路線バス

路線バス

路線バス

 「ショッピングモールに新しい眼鏡屋さんが出来たって、今ならセールで安いらしいわよ!!」母さんが電話でそんな話を私にしてきた。

まぁ、今の眼鏡も見づらくなってきたし、そろそろ買ってもいい頃合と思い私は次の休日に眼鏡を買いに路線バスでそのショッピングモールへ向かった。

なかなかバスの中は混み合っていて、座る席があたりを見回してもどこにもなかったので私は仕方なくバスの吊革に捕まることにした。

よく外に出る人ならバスに乗ったくらいでいちいち何も感じたりしないのだろうけど、私は引きこもり体質だったので仕事以外の日は家にこもってネットサーフィンをしながら1人暮らしを満喫していた。

だから、休日に外に出ると妙なことを考えることが多かった。

今回は路線バスの吊革を掴んだときに感じたのだが、バスの天井がすごく近い。どれくらい近いかというと天井の細かな汚れもはっきりと見えるぐらい近い。

子供のときは親と一緒に乗った路線バスも友達と一緒に乗った路線バスももっと天井が高くて大きなイメージがあったのに。

何時しかこんなにも車内が狭く感じるようになっていた。「あぁ~私も大きくなっていってるんだな~」と感じつつ目的地のショッピングモールに着くとつり銭が足りなくてつり銭箱の両替機を使う羽目に。「お客さん小銭はあらかじめ準備しといてね」と運転手さんに注意されてしまった。

まぁ、大きくはなったが中身伴わずといったところかとふと思ってしまった自分に苦笑しながら私はバスを降りていった。

路線バス

路線バス

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-26

Public Domain
自由に複製、改変・翻案、配布することが出来ます。

Public Domain