「っと。どうぞ!」

菊月「失礼する…」

提督「おっす菊月」

菊月「…用件は?」

提督「用はない。ただ雑談したかっただけや」

菊月「そうか…」

提督「ちゅうても改めて話すことってなんやろな…」

菊月「司令官…」

提督「ん?」

菊月「司令官は…好きな人はいるのか?」

提督「へ?」

五十鈴(!!?)ガタガタッ

提督「ちょっ!」

菊月「ん?…誰かいるのか?」

提督「い、いや、多分ネズミやろ」

菊月「にしては音が大きかったような…」

提督「そ、そんなんええから…そや!好きな人やろ?せやな~おるっちゃおるな!」

五十鈴(!!??)ガタタンッ

菊月「…やっぱり誰か…いや、それはいい。…司令官には想い人がいるのか」

提督「あ~そうゆうんとはちゃうな。俺は家族や鎮守府の皆が好きやってことを言ったんやけど…誤解生んだんやったらすまん」

五十鈴(な、なんだ、そういう意味だったのね…ビックリした)ホッ

菊月「…そういうことか。なら想い人と呼べる者はいないんだな?」

提督「せやな~今はそんな余裕ないしな…それにこれは北上達にも言うたことやけど、皆とおる今の時間が一番楽しいからな」

菊月「…そうか」

提督「おっと、つまらん話聞かせてもうたな…逆に聞くけど菊月には好きな人おらんのか?想い人みたいなの」

菊月「私は…艦娘だから…」

提督「アホ。艦娘やからって恋愛したあかんなんてことはない。気持ちを押し殺すようなことはすんな」

菊月「そ、そうか…そうだな、私の想い人は…」

提督「お、誰や誰や?」

五十鈴(あ、これ嫌な予感しかしない)


菊月「…司令官だ」

提督「…………………え?」

菊月「だ、だから、そのっ…司令官、だ///」

提督「えっと…もしかして…俺?」

菊月「…///」コクッ

提督「あ~うん、えっと…一言ゆうとしたら…意外やな」

菊月「そう…か?」

提督「ああ…金剛姉妹とかからいつも言われとるから慣れたもんやなとか思っとったけど…今ごっつビックリしとる」

菊月「…///」

提督「まぁその…あいつらにも言うたけど俺はまだ誰とも付き合うつもりない。今が楽しいからな。鎮守府の仕事が完全に落ち着いて皆が退役したとき…改めて話させてもらうわ」

菊月「司令官らしいな…私はそれでかまわない…ま、そこで隠れているやつは納得していなさそうだが…」

提督「へっ?」

五十鈴「……………」

菊月「…まぁいい。私は戻る。またな司令官…そこで隠れているやつも」ギィ…

提督「あ、ああ…」

菊月「司令官」

提督「ん?」

菊月「」チュッ

提督「!!?」

菊月「…今はまだ頬だけだが…いずれ唇も奪ってやる」バタン!

提督「……………」ホホサスリ

五十鈴「…ロリコン」ボソッ

提督「違う!断じて違う!」

五十鈴「…叢雲にLINEしよ」

提督「やめい!洒落ならんからやめい!」

五十鈴「…まったく」

提督「今のは予想外の出来事が起きただけや…つかお前カンペは?」

五十鈴「書くの面倒いのよ。しゃべった方が楽」

提督「そらな」

五十鈴「…あのさ、提督は…やっぱりああいう子がいいの?」

提督「へ?」

五十鈴「い、いや!なんでもないわ。忘れて」

提督「さよか…」

五十鈴「…」

提督「…五十鈴も十分魅力的やで」

五十鈴「へっ?」

提督「さてと…あと二人、気ぃ引き締めていこか!」

五十鈴「…ええ!」



────────────

提督「と、言ったものの中々けぇへんな…」

五十鈴「確かに…」

不知火「」モグモグ

提督「あと不知火が帰ってきた」

五十鈴「しかも饅頭食べてる…」

不知火「ひはふひひはひはほひほへほ?(不知火に何か落ち度でも?)」

五十鈴「食うか喋るかどちらかにしなさい。行儀悪いわよ」

不知火「んくっ…不知火に何か落ち度でも?」

五十鈴「いや言い直さなくても良いわよ…で、なんで来たの?」

不知火「不知火はただ提督とお茶でもしようと思っただけよ。貴女に用はないわ」

五十鈴「あっそ。ま、いてもいいけど邪魔しないでね」

不知火「言われなくても」

提督「…なんか机の下で女の子二人が隠れて会話してる光景ってシュールやな」

バァン!

提督・五十鈴「!?」ビクッ

若葉「遅れてすまない司令官!」ズサァー

提督「ちょ、入ってきていきなり土下座!?意味わからんわ!」

若葉「呼び出しが掛かっていたと言うのにすぐに応対できないとはこの若葉、一生の不覚っ…!末代までの恥だ!」

提督「いやいやいや!別にただ雑談しようと思って呼んだだけやから気にせんでも─」

若葉「もしこれが緊急召集ならおしまいだった!…腹を切ろう」

提督「待て待て待て!ナンデ!?ハラキリナンデ!?アカンで!兄ちゃんそんなこと許さんからな!」

若葉「でも…」

提督「でももニモもあらへん!現代に腹切りの文化はない!てかなんで今日そんなに侍チックなん!?」

若葉「最近時代劇にはまっているんだ」

提督「あ、そうなんや」

五十鈴(一瞬で正気に戻ったわね)

若葉「やはり忠臣蔵はカッコいいな…憧れる」

提督「憧れる対象間違えとるがな」

若葉「カッコいいじゃないか!…吉良上野介」

提督「え、そっち!?大石内蔵助とか堀部安兵衛とかやないの!?」

若葉「あのあくどいキャラがなんとも言えなくて好きだ」

提督「ま、まぁ人の感性はそれぞれやからな」


提督「しばらくやつの時代劇トークに付き合わされた」

提督「満足そうに部屋を出ていったアイツはごっつ幸せそうな顔をしとった」

提督「かわええなぁ…」

五十鈴「やっぱりロリコン…」

提督「やかましいわ」

不知火「不知火では駄目だということでしょうか?」

提督「何が!?」

コンコン

不知火・五十鈴「」サッ

提督「毎度のごとく隠れんの速いな…どうぞ~」

霞「…」

提督「おっす霞。元気か?」

霞「何の用?」

提督「別に用はない。ただ雑談しようと思てな」

霞「ふーん…」

提督「霞は…せやな、趣味とかあるんか?」

霞「そうね、水棲生物の観賞かしら」

提督「へぇ~。なんか飼ってんの?」

霞「ヒョウモンダコとかウミヘビとかかしら?」

提督「怖っ!なんで毒持ち!?」

霞「毒を持ってる生物ほど可愛いのよ。あと、スベスベマンジュウガニとか…毒性の強いので言ったらマウイイワスナギンチャク 、ゴウシュウアンドンクラゲ、ハブクラゲ、アンボイナガイとか…」

提督「え、暗殺でもすんの?」

霞「しないわよ。ただ毒持ちが好きなだけ」

提督「まぁペットは飼い主に良く似るって言うしな」

霞「まるで私が毒々しいみたいじゃない」

提督「みたいやなくて、まるっきりそうやん」

霞「チェストォ!」ドゴッ

提督「ブベラッ!?」アベシー

霞「私は正真正銘無毒…でしょ?」

提督「毒はない…ただ触れると怪我する…」

霞「とにかく!毒持ちは可愛いの!ヒョウモンダコとか手に乗せたら絡み付いてくるのよ!」

提督「いや、ヒョウモンダコは手に乗せたらアカンで!?噛み付いて牙から毒を注入して殺すのがやつのやり方やからな!?」

霞「艦娘に毒は効かないわよ」

提督「あ、そうか」


────────────

五十鈴「…さて、五人と今日1日過ごしてもらったわけだけど」

提督「疲れた…ま、皆ええ子やったってことで」

五十鈴「…あいつらの意外な一面が見れたわ。てか私に対しての態度と凄い差を感じるわ…」

提督「ま、その辺は交流の差ってやつやな。もっと親睦深めりゃあいつらも心開いてくれるわ」

五十鈴「そうね…だけど編成は見直してね?」

提督「善処するわ。…そういやホンマにアイツら以外けぇへんかったけど…他の連中になに言うたん?」

五十鈴「ああそれね。「今日1日執務室に入らなかったら提督が間宮アイス奢る」って言ったわ」

提督「ちょ、おま」

五十鈴「皆チョロいわね。アイス一つで大人しくなるもの。まぁ金剛とか千歳とかはアイスよりアンタの方が大事だったみたいだけど」

提督「アイツら…」ジーン

五十鈴「食い下がってきたけど、「提督の添い寝」という魔法の言葉で一撃轟沈だったわ」

提督「oh…」

五十鈴「ということで、後はよろしくね、提督♪」

提督「ああ…結局俺は貧乏くじかいな…てかこれって何の目的の企画やったっけ?」

五十鈴「さぁ?忘れた」

提督「はぁ…不幸や」

────────────次の日

五十鈴「ちょ、何よこの編成!?」

提督「ん?なんや?」

五十鈴「アンタってやつは…私のことそんなに嫌い!?」

提督「なにがやねん。文句言うからメンバー変えたったやろ」

五十鈴「だからってこれ…嫌がらせじゃん!」

提督「何が不服なん?確か今回の第二艦隊は…」

阿賀野

矢萩

能代

天龍

龍田

五十鈴

提督「別に普通の軽巡艦隊やん」

五十鈴「胸部装甲の厚みが違うのよ!」

提督「は?…あぁ成る程」

五十鈴「成る程、じゃないわよ!何?貧乳いじめて楽しいの!?」

提督「いやマジでそんなん考えてへんかった。…まぁ大丈夫や。お前はまだ未来がある」

五十鈴「気休めの言葉なんていらん!同情するなら胸をくれ!」

提督「胸て…いやマジでお前は未来あるで。改二になったらボンキュッボンやで」

五十鈴「嘘おっしゃい!もういい!こうなったら熊野達と夜まで飲み明かしてやるんだからぁ!」(ジュースだけど)

提督「…まぁええわ。いずれ分かることやし」



―日常―

時雨「はぁ…」

叢雲「なに溜め息ついてんのよ?」

時雨「ボクってさ…魅力ない?」

叢雲「は?」

時雨「…ボクがこの部隊に来たのってかなり最初の方だったよね?」

叢雲「まぁそうね。ドロップで一番最初に来たはずよ」

時雨「ドロップて…メタいなぁ」

叢雲「私としたことが…失言したわ」

時雨「まぁいいけど…それでさ、古参のはずなのにボクはずっと遠征組の旗艦…嫌われてるのかなぁ」

叢雲「そんなことないでしょ。それに、今はまだ海域突破の時期だからね。…いずれ演習に駆り出されるわ」

時雨「そうかなぁ…」

叢雲「その内分かるわよ。もしそうなったら遠征旗艦は私が請け負うから心配しないで」

時雨「そんな、悪いよ。君だって出撃したいでしょ?」

叢雲「別にいいわよ。戦わないことに越したことはないし。…戦うことが全てじゃないって教えられたから」

時雨「ボクたちは兵器だよ?」

叢雲「でも今は人と同じ肉体と思考を持つ生き物よ。…だから提督は私達を兵器として見ないの。1人の女性として見てる。…だから提督は私にそう言ったのでしょ」

時雨「人間って分からない…」

叢雲「ええ、分からないわ」

時雨「でも、悪い気はしないよ…むしろ嬉しい」

叢雲「不思議ね、ホント…」

時雨「うん、凄く良い会話の途中で悪いんだけど…」


天龍「おら木曾ぉ!今日こそ決着つけるぞぉ!」

木曾「望むところだぁ!吠え面かかせてやる」


叢雲「もうちょっと空気読めよ!」

天龍・木曾「うるせぇ!邪魔すんな!」

叢雲「アンタら仲良いでしょ!?」

時雨「まぁまぁ落ち着きなよ皆…それに静かにしないと」


時雨「今午前の5時だよ?」

木曾「知ったこっちゃないね。これは二人の対決だ。他人は関係ない」

天龍「ああ。寧ろ早起きできるから、いい目覚ましになるんじゃないか?」

叢雲「うん。でも指摘された途端声ちっさくなったね。気を使う辺りが優しいね」

時雨「でもこの時間司令官起きてるんじゃないかな?迷惑掛けたら怒られちゃうよ?」

天龍「よし、一時休戦だ」

木曾「まぁ仕方ない。また後でだ」

叢雲「提督の名前でただけでこれ!?従順か!」

天龍・木曾「軽巡だっ!!」

叢雲「喧嘩するほど仲がいい!!」

時雨「いやだから静かにしなよ…あと重巡じゃなく従順ね」



─風呂場─

赤城「むむむ…」

加賀「どうかしました?赤城さん」

赤城「はぁ…体重また増えてるわ」

加賀「日頃の食べ過ぎが原因でしょう。食事を制限してみれば?」

赤城「うぅ…それじゃあもたなくなります…」

加賀「燃費悪いですね…なら運動するのはどうでしょう?痩せますよ?」

赤城「でも動いた分お腹空きません?」

加賀「大丈夫です。運動した直後は食欲無くなりますし、胃も縮小して食べる量も減りますよ…」

赤城「詳しいですね。やったことがあるんですか?」

加賀「そ、そんなわけないじゃないですか…」

赤城「そうですか…うーん、でもするにしても良い運動が…」

加賀「走ればどうでしょう」

赤城「艦娘が走ってもねぇ…あ、いいこと思い付いた!」

加賀「なんですか?」

赤城「夜、提督のベッドに「そこは譲れません」…」

加賀「あ…」

赤城「加賀さん…まさか提督と?」

加賀「いえ!まだ未遂です!処女です!」

赤城「その弁解もどうかと思います」

加賀「ええい!うるさいだまれ暴食オカン!」

赤城「何故罵倒!?あとアンタの方が資材食っとるがな!それにオカンゆうな!空母って言いなさい!!」

加賀「虹背景(笑)」

赤城「ぐっ…言い返せない!」


※余談ですが作者は一度赤城を轟沈させました
( ̄∇ ̄*)ゞ



阿武隈「う…」

潮「どうしたの?…あ」

北上「…」

阿武隈「…」

大井「またか…」


北上「…何?」

阿武隈「アンタなんかに用なんてないわよ」

北上「逆恨みの上に悪態つくなんて、たかが知れてるわ」

阿武隈「うぐっ…!」


大井「毎度ごめんね潮ちゃん…」

潮「いえ…向こう行っときます?」

大井「そうね…気が済むまでやらせる方がいいかも」

北上「ま、所詮長良型のお飾りだね」

阿武隈「言わせておけば…アンタなんか大戦中ちっとも活躍してないじゃん。改装されてもお飾りのアンタとは違うのよ」

北上「ぐっ…!でも今はアンタより需要あるから!」

阿武隈「モブ顔のくせによく言うわ」

北上「こいつっ!…アンタなんか見た目と声合ってないじゃん。その見た目でロリ声とか…何狙いよ?」

阿武隈「声変わりしないのよ!…アンタこそ、改装したって同じポーズ…スカートなのに片膝立てて、恥じらいないの?挙げ句の果て改二で中破したら白パン見えるじゃん。何狙いなの?」

北上「ちぃっ!…改装してもデザイン変わらないアンタに言われたくない!」

阿武隈「ぐはっ!」

北上「それに何あのポーズ?神砂○意識してんの?ワ○ウなの?風感じちゃってんの?」

阿武隈「それは禁句…私怒ったよ?」

北上「ほぉ…やるか?」

阿武隈改LV26「…」

北上改二LV54「…」

北上(海戦じゃ私の余裕勝ちね。先制魚雷で一撃だ)

阿武隈(海戦じゃ勝ち目がない…なら!)

北上「ほら、さっさと来いよ」

阿武隈(まず胸ぐらを掴む!)

北上「ちょ、なに?」

阿武隈(そして!)

北上「!?」

阿武隈(頭突き!)

北上「ぐはぁっ!」ゴンッ!

阿武隈「あいたっ!」ガンッ!

北上「ぐ…う…」バタリ

阿武隈「や、やったの?私…勝った!?やったー!私の勝ち─」



大井「…北上さんを傷つけるの…誰?」ゴゴゴ

阿武隈「へ?」

潮「ごめんなさい…止められそうにないです」

阿武隈「えっとぉ…大井さん?」

大井「…Let's party Ready?」

阿武隈「イ、イエア」


ドドドド! バーン! チュドーン! アーレー! ヒャァァァ!? ヒャッハー! ナカチャンダヨー! ヒエー!



足柄「私…いつになったら結婚出来るのかしら」

衣笠「飢えたOLさん…」

足柄「飢えた狼よ!」

衣笠「…結婚ねぇ…私とは無縁だなぁ」

足柄「そうでも無いわよ?貴方だっていつか悩む日が来るんだから」

衣笠「いや…私は提督の側にいるのが幸せだし」

足柄「アンタねぇ…もし戦いが終わって提督が誰かと結婚したらどうするの?それでも側にいるつもり?」

衣笠「もちろんよ!」

足柄「いや、それじゃただのお邪魔虫よ?」

衣笠「別に寝取ろうとか考えてないわよ。私は提督の友人として側にいる。そうすればいつまでも彼を見続けてられるでしょ?」

足柄「こりゃ重症ね…第一何でそんなに提督にこだわるの?」

衣笠「え、むしろ何で足柄は提督が嫌なの?」

足柄「別に嫌じゃないわよ。…ただ競争率が高いから手を出せないだけで…」

衣笠「…足柄は美人だから結婚しようと思えば出来るじゃん。なのに誰ともくっつかず未だ処女…」

足柄「やかましいわ!アンタだって処女でしょ!」

衣笠「私は提督に捧げるから。…で、誰とも付き合わないってことはさ、少なからず足柄も提督を諦めてないってことでしょ?」

足柄「はぁ!?私は別にあんな粗チン野郎のことなんて…」

衣笠「粗チンて…きついツンデレね…」

足柄「誰がツンデレ重巡よ!」

衣笠「それは別の型よ…で、足柄は提督LOVE勢でいいんだよね?」

足柄「何その勢力!?知らないんだけど!?」

衣笠「足柄はもっと自分から押していかないと」

足柄「え、無視!?…まぁいいわ。押すも何も提督にそんなに魅力は─」

────────────

提督『おはよう足柄。今日もええ天気やな』

提督『足柄、ようやった!お前のお陰や!』

提督『こら足柄。女の子やねんから恥じらいもちなさい』

提督『お疲れ足柄。今日はゆっくり休みや』

提督『足柄』

提督『足柄!』

提督『足柄…』

提督『足柄♪』

────────────

足柄「提督…」

衣笠「乙女だねぇ…」

足柄「ばっ!今のは違うわよ!」

衣笠「え~?何が違うの~?」

足柄「いや、だからこれは!」

衣笠「『足柄、乙女プラグイン実装なう』っと」

足柄「こらっ呟くな!」

衣笠「ふふふ…青葉にLINEしてやったわ!」

足柄「この鬼畜!悪魔!鬼!外道!淫乱!色情魔!」

衣笠「なんとでも言うがいい!」

足柄「広島カープ!」

衣笠「衣笠違いよそれは!」



瑞鶴「翔鶴姉!」

翔鶴「あら瑞鶴…どうしたの?」

瑞鶴「桃鉄しよー!」

翔鶴「てぇぇぇとくぅぅぅ!!瑞鶴がいじめるぅぅぅ!!」

提督「瑞鶴…たった一人の姉やねんから大事にしぃや」

瑞鶴「え、私が悪いの!?」

提督「そんな運に左右されるゲームやなくても…」

瑞鶴「誘われたから翔鶴姉も一緒にと思って」

提督「誰に誘われたんや?」

瑞鶴「雪風」

提督「なん…やて!?」

翔鶴「う、うわぁぁぁぁん!!」

瑞鶴「何で大泣き!?」

提督「そりゃそうやろ…よりにもよってしにがm…豪運艦かいな…」

瑞鶴「あ、でも大丈夫!他にやる娘もいるし!」

提督「誰や?」

瑞鶴「時雨」

翔鶴「」

提督「翔鶴!?しっかりせい!翔鶴ぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

瑞鶴「えっ!?一体全体どうしたの!?」

提督「見事なまでのオーバーキル…瑞鶴お前、知っとってやってへんか?」

瑞鶴「な、なにがよ」

提督「うぅ…無自覚は時に大きな罪となりゆる…瑞鶴!」

瑞鶴「は、はい!」

提督「桃鉄やるんやったら陸奥を誘いなさい。やつなら笑顔で参加してくれるわ」

瑞鶴「でも…」

提督「翔鶴は見ての通り心が大破でストレスがマッハや。アッパーなテンションのシチュエーションやねん。心は躍らけど。やから…」

瑞鶴「分かった…失礼したわ」


テコトガアッテナ… モウナガトッタラ… ムツサーンイッショニモモテツ… キャー! ドンガラガッシャーン! ム、ムツゥゥゥゥ!!!


