God Save the Queen
ロックバンド「テトラ」。
アマチュアバンドとして安定した活動をしていて、現状に満足しているのだが、
ベース弾きの岳彦には、メンバーに秘密にしている悩みが有った。
バンドの方向性、人間関係と別離に悩む岳彦の取った方法とは?
「なあ、シドってさ、神様は居るって信じてたと思うか。」
いつもの酔っぱらいの会話だ。こいつは飲むとそんな話ばかり始める。
「だってあいつらの曲には、神様が女王を救うっていうのが有るだろう。意外と本人は信じてたのかもしれないぜ。」
「何言ってんだよ。あれは英国国歌のパロディだろう。あいつが神を信じるとは思えないな。」
「だったら、居もしない奴を罵る唄って何なんだよ。居ると思ってるから、それに向かって悪口を言うんじゃないのか。」
「なあ、ジャコはどうだったんだろう。ジャニスは、ブライアンは、ジョンは。」
「そうやって俺に絡むなよ。俺が知ってるわけが無いだろう。あいつらに直接聞いてみろよ。」
「だってあいつらは、もうこの世に居ないじゃないか。どうやって聞くんだよ。」
「じゃあ、あの世に行って会った時まで、大事にしまっておくんだな。」
「いいじゃないかよ。シドだってジャコだってベース弾きだったんだから、ベース弾きのお前が代わりに答えてくれよ。」
理屈も何もない無茶苦茶な話だ。
「じゃあお前はどうなんだよ。お前は神を信じるのか。」
「俺はキリスト教徒じゃないんだ。そんな事判るかよ。」
「まったく、俺には無茶振りするくせに。だいたいお前、仕事が仕事なんだから、そんな話を他人に振るなよ。」
「いいじゃないか。あれは飯を食うための仕事。儀式の為の形式なんだからな。」
ライヴの後で、般若湯が入ると大抵はこういうわけの解らない会話になる。
ちなみに相棒のドラムの裕也の仕事は坊主だ。
こんな奴のお経にありがたがってお布施を出すんだから、檀家のみんなも大変だ。まあ、木魚の叩き方は上手いだろうけど。
僕は裕也の幼馴染で相棒の岳彦。幼稚園の頃からのご近所さんの付き合いなのだが、いまだに腐れ縁は続いていて同じバンドでベースを弾いている。
幼馴染のご近所さんとつるんでいて良いところは、こういう場面で車が一台で済むことだ。
他のメンバーは、それぞれに車で来てるから、ライヴの後に、ちょっと打ち上げって言っても、ノンアルコールで付き合って、そのまま運転して帰る事が多い。
僕と裕也はこういう状況になるのが判ってるから、二人で一台の車で来る。あいつの家までは歩いて五分だから楽なものだ。
どちらかがノンアルコールで我慢する事も有るが、大抵は割り勘で運転代行を頼んで帰る羽目になる。
そして他のメンバーが帰った後も、こうやって飲み続けているんだ。
「神は死んだ。」
「それはニーチェが言ったセリフだろう。」
「現代の神は金の姿で生き延びてるのさ。」
「それは誰のセリフだよ。」
「俺が言ったんだよ。なあ裕也。そろそろ勘定済ませて帰ろうぜ。」
僕はマスターに合図をして、ついでに代行も頼んでもらう。いつもの事なので、マスターも慣れたものだ。
この『王様鼠』ではこうやって深酒をする事が多い。店の雰囲気が良いので、ついつい飲んでしまうんだ。
「タケちゃん、お疲れ。今日も裕也とのコンビネーションは良かったね。安心して聴いてられたよ。
ヒロのヴォーカルも深みが出るようになったし、良くなったね。」
「ありがとうございます。こいつとのコンビネーションは大変なんですよ。暴走しかけるのを上手くコントロールしたり、シンクロさせたりしてるんですから。」
「まあ、それが出来るのが上手くなった証拠さ。息もぴったりだったじゃないか。」
「ええ、もう長い付き合いですからね。」
そんな話をしながら代行車が来るのを待つ。裕也はもうカウンターに張り付いてしまっている。
もうこの「テトラ」っていうバンドが出来てから五年になる。
坊主の修行を終えて親父の後を継いだ裕也が、高校時代からやってたドラムを再開して、メンバー募集の呼びかけに応募してからだと七年だ。
僕も同じメンバー募集の話に興味を持ち、最初のミーティングに顔を出したら、そこに裕也がひょっこり現れたのだ。
最初は驚いた。中学までは一緒だったが、高校は別の学校に行ったし、ドラムをやってるらしいのは母親から噂話程度には聞いていたが、まさか一緒に組むことになるとは思っても居なかったのだ。
僕はと言えば、大学卒業後二年程、東京でフリーターをやりながらバンドを組んだりしてたけど、実家に帰って普通の会社に就職し、会社員の趣味としてベースを弾いている。
音楽でもなんでもそうだけど、好きな事を仕事にして、それで飯を食っていけるなんて状況は、夢を見た人間のほんのひとかけらにしか与えられない。
