アタシがアンタの自殺を止めます!!

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アタシの能力

俺は、学校から出ると、時田という奴に、近くの喫茶店に連れて行かれた。
「ご注文は、お決まりでしょうか?」

「アタシは、カフェオレ、アンタは?」

「カプチーノ。」

「はい、かしこまりました。」
 んで、飲み物が着き、俺は、一口カプチーノを飲み、話しを切り出した。
「え~と、時田って言ったよな、さっきの学校でした事は、何だ? どうして俺を此処へ連れて来た?」
 俺は、時田に向かって質問をした筈だった。
「それより、アンタ死にたいの?」 
 質問に対して質問で返すのか? コイツは、しかも何だこの質問は。
「質問に答えなさい、死にたいの? 死にたくないの? どっちなの?」
 時田の目は、真剣だった、そして寂しげだった、だから俺は、今まで誰にも言わなかった事を時田に言った。
「どうでもいいんだよ、死のうが、生きようが、この社会、世界は、くだらない。俺には生きる目標も、意味も持ち合わせて無い。」

「アンタ、家族は?」

「小さい時に二人とも死んだよ。」

「あんた『も』大変なのね。」
 時田は、そう言うと、俺の顔を悲しそうな顔をして見た。
「そんな顔で、俺を見るなよ。」

「えっ?」

「今、俺の事可哀そうな奴だと思っただろ、そう言うのが嫌いなんだ俺は。」

「ごめん、そんなつもりじゃぁ……」
 そう言うと時田は、少し下を向いた、ただの、頭がパーの奴ではないらしい。俺は少しほっとした。
「で、こっちの質問にも答えて貰おうか、さっきの学校でやった事は、何だ? イタズラにしちゃ度が過ぎるぞ」

「イタズラ何かじゃない、アタシは、アンタが生きたいんだか、死にたいんだか分からなかったから試しただけよ!」

「何で、初めて会った俺にそんなに構うんだよ」
 俺がそう聞くと、時田は、口を開き答えた。
「信じてくれないかもしれないが、アタシは、ある能力が使えるんのよ……」

「能力?」

「うん、アタシの能力は、他人の『自殺願望』が感じとれるの。」

「それは、余り便利とは言えない能力だな、でもおかしいだろ、俺から自殺願望が感じられたからって、あんな事をするか普通?」

「嫌、違うの、アンタは、普通の自殺願望がある人と違う感じがして、なんて言ったらいいかしら、例えば、普通の人が白だとしたら、自殺願望のある人は黒だとすると、アンタには、何もないのよ、色が無い、そんな、普通じゃない感覚を感じ取ったから、アンタが生きたいか死にたいのか、確かめようとしたの、結局アンタの感覚は変わらなかったけど……」
 成程、そう言う事か、色が無いか、あながち間違って無いかもしれないな。
「別に信じてくれなくても良いわよ、いきなり、こんな事を言われて、信じれる方がおかし――」
 話しをしている最中、時田は、窓の外を見て口を止めた。
「ん? どうした時田?」
 時田の視線を追うとそこには、俺達の通っている制服を着た女子生徒が歩いていた。
「時田の知り合いか?」

「あの子、危ない、死ぬつもりだ、それもすぐに。」
 そう言うと時田は、立ち上がり、出口へ走って行った。
「おい! 待てよ、時田!」

「ごめん、会計ヨロシク、アタシ行かなくちゃ!」
 時田は、喫茶店を飛び出して行った。
「釣りは要らない!」

「お客様!?」
 千円札をレジに置き、俺も時田の後を追って喫茶店を飛び出した。

つづく

 俺は、ただの県立高校に入学した。別に高校に興味が在った訳じゃないが、働くのは、嫌だったからだ。今日は、入学式の次の日、一時間目、内容は、ホームルーム。右はじから、順番に自己紹介の真っ最中だ。
「―――です。よろしくお願いします。」

「次」
 はぁ~次は、俺か、ここは、普通に流しておくか。
「はい 夢谷(ゆめたに) 信哉(しんや) 趣味なし 特技なし よろしくお願いします」
 
 そして、自己紹介も終わり、何事も無く、その日の学校が終わり、俺は、上履きを脱ぎ靴に履き替え、校門へと向かって歩く。俺の事なんか誰1人覚えて無いだろうな、まっ、友達なんか要らないけどな。はぁ~くだらない世界だな。
「死にて~」
 俺は、『その』な言葉を口にした。今思えば、そのの言葉がアイツを動かしたのかもしれない。
「やっぱり ちよっと! 夢谷信哉!」
 俺の背後から、俺の名前を呼ぶ女の声がした、そして、俺は、振り向いた。
「あっ?」
「あぐっ!?」
 そこに居たのは、美少女と言っても、おかしくは無い、女子が居たが、その行動は、まるで『やくざ』だった。その女子は、俺が振り向いたら、いきなり、口に拳銃のようなモノをツッコミやがった。
「ふぁ、ふぁするんだ、ふぃきなり(何するんだ、いきなり)」
 どよどよどよどよ
 辺りに居た、数人の生徒が困惑している。
「ちよっと、アンタ達、騒がないでね、騒ぐと、穴が開くわよ」
 俺の口に銃を突っ込んでいるコイツは、周りの生徒に怖い笑顔で言った。
「さてと、夢谷信哉 アンタ死にたいんでしょ?」
 鋭い眼で俺の眼を見るがどこか、その眼は寂しげだった。
「ふぉっと(ちょっと)落ち着けって、どうふぇ(どうせ)ソレ偽ものだろ、大人しく、口から離せ。」

「偽物かどうか試してみる?」
「…………変わらない」
 

(パァン!) 

「!?」
 コイツが引き金を引くと乾いた音が辺り一帯に響き渡った。そして、俺の口から銃を出すと銃口から、米国の星の入った旗が出ていた。
「もっと、本物ぽいの買えば良かったかしら。」

「ふぅ~やっぱ偽モンか、それにしてもエアガンやガスガンだったら、病院行きだぞ――」
 そしてコイツは、俺の腕を引っ張り、歩きだした。
「ちょっと、これから私に付き合いなさい!」

「何なんだ!? お前は? 一体何がしたいんだ?」
 
「お前じゃ無い、アタシは、時田(ときた) 可憐(かれん)よ!」
 こうして俺と可憐は、出逢った。

つづく

アタシがアンタの自殺を止めます!!

アタシがアンタの自殺を止めます!!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-11-16

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  1. アタシの能力
  2. 2