提督「すまん陸奥…今度間宮おごったるからな」

翔鶴「だ、大丈夫なんでしょうか?」

提督「お、生き返ったか。…まぁ大丈夫やろ。陸奥は丈夫に出来とるし」

翔鶴「…提督」

提督「なんや?」

翔鶴「私…もっと幸運になりたいです」

提督「妹が気になるんか?」

翔鶴「はい…私が不幸体質なせいで瑞鶴にも迷惑が掛かってると思うので…」

提督「いや、それはないで」

翔鶴「どうして?」

提督「瑞鶴が幸運なのは翔鶴が不幸を受け止めとるからな」

翔鶴「あぅ…」

提督「形はどうであれ妹は守れてると思うで」

翔鶴「そうですね…よし!また頑張れる気がします!」

提督「さよか…俺も陰ながら応援してるわ」

翔鶴「ありがとうございます。…早速扶桑さんにも声を掛けますね」

提督「いや、あそこの姉妹は両方不幸やから傷口抉るだけやで」



提督「そこでな、まるゆを大量生産して近代化改修に回せ」っちゅう話が来た。どうやら運気が上がるらしいわ」

翔鶴「まるゆ?」

提督「大型建造で出来る陸軍潜水艦や」

翔鶴「大型建造!?そんな大層なものを…」

提督「心配せんでええ。アクティブデコイやし」

翔鶴「え、でも今陸軍潜水艦って「細かいことは気にすんな」…は、はぁ」

提督「さっそく建造して改造を繰り返すわ」

翔鶴「い、いいんですか?私一人のために…」

提督「どうってことないで。俺にまかせとき」

翔鶴「ありがとうございます」



────────────

提督「こちらに大型建造ドックがあります」

翔鶴「大きい…」

提督「そしてこちらが完成した「まるゆ」×40でございます」

翔鶴「3分クッキングですか!?」

提督「ちなみに全て改造済みでございます」

翔鶴「…資材大丈夫ですか?」

提督「野暮なことは聞かんといてくれ…」

翔鶴「あっ…(察し)」

提督「そんじゃま、近代化改修やろか」

────────────

提督「どうや翔鶴?何か変わったか?」

翔鶴「いえ…まだ実感が湧きません」

提督「うーん…まぁいずれ分かるやろ。今日は疲れたし下がってもええで」

翔鶴「分かりました。何か分かったら報告します」

提督「よろしゅうたのんますわ」

────────────

翔鶴「第一艦隊帰投しました」

瑞鶴「うぅ…」

提督「お疲れさん。…うぉ!瑞鶴、派手にやられたな。お前としたことが珍しい」

瑞鶴「あんなに敵艦の集中放火を浴びたの初めてよ…次会ったら叩きのめす」

提督「お、おう…とりあえず入渠してき。目のやり場に困る」

瑞鶴「はい…」バタン


翔鶴「瑞鶴…大丈夫かしら」

提督「翔鶴、お前は珍しい無傷やな。しかも全戦闘MVPやん」

翔鶴「はい。何故だか今回の出撃、一度も砲撃が飛んでこなくて…」

提督「ほほう。やはり近代化改修のお陰やな。ここに来て効果が出たか」

翔鶴「改装は偉大ですね」



────────────
─しばらくして─

翔鶴「第一艦隊帰投しました」

瑞鶴「…」

提督「お帰り…て、瑞鶴。最近やけに被弾しとるな?どないしたん?」

瑞鶴「分からないわ…どの攻撃も私に集中して当たるのよ…まるで端から私だけを狙ってるかのごとくね…」

提督「やはり幸運艦やから向こうも対策しに来たんやろ…手強いな」

瑞鶴「とりあえず…お風呂入るね」

提督「おう、しっかり休めよ」


翔鶴「提督…」

提督「みなまでゆうな…間違いなく翔鶴の運が瑞鶴の運を上回ってる。やから翔鶴が受けるはずの攻撃も全部瑞鶴に流れてるんや」

翔鶴「どうしましょう…このままだと瑞鶴は…」

提督「翔鶴と瑞鶴。お前らは別の艦隊や」

翔鶴「…やはり、それが一番適切なんでしょうか」

提督「どうやろうな…しばらく様子見や。翔鶴は第一艦隊に残って出撃。瑞鶴は第二艦隊で支援部隊や」

────────────

提督「それからというもの翔鶴は出るたびに毎回無傷で帰ってくる。その分周りはボロボロで、入渠が間に合わなくなったりした。そして」


翔鶴「幸運の女神が微笑んでくれました!」

瑞鶴「何で私ばかりこんな目に…」

提督「まさかの立場逆転。まるゆ恐るべし」


扶桑「まるゆを食べれば…」

山城「私も…」

ゴゴゴゴゴ

まるゆ「!?」

まだまだ続くよ日常編

作者からのお言葉

関西は素晴らしい所です。
飯は安くてボリュームがある上、美味いです。

あと、新喜劇が面白い。

奈良や京都は歴史が深いし、滋賀や和歌山は武士達が残した物がたくさんあります。

兵庫は忠臣蔵や今大河ドラマでやってる黒田官兵衛の故郷や荒木村重の記念館などもあります。

神戸にもいろんな物があります。

艦これ的に関西は舞鶴や神戸川崎造船所とかですね。

あとUSJは行かなくていいです。関西感がないので。

嘘です。USJも楽しいですよ。ハリーポッターが楽しみです。

それと─


※尺の都合上カットさせていただきました。



―関西コンビ―

提督「あ~アニメおもろ~」

カガヤイテー!ココイチバーン!ジブンノチョッカンヲシンジテー!

提督「でも本編の方が迫力あった…せやけど阿知賀は奈良のくせに何で関西弁使わんのやろ。関西人の誇りないんかい。てか千里山の関西弁、なんやあれ。エセの集まりやんけ」

提督「あ、エセと言えば…」


ガチャ

龍驤「まいど、提督!」

黒潮「元気かいな?」

提督「タイミングええなホンマ…」

龍驤「なにしてるん?」

提督「アニメ見とる」

黒潮「おお、阿知賀編やん。何で今さら」

提督「全国編やっとぉから一から見直してんねん。お前らは何の用や?」

龍驤「ああ、もう昼やし今から飯でもって思てな。一緒にどうや?」

黒潮「近くで安くて美味い粉もん屋があってな!提督の口にも合うと思うで!」

提督「粉もんか~。舞鶴でわざわざ食うもんでもないけど…まぁええか。分かった。準備するから待っとき」

龍驤「分かった!」

黒潮「40秒で仕度しな!」

提督「堪忍してつかぁさい」



─粉もん屋─

龍驤「で、提督。最近やけにおなごにモテとるらしいやん」

提督「俺は昔からモテとるわ」

龍驤「言うとけ。で、付き合ったりせんの?」

提督「はあ?付き合うも何も…今は鎮守府が大事やからなぁ。第一告白すらされてへんのにどう付き合えっちゅうねん」

龍驤「そんなもん気合いでどうにかせい!」

提督「無茶いいなさんな」

黒潮「まぁまぁ龍驤ちゃん。提督はんの言うことも一理あるで。やっぱ相手に気持ちを伝えるには言葉しかないからな。察しろ言うても男は鈍感な生きもんやからな」

龍驤「さ、さよか…て、やけに詳しいやんけ」

黒潮「本で学んだ知識や。エッセイとかかなり勉強になるで」

龍驤「でも所詮本は本。大事なのは目の前のこいつをどうにかすることや」

提督「上司に対してこいつって…」

黒潮「されど本や。先人の話はちゃんと聞いといた方がいい。本も作者の体験談で学べることもあるんや。そういうことを頭に入れて下準備するのも時には大切やで」

龍驤「黒潮意外とインテリなんや…ってそれはええねん。それで提督、あんたそろそろ構えといた方がええで」

提督「なんでや?」

龍驤「いずれ提督を巡って鎮守府内でちょっとした戦争が起きると思う」

提督「なんや、頭おかしなったか?」

龍驤「失礼な、私はマトモやで」

提督「戦争て…戦い終わらせようとしてるやつが野郎一人のために争ってどないすんねん」

龍驤「なぁ提督、乙女っちゅうんは欲深い生きもんでな、手に入れるためなら手段は問わんのや」

提督「そうなんか?」

黒潮「確かにそうやな。言葉と世界やって誠を手に入れるために刃物を取り出したりしとるやろ」

提督「スク○ズの話はやめい!あんな女の子達に愛されとお無いわ!」

龍驤「鎮守府にいる大体の子はヤンデレの素質あるで」

提督「怖いこというな!帰りづらくなる!」

龍驤「悲しみの~向こうへと~♪」

提督「ま、マジでやめて…」

黒潮「おっと、話の途中やけどそろそろ時間やし出よか」

提督「このタイミングで!?…お、俺は後で帰るわ。寄るとこできたし」

黒潮「マジで怖いんかい。…まぁええわ。龍驤ちゃんは?」

龍驤「私も帰るわ。んじゃ提督、ドロンさせてもらうわ」

提督「…おう、分かった。と、その前に」

黒潮「なんや?」


提督「自分の食った分払っていけ」

龍驤・黒潮「チッ」



─鎮守府─

龍驤「まったく、ケチなやっちゃであのオッサン。それにか弱い女の子に対してビクビクしとる臆病もんときた…」

黒潮「か弱いて…」

龍驤「ホンマ、あんなやつの何がエエんやろ…」

黒潮「うーん、人の好みは色々やからなぁ…」

龍驤「あ、そうや!…提督のにゾッコンな子に提督のどこがええか聞こうや!」

黒潮「またえらい唐突やな。なんで?」

龍驤「おもろそうやん。上手いことやれば修羅場に出来るかもしれんし」

黒潮「不純な動機やなぁ…まぁおもろそうやし手伝ぉたるわ」

龍驤「ほいきた!そう来なな!じゃ、早速取材開始や!」

黒潮「…生きて帰れたらええなぁ」



金剛「食後のtea timeは最高ネー」

比叡「姉様、お菓子いります?」

金剛「貰うネー!thanks比叡!」

比叡「えへへ~///」


榛名「フムフム…」

霧島「榛名、何読んでるの?」

榛名「『霧島、艦娘やめるってよ…』です」

霧島「やめんわ」

コンコン

金剛「入ってドーゾー!」

龍驤「邪魔するでー!」

比叡「邪魔するなら帰って!」

龍驤「あいよ~…て、そうやないやろ!てかおんなじネタ何回しさらすんじゃ!」

榛名「え、えっとぉ…」

黒潮「お邪魔します~。あ、龍驤ちゃんは無視してくださいね~。あの日やからイライラしとるんですわ」

龍驤「ちゃうわ!昼間に何言うとんねん!」

霧島「え、もう来てたんだ…」

龍驤「こんな体でも来とるわ!」

金剛「…何の用ですカー?騒ぎに来ただけなら帰ってくだサーイ」

龍驤「おっとせやった。ちと金剛に聞きたいことあってな。出来れば他三人の意見も欲しいんやけど…」

金剛「私に聞きたいコト?」

龍驤「せや。早速やねんけど…」



金剛「提督をどう思ってるか…ですカー?」

龍驤「せや。まぁアンタは聞かんでもLOVEなんは分かるけどな…」

金剛「ふっふっふ…私とテートクは生まれる前から赤い糸に結ばれてるからネー!」

龍驤「言うとけ…で、他の皆はどないなん?」

比叡「私は好きですよ。姉様の次くらいには!」

榛名「私はお慕いしています!提督になら全てを捧げられます」

霧島「私は…まぁ嫌いじゃないわ。良い人だし」

榛名「素直になりなさい、霧島。この前執務室で」

霧島「ぎゃー!榛名、それ以上はいけない!」

黒潮「とりあえずこれで四人の気持ちは分かったわ。皆提督が好きなんやな~」

龍驤「でもそれは問題やない。んなもん分かりきっとるからな。…ウチが聞きたいんは提督のどこが好きなんかや」

金剛「それこそ分かりきってることデース!」

黒潮「と言うと?」

金剛「私はテートクの全てが好きなんデース!性格、顔、体、声、髪、手、足、筋肉、骨、内臓、脳、脳漿、性器、肛門、前立腺」

龍驤「ストップストップ!!怖いわ!ただのヤンデレやんけ!」

金剛「うふふ…テートク…例えこの身朽ち果てても…側にいるネー…」

黒潮「うわ、こわっ!こわぁっ!」

龍驤「金剛はもうアカン手遅れや…次、比叡!」

比叡「私…ですか?そうですね~…やっぱり優しいところですかね」

龍驤「優しい?」

比叡「はい。私の無茶ぶりや遊びにも付き合ってくれるし、戦いから帰って来たらちゃんと労ってくれて…何だかお兄さんみたいな人なんです」

黒潮「なんとなく分かる気するわ。面倒見がええからなあの人」

龍驤「兄のような人か…榛名は?」



榛名「私は…理由は正直分からないんです。でも惹かれるものがあって…うーん…ごめんなさい、はっきり言えなくて」

黒潮「まぁ好きなものに理由なんて無いもんやからな」

龍驤「そういうもんか?じゃあ…霧島は?」

霧島「だから私は別にそういうんじゃ…」

龍驤「いやもう分かっとるからはよ」

霧島「何を分かってると言うの!?」

龍驤「いや執務室の提督の机で「これ以上は、いけない」するとか…」

黒潮「LOVEな証拠ですやん!」

霧島「ちょっと待って!何で知って…」

榛名「愛は人それぞれ…隠すこと無いのに…」

霧島「うん、お喋りなその口を塞ごうか榛名」

榛名「やーだピョン♪」

霧島「殴りてぇ…」

龍驤「そんなんええからはよ言いなはれ。提督のどこが気に入ったんや」

霧島「う…分かった言うわよ!…暖かいところよ」

黒潮「なんと!?暖かいって…もう肌と肌が触れ合うような関係に!?」

霧島「誤解生む発言は控えろぅい!!」

金剛「…霧島、少し話がある」

霧島「ちょ、違います!てかキャラ作り放棄しちゃった!?」

龍驤「金剛のカタコトキャラが崩れたところでウチらは帰らせてもらうわ」

霧島「急すぎ!ちょっと、放置しないで弁解してよ!」

黒潮「時間押しとるから堪忍な!」

霧島「嫌だからちょっと!」

金剛「表に出やがれマイク眼鏡ぇぇぇぇ!!!」

霧島「いやぁぁぁぁ!!!だから誤解ですってぇぇぇ!!!」

比叡「怒って素が出ちゃってる姉様も素敵!…うへ、うへへ」

榛名「今日も平和です、マイアドミラル」



龍驤「中々濃い面子やったな…」

黒潮「まぁでも提督の良さが大体分かったんとちゃう?」

龍驤「いや、まだまだやな。てかあいつらじゃあんまし参考にならん」

黒潮「じゃあ次どうするん?」

龍驤「ここは意外性も必要やと思うから…よし、決まった」

黒潮「誰に聞くん?」

龍驤「あの人や!」

黒潮「どの人やねん」

龍驤「来たら分かる」

────────────

龍驤「てなわけで、作者が好きな艦娘やのにも関わらず、名前でしか出てこおへんかった龍田はんや!」

龍田「あらあらぁ~」

黒潮「ちょ、よりにもよってこの人かいな!」

龍田「何か文句があるのかしらぁ?」

黒潮「い、いいいいいいいえ!めめめ滅相もございませぬ!!!」

龍驤「怯えすぎやろ…えーと龍田はん、単刀直入に聞くけど、提督のこと好きか?」

龍田「あらあら何を言っているのかしら~。私は天龍ちゃん一筋よ~?あんな甲斐性なし好きなわけ無いじゃない~」

黒潮「龍田はん…めっさ震えとる」

龍驤「そう言うとるわりにはかなり動揺しとるがな」

龍田「何を言ってるのかしら~これは武者震いよ~?」

龍驤「今の会話に武者震いする要素ないやろ…正直言うてみ。提督のこと好きなんやろ?」

龍田「あら…しつこいわねぇ…死にたいのかしら?」

黒潮「ひっ!」

龍驤「残念やけど脅しは通用せえへんで。…こちとら裏はとれとるんやで~?」

龍田「ふ~ん。どんな裏かしらぁ」



龍驤「時折執務室に入り込んでは衣服の「それ以上言ったら斬るわよ?」なんて…」

龍田「何で知ってるの~?」

龍驤「とある筋から情報を手に入れたんや」

龍田「誰?…吐きなさい」ジャキン

龍驤「!?」

黒潮「南無妙法蓮華経~…」ガクブル

龍田「早く吐きなさい。さもないとそのまっ平らな胸部装甲に穴が開くわよ?」

龍驤「ぐっ…脅しは通用…せんで!」

龍田「…はぁ。もういいわぁ。バレちゃったし。…認めるわ」

龍驤「お、おおきに…で、どこが好きなんや?」

龍田「それはぁ…私にも分け隔てなく接してくれるところよぉ」

龍驤「分け隔てなく?」

龍田「ええ。私ってばこんな性格でしょ?だから、あまり人には好かれないのよ~」

黒潮「自覚してたんや…」

龍田「私はいつの間にか提督に惹かれていたのよ~。気づかない内にね~」

龍驤「そうか…教えてくれておおきに。他言せえへんから安心しいや」

龍田「当たり前でしょ~?誰かに言ったら刺すわよ~」

龍驤「…ホンマにやりかねへんわこの人」

龍田「うふふふふ…」

────────────

黒潮「ひゃー怖かったー…心臓飛び出るかと思たわ」

龍驤「ビビりすぎやろ。豆腐メンタルめ」

黒潮「うっさいナイアガラ胸」

龍驤「胸は関係ないやろ!」

黒潮「心臓に栄養取られとるんとちゃうか?」

龍驤「やかましわ。てかアンタも変わらんやろ」

黒潮「ウチは駆逐艦やし~」

龍驤「チッ…まぁええわ。喧嘩しとってもしゃあない。次行くで」

黒潮「アテあんのかいな?」

龍驤「んなもん直感で行けばエエやろ」

黒潮「…アカンやつやこれ」



龍驤「てなわけで、三人目はこれで3回目の登場になる不知火や」

不知火「不知火に落ち度でも?」

黒潮「いきなり決め台詞きたー!」

龍驤「登場頻度といい、扱いといい、かなり贔屓されとるみたいやな」

黒潮「まぁ作者のお気に入りやしなぁ」

不知火「不知火に落ち度はない」ドヤァ

龍驤・黒潮「うぜぇ…」

不知火「それで、提督に対する印象だったかしら?」

龍驤「え!?ウチまだあんたに何も言うてへんで!?」

不知火「不知火は完璧ですので」キラキラ

黒潮「あれ、ぬいぬいってこんなキャラやったっけ?」

不知火「お姉さんに向かってぬいぬいとは何事か」

黒潮「お姉さんってキャラでもないやろ…」

不知火「…まぁいいでしょう。それで、私の提督に対する印象だけど…そうね」



不知火「…未来の旦那さん」

龍驤「へ?」

黒潮「は?」

不知火「…///」



この時、龍驤達は思った。

「似合なすぎワロタwww」と…

龍驤「ちょw変なナレーション付けんな!…ふふwんなこと…ぐふぅww…思とらんわ!…ぷふwww」

黒潮「ぷっ…未来のw旦那さんw…ぶふぅww」

不知火「………を」

龍驤「ん?www」

黒潮「な、なんや?ww」

不知火「……不知火を」

龍驤・黒潮(あ、嫌な予感が…)

不知火「……不知火を、怒らせたわねぇぇっっ!!!!!」ドカーン!

龍驤「ちょ!室内で連装砲ぶっぱなすやつがおるか!」

黒潮「そ、そない怒らんでも!!」

不知火「…沈め!」ドドドドド

黒潮「ひゃあ!この人マジやん!!」

龍驤「う、ウチらが悪かった!せやから堪忍してぇ!!!」

不知火「うるさいうるさいうるさぁぁぁぁいっ!!!絶対に…許さないんだからぁぁぁ!!」ナミダメ

龍驤「あぁ、不知火がキャラ崩壊しとる!」

黒潮「いや、あれは不知火のもうひとつの姿、通称「ぬいぬいモード」や!感情が昂るとたまに覚醒するんや!」

龍驤「そうなんや!?…て、冷静に話しとる場合か!もっと早よ走り!撒くで!!」

黒潮「い、イエスマム!!」

不知火「海の藻屑となりなさいな!!!」ドドドドドドカーン!

龍驤「いや、それ大井はんの台詞やからぁぁぁ!!!」ボーン!

黒潮「ぎゃああああ!!!」ボーン!



龍驤「あかん…ここの連中strongでdangerや…」

黒潮「微妙なルー語を使いなさんな…同感やけど」

長門「ん?どうした二人とも。酷くボロボロじゃないか」

龍驤「おぉ長門はん。いや~ちょっと色々あってなぁ…」

長門「ふむ…?」

黒潮「あ、そうや。ついでやし長門はんにも聞いとこうや」

龍驤「ああ、そりゃええな」

長門「私が…どうかしたのか?」

龍驤「いや、長門はんは提督をどう思っとるのか聞きたくてな」

長門「提督を…か?そうだな…信頼できる仲間と言ったところか?」

黒潮「と言いますと?」

長門「やつはまだ若く経験も少ないが、優秀だ。采配も悪くない。少し軍人らしさがないが、それも彼の魅力だと思う。艦娘たちを一人の女性として、目線を上からじゃなく同じ位置に合わせてくれる…彼はそんな人間だと私は思う」

黒潮「確かにな…そういったところはあんまし軍人らしくない…せやけど」

龍驤「それが提督のええところやな。ウチもそのお陰で気兼ねなく接せるし」

長門「…かつての私の過去にも軽蔑することなく受け入れてくれた…。今でも思い出す…初めて会った時に向けてくれた笑顔…私が過去に囚われて悩んでいるときにかけてくれた言葉…優しく、時に厳しい彼だからこそ、私は背中を預けられるんだろうな」

龍驤「長門はん…」

黒潮「提督はんは…ほんま素敵な方やな。皆好きになるのも分かるわ…」

長門「ああ…彼なら、彼になら私は…全てを捧げられるぞ」

龍驤「全身全霊を尽くす…ええ話やな」


長門「…だから私はいつか提督に貞操を捧げるつもりだ!」


龍驤・黒潮「……………は?」

長門「しかしながら彼はガードが固いみたいだ…そろそろ次の手を打たねばな」

黒潮「えぇと…長門はん?」

長門「どうした?一緒に策を練ってくれるのか?」

黒潮「いや、あの…聞き間違いやなかったらやけど…今、貞操って言わんかった?」

長門「?そう言ったが…それがどうした?」

黒潮「あぁ~いや~…うん。別になんもないです、はい」

長門「変なやつだ…まぁいい。何だか今日はイけそうな気がする!早速提督を探そう!じゃあな二人とも!」

龍驤「あ、あぁ…行ってら…」

黒潮「……………」

龍驤「……………」



龍驤・黒潮「結局こういうオチかい!」




提督「…へぇ、そんなことがあったんや」

瑞鶴「馬鹿馬鹿しいよね。提督の良さなんて聞いたって意味ないのに」

提督「どういう意味やこら」

瑞鶴「調べたところで出てくるのは所詮埃…」

提督「よし瑞鶴、ゆっくり話し合おうや…その後ちと工厰の方に来てもらうわ」

瑞鶴「じょ、ジョークジョーク。提督は素敵な人よ」

提督「ほほぅ…どれくらい?」

瑞鶴「アミバくらい?」

提督「瑞鶴、正座」

瑞鶴「ごめんなさい」

提督「まぁ、あんまりええ印象持たれてへんのは分かるんやけどさ、流石に傷付くわ…」

瑞鶴「…そんなこと無いわよ」

提督「え?」

瑞鶴「提督さんは何よりも私達を大切にしてくれる…生きることの大切さを教えてもらったし、兵器以外での私達の価値を見出だしてくれた…そんな人、嫌いになれるわけないじゃない」

提督「瑞鶴…」

瑞鶴「提督…皆がどう言おうとも、私は提督が好きよ。私が一番提督のこと分かってあげられるんだから!」

提督「おおきに瑞鶴…今日はなんやえらい素直やな」

瑞鶴「このままだと誰かに提督を取られちゃいそうで…」

提督「取られるて…んな物好きおらんやろ」

瑞鶴「ここには物好きしかいないわよ」

提督「さよか…まぁ悪い気はせん」

瑞鶴「提督さんは素直じゃないね」

提督「よう言われるわ…っと、そろそろあいつらが遠征から帰って来る頃やな。出迎えてくるわ」

瑞鶴「行ってらっしゃい」

提督「おう」バタン



瑞鶴「…ふぅ」

瑞鶴「…提督は私が言った「好き」の意味を分かってないわね…多分家族や仲間のそれだと思う…でも、いいんだ。いずれは振り向いてもらうから…」

瑞鶴「だからそれまで待っててね、提督」


青葉「…」●REC

瑞鶴「…なにしてんの?」

青葉「青葉…見ちゃいました!」

瑞鶴「…」

青葉「…」

瑞鶴「…殺るしかない」

青葉「ダッシュ!」ビューン!