漫画家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、画家、小説家、どれも同じだろう。
僕だって、高校時代はギターを弾き、大学に入ってからはベースに持ち替え、学生バンドとしてライヴハウスなどでもそこそこの活動はしていたのだ。
だけどしょせんはアマチュアのお楽しみ。知り合いを通したり、ライヴで捕まえたりして、バンドのファンらしきものも居たけど、片手や両手の指くらいだ。
メンバーとそれだけのファンの中で、曲を作ってライヴをやって、小さな輪の中で満足していただけに過ぎないんだ。
大学を卒業する頃は、それを大事にして将来の淡い夢を見たことも有ったが、一人また一人と現実に引き戻されてしまったんだ。
僕なんか運が良い方だった。二年も好きな事やって、もうそろそろ限界かなって思ってた頃に田舎の親から連絡が入ったのだ。
知り合いに就職口が有るから、戻って来てそこに勤めればどうだ、と。
組んでいたバンドも、方向性ではもうバラバラだったから、あっさりとそいつらを置いて田舎の実家に戻ったのだ。
あの頃組んでいたのは、五人組のロックバンドだった。
あくまでもプロ志向のギター、カズ。
東京で就職し会社員の顔とバンドの顔を上手く使い分けているヴォーカル、ヤマちゃん。
就職浪人で留年して大学に残ったドラム、ヨシユキ。
親のすねかじりで家事手伝いのキーボード、ユカ。
そしてフリーターになった僕。
メンバー全員が学生の頃に組んだバンドで、卒業前は順調だった。
でも、会社員とフリーターじゃ、財布に入ってる金額も、自由になる時間も違う。
ライヴや練習の予定を入れるにも、難しくなってしまった。
そしてその事が原因でメンバー内の雰囲気が悪くなってしまったんだ。
ギターのカズにしてみれば、
「俺はこんなに真剣に音楽をやってるのに、真剣にプロを目指してるのに、あいつらは真剣さが足りない。」
そういう思いだっただろう。
だけど、本当にプロになって音楽で飯が食えるようになるなんて、他のメンバーは思っても居なかったのだ。
一発当てて、メジャーで一瞬だけ騒がれたとしても、それを何十年も続けて行けるはずもない。
その一発だって宝くじが当たるくらいの確率でしかないだろう。運が良ければそんな事もあるのさ、くらいの思いしかなかったんだ。
僕もフリーターでバンド活動を優先していたから、どちらかと言えばカズに近い立場だったのだが、心の中では他のメンバーと同じように思っていた。
自分自身の状況はモラトリアムで、なにかをきっかけに運命が変わっていくのを待っていたようなものだった。
でもきっとそれはメジャーデビューなどと夢のような話では無く、恋人が出来たとか、その恋人に子供が出来たとかいうような、身近な変化がきっかけになるのだろうとは思っていたんだ。
バンドの最後の頃は、そんな論争が多くなっていた。
表面上はドラムのヨシユキの就職の話がきっかけだったのだが、他のメンバーが、気持ちの上でカズに付いていけなくなっていたのは、はっきり分かっていたんだ。
ヨシユキは大手の商社の就職試験の二次まで残った。当然、そんな大手に入れば勤務地はどこになるか判らない。そうなればバンドなどは続けられないだろう。
そういう選択をしたことに、カズは文句を付けた。
「就職するにしても、東京を離れないで良いようなところを受ければ良いじゃないか。」
と。
それは無茶だろうとメンバーの誰もが感じたようだった。
ヨシユキも
「俺の人生の中での選択なんだから、お前にあれこれ言われたくは無いね。」
と喧嘩腰で言い放った。
「お前が大金持ちで、俺のドラムの腕を買って、あの会社と同じだけの給料を払うって言うのなら話にも乗る。
プロデビューなんて夢のような話じゃ、宝くじが当たったらって話と同じじゃないか。」
それでバンドの決裂が現実になったんだ。
その後も何本かライヴの予定が有ったし、今すぐヨシユキが居なくなるっていう事でも無かったんで、活動は続けた。
ライヴハウスにも義理があったから、いきなりキャンセルっていうわけにもいかなかったんだ。
結局ヨシユキは就職戦線を勝ち抜いて、その商社に入る事になった。
そして、ヨシユキの予定を考えて、年度末で活動は終了、バンドは解散という話になった。
僕の親から連絡が入ったのも、ちょうどその頃だったのだ。
解散ライヴの打ち上げは、ボロボロだった。
カズは酔っ払って誰彼かまわず絡んだ。
打ち上げには、親しくしていたファンの娘も何人か来ていたし、その娘たちはそれぞれ、カズのファンやらヤマちゃんのファンやらと立場があったのだが、皆に絡んでいた。
ヨシユキとヤマちゃんは二人でなにやら話をしている。
ユカは僕と思い出話をしてた。
それぞれの思う事が違ってきているのが一目で判るような光景だ。
