もっと寒いところに立たされたい

夜、外に出てみると、なんだかその暗くて寒い空間にいい感触を覚えた。

気持ちよかった。解放されたような気がした。もっとこの中にいたいと思った。

ずっと部屋にこもっていたせいなのか。
暖炉のついた部屋にこもって、暖かく包まれて、何か大切なものを失われた気がする。

暖かい部屋にいて、何も考えなくなってしまっている自分が怖い。
動けなくなりつつある自分が怖い。

もっと寒いところに立たされたい。

もっと窮地に追い詰められたい。

もっと険しい状況に陥られたい。

だって。。。

暖かいところにいると、ついつい安堵してしまう。

安堵してしまうと、ますます怠けてしまう。

怠けてしまうと、もう何もできなくなってしまう。

もっと寒いところに立たされたい。

寒いところにいないと、寒さを感じられない、寒さを忘れてしまう。
寒さを忘れたら、暖かさの有難さも忘れてしまう。

それが怖い。それがいけない。

だから、わたしは、

もっと寒いところに立たされたい。

もっと寒いところに立たされたい

もっと寒いところに立たされたい

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-26

CC BY-NC-ND
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