瑞鶴「待てぇぇぇぇぇい!!!青葉ぁぁぁぁぁ!!!」

青葉「三十六計逃げるに如かず!」

瑞鶴「全機爆装、準備出来次第発艦!目標、青葉型重巡一番艦青葉!殺っちゃって!」ピューンピューンピューン

青葉「あべしー!!」ドカーン



提督「…龍驤、黒潮…お前ら何やったんや…」

龍驤「きょ、興味本意でやるんやなかった…」ボロボロ

黒潮「か、関西人の気質やからな…興味があるもんに命懸けて突っ込んでまうんは…」ボロボロ

提督「お前らと同類にされとお無いわ…」

龍驤「なに言うとんねん!ウチらは貴重な関西弁トリオや!関西生まれ多いのに関西弁で喋るんはウチらだけ…」

提督「確かになぁ…て、お前関西生まれやないやないか」

黒潮「そういや何で龍驤ちゃんは関西弁でしゃべってるん?」

龍驤「察せ」

提督・黒潮「あっ…」

龍驤「ウチは並の関西人より関西のことが好きや!せやからもうウチは関西人みたいなもんや!」

提督「どう足掻いてもエセやけどな」

龍驤「ぐふぅ!」

黒潮「提督はんえげつないわ~。龍驤ちゃんも頑張っとるんやで~?」

提督「…黒潮、お前は関西人の癖に関西弁下手すぎるわ」

黒潮「ざくぅ!」

提督「ああ…二人ともジオンのモビルスーツの名前叫びながら倒れた…」

コンコン

提督「ん?誰や…どうぞ」

熊野「提督、ごきげんよう」

鈴谷「やっほ☆」

提督「鈴熊やん、どないしたん」

熊野「略さないでくださいまし…いえ、お夕飯の支度を手伝っていただこうと思ったのだけれど…お邪魔だったかしら?」

提督「いや別にええよ。…てか何で俺に?」

熊野「えと…今日は神戸牛を使った料理をと思い…提督は神戸出身と聞き及んでおりまして、どうせなら神戸生まれの提督にご助力いただければなと…」

鈴谷「素直じゃないね~。一緒に料理したいならそう言えばいいじゃん!」

熊野「違いますわ!…ち、違わなくもないですけど…て、そうじゃなくてっ!」

提督「?まぁ手伝いくらいならするで。せやけど神戸生まれはいくらでもおるよな…」

熊野「お、男なら細かいことを気にするな、ですわ!」

提督「お、おお…あ、そうや。神戸生まれで思い出したんやけど」

熊野「なんですの?」

提督「なんで熊野は神戸生まれやのに関西弁使わへんの?」

熊野「それは…下品だからですわ!」

提督「どむぅ!!」

龍驤「どむぅ!!」

黒潮「どむぅ!!」

鈴谷「黒い三連星!?」

熊野「あ、そのっ提督達がってわけじゃなくて、関西弁が…関西弁の言葉遣いがってことですわよ!」

鈴谷「いやそれフォローなってないから!」

閑話休題

どーも、作者のジョンソンです。

更新ペースを上げて頑張ってます!

というのも、前使用してたサイトから丸写ししとるだけですがwww

これからの更新は、こちらでやるつもりです。

ここからまたコピペ

私は普通の小説…台本通り、条件に縛られているようなのが嫌いで、意外性がある小説が書けるように日々研究してるんです。

…簡単に言いますと、キャラ崩壊です。これは一種の性癖なんじゃないか?と思うくらいキャラ崩壊が好きで、定められたキャラの性格が面白い方向に崩壊していく様に興奮してしまう質なんです。

だから私は元から仕上がってるキャラが如何に崩壊したら意外性が出るか試行錯誤しているんどす。しかし

「そのキャラの特徴・魅力を否定している!」とか「○○たんがこんなこと言うわけないでごわす!」とか「お前のはキャラ崩壊じゃなく、別人を作り出しているだけだ」とか「ちくわ大明神」などとよく言われます。

…確かに一理ある。しかしだ、「キャラ崩壊って特徴を否定するから成り立つんじゃないか?」とか「普段言うわけないことを言うからこその崩壊だろ!」とか「別人のように仕上げるのがキャラ崩壊だろが!」とか思うわけなんですよ。



なので、ここは一つ読者の力を借りようかと思います。

もし「このキャラを崩壊させて欲しい」と思うキャラがいればコメント等で書いていただければと思います。決してコメ稼ぎじゃありませんよ。決して!

キャラ崩壊はやめへんのかとか思う人もいるかも知れませんが、そこは

察 し て く だ さ い 。

…さて、ここからは反省タイム。

まず反省する点ですが…コメディ目指してたのに、もの凄いハーレム恋愛ものになりつつあります。どうしてこうなった。

しかも普通提督を好きにならんやつがLOVEになったりとメチャクチャです。

あと、ギャグセンス皆無すぎワロタwww。

マジで人を文で笑わせられる人が羨ましいです…。

それと、お気に入り艦娘が凄く優遇されている。

不知火、瑞鶴辺りが出過ぎてるような…。


そういや最初の方書いたのは実話なんですよ。叢雲秘書艦で、序盤艦隊強化に造った艦娘が5隻とも軽巡とか、二日目に瑞鶴と榛名来たとか。あと近いものと言えば、まるゆ40隻…はないけど、計20隻ほど翔鶴に食わせているとか(まとめてじゃなく今までの合計)



とまぁこんな感じでして…。

正直まだ反省することは尽きませんが尺の都合上書きませぬ…。

誠に申し訳ございませぬ。

最後に読者さんへ。

前に使用してたサイトでのこの作品は二次創作が規制されるようになって、強制非公開になってしまいました。

なのでこれからはこちらで更新したいと思います。その内某サイトの方で規制緩和がされた場合は両方上手いこと更新していきますゆえ、前サイト使用者の方には深くお詫び申し上げます。

それでは、引き続き「艦これ―割と暇な鎮守府の日常―」をお楽しみください。

女性らしさ

叢雲「はぁ…遠征疲れた…さっさとシャワー浴びよ」

叢雲「あ、その前に提督に報告しに行かなきゃ…めんどくさっ」

叢雲(そういえば最近提督の私室に行ってないわね…)

叢雲(前はちょくちょく行っては夜更けまで雑談して…一緒に寝たりもしたわね…て)

叢雲「べ、別に私はっ!あ、アイツのことなんか何とも思って…!」

叢雲「…一人でなにやってんのかしら私…」

叢雲「さ、早く報告行ってシャワー浴びよ!け、決して提督に会いたい訳じゃないんだから…」

コンコン

叢雲「入るわよ~…て」



提督「はぁ~気持ちエエわ~」

高雄「そうですか!?良かったです!」

提督「いや~実にいい。ついに夢が叶ったで~。美人な姉ちゃんに膝枕されながら耳掃除されるという男の夢が!…おまけにかなりの巨乳ときた。最高やで~」

高雄「もぉ提督たら!褒めても何も出ませんよ?」

提督「母乳なら出そうやな!」

高雄「提督さんが揉んでくれたら出るかもしれませんね」

提督「どれ、いっちょ揉んでみても…」

バキィ!

提督「な、なんや!?」

叢雲「な…な、なななななぁっ!?」

提督「て、む、叢雲!?な、なんでここにおるん?」

叢雲「何やっとんじゃおどれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」ドカァァァン!

提督「ひでぶぅぅぅぅぅ!!!」

高雄「あらら…」



叢雲「ふん!…まったく、見境ないんだから」

提督「女の子に耳掃除されるんは男のロマンやさかい…」

叢雲「…そんなの私がいつでもやってあげるわよ」

提督「ん?なんか言うた?」

叢雲「なんでもないわよ!」

提督「さ、さよか…あ!そろそろ第三艦隊遠征から帰って来る時間や!ちょっくら行ってくるわ!」ビューン

叢雲「あ、こらっ逃げんな!…はぁ」

高雄「…………」

叢雲「…で、高雄。アンタもなんであんなことやってたの?」

高雄「提督の役に立ちたいから!」

叢雲「役に立ちたいって…それは戦闘でやりなさい」

高雄「いや…私は女性として提督の役に立ちたいのよ」

叢雲「はぁ?」

高雄「ほら私、将来提督に嫁ぐじゃないですか」

叢雲「そこになおれ不届き者。成敗してやる」

高雄「サーセン…で、その時がいつきても良いように女性らしさを磨いているのよ!」

叢雲「…女性らしさ、ね。女性らしさなら十分つまってるでしょ。どこにとは言わないけど」

高雄「…いえ、まだ足りないわ!」

叢雲「もう十分だろぃ!」

高雄「…私には、勝たなければいけない人がいるの…」

叢雲「…誰よ」

高雄「それは…愛宕よ!」

叢雲「やっぱり胸かい!」

高雄「…私が一番艦だというのに皆愛宕ばかりはやし立てる…」

叢雲「竣工は愛宕の方が早いけどね」

高雄「アンソロジーコミックでは私より女性らしさを輝かせてちやほやされてるし…」

叢雲「メタな発言ひかえろよ」

高雄「エロ同人の数だって愛宕が圧倒的に多い!私少ない!」

叢雲「それは愛宕が可哀想だ!」



高雄「私は…影が薄いのよ…バカめ!…と言って差し上げますわ…」

叢雲(確かに高雄より愛宕の方が目立つわね)

叢雲(金髪ロング巨乳タイツで包容力のあるおっとりお姉さん愛宕…)

叢雲(黒髪ショート巨乳ミニスカで優しい常識人真面目お姉さん…高雄)

叢雲(お互いそれぞれ良さがあるのに何故こうも差がでるか…)

叢雲(やっぱり特徴同士の相性か)

叢雲(愛宕…金髪ロングと巨乳は相性良いし、その上おっとりと更に相性が良いものを上乗せ。タイツもいい味出してる)

叢雲(高雄…黒髪ショートで巨乳…性格がクールなら合うかもしれないけど優しい常識人…どれもあまり聞かない組み合わせね…ミニスカもその一因か…貧乳の方が良かったんじゃない?)

叢雲(…いやしかし、こう見るとやはり高雄もキャラとして悪くはないかもしれない。ギャップ…とは違うけど意外性があっていいかも。なのに愛宕に人気を持っていかれるのは…)

叢雲(やはりエロスか…金髪ロングでおっとり巨乳…いかにもエロゲーに出てきそうな近所のお姉さんタイプね…それに対して高雄はどう見てもバスガイド…エロゲーで出たとしても攻略対象にならないタイプ…)

叢雲(なるほど…しかし一概にエロスと断言するのもあれね。前述してる組み合わせもあるし。…ん?よくよく考えればこれらの要素はある意味゙女性らしざと呼べるものではなかろうか)

叢雲(ということは、高雄はこれらを総合した女性らしさが足りていない…だから愛宕に勝てない、となるのか。なるほど…)

叢雲(…は!私としたことがくだらない事を考えてしまったわ!)



叢雲「やっぱり…女性らしさが欠けているわ」

高雄「ガーン」

叢雲「でも、提督はそういうものに靡くようなやつじゃないわ」

高雄「え?」

叢雲「アイツは外面よりもっと深い部分を見るやつだから…」

叢雲「アンタは提督が好きなんでしょ?」

高雄「勿論です!」

叢雲「なら今までのように…今以上にアイツを思い続けるのよ!一途に思い続ければ実ることもある!」

高雄「叢雲さん…」

叢雲「だから、周りを気にしすぎないこと、分かった?」

高雄「はい!…ありがとう、叢雲さん」

叢雲「気にしないで、お互い様だから」

高雄「お互い様?」

叢雲「な、なんでもないわ。じゃあ私はこれで…」

高雄「はい!お疲れ様!」

叢雲「じゃあね」バタン



叢雲「はぁ…」

叢雲(なんか、さっき自分が言ったこと、全部跳ね返ってきた…)

叢雲(提督を想う気持ち…私も素直にならないと…)

叢雲(しかしまぁ…私も女性らしさってのがあまり無いわね)

叢雲(さっきはああ言ったけど、なんだかんだで女性らしさは大切だと思う)

叢雲(外見からして高雄より女性らしさがない私って、現状かなり不利よね…)

叢雲(いや、待てよ。外見じゃ勝てないなら…内面で勝てばよくね?)

叢雲(そうよ!内面を磨けばいいのよ!アイツは外見だけで判断するやつじゃないし、内面を磨けばワンチャンある!)

叢雲(…でも具体的にどうすれば…仕方ない。誰かに聞こう)



古鷹「で、私たちのところに来たんですか」

叢雲「ええ…アンタらなら女性らしさというのがどんなものか分かると思って」

古鷹「いや、私は論外でしょ…ね、羽黒さん」

羽黒「はぐぅ!?い、いえ…そんなことは…あはは」

神通「しかし…改めて考えると難しいですね」

叢雲「そーなのよ…女性らしさって何か…漠然としすぎてて何か分からないのよ…」

古鷹「なら、女性らしい事を極めればいいんじゃないですか?例えば…料理とか!」

叢雲「料理…料理か~」

古鷹「あ、もしかしてやったことないですか?」

叢雲「ないわ」

羽黒「はぐぅ…言い切りましたね」

叢雲「別に出来なくったって問題ないし」

古鷹「でも、今回のことではそうはいきませんよ。女性らしさを追及するなら女子力を高めないと!その為にも料理はしていただかねば!」

叢雲「…なんでそんなにノリノリなのよ!」

古鷹「だってあの叢雲さんが女性らしさを追及するなんて…すごく感慨深いじゃないですか!」

叢雲「アンタの私への評価がどういうものかよーく分かったわ」

神通「しかし…なぜ急に女性らしくなりたいとお思いに?」

叢雲「それは提督に…」

古鷹・羽黒・神通(…ん?)

叢雲「いや、私って周りと比べてあんまり女性らしくない気がして…ちょっと危機感を覚えたのよ!ふ、深い意味はないわ!」

古鷹・羽黒・神通(誤魔化せてませんよ?)

古鷹「あ、あーなるほど、そういうことでしたか!なるほどなるほど…それはいいことじゃないですかー?うん!いいことですよ!ね、羽黒さん?」

羽黒「はぐぅ!?わ、私もそう思います!ね、ねえ神通さん?」

神通「そ、そうですね…」

叢雲「?」

古鷹「よ、良ければ私も手伝いますよ!」

叢雲「本当に!?」

神通「私も手伝います。…ライバルが増えるのは辛いのですが…」

羽黒「はぐぅ…わ、私も!料理などは得意なので!」

叢雲「皆…ありがとう!」

古鷹「いえいえ、お気になさらず」

古鷹・羽黒・神通(さぁ…どう出し抜こうか)



─食堂─

鳳翔「料理を教えてほしい?」

古鷹「yes」

鳳翔「いいですよ。でも、私でよろしいのでしょうか?」

羽黒「りょ、料理と言えば鳳翔さんじゃないですか…いつも美味しいご飯を作ってくださって感謝してます」

鳳翔「うふふ、ありがとう。でも、どうして料理を?」

古鷹「女子力を高めるための第一歩として!」

鳳翔「あらあら、気になる殿方でもいらっしゃって?」

古鷹「何故バレた!?…て、私じゃなくてその…」チラ

叢雲「ん?な、何よ?」

古鷹「ふふふ」

鳳翔「うふふ」

叢雲「だから何よ?」

神通「あ、あの!…とりあえず、何か簡単に作れそうな物から…やりませんか?」

羽黒「そ、そうですね!私、余っている材料探してきます!」

古鷹「よぅし!私もお手伝いしますよー!試食とか試食とか試食とか!」

叢雲「真面目にやらんか」

鳳翔「クスクス…じゃあ叢雲ちゃん、厨房のほうに行きましょうか」

叢雲「ええ」



─厨房─

鳳翔「さて、まず何を作るかですが…どうします?」

叢雲「ん~…考えてなかった」

鳳翔「ふむ…なら今日はカレーをメインに作って行きましょうか」

叢雲「え、そんな大掛かりな物作っていいの?」

鳳翔「ええ。丁度仕込みをする時間でしたし。どうせなら今日の夕飯として作ろうと思います」

叢雲「成る程、それなら夕飯を作るついでに私の練習も出来るわね…て、ちょっと待って!それじゃあ私の料理が…皆に食べられることになるわよね!?」

鳳翔「その通りでございます」

叢雲「いや私初心者なのよ!?皆に不味いご飯食べさせることになるわ!」

鳳翔「そうならないための仕込みです。それに、私も手伝いますので問題ありません」

叢雲「でも…」

鳳翔「何事もチャレンジです。初めから上手くいく人なんてそうそういませんし、そう気負う必要もありません。それに」

叢雲「それに?」

鳳翔「料理は愛情ですから。愛が籠っていれば上手くいきますよ」

叢雲「愛情…か。そうよね。やる前から諦めてちゃ駄目よね」

鳳翔「ふふっ、その意気ですよ」

叢雲「よし!やってやるわ!絶対アイツの下を唸らせてやるんだから!」

羽黒「鳳翔さん、材料を持ってきました」

鳳翔「ありがとう。では早速作っていきましょうか」

叢雲「ええ!」



古鷹「試っ食~試っ食~♪」

間宮「古鷹さん?」

古鷹「うぉ!間宮さん!どうしました?」

間宮「鳳翔さんから少し頼みごとをされていまして…今どちらに?」

古鷹「えっと…厨房にいると思いますけど…」

間宮「そうですか。ありがとうございます。ではまた」

古鷹「ん~」


古鷹「さてさて試食~試食~まっだかな~♪」

間宮「……」

古鷹「うぉっほい!?ま、間宮さん、どうしたんです?」

間宮「また鳳翔さんから頼みごとをされました」

古鷹「は、はぁ」

間宮「『手伝いもせず席で試食を待っている不届き者がいるので、その方と一緒におかずを作ってほしいんですが…』とのことで」

古鷹「そうなんですか…え?」

間宮「古鷹さん」ニコッ

古鷹「は、はい」

間宮「日本には古くからこういうことわざがあります。『働かざる者、食うべからず』という立派なことわざが」

古鷹「え、えーっと、知ってます」

間宮「なら、私が言いたいこと…分かりますよね?」

古鷹「あ~いや~…あはは」

間宮「分 か り ま す よ ね ?」

古鷹「…あい」

間宮「では早速第二調理場に向かいましょう!」



─執務室─

提督「はぁ~なんか小腹空いたなぁ…食堂いこかな」

コンコン

提督「どうぞ~」

神通「し、失礼しますね」

提督「お~神通やん。どないしたん?」

神通「いえ、鳳翔さんから伝言です。「今日、夕方まで食堂の出入りは禁止」とのことで…」

提督「なんちゅータイミングや…小腹空いたからなんかつまもう思とったのに…」

神通「そういうと思いまして…私から差し入れです」

提督「ん?おお!サンドウィッチやん!手作りか?」

神通「はい。あ、愛情をたくさん込めました…どうぞ食べてください」

提督「おおきに!…あ、そうや!神通にええ報告あんねん。ちょっと待ってな」

神通「は、はい」

提督「えっと…お、あったあった!…はいこれ」

神通「これは?」

提督「あんさんの改二企画書や。昨日届いたんやけどもう十分経験積んでたし、ええかなと思てな」

神通「え、えと、あの…い、いいんですか!?」

提督「ええもなにもお前の為の改造や。嫌なら断ってもええで?」

神通「そんな滅相もない!すごく…嬉しいです」

提督「そうか。なら早速工厰行こか。俺も楽しみでしゃあないわ」

神通「ま、待ってください」

提督「どしたん?」

神通「私のサンドウィッチ…食べてくれませんか?」

提督「あ、ああ!すまんすまん!ありがたくいただくわ!」

神通「は、はい!どうぞ…」

提督「ん…ウマァ!!めちゃくちゃ美味いわ!冗談抜きでこれは…」モグモグ

神通「よ、良かった…///」

提督「あんたならええ嫁はんなれるわ」

神通「そ、そうでしょうか?///」

提督「ああ!俺が保証するわ!まぁどこの馬の骨かも分からん男に嫁入りはさせへんけどな!」

神通「提督にならいいですか?…///」

提督「ん~?なんか言うた?」

神通「な、何でもないです!///」



青葉「どこかにスクープ落ちてないかな~」

衣笠「そればっかりじゃん」

青葉「だって最近記事にできるくらいのスクープがないんだもの」

衣笠「そうそうないわよそんなもの」

青葉「いっそのことでっち上げてやろうかな」

衣笠「そうなったら全力で止める。ラリアットも辞さない」

青葉「くそー!禁断症状起こしそうだー!」


提督「………」


衣笠「おりょ?提督だ…」

青葉「おお本当だ。…あ、そうだ。提督に取材を協力してもらおう」

衣笠「それまたどうして」

青葉「提督はモテるからね~。女性関係の質問とか記事にしたら売れそうじゃない?」

衣笠「確かに…私も気になるし」

青葉「でしょ!なら早速…おーい提t」


提督「~~~~~!」

「~~~~~?」

提督「~~~!」

「~~~~!」


青葉「こ、これは!?」

衣笠「どうしたの青葉…ん?」

青葉「えっと…今提督と喋ってる人…誰?」

衣笠「ごめん…知らないわ」

青葉「…これはスクープの予感!写真に納めよう」パシャッ

衣笠「遠いからなに喋ってるか分からない…」

青葉「…鎮守府に謎の美少女現る!なにやら提督と親しげなもよう…記事の見出しはこれだ!」

衣笠「ちょっと青葉!真面目にやりなさいよ!あぁ~もうちょい近付けないかな…」

青葉「…しかしあの人、どっかで見たことあるような…」

衣笠「…!目標が動いた!青葉、追うわよ!」

青葉「え、ちょ、衣笠!?ま、待って今思い出そうとして」

衣笠「そんなの追いながら出来るでしょ」

青葉「そ、そうだけど…待って引っ張らないで!ちょっとぉ!」

衣笠「提督…浮気は許さないから!」

青葉「提督はあんたのものじゃないでしょーが…」



古鷹「なんで私がこんなことを…」

間宮「ほら、口じゃなく手を動かす!」

古鷹「あい…」


ダダダダダ

バン!