ユカはバンドの紅一点だったし、そんなに主張したりしないメンバーだったが、
いろんなことを考えてたらしい。家事手伝いだけで世間に出ないのもこの先が不安だから、親のコネでも使ってどこかに就職して、その傍ら別のバンドに参加するつもりだなんて、話してくれた。
学生時代から住み続けていたアパートを引き払って、田舎の実家に戻り、サラリーマンになって最初の給料を貰った時に、今まで見ていた夢から覚めたような気がしたんだ。
普通に朝から晩まで仕事をして、家に帰って夕飯を食べて寝る。週末には遊んだり、近所を散歩してご近所さんと挨拶を交わしたりして過ごす。
そして月末になればまとまって十数万円の金が入ってくる。給料の明細を見れば、所得税だの年金だのとあれこれ引かれている。
いままで経験の無かったそんな生活が新鮮で、それに馴染んでいった。
でもしばらくそんな生活をしていたけど、やっぱり音楽からは足を洗えなかった。
別にプロになりたいって言うわけじゃ無いが、楽しみとしてバンドを組んでいる人だって多い。僕もそういうレベルで音楽を続けてみようと思ったんだ。
近所の楽器屋でメンバー募集のビラを眺めて、ベース募集と書いてあるのに電話した。
ギターとヴォーカルの二人組が、新しくバンドを始めたいと、ドラムとベースとキーボードを募集していたのだ。
新しいバンドならば、まだ色も無いだろうからちょうど良い。そんな考えも有った。既にあるバンドにメンバーチェンジで入るのは、前のヤツの演奏をコピーさせられたり、同等以上の役目を求められたりと、面倒な事が多そうな気がしたんだ。
そして話がまとまりそうになって、最初のミーティングに行ったら、そこに現れたドラムっていうのが裕也だったんだ。
そのバンドは一年程活動したが、ギターとヴォーカルが喧嘩した挙句、どちらもバンドを辞めてしまった。
残された僕と裕也とキーボードの俊之は、バンドを続けるために、新しいメンバーを探して、ギター兼ヴォーカルの亮をバンドに迎え入れた。
その時にバンド名を「テトラ」にした。
正式には「エレクトリックテトラヒドロン」電気的四面体っていう意味だ。
真四角でも無く、丸くも無く、テトラポットのように尖っていて、波に打たれても壊れないっていうイメージで気に入っている。
裕也はテトラポットをイメージしたロゴマークまで作ったくらいだ。
そしてその四人で活動を続けてもう五年になる。
その後二年くらいして女性ヴォーカルのヒロがバンドに入った。亮がヴォーカルとギターの両方だと大変だからと言って、どこからか見つけて来たんだ。
バンド名は、迷った挙句テトラのままにした。裕也はテトラポットマークの中心に球を入れて、「これがセンターに居るヴォーカルだ。」
なんて笑った。
それからはずっと五人編成で、ヒロのヴォーカルに亮がハモりを付けたり、亮のギターと俊之のキーボードで絡んだりと、いろんなことが出来るようになっている。
曲はオリジナルとコピーが半々くらい。オリジナルは俊之が作ってくることが多い。
そんな事をして日々を過ごしているうちに、僕の二十代も通り過ぎてしまった。
僕と裕也は同級生だから、一月違いでめでたく誕生日を迎え、三十代に突入した。
俊之は一つ下、亮は二つ下で、ヒロは亮よりさらに三つ下だから、笑い話で三人から年寄扱いされるようになった。
そんなふうに順調なバンド活動を続けているんだけど、最近の僕にはメンバーに言えない悩みがある。
会社で札幌に転勤する話が出てきているのだ。
個人的にはどこに住んでどんな仕事をしようと、問題は無い。学生の頃も、その後も、一人暮らしには慣れている。
問題は、今のバンドの事くらいだ。
五年も同じ仲間とやって来て、息もぴったりと合ったバンドメンバー。お互いに無理を言うわけでもなく、志向も同じ連中だ。
このバンドを壊したくない。ずっと続けてやっていたい。
そういう思いは大きい。
でも一方で、会社勤めをして、きちんと仕事も覚え、それなりに責任も持たされ、給料を貰っている会社員としての思いも有る。
昔のフリーターだった頃は、嫌ならバイトなんてすぐ辞めても良かったんだが、もう三十を過ぎて、そんなに簡単に辞めるわけにもいかない。
転勤を断れれば良いのだけど、仕事の内容は僕以外の人間が行っても戦力にはなりそうもない話なのだ。
上司からは、なるべく早く返事をするように急かされている。ここ数か月で、いろんな事が大きく変化しそうなのだ。
僕はバンドのメンバーに話をするまえに、こっそりとヒロに聞いてみた。
「ヒロ、お前楽器をやってみたいって言ってたよな。ちょっとベースを弾いてみる気はないか。」
ヴォーカル専門で楽器は持たないヒロだが、
「ギターとか弾きながら歌うのもカッコイイよね。」
