捨てられないモノ 2
まだつづきます。
3.生活
僕の仕事はその村では畑仕事となった。大根や人参などを育てる仕事だった。
それとこの村は安全らしい。僕を連れてきた佐藤さんは、
「ここにはね。海軍、陸軍、空軍は、来ないから安全だよ。」
と言っていた。
安全なのを知ったからって変わることのない毎日。ただ場所が変わっただけの生活なのに苦しい。苦しくても僕はとりあえず毎日畑仕事をした。
4.変化
2237年、あのときから一年たった今。親の行方は分からずに僕は村で畑仕事をしていた。
僕は大人の人ばかりだが知り合いが増えた。僕が畑仕事をしているとみなが声をかけてくれる。
午後二時、いつものように畑仕事をしていた僕のところへ一人の男の人が駆け寄ってきて
「この時期は何が取れるんだい?」
と聞いてきた。こないだ知り合った村里さんだ。
「わかりません。僕、この仕事まだ一年目なんですから。」
と僕。
「そうか。わからねぇか。」
悲しそうに言い出した村里さん。
「何か必要でしたか?」
「いやぁ。あのな。うちでも畑やろうと思って何を植えてよいかわからんので聞きに来たんや。」
「それなら適当に種でもあげましょうか?」
そう言うと僕は人参と大根の種を差し出した。村里さんはそれをもらい「ありがとよ。」と言って帰った。
それから十分後だっただろうかいきなり銃声が聞こえた。その音と共に銃を持って家から出てくる日本軍の人たち。
「雄平早く来いっ!」
僕は佐藤さんにそう言われて家に戻っていた。家に戻るとさっきまで普通の格好をしていた佐藤さんが武装していた。
「雄平これを持って北側の山の頂上へ逃げろ!」
と佐藤さんは言いながら僕に長い銃、短い銃、パン二切れ、ナイフを渡した。
「早く逃げろよ!」
と言って佐藤さんは家を出ていった。
外では銃撃戦が行われているのか銃声が鳴り響く。そのなか僕は北側の山に向かって走っていった。
あれからどのぐらい登ったのだろう。僕は山を登っていた。すると草がゆれていた。僕は怖くてたまらなかったがその草の方へ向かった。そこにはなんと外国人一人が武装をしていたが足を怪我していた。外国人の足からは真っ赤な血がドロドロと出ていた。僕は一回「動くなっ!」と言いながら銃を向けたが僕はその外国人を撃てなく、そこにパン一切れを置いてまた山を登り始めた。
外国人を撃てなかった自分が情けないと思う自分もいたがこれでよかったと思う自分もいた。そんなことを考えているうちに山の頂上についた。山の頂上は木や草が少なく見晴らしが良かった。僕は上を見上げた。
空は雲ひとつない青空だったがここから見るさっきまでいた村は少しだけ赤く染まっていた。
捨てられないモノ 2
まだ続きます。