古鷹・間宮「!?」ビクッ

青葉「古鷹さん!大変ですよ!」

古鷹「なんだ青葉さんか、ビックリした…どうしたんです?」

青葉「私…見ちゃったんですよ!」

古鷹「な、何を?」

青葉「提督が、見知らぬ女性と一緒にいたところを!」

間宮「!?」ピクッ

古鷹「……は?」

青葉「しかも結構親しげそうでした!」

間宮「……」プルプル

古鷹「…はぁ。どうせデマしょ?それか誇張」

青葉「心外な!私にもジャーナリストとしてプライドがあります!脚色はしたことありません!」

古鷹「でもよく大袈裟にことを取り上げるじゃないですか。いざ蓋を開けてみたら大したことないってことばかり…だから信用ならないんですよ貴方は」

青葉「いやいや確かにいくつかそういったことはしましたが、今回は違います!証拠としてほら、この写真!」

古鷹「どれ…!こ、これは!」

青葉「さっき衣笠と歩いていた偶然目撃しちゃいまして…」

古鷹「ちょ、この二人は今どこに!?」

青葉「衣笠が尾行しています。進展があれば連絡するように言ってますから大丈夫ですよ」

古鷹「どうしよう…皆にこれが知れたら…いや、伝えた方が…ていうか私が乗り込みたい…」

青葉「周囲に知れたら…暴動が起きますよ?」

古鷹「確かに…」

間宮「……………」

古鷹「あれ間宮さん、どうしました?」

間宮「………さい」

古鷹「へ?」

間宮「皆さんに伝えてください…」

古鷹「え、でもこんなことが周囲にバレたら…」



間宮「構いません…むしろ全員に動いてもらいます。そして…問い詰めましょう」

青葉「き、危険ですよ!特に戦艦組にバレたりしたら」

間宮「いいんです!」ドンッ!

古鷹・青葉「!?」ビクッ

間宮「私は提督を問い詰めないと気が済みません…この感情、どこにぶつけようか…」ドンッドンッドンッドンッ

古鷹(あの間宮さんが)

青葉(逆手で持った包丁で牛肉をメッタ刺しにしてる!?)

古鷹・青葉(これは…断れば殺られる!!)

青葉「わ、私、衣笠の様子が気になるから見てきますね!」

古鷹「待ちなさい。そう言って逃げるつもりでしょ?」

青葉「失敬な!私はジャーナリストですよ?こんなトクダネ見過ごすわけないじゃないですか。ただ私は衣笠が心配で…」

古鷹「ならなぜ目を合わせないんですか?」

青葉「わ、私対面恐怖症で、目を会わせて話すのが苦手でして…」

古鷹「嘘おっしゃい。ジャーナリストで対話が苦手なわけがありません!」

青葉「あ、あはは、そういう人だっていますよ?」

古鷹「でも貴方は違いますよね?」

青葉「ソ、ソンナコトナイデスヨー?」

古鷹「…貴方では信用ならないので私が衣笠さんの様子を見に行きます。貴方は皆さんに知らせてください!」

青葉「そう言って貴方も逃げるんでしょ!?」

古鷹「馬鹿なことを言わないでください!味方を身を挺してまで守った私が逃げるとでも言うんですか!?」

青葉「サボ島沖夜戦の話ですか!?」

古鷹「あのとき私が割って入らなかったら貴方はどうなっていたか分かります!?」

青葉「あのときはのことは凄く感謝しています!しかしそれとこれとは別問題です!」

古鷹「む…」

青葉「むむ…」



間宮「つべこべ言わんとさっさと行けぇぇぇぇ!!!!」ゴゴゴゴゴ


青葉・古鷹「は、はいぃぃぃぃぃ!!!」



間宮「うふふ…提督、浮気は許しませんよ?うふふ…」



提督「どうや神通。改造を施された新しい自分は」

神通「力が湧いてくるようです…それに、昂りを覚えます…」

提督「そうかそうか!新しい装備も実装され、能力も段違いに上がった…前以上に魅力的になって俺も嬉しいわ!」

神通「はい!私も早く進水したくてたまりません!一刻も早く夜戦がしたいです!」

提督「川内みたいになっとるで~」

神通「はっ!す、すみません」

提督「まぁテンション上がるのも仕方ないわな。近い内に編成にぶちこむから待っといてな」

神通「はい!」


────────────

衣笠「仲良さげね…見た感じ艦娘みたいだけど…」

衣笠「新しい子が来るなんて聞いてないわよ?」

羽黒「ですよね…。やはりどこかで引っ掛けて来たのでしょうか?」

衣笠「それかバレないように自分好みに建造したとか…って」

羽黒「はぐぅ…私達じゃ満足できないんでしょうか?」

衣笠「…何でここにいんの?」

羽黒「私も気になったので来ちゃいました!」

衣笠「いや、尾行は一人でいいよ。なんかあったら後で教えてあげるし」

羽黒「ダメです!自身の目で見ないと納得いきません。それに衣笠さんは信用になりませんか」

衣笠「ちょっとぉ!どーゆうこと!?」

羽黒「しっ!静かに!」

衣笠「あ、ごめん…じゃなくて!」

羽黒「目標は依然談笑中…ポイントAからの移動はなし」

衣笠「偵察兵か!てか誰に報告してんの!?」

羽黒「間宮さんです」

衣笠「マジで!?」

間宮『BF、現状待機で目標をそのまま監視。目標が動き次第追跡して』

羽黒「了解」

衣笠「ガチじゃん…てかBFってなんぞ」

羽黒「私のコードネーム『ブラックフェザー』の略称です」

衣笠「遊○王かよ!クロウか!?2009年大会優勝者デッキか!?」

羽黒「優勝者デッキは禁止制限緩いからか、旋風とゲイル三積みでゴヨウとDDB三積みなんですよ…萎えます」

衣笠「詳しいなオイ!」

羽黒「はっ!鉄人、動きましたよ!」

衣笠「誰が鉄人や。それ広島の永久欠番や」

間宮『コードネーム「鉄人」、いるならBFと共に追跡して』

衣笠「だから鉄人じゃないって」

羽黒「ほらっ、いきますよ」

衣笠「無視かよ…まぁいいや」



叢雲「よし、こんなものかしら」

鳳翔「出来ましたか?」

叢雲「ええ。よかったら味見してもらえるかしら?」

鳳翔「どれどれ…ん!美味しい…叢雲さんは手際がいいんですね」

叢雲「そ、そうかしら」

鳳翔「ええ。誇っても良いですよ」

叢雲「これで少しは女性らしさが身に付いたかしら…」

鳳翔「ふふっ、叢雲さんは元から女性らしいですよ」

叢雲「そんなことないわよ…家事やファッション、化粧なんかもロクにできないし…鳳翔が羨ましいわ」

鳳翔「私とて、家事以外にはなんの取り柄もございません」

叢雲「よく言うわ…鳳翔は男性から見た理想の女性像ってかんじ」

鳳翔「その口ぶりからして…気になる殿方が居るんですね」

叢雲「べ、別にそんなことは…」

鳳翔「ふふっ…でも、流石に少し気にしすぎだと思いますよ」

叢雲「え?」

鳳翔「女性らしさというものは、意識して身に付けるものじゃないと思います…その人の潜在的な物で、人生経験を積めば次第に身に付いてくるものだと私は思います」

叢雲「そうかな?」

鳳翔「ええ。…無理して変わる必要はないです。逆に自身の魅力を損ないかねませんから。無理に身に付いてくるより、自身の魅力を磨くことが女性らしさを身に付ける近道だと私は思います」

叢雲「なるほど…分かった気がする」

鳳翔「それに、提督は目に見えるものだけで人を判断しないと思うので気にしなくてもいいと思います。特に叢雲さんは提督と長い期間一緒にいるみたいですから、そう気負った仲でもないでしょう?」

叢雲「な、何でそこでアイツの名前が出てくんのよ!」

鳳翔「ふふっ、それは貴方が一番分かってるんじゃないですか?」

叢雲「意地悪ね…///」



間宮「鳳翔さん!大変です!」

鳳翔「あら間宮さん。そんなに焦ってどうしましたか?」

間宮「実はかくかくしかじか」

鳳翔「まるまるうまうま…なんですって!?」

叢雲「え、何…どうしたの?」

鳳翔「それが…」

叢雲「あ、あんですってぇ~!?」



提督「さてと、そろそろ執務室に戻ろかな」

神通「私も皆さんに改二報告しないと」

提督「ああ。知らんやつからしたら誰やねんって感じやしな」

神通「確かに。自分でも変わりすぎだと思います」

提督「まぁ声も性格も変わっとるわけやないし、気づいてくれるやろ」



羽黒「隊長、目標が室内に移動する模様です」

間宮『よし。そのまま追跡。私の予想では提督はそのまま執務室へ移動すると思います。執務室に入ったのを確認したらドア前で待機』

羽黒「了解」

衣笠「いつまで続けるのよこの偵察兵ごっこ…」

羽黒「何を言っている鉄人!これは遊びではないのだぞ!」

衣笠「え、何で怒られたの!?てか性格変わりすぎ!」

羽黒「室内に入った!追うぞ!」

衣笠「その前に病院行けよ…」



────────────

─執務室前─

提督「んじゃ、俺はここで」

神通「あ、私も執務室に入ります」

提督「ん?忘れもんか?」

神通「いえ、もう少しこの姿で提督と一緒にいたいので…」

提督「?別に目が覚めたら元に戻ってるとかないで?」

神通「い、いえそうじゃなく…気分の問題で…」

提督「んー?まぁ別にええで」

神通「あ、ありがとうございます」



羽黒「提督、謎の少女共に執務室に入りました!」

間宮『よし、聞き耳を立てろ』

羽黒「はい!」ピタ

衣笠「なんだこれ」

羽黒「隊長!大変です!」

間宮『どうしたBF!』

羽黒「この部屋…完全防音です!」

間宮『なんだと!?』

衣笠「そりゃそうよ…秘密保持の為に防音にするのは当然でしょ?スパイがいたらどーすんのよ」

羽黒「鉄人!貴様知ってて言わなかったのかー!」

衣笠「なんで私怒られてんの」

羽黒「くっ!どうしますか隊長…」



間宮『よし、私が合図をしします。カウントが0になったら突入してください』

羽黒「わかりました」

衣笠「もう突っ込んでやらねぇ」

間宮『カウントダウン…10、9、8、7、6』

羽黒「ステンバーイ、ステンバーイ…」

間宮『5、4、3、2、1…0!』

羽黒「ゴッ!!」ガチャン!

衣笠「こいつぁひでぇや」


神通「な、何奴!」

提督「敵襲か!」



羽黒「…………」

提督「……………」

衣笠「…………」

神通「……………」

提督「What?」

羽黒「Who is this girl?」

提督「This is ゙JINTSU-MkⅡ゙」

羽黒「lie!lieだ!lie!」

衣笠「マーク2ではないでしょ…てか神通さん改二になったんだ」

神通「は、はい。なんとか…」

衣笠「改二仲間だね」

神通「はい!」

羽黒「鉄人!騙されてはダメだ!そいつは神通なんかじゃない!」

衣笠「いや神通でしょ。声とかしゃべり方とか」

羽黒「違う!だって神通はそんなに凛々しくないから!」

神通「ガーン!」

提督「いきなり失礼なやっちゃ…てか衣笠、そいつ誰?見た目は羽黒にめっさ似とるけど、性格全然ちゃうし」

衣笠「一応羽黒です…那智さんが成り済ましてるとかじゃなくて、普通に羽黒です」

羽黒「提督…私のことを忘れたというのか」

提督「やだ、俺の知っとる羽黒やない」

衣笠「ちなみに今回の騒動で間宮さんも狂いました」

提督「何があったんや…てか騒動って、こっちなんも知らんねんけど…」

衣笠「実は…」

─艦娘説明中─

提督「意味不」

衣笠「ですよねー」



提督「新しい女引っかけたて…俺がそんなタラシに見えるか?」

衣笠「見える」

提督「フジャッケンナ」

羽黒「さぁ提督よ…そこの女が誰か、吐いてもらおう」

提督「おまえはさっさと目ぇ覚ませ」

羽黒「目を覚ますのは貴様の方だ!」

提督「それが上官に対する口の聞き方か。てかもう誰か分からんなお前」

羽黒「ぐっ!あくまで口を開かないというなら…やむおえん!」シャキン

提督「ちょ、刀!?」

衣笠「暖炉に置いてあるのを抜いた!?」

羽黒「不埒な男などこの鎮守府にいらん!成敗ぃ!」

提督「なっ!」

神通「秘技『真剣白羽取り』!」パシン

羽黒「…どういうつもりだ小娘」

神通「私は…第2水雷戦隊旗艦、川内型軽巡2番艦神通!この鎮守府を深海棲艦から守り、提督を勝利に導く存在!」グググッ

羽黒「なっ!?」

神通「私はあの時誓いました…提督が叢雲さんに言ったあの言葉を聞いた時から…この鎮守府を、提督を護ると!だから私は、提督を護るためならこの身を捧げるのもいとわない…だから!」バキィ!

羽黒「!?刀を折っただと!!」


提督「あぁ~…上官からの出世祝いの品がぁ…」

衣笠「言ってる場合か」


神通「だから…提督に楯突く者は例え仲間であろうとも…容赦はしない!食らえっ!」



神通「ソニックブーム、サマソゥッ!」

羽黒「ウーワ、ウーワ、ウーワ…」

提督「KO!」

神通「くにへ、かえるんだな。おまえにも、かぞくがいるだろう・・・」

衣笠「まさかの展開で草不可避」

神通「提督、お怪我はありませんか?」

提督「あ、ああ。一応は」

衣笠「はぁ…ちょっとした勘違いでここまで大事になるとはね…」

提督「ホンマに…ていうか誰やねん、しょうもないデマ流したやつは」

衣笠「………」←元凶の1人

神通「提督、元凶を捕まえて懲らしめますか?」

提督「懲らしめるね…悪くないなぁ。ちょっとお仕置きしたらなアカンね」

衣笠「悪い顔してんな~」



提督「あ~あ…俺ってホンマ信用ないんやな…」

神通「そ、そんなことは!」

衣笠(そんなことないって言えない私がいる)

提督「いっそホンマに彼女作ったろかな」

衣笠「全力で阻止させていただく」

提督「なんで?俺かて男や。彼女の1人くらい欲しいわ」

神通「ふふっ、お戯れを」ガシャッ

提督「うん神通。俺が悪かった。せやからそのアサルトライフル下ろして?」

神通「提督はホント、冗談がお好きですね」

提督「ハハハ…関西人やからな!」

神通「ふふふ」

衣笠(こりゃ暫く彼女は出来んね)

コンコン

提督「あ、はーい。開いてるでー」

ガチャ

叢雲「……………」

提督「おお叢雲、どないしたん?」

叢雲「……か」

提督「ん?」

叢雲「提督の…バカァ!!」

提督「!?」

衣笠(面倒くさいのがもう1人…)

叢雲「あんたってやつは…あんたってやつはぁぁ!!」ポコポコポコ

提督「いたっ!痛っ!効果音可愛いけど威力がっ…ゲフゥ!」

叢雲「信じて…たのに…」

提督「え?」

叢雲「アンタ言ったわよね?私達艦娘と一緒にいるのが一番の幸せだって!?」

提督「なんか凄い誇張されとる気ぃするけど…まぁそうやな」

叢雲「なのに…なんで、なんで恋人なんか作っちゃうのよぉ!」

提督「はぁ?恋人ぉ?」

叢雲「とぼけないで!」

提督「とぼけるも何も…恋人なんかおらんで?」

叢雲「いるじゃないそこに!ハチマキつけた女!」

神通「わ、私ですか?」

衣笠(これが修羅場というやつか)

提督「へっ?…ああまだ言うてへんかったな。こいつは神通の改二やで」

叢雲「……………へ?」

神通「はい、川内型軽巡2番艦です…」

叢雲「…really?」

提督「yeah」

叢雲「F○ck you admiral」

提督「Why!?」

衣笠(このたまにある微妙な英語のやり取りなんなのよ)

叢雲「lie!lieよlie!」

提督「嘘やあらへん!第一嘘つく理由あらへんし!」

叢雲「アンタはペトルスやロートレク並みに信用ならないわ!」

提督「評価低っ!てかなんで無印!?今が旬の2の話せえや!」

叢雲「あれNPCの名前覚えにくいのよ!多いから!」

提督「無印も大概やぞ!」

叢雲「それは…て、そうじゃなくて!そこの女が神通!?嘘おっしゃい!神通はもっとなよっとしてるわよ!」

神通「ガガーン!」



衣笠「神通…大丈夫?」

神通「もう…放っておいてください」

提督「なんかさっきも見た展開やな…じゃなくて、紛れもなく神通やでこの子。見た目はガラッと変わったけど」

叢雲「…証拠はあるの?」

提督「ほれ、神通改造企画書・其ノ弐や」

叢雲「う、嘘…!?」

提督「これで証明されたやろ?そこにおる子は紛れもなく神通や!」

衣笠「デデドン」

叢雲「そう…だったのね…勘違いして悪かったわ」

提督「誤解がとけて何よりや。せやけど意外やな。こんなことでお前が取り乱すやなんて」

叢雲「わ、悪かったわね!」

衣笠「恋は盲もk「その口閉じろー!」なんでもないっす」

提督「はぁ~なんか騒いだら腹へったな…」

叢雲「あ!食堂!」

提督「ん?食堂がどないしたん?」

叢雲「な、なんでもないわ!私、用事思い出したから行くわ!」

提督「?おう、いってら~」

衣笠「神通~いつまで落ち込んでるの~」

神通「うぅ…華の二水戦の誇り…」

衣笠「赤城みたいになってる」

提督「神通…お前は決してなよなよしてへん。大人しくて危なっかしいけど、強くて可憐な乙女や」

神通「て、てぇぇとくぅぅぅ」ギュッ

提督「あ~よしよし、かわええなぁもう」

衣笠「うらやま…けしからん」


羽黒「ん…ここは?」

提督「あ、目ぇ覚ましたか」

羽黒「はぐぅ!?わ、私、何で執務室にいるんですか!?」

衣笠「正気に戻ったみたいだね」

提督「やっぱ羽黒はこうやないとな」

羽黒「な、なんの話ですかぁ!?」

提督「なんでもないなんでもない」

羽黒「うぅ…提督のいじわる」



─夕飯時~食堂~─

提督「今日の飯はなんやろな~」

衣笠「ご飯になると元気になるわね。あんなことがあったってのに」

────────────

提督「一件落着やな~さってと、飯までアニメでも見よかな~」

「「「提督(さん)!」」」

提督「うぉっ!?なんやお前ら!?」

日向「すまないが少しご同行願いたい」

提督「へ?」

山城「提督が…悪いんですから」

提督「なっ!?なんで持ち上げられ…ちょ!やめろ離せ!う、うわぁぁぁ!!」

衣笠「ドンマイ提督!」

提督「ちょ、見とったんなら助けてやぁぁぁ!!」

────────────

提督「あの後、手足を結ばれた状態で取り囲まれて神通についてめっさ問い質されて…誤解解くのにえらい時間掛かったわ」

衣笠「なんか大事になってたんだね~」

提督「大変やった…てか見とったんなら助けてくれや。薄情なやつめ」

衣笠「いや、私悪くないし」

提督「何てやつや」


間宮「提督さん?」

提督「おう間宮はん。どないしたん?」

間宮「あの…提督さんが彼女さんを連れてきたって話は誤解だったんですか?」

提督「ああ、うん。せやで」

間宮「っ!」ダキッ

衣笠「!?」

提督「なっ!ちょ、どないしたん?急に抱き付いてきたりして」

間宮「良かった…本当に良かった」

提督「な、なにが?」

間宮「あの話を聞いた時…提督さんが遠くに行ってしまったように感じて…不安だったんです」

衣笠(あんた羽黒と偵察兵ごっこしとったやないか。まぁ言ったら後が怖いから言わないけどね)

提督「あ~ごめんな。心配かけて」ナデナデ

間宮「うぅ…提督さん…」グスッ

提督「どこにも行ったりせえへんから安心しいや」ナデナデポンポン

間宮「グスッ…はいっ!」



間宮(計 画 通 り)



衣笠(うわ~提督の見えない位置で夜神月みたいな顔してる~)

間宮「あ!もうすぐ夕飯が出来ますから、皆さんをお呼びしないと」バッ

間宮(満足満足)

提督「と、そうや。今日の夕飯はなんや?」

間宮「カレーですよ」

提督「おお!てことは…能代か鈴谷か雷あたりが当番か?」

間宮「いえ、当番自体は決まってなかったんですが、今日は叢雲さんが担当しました」

提督「叢雲が?意外やな…」

間宮「味は大丈夫だと思います。鳳翔さんが付いていますし」

提督「いや別に味を疑ってたんやなくて…あ、なるほどな。せやからさっき食堂云々言うとったんや」

衣笠「叢雲カレーか…どんな味なんだろうね」

提督「ああ。はよ食いたいな」

間宮「ふふっ、すぐ出来ますよ。その前に皆さんを呼びましょう」

提督「せやな!」

────────────

─夕飯~食堂~─

ガヤガヤガヤ

提督「いっただっきまーす!」

叢雲「ど、どう?」

提督「ん!美味い!辛さも俺好みや!」

叢雲「本当!?」

提督「ああ!ただな…」

叢雲「え?…やっぱり…不味かった?」

提督「いやいや!味は美味しいで!ただな…」

<●><●>

提督「周りからの視線が…」

叢雲「あはは…」

夕立「別に気にしなくてもいいんじゃない?」

時雨「そうだよ。こんなの日常茶飯事じゃん」

提督「こんな日常否定したるわ」

夕立「提督さんって罪作りっぽい?」

提督「罪を作った記憶がございません」

叢雲「ま、まぁ気にしなくていいでしょ。さ、食べてよ」

提督「お、おう」

叢雲「はい、あーん」

提督「んぐ…うまぁ…」

<●><●>ゴゴゴゴゴ


夕立・時雨(もしかしなくてもこれが原因だよね(っぽい))