って以前言ってたのを思い出したのだ。
ヒロはその話に乗って来た。
もちろん僕の転勤の事などは話さない。
そして、メンバーの皆を驚かせようと言って、こうやってベースの練習をしている事を、他のメンバーにも秘密にさせたのだ。
ベースは僕の持ってる楽器を貸した。
弾き方の基礎を教えた後は、練習曲として今やっているレパートリーを弾かせ、どうやって弾くのかを、細かく教えた。
リズム感も音感も良い方だったし、自分から楽器をやってみたいと言うくらいだったので、短い期間で、僕も驚くほど上達した。
元々がヴォーカルだから、自然と唄いながらも弾けるようにもなった。
「お前、上手くなったよな。これじゃ俺が居なくなってもベース弾きに困らないな。」
ふと漏らしたそんなつぶやきに、ヒロは反発した。
「馬鹿な事言わないでよ。私はあくまでもヴォーカルだからね。
それともタケさん、テトラを辞めるつもりでもあるの。」
「いや、ほら、明日いきなり交通事故で死んじゃうかもしれないだろう。もしもそんな事でもあったらバンドの先行きが心配だからさ。」
「そんな事言ってたら、メンバーみんなそうでしょう。タケさんだけじゃないわよ。」
「まあ、そうなんだけどな。
でも今まで、ギターが居なくなってもヴォーカルが代わってもなんとかやってきた。
それは俺がこのバンドを続けたいって思ったし、裕也も俊之もそれに賛成してくれたからだ。
これからも誰かが居なくなれば、やっぱり同じようにするだろう。
もしも俺が居なくなったら、残った四人でどういう判断をするか。
それは俺が口出しできる話じゃないんだけど、俺が居なくなってバンドが解散じゃ寂しいじゃないか。」
「そうね。ドラムが居なくても、キーボードやギターが居なくなっても、代わりのメンバーを入れてバンドは続けていきたいよね。」
「だからさ、そんな時に『あたしがベース弾けるよ』って言い出せば、とりあえず四人で、次のベースが見つかるまででも、バンドは続けられるだろう。
そういう話さ。」
そんな話をしながらも、内心では申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
実際に転勤の話があるのに、こんな下手なたとえ話でごまかしている。
黙っていればいるほど、後で切り出すのが辛くなるのは解っていたんだ。
話は意外な方向から転がり始めた。
スタジオでの練習の時に、ヒロが僕のベースを弾いて見せたのだ。
「おっ、どうしたの。ベースなんか持って。」
「へぇ、ヒロって楽器出来ないんじゃなかったっけ。」
「なんだ、けっこう上手いじゃないか。ちょっと合わせてみるかい。」
そんな声がメンバーから出て、ヒロはレパートリーの一曲を弾いて見せた。
四人での演奏を、僕は複雑な気持ちで眺めていた。
まだまだ弾きながらではヴォーカルがラフになってしまう。
もちろん演奏の精度も僕が弾く方が上手だ。
でも裕也とのコンビもそれなりには出来ているし、裕也もヒロに上手く合わせてやっている。
「おい、タケ。この調子だと、お前のポジションも危ういな。
女でベース弾きながら唄うなんて、スージークアトロみたいでけっこうステージ映えもしそうだもの、これで行けそうじゃないか。」
裕也がふざけてそんな事を言う。
「そうなんだよ。タケさんったら、俺が居なくなっても四人でバンドが続けて行けたら良い、なんて言うんだよ。
それで、このあいだからこっそり私にベースを教えてくれてたんだ。」
それを聞いた裕也の顔色が変わる。
「おい、タケ。どういうつもりなんだ。このバンドを辞めるつもりでもあるのか。」
ここまではっきりしてしまったら、僕も言うしかない。
「ああ、そうなんだ。バンドを続けられなくなったんだ。」
「何故だよ。テトラが嫌になったのか。」
「馬鹿言うな。テトラは最高さ。でもな、会社で転勤の話が有るんだ。札幌に行けって。」
「札幌。そんな処に転勤するのか。」
「ああ、たとえばこれが東京だったら、毎週末帰って来て、バンドを続ける事も出来るかもしれない。
でも、札幌から毎週は帰って来られないだろう。」
「ホントに転勤するのか。その話って断れないのかよ。」
「断るってことは、今の会社を辞めるってことになるんだ。俺だって行きたくはないよ。」
スタジオの中は静まりかえった。事の重大さがみんなの心に浸み込んでいく間の沈黙だった。
一番先に口を開いたのはヒロだった。
「タケさん。最初っからそのつもりだったのね。」
その言葉と同時に平手が飛んでくる。
僕は避けもせずに、ヒロの平手を左頬で受けた。
亮が後ろからヒロの腕を押さえる。
「止めろよ。タケさんだって、悩んだ末の結論だろう。俺たちに何が出来るんだよ。」
「だって。」
「そりゃあ、こんな話になって悔しいよ。
