幸せの白い狐

幸せとはなんでしょう。
今、貴方は幸せですか?毎日つまらなくないですか?
その答えは……白い狐に聞きましょう。

これは、幸せを探す一人の女の子と山の狐さんのある雪の降る寒い日のお話です。
心がほかほかする作品になりますよう頑張ります!
処女作品ですが、どうかよろしくお願いします^ ^

忘れられた神様

空一面をねずみ色に覆う雲の間から、白くて細やかな雪がパラパラ落ちてくる。
冷たくなった手をあっためようとあったかい息をかけようとするが、ただただ白くなって上に上にとのぼっていくだけ。あったかくなどならない。
うつむいていた顔をあげてみると少し先では子供がはしゃいで遊んでいる。
それもそうだ。ここは滅多に雪など降らないのだ。
この風景も、この寒さも全てが珍しいのだ。私も最初は興奮した。いや最初だけ興奮した。
「いつからこんなに飽き性になっちゃったかな……」
最近はつまらない。何をしてもすぐ飽きる。
なんといっても、日常に刺激がないのだ。だから、普段の日常の行動から今日みたいな見慣れない景色、全部を含めてつまらないのだ。
その点では子供は尊敬したい。雪がふっただけであれだけはしゃげるのだ。
私もあんな時代があったかな。蝶々を追いかけたり、花を見たり……
毎日歩く道に好奇心の花が沢山咲いていた、あの頃に戻れることなら戻りたい。
そんな幼い頃の私とはもうだいぶ変わってしまった私。
毎日幸せ?と聞かれたら戸惑うであろう。
つまらない毎日を幸せとよべるものか、ある意味生き地獄だ。
「本当……つまんないよなぁ」
「何が?」
何がって、そりぁ毎日ずっと同じことを繰り返して……まあ、
「あんたには、わかんないよ」
「えーー まあまあそう言わずにさ?ほら、話すだけでも!ね?」
話すだけでも……ね。だいたい聞いてもらう人なんかいないし。
「ねぇ、お願い! 僕に話してよーー 僕も暇なんだ。」
そう。僕に話してねーー…
「え?…狐?」
「そう、正解! 狐だよ。白い。」
やっぱり狐か。にしもこの辺で白い狐か、珍しいな。
「じゃなくて、あんたなんで?」
「ん?」
狐なのはわかったのだ。そんなの珍しいことではない。だが
「なんで喋ってるの?」
そう。さっきからごくごく普通に喋っていたが、相手は狐なのだ。
「なんでって……うーん。神様だから?」
そんな訳ない。冗談にしては厳しい。
「冗談きつい」
一瞬狐は寂しそうな顔をしたのが見えた。なんだ、そんなに信じてもらえないのが寂しいのか。よくわからんやつだ。
「よく言われるんだよねー。君も信じてくれないかぁ。……まあそれが普通か」
「そりゃそうだ」
でも私は普通すぎる自分が嫌い。
「でもさ、やっぱり皆に忘れられちゃうのは寂しいよね……」
「え?」
「ああ。ごめんごめん、話ーそれちゃったね」
狐は無理矢理笑顔を貼付けてこちらを向いた。
「いや、別に…… というか本当に神様なの?」
「うん。多分、ね?」
「多分? 自信ないね。やっぱり嘘?」
狐は一瞬困った顔をした。
「そりゃあ自信なくなるよ。誰も信じてくれないんだもん。みんな忘れちゃって……」
「みんな?」
「そうだよ。はるか昔のことだけど……」
そう寂しそうに笑った狐の顔は、どこか見覚えのある顔で。
「じゃあさ、願いかなえてよ。」
ちょっとばかばかしいのだが、
「え?」
「神様なんでしょう?それくらいできるでしょう?」
「……信じてくれるの?」
どこか引き込まれて
「うん」
信じてもいい……かななんて。

「ありがとう」

幸せの白い狐

幸せの白い狐

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-20

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