白羽の烏
烏は好きですか?
ある日真っ白な肌と羽をもった少女が現れた。
ある日、真っ白な肌と羽をもった少女が現れた。
彼女は自らを カラス と名乗った。
「私はカラス 白羽のカラス」
彼女は続けて言った。
「私の羽は折れた。もう飛べないかもしれない。」
悲痛に顔歪める彼女を見て俺は咄嗟に獣医や医者を訪ねようと考えたが、誰にも信じてもらえないことに気付き、やめた。
俺が怪我をして帰ったときにばあちゃんが塗ってくれた薬を塗り、慣れない手付きで包帯を巻いてやった。
飛べないことは悲しいか、そう尋ねてみた。興味本位だった。
「悲しくはない。ただ…」
彼女は言葉に詰まった。
「ただ、唯一自由になれる場所を失って寂しいだけ。」
彼女はそう言うと軽く羽をぱたつかせた。
「人間は私達を見るとまるで害虫や汚いものを見るような目で蔑む。
私達は今日を生きるために精一杯なだけなのに。」
そう哀しそうに吐き捨てた。
俺は居た堪れない気持ちになった。
人間の捨てた物を漁り、食べ、人間の子どもに害を与えることもある そんな教育をする大人に腹が立ったし、其れをそのまま鵜呑みにしてきた自分に腹が立った。
決して烏が哀れに思えたわけではない。
ただ、烏にだって良い面があるはずなのに、悪い面しか見てこなかった自分が憎いのだ。
そんなことを考えていると烏は立ち上がった。
何処に行くつもりだ?そう尋ねた。
「飛べないかもしれない。でも、飛ぼうとすることはできる。」
彼女は窓を蹴り、空へと羽ばたいた。
広大な空を迷うことなく飛ぶ姿は少し乱れていたが俺には立派に見えた。
白羽の烏
自分は烏が好きですが他の人はあんまりらしいですね。
と、いうことで書いてみました。