ここまで良い感じでまとまったバンドでメンバーが一人脱退するだなんて。
でも、タケさんだってもっと悔しいだろう。」
「仕方無いだろう。しょせんアマチュアのバンドなんだよ。
それぞれに仕事を持っていて、趣味でやってるんだ。
プロのようにこれで飯食ってるのとは違うんだ。」
俊之もそんなふうに言ってくれる。
「みんな、済まない。
俺だって十年前だったら転職も考えただろう。
でも、もう三十も過ぎて、この仕事を七年もやって来て、今さらバンドを辞めるのが嫌だから会社を辞めますなんて言えないじゃないか。」
僕は皆に向かって深く頭を下げた。
裕也は何も言わず、腕組みをして仁王立ちしている。
あれこれと言いたい事は有るのだろうが、何から言い出せば良いか、混乱している様子だ。
やがて、ポツリと重い口を開く。
「それで、いつまでこっちでバンドをやれるんだ。」
「会社からは、なるべく早く、って言われてる。頑張ってあと二か月くらいかな。」
「そうか。週末の予定は空いてるんだろうな。」
「ああ、会社関係は週末には何もないからな。」
「じゃあ、この二か月で出来るだけの事をやってやろう。毎週でもいい。ライヴをやるぞ。」
いままでずっと、このバンドのリーダーは僕だった。
別にきちんと決めたわけじゃ無いが、最初のリーダーがバンドを辞めてから、何となくそういう役割だったんだ。
僕が三人の話し合いで、このバンドは終わらせない、って言った時から、そんな形になった。
その役目がこの瞬間から裕也に移ったのだ。
「第一期テトラのラストライヴだ。派手にやろうぜ。」
スタジオから近くの喫茶店に移動して、話は続く。
ヒロも拗ねたような顔で僕を見ているが、なにか口に出すわけじゃ無い。
俊之が手際よくあちらこちらのライヴハウスに連絡を取った。
僕らが普段出ているライヴハウスは三つある。
それぞれの予定の空きを都合付けて、この一か月半で三か所ともライヴの予定を入れた。
「もちろんテトラが解散する訳じゃない。でもタケが脱退するんだから、それなりにセレモニーをやってやらないとな。」
「その場で新ベーシストのお披露目もするんだろう。」
「そんなんで良いの。きちんと新しいベースを探した方が良くない。」
「もちろん、それはそれで進めるさ。でも、それまでの間、活動休止は無いだろう。
当面は四人でやって、いずれ新メンバーが見つかったら、五人にすれば良いさ。」
俊之も亮も、さっきのスタジオでのヒロの演奏が気に入ったようだ。
それに、ベースを弾きながら唄うという見た目の新鮮さも、良いイメージだったのだろう。
「今、ヒロが弾けるのはどのくらい有るんだ。」
裕也が僕に訊く。
「オーケーを出せるのは三曲。さっきと同じくらいには出来るよ。その他に
もうちょっと練習すれば何とかなりそうなのが五曲かな。」
「そんなに出来るのか。お前、俺たちに隠れて影でこそこそとやってたんだな。」
「いや、教えたのは基礎くらいだからな。ヒロの素質と頑張りが凄かったのさ。」
「八曲も有れば、今やってるレパートリーはほとんどじゃないか。」
「一番難しい『冬の街』はまだまだ出来ないんだけどね。」
「まあ、あれはタケの見せ場を作るように、ベースが凝ったアレンジしてるからな。もうちょっと優しくアレンジしなおせば良いのさ。」
「じゃあ、ラストステージ上でベースの引き継ぎのセレモニーをやって、一曲くらいはタケ抜きで演奏するのも良いかな。」
話はそんなところまで弾んでいる。
「ああ、好きにしてくれ。去って行く者はどんな扱いされても文句は言えないからな。」
「そう言うなよ。最後は花束くらい渡してやるさ。」
「なんだか、それも照れくさいな。」
そんな話が盛り上がって、次第にヒロも笑顔を見せるようになる。
翌日、僕はヒロを楽器屋に呼び出した。
「お前、俺の貸してやったベースじゃ、ちょっと重いだろう。唄いながら弾くんなら、もうちょっと弾きやすいベースの方が良いよ。」
そう言って、何本かのベースをヒロに弾かせてみる。
試奏した中では白い塗装のショートスケールのジャズベースが一番素直にヒロに合いそうだった。
レベルの良い国産メーカーのものだ。僕はそれをレジに持って行った。
「えっ、どうするの。いきなり買っちゃうの。私今日はそんなにお金持ってないよ。」
「馬鹿だな。お前に払えなんて言わないよ。俺が買うんだ。」
「だってタケさん、もう何本も持ってるでしょう。それだって私に弾かせて、私にぴったりだって言ってたんじゃない。」
「これは、俺がラストステージで弾くベースさ。」
ヒロにもその言葉の意味が解ったのだろう。無言でうつむいている。
ケースとストラップも一緒に、僕はそのベースを買った。
僕自身が弾くのであれば、ショートスケールだと運指の感覚が合わないかもしれない。