衣笠「今日は色々あったな~」モグモグ

羽黒「そうなんですか?…私、今日の夕飯までのが記憶が飛んでるんですよ…」

衣笠「はは…まぁ忘れた方がいい記憶だってあるし、気にしなくていいよ」

羽黒「は、はい…でもやっぱり気になるなぁ」

衣笠「私の口からはなんとも言えないわ…詳しくは間宮さんにでも聞いて」

間宮「私がどうかされましたか?」

衣笠「わぁっ!び、ビックリしたぁ…」

鳳翔「驚かせちゃってごめんなさい」

間宮「ご一緒してもいいかしら?」

羽黒「はい、どうぞ」

衣笠「ん~!思った以上に美味いわ叢雲カレー!」

鳳翔「叢雲さんが愛情込めて作りましたから」

衣笠「その愛情は誰にたいして?」

鳳翔「ふふっ、分かってるくせに」


羽黒「間宮さん、昼間に何があったんですか?」

間宮「ん~…提督本人に聞いてくださいな、ハグミラン大尉」

羽黒「はぐぅっ!?だ、誰ですかそれは!?」



衣笠「あれ、そういえば何か忘れているような…」

間宮「?昼間のこと忘れているのは羽黒さんだけじゃなかったんですか?」

衣笠「いや、そうじゃなくて…何か忘れてる気がするのよ」

間宮「ん~?…確かに、私も何か忘れてるような…?」

衣笠「…まぁいいか。いずれ思い出すでしょ」

間宮「そうですね。それに」

衣笠・間宮「忘れてるってことは大したことじゃない」




────────────

─どこかの森─

古鷹「道に迷って何時間経つのかしら…どこなのよここ!」

青葉「ていうか何で森にいるんですか!?」

古鷹「誰のせいだと思っているんですか!?」

青葉「あなたのせいです!あなたが私を見捨てて逃げようとしたから!」

古鷹「だからと言って砲撃しながら追い掛けてこなくてもいいじゃないですか!思わず全力疾走しちゃったじゃないですか!」

青葉「無我夢中に走った結果がこれじゃないですか!」

古鷹「むむむ!」

青葉「ふぬぬ!」

古鷹「…」

青葉「…」

古鷹・青葉「やめよう…」

古鷹「争ってても仕方ありませんね…」

青葉「そうですね…今は鎮守府に帰ることを優先しましょう」

古鷹「とは言っても…来た道分からないし…大人しく助けを待つしかないかな」

青葉「ですけどこんなどこかもわからない森に助けがくるんでしょうか?」

古鷹「諦めちゃ行けませんよ。諦めなければ必ず報われますから」

青葉「そうかなぁ…?」

ガサッ

青葉「ん?」

古鷹「どうしたの?」

青葉「今誰かいたような…」

ガサガサッ

古鷹・青葉「!?」

ガサッガサッ

古鷹「助けが来たのかな!?」

青葉「わ、分からない!とりあえず助けを求めてみよう!おーい!」

古鷹「おーい!」

ガサガサッガサガサッ

青葉「来た!ワレアオバ!ワレアオバ!」

古鷹「ちょ、それは駄目!」

ガサガサッ…

古鷹「やっと帰れるわ~」

青葉「おーいこっちこっち!」

グォ…

青葉「ん?」

古鷹「鳴き声?」

グォォォ…

青葉「まさか…」

熊「グォォォォォォォォォォン!!!」

古鷹・青葉「く、熊ぁぁぁ!」

熊「グォォォォォォン!!!」

古鷹「ちょ、こっち来んなぁ!」

青葉「ちょ、無闇やたらに逃げたら余計迷うよ!?」

古鷹「言ってる場合か!逃げなきゃ殺されるわよ!」

熊「ガァァァァァァァァァァ!!!」

古鷹・青葉「うぉぉぉぉぉ!!!」

野球

飛龍「野球?」

提督「せや。うちの鎮守府にも艦娘が増えてきたからな。親睦も兼ねてやろうと思っとる」

飛龍「はぁ…しかしどうして野球を?」

提督「俺が好きやから」

飛龍「なるほど…しかし野球のルールを理解している人って少ないんじゃないですか?私も詳しくは知らないし」

提督「まぁその辺は練習とかで鍛えりゃええやろ」

飛龍「はぁ…」

提督「よし!思い立ったらすぐ行動!早速皆に伝えてくるわ!」

飛龍「え、ちょ、まっ…」

飛龍「行っちゃった…」

────────────

提督「─てなわけで」

提督「第一回、鎮守府交流野球大会を行う!」

ワーパチパチパチ

提督「親睦を目的としたこの大会。ルールは簡単。シンプルな野球ルールで、最低9人、最大15人までのチームを作ってリーグ戦を行う!今鎮守府に艦娘は90人やから最大人数で作ったと仮定して6チームできるはず…と言いたいとこやけど」

提督「この野球大会は自由参加!チーム編成自由!各自が選手を募ってオリジナルチームを組むんや!」

提督「あと大会は1週間後やから、その間に自由に選手を集めて練習してよし!あ、道具は倉庫にあるから自由に使ってええで」

提督「…てことで、参加する人はここに箱があるから、チーム名とそのチームに属する選手を紙に書いてこの箱に入れてくれ!以上解散!」

艦娘一同「………………」

提督「…なんやえらい反応薄いな」

五十鈴「いやだって、そんなことしてる暇があったら仕事しろって言われるだけだし…」

瑞鶴「ていうか別に皆仲がいいからいまさら親睦会っていってもね…」

提督「おいおい…ノリ悪すぎやろ…あ!ならこれならどうや!?優勝チームには景品をやるってのは!」

艦娘一同「うーん…」

提督「景品はせやなぁ…俺が願い事一つ聞いたるわ!」

艦娘一同「!?」

提督「あ~でも、出来る範囲でな!例えば、1億くれとか世界征服したいとかそんなアホなことは聞けんけど、出来る範囲のことならやるで!どうや?悪ぅないやろ?」

艦娘一同「よし、やりましょう」

提督「おおきにな!じゃ、楽しみにしてるわ~」

艦娘一同「はい!」

提督「あ!そうそう」

艦娘一同「はい?」

提督「俺も野球参加するから、チーム呼んでくれてもええで!まぁ多分俺から勧誘すると思うけど」

艦娘一同「!?」

提督「話はそんだけや。ほなな!」

艦娘一同「………………」



────────────


─勧誘フェイズ─

提督「さて、メンバーやけど…どうしよか」

提督「一応何人か目星は着いとるんやけど…そっから当たるか」

────────────

提督「おーい長門~」

長門「提督か。どうした?…と、聞くまでもないな。野球のことだろ?」

提督「話が早くて助かるわ。単刀直入にうちのチーム入らんか?」

長門「いいだろう。ビッグ7の力、見せてやる」

────────────

提督「次や次!…へーい瑞鶴!」

瑞鶴「提督さん。どうしたの?」

提督「野球のことや。うちのチーム来てくれへんか?」

瑞鶴「勧誘早いわね…いいわよ。幸運の女神の力、照覧あれ!」

────────────

提督「ぜかましちゃ─」

島風「提督のチームに入れてくれるの!わーい!」

提督「早っ!いやまだなんも言うてへん…まぁええか」

────────────

天龍「俺もチームに入れてくれよ」

提督「ん?ええで。枠余っとるし」

木曾「待てい!天龍が入るなら俺も入る!」

天龍「木曾、てめぇどう言うつもりだ?」

木曾「はっ!お前より活躍してお前の居場所を無くしてやる」

天龍「なんだとぉ!?やれるもんならやってみやがれ!」

提督「とりあえずお前ら、別ポジションな」

────────────

不知火「私も入ります」

提督「お、これは心強い」

不知火「ポジションは中継ぎで」

提督「理由は?」

不知火「私はこう見えて野球経験者でして、非番の時はよく実業団に助っ人として行ってまして」

提督「マジで?」

不知火「はい。その際私の起用ポジションがセットアッパーとストッパーだったんです」

提督「てことは、変化球型か速球型やな?」

不知火「私は変化球型です」

提督「うーん…でもそれやとストッパーの方がええんちゃう?」

不知火「抑えが出る前に私が投げきりますよ」

提督「さよか…よし、その方向性で考えとくわ」

不知火「感謝します」

────────────
長良「野球ということなら私にまかせて!」

提督「優秀な二番打者キタコレ」

長良「え、なんで私が二番打者?」

提督「俊足巧打は二番に起きたいからな」

長良「私のスタイルがバレてる!?」

────────────

提督「衣笠よ」

衣笠「どうしたの提督?」
提督「スカウトや」

衣笠「ああ、例の野球ね。いいわ、入ってあげる」

提督「よっしゃ、最強の五番打者ゲットや!」

衣笠「鉄人ネタはもういいわよ」

────────────

提督「北上様~」

北上「んぁ…提督?」

提督「うちのチームに来ぉへんか?」

北上「いいよ~。ポジションは~?」

提督「考え中」

────────────

提督「鈴やんは強制や」

鈴谷「え、どうして!?」

提督「ええやろ?」

鈴谷「いや、別にいいけどさ…熊野も一緒でいい?」

提督「かまへんで」

────────────

提督「加賀っち「行きましょう」早っ!?」

加賀「提督のチーム以外に行く気はありませんから」

提督「おぉう…」

────────────

日向「愉快そうな面子じゃないか」

提督「日向…良かったら来るか?」

日向「いいのか?」

提督「ええで。むしろ来てくれ」

日向「了解した」

────────────

提督「利根、あんたの出番や」

利根「いきなりなんじゃ」

提督「勧誘や。うちのチーム来るか?」

利根「ふむ…分かった。行こう」

提督「えらいあっさりやな」

利根「まぁ特にチームに拘りはないからの」

提督「さよか…よろしく頼むわ」

利根「任せい!」

────────────

提督「これで我がチームは揃った…」

提督「俺、長門、瑞鶴、島風、天龍、木曾、不知火、長良、衣笠、北上、鈴谷、熊野、加賀、日向、利根…」

提督「このメンバーで俺は栄光を掴む!」

提督「んじゃ、さっそくミーティングやな」

────────────

提督「ちゅうわけで今度の大会に向けての練習等の方針を決めたいと思うんやけど…質問は?」

熊野「よろしいかしら?」

提督「なんや熊野」

熊野「何故私は強制的にこちらのチームなのかしら?」

提督「ん、不満か?」

熊野「不満とかではありませんが…理由をお聞きしたいのです」

提督「鈴谷の推薦や」

熊野「鈴谷?」

鈴谷「ごめんね熊野~。ほら、アタシ一人じゃ不安で…」

熊野「もうっ…仕方がありませんわね…」

提督「姉妹仲エエな。他には?…なさそうやな」

加賀「五航戦の子も一緒なのね」

瑞鶴「何か問題でも?」

加賀「足、引っ張らないでね」

瑞鶴「コイツっ…!!」
利根「コラっ、喧嘩はよさぬか」

提督(やっぱコイツらはこうなるか)

日向「…大丈夫なのかこの面子?」

提督「…ま、ちょっとした考えがあるんや」

日向「そうか。ならいいんだが」



提督「さて、じゃあ早速やけど昼食後にグラウンドに集合や。服装はトレーニング用のジャージでな」

「はい」

────────────

提督「よっしゃお前ら!大会に向けて練習や!」

「おー!」

提督「まずはポジション決めるために守備練習や!ノックするから所定の場所につけ!」

「はい!」

提督「っと、瑞鶴と鈴谷は捕手、不知火と加賀と熊野は投手に付け!」

不知火「はい」

加賀「どうして私が投手なんです?」

熊野「そうですわ」

提督「熊野は鈴谷とバッテリー、加賀は瑞鶴とバッテリーを組んでもらう」

加賀・瑞鶴「…は?」

提督「その為に調整するから加賀はマウンドに、瑞鶴は捕手に。鈴谷と熊野は横で投球練習や」

瑞鶴「いやいやいや、何で私がこんな人と!?」

加賀「それは私の台詞です。なんで私がこんな奴と…」

瑞鶴「は?」

加賀「なに?やるの?」

北上「も~楽しくやろーよ~」

提督「何を言われようが決定や。大人しくポジションつけ」

加賀・瑞鶴「チッ…」

提督「さて、早速守備練習といこか」

天龍・木曾「まったく…先が思いやられる…」

長良・衣笠「あんたらが言うな」

島風「早くやろーよ!」

────────────

提督「…よし、こんなもんか」

不知火「どうです?ポジションは決まりそうですか?」

提督「まぁ完全に決定ってわけやないけど、現段階はこうやな」

長門 一・右

衣笠 三・一

長良 左・遊

島風 二・遊・代走

利根 中・右・左

日向 一・左・代打

木曾 二・中

天龍 遊・左

北上 右・三

熊野 先発

不知火 中継ぎ 捕

加賀 抑え

鈴谷 捕

瑞鶴 捕

提督 全部・不知火登板時捕手。


提督「て、ところや」

不知火「なるほど…ん?何故私が捕手登録を?」

提督「あぁそれはいずれ説明するわ。出来るやろ?」

不知火「えぇ、一応は」

提督「なら問題ない」

────────────

─投球練習─

提督「よし、こい不知火!」

不知火「分かりました…ふっ!」

スパーン

提督「お、ノビのあるストレートやな。…いや、フォーシームか」

不知火「ええ。…そういえば球種を教えていませんね」

提督「せやな…何が使える?」

不知火「フォーシーム、ツーシーム、ムーヴィング、スライダー、カーブ、スラーブ、フォーク、シンカー、シュート」

提督「球種多っ!」

不知火「他にはナックルボール、ナックルカーブ、ナックルシンカー、ライズボールって所ですね」

提督「まだあんのかい!しかもナックル!?てかライズボールって野球でどう投げんの!?」

不知火「ま、実際やってみれば分かりますよ」

提督「…分かった。やってみよか」

────────────

提督「これ、勝ちゲーやわ」

不知火「不知火に落ち度はありません」ドヤッ

提督「球威はあんまりないけど、全方向に対応できる変化球、しかもどれも変化が大きい…あと規格外なんが全方向ナックルとライズボール」

提督「正直アホちゃう?と思たわ…ナックルスライダーとかナックルシュートとかライズボールとかどう投げとんねん…現実離れとはこのことか」

不知火「正直それを取れる提督も凄いのでは」

提督「そうかな?ま、不知火の投げた球はちゃんと受け止めたるから」

不知火「!?」

提督「せやから安心して…て、どないしたん?」

不知火「い、いえ…今の会話、夫婦みたいだなと思いまして」

提督「ん?確かにな~」

不知火「!!?」

※夫婦はバッテリーの比喩表現として用いられることがあります

提督「さて、続きや続き!次は不知火が捕手やってくれ!」

不知火「夫婦…提督と…結婚…初夜…」

提督「不知火?おーい」

不知火「子作り…子供…子育て…老後…」

提督「し ら ぬ い!」

不知火「はっ!な、なんでしょうか!?」

提督「いや、せやから捕手にまわってくれって」

不知火「は、はい!」

────────────

提督「不知火、まず最初に謝っとく…すまん」

不知火「何がです?」

提督「多分手が痛いと思う…あと、怪我すんなよ?」

不知火「は、はぁ」

提督「じゃ、まずは速球から…せいっ!」ビュン!

不知火「!」

ズバァン!

不知火「っ!」

提督「大丈夫か不知火?」

不知火「えぇ、まぁ…」

不知火(速い!!それに…重い!)

提督「ん~…昔ほどキレがあらへんなぁ。…150㎞くらいか?スピードガン欲しいわ」

不知火「持ってきましょうか?演習用のがありますが」

提督「頼むわ」

────────────

提督「加賀、悪いけどスピードガンの測定頼むわ」

加賀「分かりました」

不知火「では、もう一度速球を」

提督「分かった。…せいっ!」

ズバァン!

不知火「っ!」

加賀「!」

提督「お、今のええ感じや。どうや?」

加賀「162㎞…」

不知火「!?」

提督「よし、まだ健在やな俺の豪速球!」

不知火「クルーンか何かですか提督は…」

提督「さ、次は変化球や!」

────────────
提督「まずはカットボール…はっ!」ビュッ

ギュィッ

ズバァ!

不知火「…!」

加賀「156㎞…」

提督「次はシンカー…はっ!」ビュン

ギュゥン

ズバァ!

加賀「153㎞…」

提督「次はスプリット…はっ!」ビュン

ズバァン!

加賀「157㎞…」

提督「次はシュート…はっ!」ビュン

ズバァ!

加賀「152㎞…」

提督「次はスライダー!」ビュン

ズバァ!

加賀「152㎞…」

提督「最後は…ジャイロボール!」ビュン

ズバァン!

加賀「160㎞…」

不知火「ギブソンかですか貴方は…」

提督「ふぅ…手、大丈夫か不知火?」

不知火「大丈夫です…貴方こそ、手首や肘や肩は大丈夫ですか?」

提督「問題あらへん。一度盛大にぶっ壊しとるからな。それ以降どんだけ無茶しても壊れんくなったんや」

不知火「そんな人造人間じゃあるまいし…」



加賀「提督、折り入ってお願いがあります…」

提督「なんや?」

加賀「提督のその投球スタイル、私に伝授してもらえませんか?」

提督「えっ…いやいややめた方がええって。素人がやると右腕壊れるで?」

加賀「私は艦娘です。人より何十倍も頑丈に出来ています」

提督「せやけど…」

加賀「お願いします」

提督「加賀…お前…」

提督(そこまでして勝利を獲たいんか…感心したわ)

加賀(彼の投球を覚えれば瑞鶴を痛め付けることが出来る!)

提督「よっしゃ!なら教えたろ!ビシバシいくから覚悟しいや!」

加賀「ありがとうございます」

加賀(今に見てなさい…瑞鶴)

────────────

─二日目─

天龍「よしこーい!」

長門(二遊間強い当たりのゴロを意識して)

カーン!

天龍「来たッ!せりゃあ!!」バッ

木曾「はぁっ!」バッ

ゴチン!

天龍「~っ!木曾!てめぇ…」

木曾「ってぇな!何しやがる!」

天龍「ぶつかって来たのはてめぇの方だろうが!」

木曾「うっせぇ!お前ごときに守備を任せられるか!」

天龍「んだとコラァ!」

木曾「あぁ?やんのか?」

長門「お前ら、いい加減にしろ。今回で何度目だ?」

天龍「大体キャラが被ってんだよ!」

木曾「たまたまだ!それに、改二実装されてる私とただの遠征要因のお前とじゃ格が違う」

天龍「あぁ?てめぇなんか北上、大井の下位互換じゃねぇか」

木曾「…流石の私もキレちまったぜ。このクソアマァッ!」

天龍「掛かってきやがれ雑魚がぁ!」

長門「おい!やめろ!」

天龍・木曾「うっせぇ!部外者は引っ込んでろ!」


長門「あぁ?」


天龍・木曾(あ………)

長門「ほぅ…いい度胸だなぁ三下ども…」

天龍「あ~いや~、その、これは…」

木曾「ちょっと気が立っちまって…その、勢いで言っちまったつーか…」


長門「跪け」

天龍・木曾「すいやせんしたぁぁぁぁぁ!!!」ズサー



北上「平和だねぇ…」

長良「ま、向こうに比べるとね…」


瑞鶴「くっ!…」

加賀「……………」ゴゴゴゴゴ


北上「加賀さんと瑞鶴さん、さっきからずっとあの調子だからねぇ…近寄りがたいなぁ」

長良「仲裁役の提督は日向にバッターボックス立たせて不知火と魔球の投げ合いしてるし…場をおさめるのが上手い利根さんは衣笠さんと島風ちゃんと守備練習してるし…」

北上「ま、放っておく方がいいかもね。君子危うきに近寄らずって言うしね」

長良「それちょっと使い方が違うけど…そうね。関わらない方が身のためだね」



加賀「フッ!」ビュン

スバァン!

瑞鶴「うっ!」ポロッ

加賀「何をしてるの?ちゃんと取りなさい」

瑞鶴「アンタねぇ…もう少し加減ってもんを知りなさいよ!」

加賀「加減?ふっ…笑わせないで。勝負事に加減なんてもの、あるわけないでしょ?」

瑞鶴「今は練習でしょ!それに、私は初心者なのよ?」

加賀「私も初心者よ。ただ勝つために全力で練習しているから、成り行きで球遊びに興じてる貴方とは格が違うけど」

瑞鶴「あんですって~っ!」

加賀「それに、練習だからといって手を抜いてどうするの?私は本番、これ以上に全力で投げるわよ?練習の時点で私の球が取れなくて…本番どうするつもり?」

瑞鶴「くっ!」

加賀「さ、練習を続けるわよ」

────────────

熊野「いきますわよ、鈴谷」

鈴谷「いつでもいいよ~」

熊野「とぉぉぉ↑おう↓!!」ビュン

スパァン

鈴谷「お、いいねぇ!次はサイン通りにやってみようか!」

熊野「わかりましたわ」

鈴谷「右打者を想定してね!さ、こい!」

熊野(右打者なら…アウトコース高めのストレートですわね…)

熊野「ひゃぁぁぁ!!」ビュン

スパァン

鈴谷「いい球だ!次っ!」

熊野(もう一度アウトコースの高めのストレート…今回は外ですか)ビュン

鈴谷「いい調子いい調子!誘い球も完璧だね!」

熊野(次はインコース低めのフォーク。意表をつくのですね)ビュ

鈴谷「おぉっ!?凄いじゃん!これなら不知火にゃ負けないね!」

熊野「いや…あれにはさすがに勝てませんよ」



提督「インコース高めのライズボール!」スパァン

日向「これは中々怖いな」

提督「顔の近くを過ぎるからな。せやけどこれはあくまで誘い玉や。あいつのライズボールの真髄は次やで」

不知火「…ふっ!」ビュン

ヒョロヒョロ

日向(?これはナックル…指示を間違えたか?)

ギュンッ!

日向「なっ!?」

スパァン!

提督「これが不知火が誇る魔球…ナックルライズや。ナックルの軌道でゆったり近づいてきよるから球速自体は遅い…が、打者の目の前に来たとたん、加速してものごつい勢いで跳ね上がる」

日向「物理仕事しろ」


鈴谷「ま、彼らはあくまで中継ぎ陣だからね。熊野は先発なんだから、しっかりね!」

熊野「…不知火とか提督が先発をやるべきですわ」

鈴谷「あの二人が異常なだけで、熊野だって凄いピッチングセンスしてるよ。球速あるし、変化球のキレもある。どの打者でも対応できるし、コントロールだって抜群!さながらエース投手だね」

熊野「おだててもなにも出ませんわよ。さ、続きを」

「いいかげんにしてよ!」

熊野「!?」

鈴谷「な、なに?」



瑞鶴「さっきから球威のある球で、しかも指示を無視してほぼ顔面狙って…なに?そんなに私が嫌い?」

加賀「何を言っているの?たまたまよ。それに私は勝負事に私情は挟まないわよ。例え貴方が嫌いであっても味方である以上は手を出さないわ」

瑞鶴「よく言うわ!私の運が良かったから当たらずに済んだものの…これが翔鶴姉だったらどうすんの?一撃大破ものよ!」

加賀「貴方だからいいんじゃない。どんな悪球でも捌いてくれるんだから」

瑞鶴「やっぱりわざとなんじゃない!…もう頭きた!私、チーム抜ける!」

加賀「勝手なのね。提督に言わずに出ていくつもり?」

瑞鶴「提督さんも提督さんよ!アンタなんかとバッテリーなんて…采配ミスにも程があるわ!腕鈍ったんじゃないのかしら」

加賀「!!」


パチーン!


