おしっこ王子とうんこ大王(8)

八 翌朝

 朝、僕は目覚めると、急いで、トイレに駆け込んだ。おしっこがしたくてたまらなかったからだ。昨晩のオレンジジュースと牛乳と麦茶のせいかな。パジャマのズボンとパンツをすばやく同時に下ろし、おちんちんを取り出す。もう既に、おちんちんの先が、張り裂けんばかりに膨らんでいる。爆発寸前だ。僕の号令よりも先に、おしっこが発射。後から、ふうと、僕の安堵の声が続く。便器の中を黄色い液体が跳ねまわっている。でも、オレンジジュースの色ではない、ちゃんと、僕のために、栄養分を吸収してくれている。僕は、昨日の朝のことを思い出し、
「おしっこ王子、おはよう」
と、声を掛けた。先手必勝だ。言われる前にやれ。同じことは繰り返さない。だけど、水洗トイレにたまったおしっこからは何の返事もなかった。しばらく様子を窺う。やはり、返事はない。ひょっとしたら、昨日は寝ぼけていたのかな。まあいいか。水洗レバーを回す。水が流れるジャーという音に混じって、「今日も元気で、頑張ろう」、と声が聞こえたような気がした。僕は、慌てて、
「うんこ大王にもよろしく」
と、言い掛けながら、そうだ、今朝、うんこはまだ出していないことに気がついた。トイレの外では、お父さんが
「ハヤテ、まだか。早くしろよ」
と、立て続けにドアをノックしている。

おしっこ王子とうんこ大王(8)

おしっこ王子とうんこ大王(8)

八 翌朝

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-21

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