まあ、一度ステージで弾いて後はヒロに譲るつもりの楽器だから、そんなに困る事も無いだろう。
そう思いながら、僕はベースを持ち帰った。
弦高の調整をして細かい部分をいじると、ヒロが唄いながら弾くのにも楽な弾きやすいベースになった。
アンプにつないで音を出すと、けっこう良い音で鳴ってくれる。
このアンプもベースと一緒にヒロに譲ってしまおう。
こんなことぐらいしか、俺がテトラっていうバンドに対してやってやれることは残ってないんだ。
そんな事を考えて、無性に淋しくなった。
もう気持ちは札幌に行っている。
ベースを一本持っていけば、向こうの街でバンドを組んで、音楽をやる機会も有るだろう。
そんな事も想像してみた。
良い方に考えないと次第に落ち込んでくる心を、自分自身で立て直そうと思ったんだ。
バンドの練習は次のライヴに向けてのおさらいを一通りやると、ヒロをベースにした四人での練習がメインになった。
僕は演奏を聴いて細かい部分まで修正を加える役目になった。
ヒロの演奏は聴くたびに上達している。
一番難しいと言っていた「冬の街」っていうオリジナル曲も、アレンジを変えてベースの負荷を軽くした。
僕が弾いていた頃よりも、すっきりして良い曲になったような気もする。
まだ何曲か、手を付けていないオリジナル曲も有るが、それは今あまりやっていないような曲ばかりだ。
いずれもう一度やる事になったら、その時にヒロが弾けるように弾けば良いだろう。
どちらにしてもまたやるかも解らないし、そんなにベースが難しい曲でもないはずだ。
僕は知らん顔をして、白いショートスケールを持って行って、自分でもそれを弾いて、ヒロにもそれを弾かせた。
裕也は僕の新しいベースに気付いて、何か言いたそうだったが、結局何も言わなかった。
こうして第一期テトラのラストライヴの日は、次第に近づいて行った。
ライヴの予定の順だと、『王様鼠』でのライヴが最後になる。
その前に、『ムジカ』と『Mガレージ』でのライヴが有る。
僕は自分の事情とバンドの今後を周囲にも話し、SNSなどでも公開した。
仲間内でも、ネットなんかであちらこちらに話を拡めたので、ムジカもMガレージも大盛況のライヴになった。
「こんなに大入りになるんなら、もっと前から大騒ぎすれば良かったな。」
「それよりも、もっと前にタケさんを辞めさせれば良かったんじゃないか。」
皆は、そんな事を言って笑う。
それぞれの店のマスターにも、僕からきちんと挨拶をして、今後のテトラの事もよろしくと託した。
いろんな知り合いやバンド関係者が来てくれて、僕はステージ上で最後の挨拶をさせられた。
きちんとこの先のテトラの話もして、ヒロがベースを弾いて四人でやる事や、新しいベース弾きを募集する事も告げた。
そして、僕がヒロにベースを渡し、四人での演奏もやった。
ヒロがベースを弾きながら唄う姿は、評判が良かった。
ヴォーカルだけに専念していた頃のパワーはちょっと落ちたが、ステージのセンターでベースを弾きながら唄う姿は別の意味での迫力が有り、セクシーでもあった。
白いショートスケールのベースは、ステージ上のヒロに良く似合っていた。
僕は客席からその姿を見て、複雑な思いだった。
すでに僕が居ない四人のテトラが出来上がりつつあったのだ。
もう、僕の戻るポジションは無くなってしまうのだ。
ここまで来てしまえば、もう「会社を辞めてバンドに残る」などとは言い出せない。
後は素直に予定通りのセレモニーを済ませ、この街から消えるだけだ。
『王様鼠』でのライヴは本当にギリギリのスケジュールだった。
既に荷物は札幌に送ってしまって、週明けには札幌の支店に顔を出す事になっていた。
メインのベースも荷物と一緒に送った。
アンプはヒロの家に運んで、押し付けるように渡してきた。
交換でいままで練習用に貸してあったベースは返してもらった。
持っている中のもう弾かないような何本かは、中古楽器屋に売ってしまったが、ヒロに貸したこのベースは家に置いておくつもりだった。
家の中も、転勤の話であたふたとしたが、両親も仕事の為なら仕方ないと納得したようだった。
「赤紙貰って戦争に行く訳じゃないんだから。」
なんて、時代錯誤なセリフが親父の口から出て、皆で笑ったりもした。
もちろん『王様鼠』でのライヴは大盛況だった。
メンバーの皆もそれぞれに、これで最後、一つの時代の終わり、という思いが有ったのだろう。迫力のある演奏になった。
前半が終わって、僕がセンターのマイクの前に引っ張り出された。
裕也が僕に声をかける。
「こんな大勢に来てもらって、皆を引っ掻き回したんだから、責任持って自分の口から、事情を説明して詫びろ。」
それがあいつなりの、僕へのはなむけだったのだろう。