瑞鶴「なっ…なにすんのよ!」

加賀「黙りなさい!私のことをなんと罵ろうがかまわない。だけど…提督を蔑むことは許さない!」

瑞鶴「っ!?」

加賀「さっきの言葉、取り消しなさい!大体、貴方には分かるの?提督が普段何を思って上に立っているのか。それに知ってる?彼が采配ミスをしたことが過去一度もないこと…いや、本当は一番貴方が分かるはずよね?だって秘書艦なんだから。なのに腕が鈍ったなどと抜かして…何様のつもり?」

瑞鶴「…れ」

加賀「新型艦だと、幸運艦だと周りから囃し立てられ、天狗になってるのかしら?だから、自分が被害を受けるとその責任を他者、しかも日頃から良くしてくれている上官に押し付けてるのね…」

瑞鶴「…まれ」

加賀「普段から何かと無茶いって振り回して…だけど優しく接してくれる提督。そんな人を蔑ろにして…。なにも言わないから何やってもいい…そんなこと思ってた?流石に調子乗りすぎじゃないかしら?提督の優しさにつけこんで…まるで悪女ね」

瑞鶴「黙れ!」

加賀「提督があなたを嫌うのも時間の問題ね。わがまま天狗にいつまでも構ってあげられるほどあの人も余裕がないもの」

瑞鶴「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!」

加賀「…何を怒っているのかしら?」

瑞鶴「アンタに…私の何がわかるっていうの?私の気も知らないくせに…勝手なこと言わないでよっ!!」ダッ

加賀「……………」




提督「まったく、手のかかるやつらや…すまん、ちと行ってくる。不知火、日向、確実練習しといてくれ」

不知火「わかりました」

日向「頑張れよ」

提督「おうよ」


────────────

瑞鶴「…私ってなんでいつもこんな…」

瑞鶴「バカ!私のバカ!…分かってるわよ、迷惑かけてることくらい…」

瑞鶴「はぁ…いっそこのまま海に出てしまおうかしら…」


提督「そうは問屋が卸さへんで」

瑞鶴「提督さん!?なんで…」

提督「すまん、お前らの話聞いてもうた…ゆうて、あんなデカイ声で喧嘩しとったら聞こえてくるからしゃあないわな」

瑞鶴「…ねぇ、提督さん。私って、そんなに迷惑?…て、聞くまでもないか。迷惑よね…わがままで自己中だし…嫌いになって当然よね…」

提督「アホか」

瑞鶴「え?」

提督「自己解決すな。俺はな、お前のこと迷惑なんて思ったことあらへんわ。てかんなことお前に言うたか?」

瑞鶴「面と向かって迷惑だなんて言わないわよ普通…」

提督「まぁ普通の人はな。でも俺は普通やない。思ったことが口か表情に出る分かりやすい単純明快な人間や。せやから嫌なやつに対する態度ってめっさあからさまやで俺」

瑞鶴「………」

提督「俺な、お前が鎮守府に来てくれた時、嬉しかったし、それから何かとなついてくれたり、一緒に楽しく過ごせたんが嬉しかったんや。当時まだ未熟で右も左もわからんペーペーやったのに、お前は嫌な顔せずに付いてきてくれた」

提督「むしろ俺がお前らに迷惑かけてると思うわ…ホンマ、こんな不甲斐ない提督ですまんな」

瑞鶴「そんな!提督さんが迷惑だなんて思ったことないわよ!…兵器としてじゃなく一人の女性として接してくれてる提督に感謝してもしきれないくらいよ!」

提督「ありがとう…そう言ってもらえて助かるわ…あとな、俺は素直で人懐こい瑞鶴が好きや」

瑞鶴「!?」

提督「せやから本音で話してくれ…お前は加賀が本気で嫌いなんか?」

瑞鶴「それは…」

提督「確かに加賀は言い過ぎや。もう少し人の気持ちを考えて発言した方がいいと思う…けどな、やつは素直やないからついきつく当たってまう。あの言い方、ええとは言えんけど、やつはやつなりにお前を思っとるんやで」

瑞鶴「そんなの…嘘よ」

提督「嘘かどうか、その目で確かめてくれや。…付いてきて」

────────────

不知火「サウジアラビアにはこういう言葉があります」

日向「懐かしいなそのネタ」

不知火「興味がないとか言ってるやつほど熱心に打ち込む」

日向「サウジアラビア関係ないな」

不知火「ソースは私」

日向「お前かよ!サウジアラビアどこいった」

不知火「提督が正規空母と密会?興味ありませんね」キョロキョロ

日向「密会じゃなく喧嘩の仲裁だ。あとあからさまに周囲を見渡すな」

不知火「と、いうことで提督を探してきます」

日向「どういうことなの…別に探さなくても、信じて待てばいいだろ。あんなでも人の上に立つ存在だ。上手くやってくれるだろ」


不知火「チッチッチ。甘いですね日向さん。ココアに生クリームを入れたくらい甘いです」

日向「あれ、お前ってそんなキャラだっけ?」

不知火「ただの仲裁だと侮るなかれ。考えてもみてください。あのジゴロの提督ですよ?仲裁と託つけて優しい言葉を囁くんですよ?そうなったらどういう結果が生まれるか分かりますよね?」

日向「そんなことないだろ…と言えない私であった」

不知火「でしょ?だから提督が悪女に騙される前に私達の手で阻止しようと思います」

日向「さりげに私入れんな。…まぁ他の女性と仲良くしているというのは内心面白くはないが、かと言って変に割り込んで状況をややこしくするのもなぁ…」

不知火「…サウジアラビアにはこういうことわざがあります」

日向「またか」

不知火「やらずに後悔するくらいなら、やって後悔しろ。いつやるか、今でしょ!」

日向「だからサウジアラビアどこいった。あとブーム過ぎてるぞそのネタ」

不知火「要するに結果後悔するならやれるだけのことはやろうぜってことです。だから行きましょう」

日向「…はぁ。どうなっても知らんからな?」

不知火「覚悟はできてます。いざ、行かん戦いの地へ。敵は正規空母二隻。提督を我が手中に納めんとする野望を阻止するのだ!」


日向「キャラブレすぎでしょ」

────────────

加賀「……………」トボトボ

加賀(またやってしまった…)

加賀(なぜこうも素直になれないのかしら…)

加賀(頭では理解できても外面が、プライドが受け入れることを拒んでしまう…)

加賀(私はあの子を…)

加賀「くっ…消えてなくなりたい気分よ」


提督「勝手におらんくなられたら困るで姉ちゃん」

加賀「提督…」

提督「なんやえらいセンチになっとるみたいやけど…」

加賀「…大丈夫です。気にしないでください」

提督「そうは見えんで。明らかに無理しとる」

加賀「…」

提督「瑞鶴のことやな?」

加賀「…私は、嫌な女です。素直になれずプライドばかり先走って、本心で相手と向き合えない…感情の起伏が乏しく無愛想…」

提督「加賀…」

加賀「私は所詮兵器…馴れ合いなんて向いてない…」
提督「アホ…なんでこうもナーバスなやつらが多いんやうちの鎮守府は…あれか、機械はデリケートってやつか?」

加賀「…すみません」

提督「お前はな他のやつより色々背負いすぎやねん。ミッドウェーとかいう戦いで沈んだ後悔からか知らんけど周囲を厳しく見すぎやねん。お前は確かに強いし、周りはお前ほど冷静なやつも少なく寧ろ迂闊なやつもおる始末や」

提督「せやけどな、それも1つの個性やねん。…戦争は一人でやるもんやない。一人がずば抜けて強くても周りがそれに同調できんかったら最弱にもなる。戦争で大事なのは連携と統率。いかに皆が周りに合わせられるかどうかで強さも形態も変わるねん」

加賀「…………」

提督「その観点から見てお前は周りに厳しすぎた。せやから辛辣な言葉を投げ掛けてまう。瑞鶴なんか最たるもんや。…あいつはお前らの後を継いで日本を背負って戦う存在やった。でも加賀が現役やった当時は一航戦と比べて五航戦は練度が低く、後釜を任せるにはかなりの不安があった。せやから厳しく辛く当たってしもた…違うか?」

加賀「…いえ、違っていません」

提督「でも五航戦は決して弱くはなかった…周辺諸国からしてみれば五航戦はエースパイロットばかりの精鋭部隊やった。それに、五航戦の能力は日に日に強く確実なもんになっていってた。せやけど一度突っぱねた手前、素直に認めることが出来んかった。ましてや誇り高い一航戦や。なおさら素直になれんわな」

加賀「…耳が痛いです。全て提督の仰る通りで…」

提督「加賀よ。ええ機会やから言わせてもらうわ」

加賀「はい?」

提督「時代はもう変わった。お前らも別の形で再びこの世に生を受けた。…やり直すなら今しかないで」

加賀「ぁ………」

提督「この国ではもう昔みたいな戦争はないし、平和になった。昔は相容れんかったやつも小競り合いがあるにしろ、関係は昔よりはるかに良好になってきた…赤城を見てみ。一航戦の誇りを守ることを大切にしとるけど、決して他を突き放すことはないやろ?むしろかつての事を悔いず、戦いで散った仲間を労るくらいや。…赤城みたいになれとは言わん。…ただ、少しでええから素直になってみたらどうや?」

提督「味方に弱みを見せるのは恥やない。自身をさらけ出すのは恥やない。…自分の全てを見るっちゅうのは、信頼するってことなんやで」

加賀「提…督…」

提督「…話はこれだけや。差し出がましいことゆうて悪いな。じゃ、俺はこれで」

加賀「………」ギュ

提督「?どないしたん?裾引っ張って…」

加賀「…っ」ポロポロ

提督「ちょ!なんで泣いて…あ!厳しく言い過ぎた!?す、すまん!」

加賀「ちがっ…うんです…わた、私…なんて馬鹿なことを…っ!」

提督「加賀…」

加賀「つまらない意地はって…あの子に辛く当たって…今日だって!…どんな顔して会えばいいのっ!?」

提督「…素直になることや。素直に自分の気持ちをぶつけりゃ相手もわかってくれるわ」

加賀「そんなの無理よ…」


瑞鶴「相変わらず思い込みが激しいわね…」


加賀「なっ…!?」

瑞鶴「なんでもかんでも勝手に思い込んで突っ走って、つまらないプライド掲げて…挙げ句自分がやったことを後悔する…質が悪いわ」

加賀「ど、どうしてここに…」

瑞鶴「そんなこと、どうでもいいでしょ。…そんなことより私は、アンタに言いたいことがあるの」

加賀「言いたいこと…て?」

瑞鶴「…確かに私は加賀さんに比べてまだまだ未熟だし、生意気で自分勝手で構ってちゃんだわ。…加賀さんに嫌われてもおかしくないわ」

加賀「え、あ…それは」

瑞鶴「最後まで聞いて。…私はね、確かに加賀さんに嫌味言われたりして腹が立ったことだってあった。でもね…加賀さんを嫌ったことなんて一度もないわよ」

加賀「………え?」

瑞鶴「加賀さんの嫌味は未熟な私達を心配してのことだし…現に出撃しても私や翔鶴姉は加賀さんたちと比べて被弾率も高いし、火力だってないわ。だからいつも嫌味を言われても不器用な叱咤激励だなと思っただけだったし…」

加賀「…………」

瑞鶴「翔鶴姉なんて、加賀さんに凄く憧れててさ。なにを言われても愛の鞭だと捉えて一所懸命頑張ってた。ドMか!って思ったりもした…でもそれは翔鶴姉だけじゃなく、私もそうだったのよ。加賀さんが厳しいのは後の戦いで私達が後釜を務められるように…心を鬼にしてるんだって。…さっきグラウンドで言ったあの言葉も、ごもっとも過ぎてかなり刺さった」

提督「瑞鶴…」

瑞鶴「私はね、本当はそんな加賀さんが好きなんじゃないかって思ってる。…でもさ、やっぱ同じ場所で戦って、共に生活してる家族みたいな、友人みたいな仲間だからさ…もっと普通の付き合いがしたい。…戦いで~とか、性能が~経験が~とかじゃなく…仲間として、友人として、家族として…他愛のない話をするような気が置けない付き合いがしたい」

加賀「あ…………」

瑞鶴「私は加賀さんに私として見てほしい。五航戦の空母としてじゃなく…一人の女性として」

加賀「瑞…鶴…」

瑞鶴「…ごめんなさい、生意気なこと言って。煩わしいと思ったら今の会話、忘れて。…言いたいこと言えたし私はこれで」


加賀「待って!」ギュ

瑞鶴「!?」

加賀「ごめん…なさい…ごめんなさい!」

瑞鶴「な、なんで謝るの?加賀さんは別に悪いことしてないのに」

加賀「私…勘違いしてた。嫌われてると思って…だから距離を置こうとして…」
瑞鶴「ばーか。勝手に思い込みすぎよ」

加賀「…本当に嫌ってない?」

瑞鶴「本当よ…」

加賀「…ん、分かってる。でも…やっぱり不安」

瑞鶴「…はぁ。先輩のくせに泣き付くな。ほら、こっち向いて」

加賀「?」

瑞鶴「…ん」チュッ

加賀「んっ!?」

提督「ちょ、おま」

瑞鶴「…ぷはぁ。ファーストキスならごめんね。でもこうでもしないと理解してもらえそうにないから…」
加賀「…ふふ」

瑞鶴「え…わ、笑った?」

提督「加賀が…笑った」

加賀「貴方は本当に強引で自分勝手ね…ファーストキスを軽々しく奪って…」

瑞鶴「し、仕方ないじゃん!それくらいしか信じてもらう方法ないし!そ、それに私だって初めてなんだから!」

加賀「…まったく、こういうのは好きな人に捧げなさいよ」チラッ

提督「?」

瑞鶴「あ、いや、その…べ、別に、女の子同士はノーカンだし…」

加賀「そうね…女の子同士はノーカンね。…なら…ん」

瑞鶴「んんっ!?」

加賀「…っはぁ。仕返しよ。女の子同士はノーカン…でしょ?」

瑞鶴「あ、あぅ」プシュー

加賀「あら…真っ赤になってどうしたの?」

瑞鶴「にゃんでもない…」

加賀「瑞鶴…好きよ?私だって貴方のこと嫌ったことないわ」

瑞鶴「…ん、知ってる」

加賀「…これからは色々と改めてみる。だから、その…私と仲良くしてくれないかしら?」

瑞鶴「勿論よ!言われなくてもベタついてやるんだから!」

加賀「ふふ…お手柔らかにね」




提督「あいつら…俺の目を気にせんとあんなことを…」

不知火「羨ましいですか?」

提督「うぉぉっ!!びっくりしたぁ…見とったんか」

日向「ついでに私もいる」

不知火「しかし、これはかなり貴重なものを見れました。眼福眼福」

日向「来た甲斐があった。これはしばらく話のネタに困らんな」

提督「不謹慎やからやめい。…てかなんで来たん」

不知火「本当は提督の浮気調査だったんですが…つい見入ってしまって…」

日向「右に同じ」

提督「何に対しての浮気やねん…ま、ええわ。とにかくあの二人が仲直りして良かったわ」

不知火「厳密には誤解が解けただけですが…まぁ終わりよければ全て良しです」

提督「お?論理派な不知火がそないなこと抜かすなんて…お前も変わったな」

不知火「そうでしょうか?…そうかもしれません」

日向「ま、それも提督が原因だな。私も提督のせいで中から変わってしまった」

提督「なんや、俺が悪いやつみたいやんけ」

不知火「悪人ですよ。極悪人。諸悪の権化。大罪人。戦犯」

提督「ボロカスやないか!?」

不知火「貴方にキズモノにされました。責任取ってください」

提督「誤解招く言い方やめい!」

日向「いや、案外間違ってないぞ」

提督「手ぇ出してへんがな!こちとら純粋な付き合いをなぁ…」

日向「手遅れだ」

不知火「手遅れですね」

提督「何が!?」

不知火「無自覚は罪ってことですよ」

────────────

瑞鶴「皆さん…大変ご迷惑をお掛けしてすみませんでした」

利根「心配したぞ。急に大声だして走り去って行きおってからに」

天龍「まったく…つまらん喧嘩ばっかりしやがって…ガキみたいだな」

木曾「まったくだ。気分が悪くなるぜ」

長良・衣笠「お前らが言うな」

長門「それで、仲直りは出来たのか?」

加賀「お陰さまで。心配かけてごめんなさい」

鈴谷「ま、一件落着ってことで。練習再開しよう!」

島風「早くやろー!」

不知火「そうですね。日向に私の球を打ってもらわないと」

日向「勘弁しろって…」


熊野「提督、一体どんな魔法を使ったのかしら?」

提督「俺はなんも。強いて言うなら後押しやな」

北上「凄いね、あの二人を仲直りさせるなんてさ~。流石鎮守府のドン」

提督「ドン言うな。ま、あの二人は元から仲悪くなかったからな。ただ誤解を解くきっかけがなかっただけやし。俺はそこに茶々入れただけや。ホンマは時間が解決してくれたことやねんけどな」

熊野「それでも十分貴方の功績ですわ。…やはり貴方は最高の司令官ですわ」

提督「なんや、そないなこと言われたら照れるがな」

北上「ん~?くまのんデレ期かね~?」

熊野「で、デレてませんわ!素直な気持ち言ったまでですわ!」

北上「またまたぁ~照れちゃって可愛いぃ!」

熊野「~!!もうっ、知りません!」

提督「ま~ま~そう怒りなさんな。ありがとうな、そう言ってもろて嬉しいわ」ナデナデ

熊野「ちょっと!れ、レディの頭を気安く撫でないでくれます!?」

提督「あぁすまん」サッ

熊野「あっ…」

提督「ん?なんや?」

熊野「えっと…な、なんでもありませんわ!」

提督「さ、さよか…何で怒っとるんや?」

北上「提督鈍すぎ~」

提督「へ、なんで?」

北上「自分で考えなよ~」
提督「えっと…」

熊野「フンッ!」

北上「ニヤニヤ」

提督「お、乙女心は分からんわ…」


瑞鶴「提督ー!練習始めるわよー!熊野と北上もポジションついてー!」

提督「おう!今いくわ!」
熊野「もう少し休憩したいところですが…致し方ありませんわね」

北上「よーし!バンバンかっ飛ばすよー!」

────────────

提督「こうして俺らは一致団結し、試合に向けて練習をした」

提督「天龍と木曾は相変わらずやけど、皆仲良く練習に励んで順調や」

提督「あれから瑞鶴と加賀の仲は良好…やけど」

瑞鶴「加賀さん…」ギュー

加賀「瑞鶴…」ギュー

イチャイチャ


翔鶴「提督ぅ~…瑞鶴を加賀さんに取られましたぁ~」ウルウル

提督「…と、この調子である」

野球2

─大会当日─

提督「ついにこのときが来たか…」

不知火「提督、大会ですよ大会」

提督「いつものテンションな上に無表情でその台詞は合わへんな」

不知火「しかし…周りは乗り気じゃないと思っていたんですが、案外皆やる気ですね」

提督「まぁ皆なんやかんやゆうてお祭り事好きなんやろな」

不知火(多分景品目当てなんだろうけど敢えて言わないでおこう)

不知火「まぁこうして皆参加していますし、全力で楽しませてもらいますよ」

提督「せやな…ゆうて不知火あんま楽しそうやないけど」

不知火「なぜです?この通りテンション上がってますよ。いやっほーぅ」

提督「いやいや無表情やしテンション変わっとらへんがな」

不知火「笑えばいいんですか?…このように?」フフッ

提督「怖っ!それは笑うやなく嘲笑うや!もっと自然にニコッて感じで…ほらこんな感じで!」ニカッ

不知火「!?」ドキン

提督「あ、今のは自然やないな…なんやろな、自然って難しいな。…てどないしたん不知火?」

不知火「…いえ、相手の心を掴む笑顔って本当にあるんだな~と」

提督「?…まぁええわ。それよりや、試合やけど…一回戦ってどことどこや」

不知火「はい?提督が知っているのでは?」

提督「いや…てかよくよく考えたらトーナメント表作ってへんな。早速チーム代表者呼ばな」

不知火「そういえば、ウチの代表者って誰なんですか?」

提督「ここは勧誘した俺…っと行きたいとこやけど、主催者も兼ねとるからなぁ。不正とか疑われとおないし…変わりに不知火出てくれや」

不知火「分かりました。しかし具体的に何をすれば?」

提督「まぁそれは皆来てから説明するわ。ちと執務室戻るわ…あ、せやせや!館内放送でチーム代表者は一時間後に執務室に来るように呼び掛けといてくれ」

不知火「了解です」


────────────
提督「えーっと、こういうことは最初にやっとくもんやろうけど…すまんな、忘れとったわ」

赤城「しっかりしてくださいよ」

五十鈴「…」

不知火「あら、五十鈴さん機嫌悪いですね。どうされました?」

五十鈴「…何でもないわよ」

陸奥「ははぁ~ん…提督に選ばれなくて拗ねてるのね?」

五十鈴「ち、違います!」

龍田「照れなくてもいいのよ~?私も同じだから~♪」

長波「龍田さんの笑顔が怖い…」

千代田「まったく…提督のどこがいいんだか…」

鳥海「そんなこと言ってると千歳さんに怒られますよ」

提督「全員揃ったな。これからトーナメントの順番を決める。ここにあるクジ引いてホワイトボードに書いとるトーナメントにクジと同じ番号の場所に自分の名前書いてな」

一同「はーい」

提督「引く順番は任意で」

鳥海「なら私から引かせてもらいます」


───────────


提督「よし、これで決まったな」


Aブロック

不知火・陸奥

Bブロック

龍田・長波

Cブロック

赤城・鳥海

Dブロック

五十鈴・千代田


提督「よし、じゃあこれで行こか。…10時にグラウンド集合。それまで各自は作戦練るなり飯食うたりしてくれ…それじゃあ解散!」


────────────

─会議室─

不知火「それでは皆さん、朝食がてら作戦会議を行います」

一同「はーい」

提督「皆の手元にある紙を見てくれ。これが一回戦のオーダーや」


1 中 島風

2 左 長良

3 遊 天龍

4 一 日向

5 二 木曾

6 三 北上

7 右 利根

8 捕 鈴谷

9 投 熊野


提督「これでどや」

利根「うむ、依存はない」

北上「利根さん~いいの?7番だよ?」

利根「問題ない。提督なりの考えじゃろ」

提督「ふっ、まぁ任せぇや北上。利根の扱いは俺が1番分かっとる」

利根「提督っ…なんか恥ずかしいんじゃが…///」

長門「私は出ていないようだが…」

提督「長門は温存。衣笠も同様や。お前らはうちの要やからな。一回戦から出すわけにはいかん」

天龍「俺が3番か…それなりに期待してるってことでいいか?」

提督「お前は野球慣れしとるみたいやからな。期待してる」

木曾「おいおい、俺はどうなんだよ」

提督「5番つったら第二の砲口やな。三連装砲の真ん中に値する。かっ飛ばしてこい木曾」

木曾「おうよ!」

北上「なら私も~?」

提督「お前にはかなり期待してる…度肝抜いたれ」

島風「私はいっちばーん!早いの好きー!」

提督「まぁお前は言わずもがな足で稼いでもらうからな」

長良「私は…予定通りね」

提督「せやな。小技も出来てかっ飛ばすことも出来る…巨人の坂本みたいなやつやな」

鈴谷「熊野!練習の成果、見せてあげようね!」

熊野「ええ。やるからには優勝ですわ」

加賀「まずは一勝…確実に取る」

瑞鶴「私達ならどんな相手だろうと勝てるわ!皆!絶対に勝とうね!」

一同「オー!」



日向「これって、作戦会議って言わないだろ」

提督「これでええんや。小賢しいことやるより気合いでぶつかって行く方が性に合うわ」

日向「大丈夫かそれで?」

不知火「大丈夫ですよ。うちは統率力や結束力では最強ですから。…なんせ優秀な監督がいますから」

日向「…そうだな」

提督「?」

───────────

─グラウンド─

提督「ただいまより、第一回鎮守府交流野球大会を開催する!ルールは各自に渡した用紙に書いとるから読んでくれ!まずはAブロックとCブロックの試合を始める!審判はBブロックの者がA、Dブロックの者がCの審判に付くこと!では皆!全力出し切って戦おう!以上!」



~一回戦 Aブロック~


時雨「ただいまより不知火チーム対陸奥チームの対戦を行います。両者礼!」
一同「お願いします!」

アーーーー(サイレンの音)


提督「甲子園かっ!」

不知火「凝ってますね…」

提督「球場でやらんかいな」

不知火「サイレン鳴らした人は誰です?」

提督「多分妖精さん。ちなみに実況は明石で解説は大淀。現地リポーターは間宮らしい…頼んでへんぞ」

不知火「暇潰しに付き合ってくれてるんでしょうね…実況って誰が見るんですか…」

提督「多分鎮守府内にいる妖精さん…さっき酒とつまみ大量に工厰に持っていっとったん見たから…」

不知火「妖精さん…」


───────────


1回の表、陸奥チームの攻撃。

鳳翔「1番、レフト、涼風」

提督「あ、ウグイス嬢は鳳翔なんや」スパーン!

