お願いインストーる

未完成

1章[起動]

「ふぅ、やっと完成した」
男は疲れた顔をしながらそう呟いた。
ほっと一息つきたいと思い男は机にあった煙草の箱を掴み、そこから一本取り出した。
ライターを持ち火をつけ紫煙を漂わせる。
(そういえば煙草を吸ったのは久しぶりだな)
ふと時計を見ているといつの間にか0時になっていた。
「とりあえず起動してみるか。それを確認したら寝よう」
そういって男は目の前にあるパソコンを触り、アプリケーションを開いた。
「この起動コマンドを打ち込めば起動するはず・・・」
男はそう言い終えて、エンターキーを押した。
(ブゥゥン...)
「お、立ち上がった。とりあえず初期設定だけしておくか」
男はキーボードを打ち込みだした。
「えーと、性別は女だったな。性格は後からでも書き換えられるからとりあえず真面目にして・・・」
キーボードをカチャカチャしながら情報を打ち込んでいき、それも終了した。
「じゃあ設定ボタンを押して・・・起動してみるか」
男は煙草の火を消し目の前のロボットを見た。
ロボットは中性的な形をしている。後で性別を変えても違和感が無いようにするためだ。
(成功するかねぇ。。。)
「それでは、目覚めろ!」
男がボタンを押すと目の前のロボットが動いた。
「あれ?」
ロボットが口を動かしているが音声が出ない。
「あ、音声ファイルを入れ忘れた。もう一回設定画面を見て・・・、よし。完了」
これでどうだと言わんばかりの顔をしながらボタンを押す。
すると目の前のロボットが喋りだした。
「あなたは、だれ?」
(お、声が出た。凛々しい声だな。まぁ俺がそう設定したんだが)
男はそう考えながら言った。
「俺はお前を作った人だ。名前は・・・なんだっけな。」
ロボットは困った顔をしながら言った。
「名前、無いのですか?」と。
「いや、名前が無いのではなく出てこないのだ。そうだ。手始めに俺の名前をつけてもらおうか」
ロボットは驚いた様子でこう言った。
「え、私がですか?困ったな・・・」
うーんと唸りながらロボットはこう答えた。
「ではトレジャラーでいかがでしょうか?」
「トレジャラー?財宝か?ふむ・・・」
「駄目でしょうか?」
「いや、いい名前だ。ありがとう。そうすると君の名前だな。」
(なるべく中性的な名前をつけないとな)
トレジャラーは思いついたようだ。
「そうだ。お前はルイだ」
「ルイですか?・・・了承しました。ではこれからはルイとお呼びください」
「分かった。今日からよろしく頼む。」
あ、そうだと思い出したようにトレジャラーは言った。
「俺はとりあえず寝る。お前も充電が終わったら自分で機能停止してもいいし、部屋を歩きまわるならそれでもいい」
「了承しました。充電が終わりましたら部屋を歩いてみます。」
おう、とトレジャラーは言い残し自分の寝床へ歩いていった。
ルイはそれを見送った後、トレジャラーが座っていた椅子に座り充電が終えるの待った。
(私はルイ・・・彼はトレジャラー・・・)
ルイは考えなら充電を終えるのを待った。

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ロボットと博士による明るくないお話。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-12

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