僕は淡々と事情を語り、今後の自分の予定とこれからのテトラの事を話した。
「僕は脱退しますけど、これからもテトラの活動は続きます。この先もテトラを応援してやってください。よろしくお願いします。」
そう言った声は、ちょっと震えていたかもしれない。
一度ステージから降りていたヒロが、花束を抱えてステージに戻って来た。
僕からマイクを奪い取る。
「勝手にこの街からいなくなるタケさんに、『馬鹿野郎!』の言葉を添えて、花束を贈ります。」
そう言って手荒く花束を手渡してくれる。
それで終わりかと思ったら、さらに何か言い出す。
「私がその話を初めて聞いた時に、思わずタケさんを殴ってしまいました。
これはそのお詫びのしるしです。」
そういうと、あっけにとられる僕の頬にキスをしてくれた。
客席から大きな拍手とヤジの声が起こる。
僕にしてみれば、平手で叩かれた時よりも、このキスの方が痛かったような気がした。
「じゃあ、今のキスのお礼に、このベースをテトラの二代目ベーシストに進呈します。」
僕はそう言って、白いショートスケールのジャズベースをスタンドから取り上げ、ヒロに手渡す。
ヒロは手に持ったベースを皆に見せると、ストラップを肩に掛けた。
これから後半、四人でのテトラの演奏が始まるのだ。
僕は花束を抱えてステージから降り、カウンターの一番隅の席に腰を下ろした。
花束を抱きしめるようにして、その中に顔を埋めて隠れるようにしながら、ステージの四人を観ていた。
涙がこぼれそうになるのを、無理して我慢していたんだ。
肩を叩かれて振り向くと、カウンターの中でマスターがこちらを見ていた。
何も言わずにロックグラスを僕の手に押し付け、バーボンを注いでくれる。
自分のグラスを挙げて、乾杯の仕草をする。
そのマスターのグラスと僕の手のグラスを軽く合わせて、僕はグラスの中身を一気に飲み干した。
喉を焼く熱い液体に、思わず噎せかえり、涙が湧きだす。
ステージでは四人の演奏が続いている。
〈ほら、僕が居なくても、こんなに上手くやれるじゃないか。これから先だって、大丈夫さ。〉
そう思って、マスターに向かってニヤッと笑う。
マスターだっていろんな言いたい事は有るだろうけど、
「タケちゃん、今までお疲れ。」
とだけ言って、ゆっくりとグラスを傾ける。
ライヴの後半も無事に終了し、僕はたくさんのお客さんから、暖かく手荒い激励をもらった。
そして、一人二人とお客さんは帰って行き、店にはバンドのメンバーとマスターしか居なくなった。
僕と裕也はいつものようにカウンターで飲んでいる。今日は俊之も一緒だ。
今夜はとことん飲んで、代行で帰ると言っている。亮も飲んでいる様子だ。
ヒロだけがウーロン茶のグラスを舐めながら、カウンターの僕の隣の席で、僕と裕也の話に耳を傾けている。
亮がふらりと立ち上がり、ステージに腰掛けギターを抱えて一人で何かの曲を弾き始めた。
God Save the Queen a fascist regime
It made you a moron a potential H Bomb
God save the Queen she ain't no human being
There is no future in England's dream
When there's no future how can there be sin
We are the flowers in the dustbin
We are the poison in your human machine
We are the future your future
God Save the Queen we mean it, man
We love our Queen God save
God Save the Queen we mean it man
There is no future in England's dream
No future no future no future for you
「ピストルズかい。ある意味でお似合いだな。」
マスターがぽつりとそんな事を言う。
「シドはオーバードーズで死んじまった。ジャコもジャンキーになった挙句、殴り殺された。
タケはこの街から居なくなっちまう。ベース弾きなんてそんな連中ばっかりだ。」
裕也が、喧嘩でも売るように、そんなセリフを吐き捨てる。
僕にはその喧嘩を買う気は起こらなかった。
「そうだな。音楽をやってる連中なんて、ゴミ箱の中の花のようなもんだ。
みんなろくでなしさ。あんな連中と一緒にされれば、光栄だよ。」
「神様はそんな連中も救ってくれるのかな。」
いきなりヒロがそんな事を言いだす。
「大丈夫。テトラのクイーン、ヒロの事は神様が見守ってるさ。