不知火「みたいですね」



涼風「よぅし!アタイが先頭打者ホームラン決めてやるぜぃ!」

熊野(相手は足の早い涼風…どのコースを投げれば…)

鈴谷(アウトロー直球)

熊野(あのサイン…分かりましたわ)

熊野「とぉう!」ビュン

ブン!パシ!

時雨「ストライーク!」

熊野「調子いいですわ」



利根「提督や不知火に隠れがちじゃったが、熊野のやつ、よい球を投げるのぅ」

島風「利根さん分かるの?」

利根「うむ。これでも野球は好きでの。よく部屋で野球中継を見るんじゃ。ちなみに我輩は提督と同じで阪神ファンじゃ」

島風「なぬっ!なら私は君たちの敵のようね…私は巨人ファンだから!」

利根「ほほう…これは意外な伏兵」

島風「ふふふ…今年の優勝は渡さぬよ」

長良「あんたたち、守備交代よ」



1回の裏 不知火チームの攻撃。


鳳翔「1番、センター、ぜかましちゃん」

島風「こらウグイス嬢!ちゃんと読みなさい!」


提督「鳳翔ノリノリやな」

不知火「ぜかましちゃん…いぬらしちゃん?」

提督「対抗せんでええ」



阿武隈「よし、行くよ!」ビュン!

島風「せいっ!」カンッ

阿武隈「セーフティバント!?」



提督「ふっふっふ。島風は鎮守府最速や。やつの走力はまさに風。左方向にバントを決めるだけでやつは塁に着く。…そして」


阿武隈「せい!」ビュン

パシーン!

明石『おおっと!島風選手盗塁!』

伊勢「はっ!」ビュン

パシーン

妙高「セーフ!」



提督「いくら捕手に肩力が優れた戦艦を置いたかて島風には無意味や。確実に盗塁を決める。更に」


阿武隈「ふっ!」ビュン

明石『二塁に牽制…あぁっと!島風選手飛び出している!』

島風「ふっ!」シュタッ

パシーン

加古「セーフ!」

阿武隈「なっ!?」



提督「牽制されてもやつは次の塁に確実に着く。つまり…島風が塁に出ると確実に三塁に着く」

不知火「何だかズルく見えてきました」

提督「勝てばいいんだよ勝てば…さぁまだ長良の打席は終わってへんで…」



長良「ふっ!」カーン


明石『強烈なセンター返し!長良選手一塁に留まりました!そして、島風選手ホームイン!不知火チーム先制!』


大淀『長良選手はかなりのバットコントロールの持ち主みたいですね。野球経験者でしょうか』



提督「大淀の言う通り、やつのバットコントロールはかなりのもんや。やつに当てられへん球はない!」



天龍「よっしゃあ!かっ飛ばしてやるぜー!」

阿武隈「マズイ…」ビュン

天龍「ふっ…甘いコースだ」カキーン!

阿武隈「!?」

明石『打った!大きい、大きい!入るか!?』

大淀『少し距離が伸びませんね』

パスッ

那智「アウト!」

明石『惜しい!大きな当たりはレフトフライに終わりました』

天龍「ちっ…パワーが足りねぇか」

木曾「ちゃんとやれよ天龍」

天龍「うるせぇタコ」



提督「流石に伸びんか…」

不知火「天龍さんは反射神経や動体視力が高い反面、基礎的な筋力が不足していますからね」

提督「そこは誤魔化しがきかんからな…」

不知火「それより提督。試合ばかり見ず、私の肩作りちゃんと手伝ってください」

提督「すまんすまん」



日向「次は私か」

阿武隈「…う~。怖いけどやるしかない…」

阿武隈「はぁっ!」ビュン

日向「…見切った!」

カキーン!

明石『おおっ!これは行った!文句なし!』

ガシャーン←客席に当たった音

明石『入ったぁ!ホームラン!』

大淀『流石日向さんですね』

阿武隈「なっ!」



提督「おぉ…流石やな日向」

不知火「うちのチームでは2番目のパワーを誇りますから」



木曾「さぁて、次は俺だな」

阿武隈「」ガクガク

木曾「さぁこい!」

阿武隈「!」ビュン

木曾「貰った!」カーン


提督・不知火「あっ」

木曾「ちっ…」

明石『あぁっと!やってしまった!キャッチャーフライだ!』

パスッ

時雨「アウト!」

天龍「ダセー…」

木曾「うっせぇ!」



提督「ホームラン狙えるくらいのパワーはあんねんけど…あいつはバットコントロールがなぁ…」

不知火「天龍さんと足して2で割ればいい選手になるんですけどね」



北上「ふんふんふーん♪」

阿武隈「げっ…!」

北上「ん?…ひひっ」ニヤリ

阿武隈「…!?」ゾクリ

伊勢「阿武隈ちゃーん、早く投げなさーい」←サイン出し中

阿武隈「す、すみません!」

阿武隈「…せぇい!」

北上「…ふっ」カーン

明石『流し打ち!…抜けたぁ!一・二塁間を見事に破った!北上選手、二塁打!』



提督「北上は相手を挑発するような態度を取るけど誰より冷静に場を読んどる。侮れへん」

不知火「能力もかなり高いですね。阪神の鳥谷を彷彿とさせます」



利根「我輩の出番か!」

阿武隈「落ちつけ…まだ焦る時間じゃない!」

提督「利根!」

利根「どうした提督?」

提督「…鈴谷の打席にランナーは必要あらへん」

利根「!…了解した!」



阿武隈「行くよ!せいやぁ!」ビュン

利根「…ホームランになる確率、97%」カキーン!

阿武隈「!?」

明石『おおっ!これは大きい!入るか、どうだ!?』

利根「…否、100%じゃ」

ガシャーン

明石『入ったー!ホームランです!ホームラン!』

大淀『利根さん…彼女はなかなかのやり手ですね』


提督「利根…やつはうちの野手陣では1番優秀や。走・攻・守、全てにおいて無駄なくパーフェクト…パワプロで言うオールAのようなやつや」

不知火「意外ですね。彼女が野球が得意だなんて」

提督「せやけど、残念なんが外野でしか守備させられへんのと、下位打線でしか使えないとこやな」

不知火「問題でもあるんですか?」

提督「守備ならどこ守らせても上手いけど…やつの良さは視野が広いとことフットワークのよさと肩の良さなんや。視野なら捕手させるのも手やけど、それやとフットワークが活かせん。フットワークなら内野もありやけど、肩の良さが活かせんし。外野なら余すことなく全て活かせる」

不知火「下位打線でしか使えないというのは?」

提督「1番なら足の速さを活かせるけどパワーとテクニックが活かしにくい。2番じゃ小技とかのテクニックは活かせてもパワーが活かせん。3番じゃ足の速さが活かせん。4番も同様や。5番も利根を置いてまうと下位に穴が開く。せやから逆に穴が開きやすい下位に便利屋の利根を置くとどんな場面でも上手いこと立ち回ることが出来るんや」

不知火「だとしたら、その良さをどれか潰せば上位に置くことは出来るんですよね?」

提督「そうすると、島風、長良、長門のような一つに特化し、見合った打順がある選手の良さを潰してまうことになる」

不知火「なんでも出来るように見えて役割が決まってしまってるんですね」

提督「出来すぎるがゆえに難しいんや。そこが唯一の弱点ともいえる」



鈴谷「次は私か…熊野に繋げなきゃね」

提督「無理はすんなよ~」



阿武隈「ど、どうしよう…」

鈴谷「鈴谷、いっきまーす!」

阿武隈「ええい!どうとでもなれ!」ビュン

鈴谷「ほいっと」カキーン!

ガシャーン

明石『…ん?…あ、は、入ったぁ!ホームラン!』

大淀『え?入ったんですか?』


提督「あいつら余所見しとったな」

間宮『どうやら明石さんと大淀さん、エラー猫を撫でてたみたいです』

提督「いや、解説席のリポートはいらんねん」

不知火「…鈴谷さん、綺麗なアーチを描きましたね」

提督「え、ああ。あいつ、バッティングは上手いからな。テニスやっとったし、ボール当てんのは得意なんやろ」

不知火「そういう問題ですか?」

鈴谷「提督ー!どう?私すごい?」

提督「よーやった。俺の狙うた通りや」ナデナデ

鈴谷「えへへ~///」

不知火「…羨ましい」



熊野「わ、私に打てるのかしら…」

提督「…熊野、当てれそうな球以外は全球見逃せ。無理はするな」

熊野「了解ですわ」


伊勢「…」サイン

阿武隈「…変化球押しね」

阿武隈「はっ!」ビュン

パシーン

時雨「ストラーイク」

熊野「…」

パシーン

時雨「ストライクツー」

パシーン

時雨「ストラーイク、バッターアーウト。チェンジ」



熊野「見逃し三振…くっ」

提督「それでええ。まだ投げなあかんねやから無理して疲労溜めん方がええ」

熊野「でも…」

提督「お前は先発や。…この試合、出来れば完投させたい」

熊野「提督…分かりましたわ!この熊野、全力で投げ抜いてみせますわ!」

提督「おう!その調子や!頑張れ!」


───────────


時雨「ゲームセット!両チーム整列!」

ゾロゾロ…

時雨「1回戦Aブロック、13対0で不知火チームの勝利です!お互いに礼!」

一同「ありがとうございました!」


────────────


提督「よし、1回戦突破や。次は準決勝や。Bブロックの勝者が相手になる」

不知火「そう言えばCはどうなったんでしょうか」

利根「Cは5-3で赤城チームの勝利みたいじゃ」

提督「そうなんや」

利根「さっき偵察機を第二グラウンドに飛ばして見たら9回の裏ツーアウトじゃった。そこで打者の瑞鳳がサヨナラ3ランを打っての。逆転勝ちじゃ」

提督「瑞鳳が?そりゃ意外やな」

不知火「彼女はとある女子野球チームで3番と4番を行き来しているほどの今日打者ですよ」

提督「マジで?」

不知火「ええ。私は直接対決したことはないですが、かなりのバッティングセンスとの噂ですよ」

提督「こりゃ楽しみやな…」

利根「ま、彼女たちに当たるためには準決勝勝つしかないのう」

提督「せやな…どんな相手が来ようとも俺達は勝つ!目指すは優勝や!」


────────────

提督「その後、Bブロックは長波、Dブロックは五十鈴が勝ち、試合は次の日に持ち越された」

提督「そして二日目現在、我々は準決勝を制し決勝の舞台に立っとる…んやけど」


五十鈴チーム「…」ゴゴゴ



提督「五十鈴チームからなんか黒いオーラが立ち上っとる…」

不知火「あの雰囲気…何か執念のようなものを感じます」



五十鈴チーム

五十鈴、翔鶴、金剛、比叡、扶桑、山城、神通、夕立、綾波、千歳、足柄、若葉、筑摩、大井、飛龍

スタメン

1 二 夕立

2 遊 綾波

3 中 筑摩

4 投 金剛

5 捕 比叡

6 一 扶桑

7 三 山城

8 右 飛龍

9 左 翔鶴



提督「なんか戦力偏っとるなぁ」

鈴谷(なんか、野球以外の執念のようなものが見える…)


不知火「あの赤城チームをコテンパンに伸したチームですから…油断なりませんよ」



五十鈴「提督…私達の執念とその他もろもろの怨恨、受けてもらうわよ」

提督「…なんやこの寒気は」ゾクゾク


───────────

一回の表 五十鈴チームの攻撃。


夕立「ソロモンの悪夢…見せてあげる!」

熊野「…集中ですわ」

熊野「せいっ」ビュン

パシーン

蒼龍「ストラーイク」



提督「熊野のやつ…向こうの雰囲気に飲まれとるな」

不知火「熊野さん、焦ってますね…」


────────────

提督「…一回は無失点で抑えたか」

不知火「次は私達の攻撃です」



島風「よし!今回も走るよー!」


金剛「…………デース」

島風「さぁこい!」



提督「…なんか嫌な予感がする。島風、セーフティなしや。普通に打ってけ」サイン

島風「!」コクン


金剛「提督のハートを掴むのは…この私デースッ!!!」ギュイン

島風(速いッ…!)

カーン

由良「ファール」

島風「な、なんとかあたった…何あのデタラメな速さ…」

間宮「ただいまの球速、147km/hです」

島風「えっ!?」

島風(147km!?もっと速かった気が…)



提督「金剛の球…えげつないノビやな」

不知火「球速自体は提督の球よりは遅いですが…なんだかライオンズ時代の松坂を彷彿とさせますね」


────────────

提督「ツーアウト二・三塁…三塁に長良、二塁に長門…長門がこの打席でホームに帰るのは無理か…?」

不知火「いえ、まだわかりません。5番には衣笠さんですよ」



衣笠「打てるかな…私に」

金剛「一球…入魂!」ビュン

パスーン

衣笠「は、速い!」

蒼龍「ボール」

衣笠「外れた…!」

金剛「やはり外れましたカー」

比叡「ドンマイです、姉様!」

金剛「次は必ず決めるネー」



提督「スカッドやと…?」

不知火「何ですかそれ?」

提督「本来テニスで使われとった技やねんけど、最近やと野球でも応用されとるみたいやな…」

不知火「そんな技知らないんですが…」

提督「俺も噂程度でしか知らん。何でも球速と球威は最高峰みたいやな。…せやけど弱点があって、速すぎるがゆえにブレやすく高確率でストライクゾーンから逸れるみたいや」

不知火「メモメモ…」



金剛「一球…入魂!」ビュン

衣笠「そんな球…既に見切った!」カキーン


提督「よしっ!ライト前に落ちる!これで先制─」


パスッ

飛龍「…」

羽黒「あ、アウトです…」

衣笠「嘘っ!?今飛龍さん、一瞬でボールとの間合いを詰めた…!?」



提督「縮地法…やと!?」

不知火「何ですかそれ」

提督「これもテニスで使われとった技や」

不知火「またテニスですか」

提督「本来あれは沖縄武術での技らしいけどな。相手との間合いを一瞬で詰める技。走るのと違い頭の位置を変えずに詰めることで相手に一瞬で詰められたように錯覚させるみたいや。上半身の軸をそのままで、走るより跨ぐように移動するのが特徴」

不知火「何のスポーツですか」


────────────

提督「結局あれからお互い無失点のまま試合は5回。熊野のスタミナが限界みたいやから、投手は加賀に、捕手は瑞鶴に変更。今回は中継ぎで使用や」



加賀「提督に教わった技…使わせてもらうわ」

翔鶴「加賀さん…瑞鶴との関係を認めたわけではありませんからね」

瑞鶴「ちょ、翔鶴姉何言ってんの!?試合中よ!?」

加賀「翔鶴…」

翔鶴「私を見事打ち取ることが出来れば…貴方たちの仲を認めてあげましょう…ただし!」

翔鶴「私が貴方からヒットを出せば、瑞鶴は返してもらいます」

瑞鶴「返すもなにもないわよ!?」

翔鶴「安心して瑞鶴…お姉ちゃんが守ってあげるから」

加賀「翔鶴、一つ間違いを指摘しておきます」

翔鶴「何かしら?」

瑞鶴「そうよ!間違いだらけよ!指摘しちゃって加賀さん!」

加賀「打ち取りなんてしません…三振で抑えます!」

瑞鶴「そこじゃないよ!」


蒼龍「あの~早く投げてください」



提督「これが修羅場か…初めて見るわ」

不知火「貴方の周りでしょっちゅう起こってますがね」



加賀「まぁいいわ…この勝負、私が勝つから」

翔鶴「お戯れを…逃げるのなら今のうちですよ、先輩?」

加賀「ほざいてろクソアマ…」

翔鶴「口の悪いことで」


翔鶴(貴方の球、既に研究済みですよ…さぁ、投げなさい)

加賀「…レーザービーム!」ビュン

パシーン

翔鶴「…なっ!?」

蒼龍「す、ストラーイク!」



提督「あれは…レーザービーム!」

不知火「は?レーザービーム?それってホームへの物凄い返球のことじゃ…なさそうですね」

提督「ああ…それに似とるとも言えるけど…それとはまたちゃうレーザービームや」

不知火「レーザービームってそれ以外でありまたっけ?野球に」

提督「…あれも元々テニスの技やねん」

不知火「いやもうテニスやれよ」

提督「スピードはスカッドには見劣りするかもやけど、あれはスカッドと違ぉて正確にストライクゾーンを射抜くことができる…速い話ゾーンギリギリにクルーンの本気直球が刺さるみたいなもんや…しかも的確に」

不知火「そう言われるとかなり怖いですね」



蒼龍「ツーストライク!」

翔鶴「くぅぅぅっ!目で追えても、体が反応できない…!」

加賀「私のレーザーには触れることすらできませんよ。…惨めね。最初から挑まなければいいものを…」

翔鶴「私は勝たなければならない!瑞鶴とのあの日々を…楽しかった日々を取り戻すのよ!」

瑞鶴「翔鶴姉…」

加賀「妹を思う気持ち、感服しました。…ならその思い、次の球にぶつけてみなさい」

翔鶴「言われなくても!」

加賀「さぁ、構えなさい。私も渾身の投球で貴方に応えましょう」

翔鶴「さぁ、来い!」

加賀「…これにて終わりです、アデュー」ビュン

翔鶴「その球、既に見切ったぁぁぁぁ!!!」ブン!

加賀「…掛かりましたね」

翔鶴「…なっ!?レーザーじゃ、ない…?」

パスッ


蒼龍「ストラーイク!バッターアーウト!」


加賀「チェンジアップよ」

翔鶴「なっ!…加賀ァァァ!よくもこんな場面でヌケヌケとォォォ!」ガッ←胸ぐら掴む


加賀「私の勝ち。貴女もわりと頑張ったけどね」

翔鶴「…フフッ…ハハハッ…ハハハハハッ!アーッハッハッハッハッハーーー!」



提督「なんかさっきから翔鶴が感情的になったり高笑いしておかしなことになっとる…あいつってあんなキャラなんや…」

不知火「いや多分この試合での変な気に当てられておかしくなってるだけかと」



五十鈴「翔鶴さん、惜しかったですね。ドンマイです」

翔鶴「…もうこの試合に興味はないわ。私は加賀さんとの対決で十分。私はやめるわ」

千歳「翔鶴先輩!」



提督「あっちはあっちで盛り上がっとるな」

不知火「無視しましょう。関わるとロクなことがないので」



────────────

提督「あれからお互いの打線に火が付き得点は15対14。俺らが1点リードしとる。そして現在7回表…」

加賀「………」


提督「マズイな…」

不知火「何故です?こちらは1点差といえどリードしていますし、加賀さんもノリに乗ってます。マズイ状況でもないような…」

提督「加賀のやつ、ポーカーフェイスやから分かりにくいかもしれへんけど、かなり肘に痛みが走っとる」

不知火「分かるんですか?」

提督「うん。登板始めとは投球フォームが若干ちゃうし、投げるときも肘が伸びきってへん。相当なダメージ負っとるやろーな」

不知火「でも、登板してまだ二回しか投げてないですよ?」

提督「最初の翔鶴との戦いでかなり無理しとったみたいやな。…あれから加賀は一度もレーザービームを投げれてへん。それからは結構打たれとるし、それでさらに消耗しとるわ」

不知火「…交代しますか?」

提督「いや、9回までは温存しときたい…加賀には悪いけど投げてもらうしかない…」

不知火「加賀さんが二人いれば…」ハァ

提督「…」


────────────

7回 裏。

瑞鶴「あれ、加賀さんは?」

提督「お手洗いやとよ。何か用か?」

瑞鶴「…提督さん、加賀さんはもう限界よ。さっきから球の軌道がブレてるわ。もうボールをまともに握れてない…」

提督「…今ここでやつを変えるわけにはいかん。あと一回投げきってくれれば…俺が何とかする」

瑞鶴「で、でも!」


加賀「瑞鶴…心配してくれてありがとう」

瑞鶴「加賀さん!」

加賀「でも…投げさせて。勝つためにはそうするしかないし…私も中途半端で役目を終えたくないもの」

瑞鶴「…無茶しないでね」

加賀「分かってるわ」


アウト! チェンジー!