それに、シドやジャコだって、今頃はご機嫌で神様と一緒に遊んでるかもしれないぜ。」
「ハードロックが大好きな、役立たずの神様か。」
俊之も口を挿む。
「じゃあ、そのご機嫌な神様にお願いしておくよ。」
「何をだ。」
「タケさんの事も、ちょっとだけでいいから、気にしておいてくれるようにってね。」
「ありがとう。」
「ねえ。札幌に行ってもベースは続けるんでしょう。」
「ああ、とりあえずは仕事やら日々の生活やらで、慌しいだろうけど、落ち着いたらどこかのバンドにでも入れてもらおうかと思ってるよ。」
「コンテストの全国大会に出てくるようなバンドが組めるといいね。」
「どうしてだい。」
「そしたら、テトラも同じコンテストにエントリーするよ。全国大会で会おうって言ってね。」
「それこそ神頼みの世界だな。」
「いいんだよ。きっと神様が救ってくれるって思っていれば。」
亮の歌は、何度も何度も同じリフレインを繰り返し、夜更けの店に流れていた。
そして今、僕は札幌の街で暮らしている。仕事はめちゃくちゃ忙しいけど順調だ。
日々の暮らしの合間に、楽器屋やらライヴハウスも見つけて、ぽつぽつと顔を出し、顔なじみにもなった。
メンバー募集の張り紙や知り合いの紹介で、いくつかのバンドにも顔を出した。
なかなかぴったりのバンドには巡り会えなかったが、最近組んでいるバンドはメンバーの雰囲気が良くて、長続きしそうだ。
神様は奪ったり与えたり、いろんな悪戯が好きなんだろう。
いずれあちらに行けば、一緒に遊べるのかもしれない。
シドやジャコほどには成れないが、こっちで満足いくまで遊んで、あっちに行った時には、自慢できるくらいには成りたいなんて思っている。
テトラも四人で頑張っているようだ。
神様がニコニコしながら、見守っているに違いない。
了
God Save the Queen
ご存じの方なら今さらの話ですが、音楽シーンを良く知らない方の為に、いくつかの解説を付け加えておきます。
冒頭から登場し、最後にも言及される二人のミュージシャンの名前、
「シド」と「ジャコ」は
セックスピストルズのベーシスト「シド・ヴィシャス」と
ウエザーリポートなどで活躍した「ジャコ・パストリアス」の事です。
シドは卓越したプレイヤーと言うよりは、その奇行や死に至るまでの伝説で世間に知られていて、
「シド&ナンシー」という映画にもなりました。
ジャコの方は、超技巧派のプレイヤーで、ジャズシーンに大きな足跡を残しましたが、
30代で不幸な死を迎えています。
その他登場する名前、
「ジャニス」は「ジャニス・ジョプリン」
「ジョン」は「ジョン・レノン」です。
「ブライアン」は二人該当者が居て
「ブライアン・ジョーンズ」と「ブライアン・エプスタイン」です。
ジョーンズはローリングストーンズの初代リーダー。
エプスタインはビートルズをメジャーにしたマネージャーです。
裕也がどちらの方を言っているのかは、判りません。(笑)
皆、若くして名を残し、鬼籍に入ってしまいました。
最後の部分の会話に出てくるセリフ
「ゴミ箱の中の花」はその前に書かれているセックスピストルズの「God Sve the Queen」の中のワンフレーズ。
「ハードロックが大好きな役立たずの神様」は、忌野清志郎さん(RCサクセション)の曲「ロックン・ロール・ショー」から
引用させていただきました。
名前が出てくるミュージシャンは大部分が亡くなってしまった人です。
唯一存命なのはスージー・クワトロでしょうか。
事情が有っての別離というのがこのストーリーのテーマです。
ここではバンドの話になっていますが、例えば草野球のチームでも、同級生の定例の飲み会でも良いでしょう。
家族や恋人との別離ほど問題扱いされることは有りません。
でも、家族と離れて単身赴任、家族ごと引っ越し、どちらのケースでも、割り切れない感情は残ります。
小中学生が転校するのと同じ感覚でしょうか。
日本では企業への依存が大きく、終身雇用の形態がまだまだ残っていますから、
転勤を命じられると受けるのが当然のような感覚が大きいです。
またそうやって転々とすることが人生のレールのように受け止めている人も居ます。
昨今の社会状況では転職するのも困難ですし、収入を考えると
現状よりもダウンする可能性が大きいでしょう。
そして日本では職を持たない事を罪悪視する傾向も大きく
多少の無理をしても会社にしがみつく傾向も大きいように思えます。
家族や友人との別離と会社生活を天秤にかけて選択するとしたら、どうするか。
どこにでも有るけれど、答えの出ないテーマです。
英文の歌詞部分は セックスピストルズ「God Save the Queeen」を、そのまま使用させていただきました。