────────────

8回表

加賀「…」


飛龍「加賀さん…貴方の肘はもう限界のようですね」

加賀「…それがなに?」

飛龍「レーザーを投げられない貴女じゃ、うちの打線は崩せない」

加賀「1点差で負けているチームが言う台詞じゃないわね」

飛龍「そんなもの、ひっくり返せばいいんです」

加賀「やれるものならやってみなさい」

飛龍「……」

加賀「いくわよ…はっ!」

飛龍「ふっ…そんな球、私が─」

スパーン

飛龍「え……?」

加賀「私が…なに?」



比叡「あ、あれは!」

金剛「レーザー…ビーム?」



飛龍「うそっ!?加賀さんはもうレーザーを投げられないハズじゃ!」

加賀「私がいつ投げられないと言ったかしら?」

飛龍「くっ…!」



不知火「加賀さん…肘が限界に来てるはずじゃ…」

提督「…………」

不知火「提督?」

提督「肩作るわ。不知火、手伝ってくれ」

不知火「は、はい」



飛龍「マグレよ…次は絶対に打つ!」

加賀「……はぁっ!」

飛龍(次こそは見切っ─)

スパーン

蒼龍「す、ストライクツー!」

飛龍「馬鹿なっ…!?最初のころよりレーザーの威力が増している!?」



五十鈴「加賀さん…ここに来て進化しましたか」

筑摩「私達との戦いの中でこれほどまでに進化するとは…侮れません」

五十鈴「飛龍さん!あのボール、当てるくらいは出来ますよね!?」



飛龍「五十鈴さん…うん。任せて!」

加賀「仲間とお喋りとは、随分と余裕なんですね」

飛龍「うるさいです…」

加賀「まぁいいわ…これで終わりにしますから」

飛龍「…………」

加賀「…行くわよ!」ビュン

飛龍「当ててやる…当ててやるんだからぁ!」カン

加賀「…くっ」



五十鈴「やった!ヒットだわ!」

大井「よく当てられましたね、あの球」

五十鈴「とにかく当てる…それだけを考えたからこそ出来たのよ」



加賀「私のレーザーを当てて来るとは…試合の中で成長してるのね」

若葉「次は私だ…独り言を呟いてる暇は無いぞ?」ゴゴゴ

加賀「このオーラ…貴方は一体…?」

若葉「…ただの初春型駆逐艦3番艦だが?」ゴゴゴ

加賀「…そう。でも、侮れませんね」ゴゴゴ

若葉「お前もなかなか侮れんな…」



提督「若葉のやつ…『百練自得の極み』を会得しとったんか?」

不知火「何ですかそれ…ってどうせテニスでしょ」

提督「加賀のやつも…『黒色のオーラ』を!」

不知火「野球ってなんだっけ」



加賀「真っ向勝負で貴女を倒す…行くわよ!」

若葉「来い!」

加賀「はぁっ!」

若葉「レーザーかっ!だが私には見える!」ブン!

加賀「甘いっ!」ブン!

フワッ スパーン

蒼龍「ストラーイク!」

若葉「黒色のオーラ…噂には聞いていたがこれほどとは!」



不知火「今の軌道…野球じゃやったらダメなやつでは…」

提督「まぁ卑怯ではあるな…あれは投げてからさらにもう一度腕を振ることでその気迫でボールの軌道を変えるっちゅう荒業や」

不知火「それって二段モーションになりません?ボークですよ?」

提督「投げてからならええんちゃう?知らんけど」

不知火「適当ですね」

提督「まぁプロの試合とちゃうし、細かいとこはええやろ」



若葉「レーザーに加え黒色のオーラによるクラッチ…素晴らしいな」

加賀「ありがとう」

若葉「だが…あれくらいなら当てることなら出来るな」

加賀「やれるものなら…」

加賀「やってみなさい!」ビュン

若葉「…くる!」

加賀「はっ!」ブン!

若葉「…そこか!」カーン!

加賀「っ!」



不知火「打球が速い!…でもあれは外野フライ…貰いましたね」

提督「…いや、ありゃホームランや」


ガシャーン

加賀「ホームラン…あの当たりで入れるとは流石百練自得の極み…」



提督「百練自得の極みは全ての球種、威力、回転、スピードを倍返しにして返す…投げた球がレーザーやったらどんな無理な体制で打っても確実に外野へ飛ばす…フライならホームランになるわ」

不知火「ズルくないですか?」

提督「まぁ俺達にはそんなん言う資格ないからな」


────────────

8回裏。不知火チームの攻撃

提督「あれから何とか押さえたけど、15対16…。逆転されてもうたな」

不知火「そう言う割には冷静ですね」

提督「まぁな。チームの皆信じとるから」

不知火「…貴方ならそう言うと思いました」



日向「私からか…」

金剛「………」ブツブツ

日向「…何をボヤいている?」

金剛「…もう少しで提督からのご褒美ネー…」

日向「あ~…なんかそんな話もあったな」

金剛「…テンション上がってきたネー!」ゴゴゴ

日向「くっ!なんだこのオーラは!?」

金剛「ラブパワー全開でいくヨー!」

日向「来るか…!?」

金剛「リズムにhigh!」ビュン

日向「は、速い!?」

スパーン

蒼龍「ストラーイク!」

日向「くっ…速すぎる!…いや、こういうときこそ冷静になるんだ。…目を閉じて精神を統一させる…!」

金剛「リズムにのるネー♪」



提督「音速弾(ソニックブリット)か!」

不知火「またテニス技ですか?」

提督「ああ…あの技はある特有のリズムにのれるやつやないと使えへん技やねんけど…あいつ、いつの間に会得したんや…」

不知火「しかし、あれくらいのスピードのボールなら返せるのでは?正直スカッドよりは遅いですし…」

提督「速さ自体はな…せやけどあの球は厄介や…スカッドと回転が違う上に回転数も多い…せやからバッターボックスにおる人間からしたら消えたように見える…つまりスカッドより速く感じるんや」

不知火「確かに、スカッドは速いとはいえ軌道が読見やすいですね…それにくらべあれは…」

提督「スカッドは力で無理矢理スピードを出してる感じの球やせやから球の回転が投げるたびに違ったり荒かったりする。速くても読みやすい球や。せやけど音速弾は決まった回転数でしかもかなりの横回転をかけてスピードを出しとる。力やなく技術で出す球やからスピードはスカッドより落ちるが、相手が読みにくい軌道になる」

不知火「なんかもうデタラメですね…」

提督「ああ…せやけどあの球がデタラメなのはそれだけやない…」



日向「…せめて当てるくらいは出来ないとな…」

金剛「リズムにhigh!」ビュン

日向「仕留める………見えた!」ブン!

フワッ スパーン

蒼龍「ストラーイク!」

日向「な、なんだあの軌道は!?」



不知火「い、今のは一体…?」

提督「音速弾の真価…それは相手のバットに触れる瞬間に落ちることや…まるで磁石が反発するかのようにバットから離れよる」

不知火「どういう原理ですか…」

提督「知らん。多分速すぎてそう感じるだけで、多分回転の関係上落ちる球になっとるだけやろ。あんなんただ速いだけのスプリットや」



日向「…なるほど、そういうことか」

金剛「何ですカー急に…」

日向「いやなに、提督が面白いことを言ってたからな。聞き入ってしまった」

金剛「試合中なのに余所聞きですカ。余裕ですネー」

日向「悪いな。さ、投げてくれ」

金剛「言われなくてもそうするネー…リズムにhigh!」ビュン

日向「提督…お前には感謝するぞ」カキーン

金剛「えっ!?」

日向「レフト後方に落ちたな…二塁まで行ける」



提督「二塁打か!ようやった!」

不知火「よく打てましたねあの球」

提督「ま、どんな球やろうと原理さえ分かれば打てる。アイツは勘がええから気付いたんやろ」



金剛「チィッ…!」

利根「キャラがぶれておるぞ金剛」

金剛「…うるさい」

利根「まぁよい。早く終わらせるぞ。さ、投げるがよい」



不知火「次は今のところ全打席ヒットの利根さん…貰いましたね」

提督「いや、残念やけどそうはいかん」

不知火「え?」



蒼龍「ストラーイク!バッターアウト!」

利根「………」

金剛「…なんで一度も振らなかった?」

利根「温存じゃよ。アンタの球を無理に打とうとすると目が疲れるのでな」



不知火「利根さんが三球見逃し…?」

提督「そう指示したのは俺や」

不知火「どうして?」

提督「見てればわかる」



瑞鶴「次は私か…」

金剛「…ねじ伏せてやる、私のスピードで!」

瑞鶴「まるで人が変わったようね…いや、こっちが素か」



蒼龍「ストラーイク!バッターアウト!」

瑞鶴「バッティングは苦手なのよ…」



提督「ツーアウトか…次は加賀やな」

不知火「どうするんですか?加賀さんは肘が…」

提督「当然加賀に打たせる」

不知火「無茶ですよ流石に!」

提督「いや…せやろか?」


金剛「…今こそ引導を渡してやる…加賀!」

加賀「まったく…提督も無茶させるわね…肘が限界の私に彼女の球を打たせるなんて」

金剛「リズムにhigh!」ビュン

加賀「ま、それくらい私に期待してるってことかしら?なら…」


加賀「その期待に応えるまで!」カキーン

金剛「なっ…!?」

加賀「あ~ら、これは入ったわね」


ガシャーン



不知火「ホームラン…」

提督「狙い通りや」

不知火「彼女にまだそれほどの力が…」

提督「ふぅ…ま、これでこっちの逆転や。島風!」

島風「なに~?」

提督「適当に見逃してこい」

島風「はーい」

提督「さっさと終わらせようや…この試合」


────────────

9回表


提督「選手交替!ピッチャーは…俺や」

不知火「やるんですね、提督」

提督「ああ…これ以上加賀に無茶させるわけにはいかんしな。それに、まだ大会で一度も投げてへんし」

不知火「…わかりました。捕手としてサポートさせていただきます」

提督「不知火、俺は手加減するつもりはない。…辛くなったら言えよ」

不知火「はい」

提督「よっしゃ!この回で決めるでぇ!」

────────────


金剛「テートク…」

提督「よう。まさか一発目からお前とはな…ていうかちょっと落ち着いたな」

金剛「少し我を忘れていマシタ…」

提督「さよか…まぁその…なんや。一言言うなら…手加減なしや」

金剛「分かってマス…私も本気デース」

提督「さよか…ならいくで!」ビュン

金剛「…私は艦娘!人に遅れは取らな─」

ズバーン

金剛「ふぇ…?」

提督「疾きこと、風の如く!」


蒼龍「す、ストラーイク!」

金剛「は、速すぎマース!!レーザーより速い!?」

比叡「お姉さま!落ち着いて!目を凝らせば見えますよ!」

金剛「比叡…そうネー。よく見て当てていくネー」

提督「俺の球がスピードボールだけやと思うなよ?」ビュン!

金剛「っ!次はあまり速くない!これなら当たるネー!」ブン!

ガィン!

金剛「えっ…?」バシィ

比叡「バットが…弾かれた!?」



提督「侵掠すること、火の如く!」

蒼龍「ふぁ、ファール!」
金剛「な、何ですカーその力は!」

提督「…野球人としての血が騒いでな。いつも以上に力が出るんや」

不知火「使ってる技の元はテニスですがね」

提督「やかましい」



金剛「テートク…隠してたんデスカ?そんな強大な力を持ってることを」

提督「隠すもなにも今くらいしか見せる場面あらへんがな」

金剛「まぁいいデース。この話は試合が終わった後に聞かせてもらいマース」

提督「おうよ。後でみっちり聞かせたるわ…んじゃいくで!せいっ」ビュン

金剛(さぁ…次はどんな球が…あれ?)

金剛「テートク、早く投げてくだサーイ」

提督「は?今投げたやん」
金剛「ボールがこっちに来てないデース。投げてないでしょ?」

提督「いやいや今投げたやん。現にほら」


蒼龍「ストラーイク!バッターアウト!」

提督「不知火のミットに収まっとるで」

金剛「なっ!!…蒼龍!本当に提督今ボール投げてタノ!?」

蒼龍「え、ええ。大きく山なりに投げたと思ったら金剛さんの目の前で凄い早さで急降下してストライクゾーンに入りました…」

金剛「う…嘘。だって音も聞こえなかったし…!」

提督「相手の死角に投げ、かつ無音でミットに収まる…これぞ」


提督「静かなること、林の如く」

金剛「そ、そんな…」



五十鈴「な、何よあいつ!デタラメじゃない!」

筑摩「こちらも人のこと言えませんよ…」



比叡「…」

提督「次はお前か…比叡。姉の仇討ちか?」

比叡「いくら提督といえど…姉様を傷付けることは許しません!」

提督「傷付けるて…俺は普通に勝負挑んで勝っただけやん」

比叡「うぐ…で、でもそれで姉様が傷付いてるんですから許しませんよ!」

提督「なんやそれ…まぁええわ。さっさと終わらせようや。説教なら後で聞いたるわ」

比叡「………!」

提督「行くで…!」ビュン

比叡(今までとは違うボール…?スピードも普通だし、これなら!)

フワッ パス

蒼龍「ストラーイク!」

比叡「え…なに今の球…」

提督「そーいや今大会全部通してマトモに変化球投げとったん熊野と不知火以外に誰がおったっけ?」

不知火「さぁ…私は存じませんが…」

提督「やろーな…だって俺ら以外の全チームは野球の基礎を勉強せずただひたすら草野球しとっただけやしな」

不知火「ましてや五十鈴さんのチームは皆して必殺技を編み出していますからね。勉強する暇なかったんでしょう」

提督「その通り。お前らは必殺のスピードボールばっか見とるせいで、投球の基礎である変化球に反応出来ひんようになった。特にフォークやカーブみたいな遅くゆったりかつ大きく曲がる変化には完全に対応出来へん」

比叡「ぐっ…え、ええ。確かに提督の言う通りです。ですがまだ反応出来ないと決めつけるのは早くないですか?ストライク一つで判断してもらいたくありません。きっちり三振とってから言ってください!」

提督「ほぅ…言うねぇ。ならお望み通りにしたるわ」

────────────

比叡「なんで…どうして!?」

提督「どや、野球の聖書(バイブル)の味は?基礎を完璧に極めた無駄のない完璧野球(パーフェクトベースボール)の威力は?」

比叡「参り…ました」

提督「お前らの野球…確かにかっこええわ。せやけど…」


提督「無駄、多いで?」キリッ

比叡「…………」

蒼龍「…………」

不知火「…………」

ベンチ「…………」

提督「あれ?俺なんかやらかした?」

比叡「…提督、カッコいい」

提督「へ?」



金剛「こら比叡!乙女の顔になってる場合じゃないネー!はやく戻って来なサーイ!ほら扶桑も!次、アナタの番ネー!」

扶桑「…ハッ!そういえば次、私でした…」



提督「なんやなんや何が起こったんや不知火…?」

不知火「提督の決め台詞でこの場にいる女子全員が絶頂(エクスタシー)。以上」

提督「ちょ、意味わからんわ。てかそれ俺の台詞!」

不知火「まったく…スパッツまでびしょびしょですよ…」

提督「汗かいたか?まぁずっと座りっぱなしやしな。まぁもうすぐ終わるしもう少しの辛抱やで」

不知火「…ま、そういうことにしておきましょう」

────────────

提督「扶桑…お前で終わらせてもらう」

扶桑「提督…悪いですが打たせてもらいますよ」

提督「やれるもんならな!!」ビュン

扶桑「はっ!」カーン


ファール!

提督「ほう…当ててきおったか…」

扶桑「私は今までの人達とは違うわよ!」

提督「強がらんでもええのに…」


────────────

ファール!


金剛「この打席…いつまで続くノ!?」

比叡「もう30ファール目ですよ…」

山城「…なるほど粘り打ちですか、扶桑姉様」

五十鈴「…どういうこと?」

山城「ストライクゾーンに入った球を全て捌き、守備が取れないようなファールを何度も続け投手を疲弊させることが粘り打ちの目的…。多分提督に体力勝負を挑んでいるのよ」


提督「やるやないか」

扶桑「提督も…この打席だけでもう40近く投げてるのにまだ疲弊していないのね」

提督「持久力には自信あるからな」

扶桑「でも…消耗していることには変わらない…いつかボロが出るわ」

提督「さぁてね」ビュン

カキーン ファール!

不知火「いつまでやるんですかこのファール合戦」

提督「ふっ」ビュン

扶桑(…ボールの威力が落ちた!?ここね!)ブン!

提督「…そろそろか」


扶桑「あれ………?」


カーン ファール!


不知火(?いま一瞬扶桑さんの挙動がおかしかったような…)

扶桑(手の感覚…変)

提督「無理せんほうがええで?」

扶桑(…というより、無い!?)

提督「次は…っと」ビュン

扶桑「くっ…!」カーン

ファール!

提督「…よう当てたこっちゃ」

扶桑「………」

提督「おうおう、そんな怖い顔で睨みなさんな…まぁええわ」

扶桑「!?」

提督「どうせ俺を睨むことすら出来んくなるからな」


扶桑(あれ…私…目、瞑ってたけ?何も…見えないのだけれど…感覚が麻痺してるのかな?…今大事な試合なのに…何で閉じちゃってるの私の目…お願い、開いてよ…)

提督「次で決めるか…てか決めへんと扶桑が廃人になるかもな…」

扶桑「提督?…何を言って…」

提督「終わりにしよや」ビュン

扶桑「く、来るっ!」ブン!

カーン ファール!

提督「あちゃ~…返してもうたか…運がええんか悪いんか…この場合は悪いんかな?流石不幸姉妹の姉。運の悪さは一級品やな…まぁ」



提督「こんな皮肉もアイツにはもう聞こえてへんのやろうけど」


扶桑(…何も聞こえない…何も見えない…何も感じない…。どうして?どうして私こうなっちゃったの?普通に野球をしてたハズなのに…なんでこんな…怖い…怖いよ…提督…提督っ!)


提督「終りや…」ビュン

扶桑「え…あ…」

スパーン!

不知火「………」

金剛「扶桑…」

比叡「扶桑さん…!」

山城「扶桑姉様っ!」


蒼龍「ストライーク!バッターアウト!ゲームセット!」


衣笠「やった…!」

長門「優勝…優勝だぞ!」

天龍「よっしぁぁぁぁ!!」

ワーーーー!!!


扶桑「あ…あっ……!」ペタン



山城「扶桑姉様ぁ!」ダッ

金剛「………山城、落ちつくネ」ガシ

山城「やっ…!離してっ!姉様がっ…姉様がぁ!」

比叡「山城さん…提督に任せましょう」



提督「扶桑…」

扶桑「う…あ…てっ……と…く」

提督「そんな状態になってまで俺の名を呼んでくれるんやな…扶桑」ギュッ

扶桑「うっ…!?あっ…て…いとく?」

提督「感覚…戻ってきたか?…すまんな、つい本気になってもうたわ…」

扶桑「てい……と………く……提ッ…督!」ポロポロ

提督「わっ!す、スマン!大丈夫か?どっか痛いとことかないかっ?」

扶桑「うぅ…こ、怖かったよぉぉぉ!もッ…提督を感じッ…られないかとッ…思ってぇぇ…ヒッ…!グスッ…!」

提督「ごめん…ごめんな扶桑。大丈夫や、俺はここにおるから」ポンポン

扶桑「う、うわぁぁぁぁぁぁんっ!!提督ぅぅぅぅぅっっっ!!!」



────────────

蒼龍「17対16で不知火チームの勝利です!両チームとも整列!…礼!」

一同「ありがとうございましたっ!」


────────────

天龍「勝ったー!俺達の勝ちだー!」

木曾「あぁ!いい試合だったぜ!」

長門「しかしよく勝てたな…こちとら加賀が限界に来てるって話を聞いて少し諦めていた…しかしあそこで更に力を上げるとは、流石一航戦だな」

加賀「…………」

長門「どうした?加賀」

加賀「ぷっ…!くくっ…!」

長門「か、加賀?」

加賀「アッハハハハハハハッ!!!」

衣笠「な、なになにどーしたの!?」

長良「あの加賀さんが高笑いしてる…!?」

加賀「い、いやいや…まだ気付かんのかお主ら…くくっ…!」

北上「え~と…」

加賀「我輩じゃよ!…今は加賀の格好しとるが我輩は利根であるぞ!」

「え、えぇぇぇぇぇ!!??」


利根「…私達ってそんなに似ているかしら…?」

提督「見た目はあれやけど声は似とる。てか中の人がムグゥッ!」

不知火「提督、中の人などいません…それより、こんなとんでもない作戦を立ててたなんて知りませんでした…なぜ隠していたんですか?」

提督「プハァ…敵を騙すならまず味方からっちゅうやろ?相手に悟られへんようにするには、こうするしかなかったんや悪いなぬいぬい」ナデナデ

不知火「ヌイッ…///……ってそうじゃなくて」

瑞鶴「てことはあの強力なレーザーとか黒色のオーラとかって…加賀さんじゃなく利根さんが投げてたんだ…」

天龍「ちょ、なにそのカッコいい名前!」

木曾「くそっ!…外野からじゃ投球見えなかったんだよなぁ…。見たかったぜ…」

日向「厨二病二人うるさいぞ」

利根「もともとレーザーを教えてくれたのは利根よ」

提督「すまん、台詞の名前のところは戻してくれ。ややこしい」

加賀「…もともとレーザーを教えてくれたのは利根よ」

利根「そうじゃ。レーザーも黒色のオーラも我輩が漫画を元に編み出した技じゃよ」

天龍「すげぇ…俺にも教えてくれよ!」

木曾「ズルいぞ天龍!俺も!」

利根「ちなみに我輩の技はまだまだあるぞ!」

天龍・木曾「し、師匠!」

利根「二人には、またの機会に教えてやろう」

天龍・木曾「お願いします!」



瑞鶴「私、バッテリーだったのに全く気付かなかった…」

提督「利根は全てにおいて完璧…こういう芸当も出来ると思ってな。二人にこっそり入れ替わるように言うたんや。流石に肘痛めとる加賀にあれ以上投げさせれんわ。本人がやる言うてもな」

加賀「…私は投げたかったですが」

瑞鶴「そ、そういえば加賀さん、肘は大丈夫なの?」

加賀「お陰さまで。時間がたったら良くなりました」

瑞鶴「よかった…」

艦これ―割と暇な鎮守府の日常―

艦これ―割と暇な鎮守府の日常―

完全に趣味で書いているDMM様のブラウザゲーム「艦隊これくしょん‐艦これ‐」の二次創作SSです。 地の文は基本的にないです。 多分提督と艦娘は普段こんな感じで過ごしてるんだろーなと思って書いてる妄想小説です(笑) ほのぼのな日常もので恋愛要素多めな作品ですが暖かく見守ってください。 ※某小説サイトに投稿しているものと同一です。作者も同じ者です。

  • 小説
  • 長編
  • 恋愛
  • 時代・歴史
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-29

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 鎮守府に新たな提督が着任。しかしその提督は軍事知識皆無な若造だった・・・
  2. ここからはほのぼの日常ものになります
  3. 番外編―金剛型四姉妹と提督―
  4. 再び舞い戻る日常編
  5. まだまだ続くよ日常編
  6. 閑話休題
  7. 女性らしさ
  8. 野球
  9. 野球2