1年間の恋

1年間の恋

あなたは、恋をしたことがありますか?
恋といってもいろいろな恋があります。
片想い・両想い・初恋など。
この物語は、本当にあった片想いのお話しです。
最後まで、お付き合い下さい。

一時間目の授業が終わった休み時間、友達の砂山光が
「美羽ー。ウチなあいつ好きやねん。」と好きな人を指さして言ってきた。
私はそんな話に興味がなかったから、「あ、そうなんや。」
と適当な返事をした。
そんな返事にかまわず、光は好きな男子の話を5分くらいしていた。
光が話している時、光の好きな男子を見た。
光からすれば、カッコイイのだろうが、私からすれば別に普通だった。
その男子のどこを好きになったのか気になったけど、話しが長くなりそうだったのと、めんどくさかったから、聞くのをやめた。
光は話し終わった後、「良いと思う?」と聞いてきた。
なんて答えたらいいか分からなかったから、適当に「別にいいんちゃう?」と言ったら「いいかなー。あ、美羽は好きな人おる?」
と聞かれた。
私は「おらん。恋とかめんどいし、興味ない。」
と答えたら
「意外ー。おるんかと思った。」
と笑いながら言われた。
”好きな人がいない„と言えば、「なんで、おらんの?」と返される。
”いる„と言えば「誰?誰?」と聞いてくる。
こういうことがあるから、恋バナってめんどくさい。
休み時間も終わり、授業が始まった。
授業を聞きながら”いつか自分にも好きな人ができるんだろうなー„と考えていた。
この時はまだ、恋愛なんて興味もなかったし、恋バナもあまり好きじゃなかった。
でもまさか、恋愛に興味のなかった私が数年後、恋をするなんておもってもいなかった。
この時までは…。

1.初恋  
            
小学校最後のクラス替え。  
親友の愛音ちゃんと、同じクラスになれることを願った。  
けれどその願いは叶わず、愛音ちゃんとは違うクラスになった。  
正直、愛音ちゃんのいないクラスは、楽しくなかった。  
だけど、知っている子と話している内に”このクラスはおもしろいな„と思うようになった。  
この時、好きか分からなかったけど、気になる男子がいた。  
その男子の名前は、永島拓也。  
頭は良くて、スポーツ万能。  
いわゆる天才。  
いつも中橋佑樹・西谷雄志・中田健也と一緒にいる。  
私は、中の良い3人を見ていた。  
永島と目が合うと”ドキッ„とした。  
学校が終わると”早く明日にならんかな?„と思うぐらいだった。  
私はこの時確信した。  
永島を好きということを。  
これが恋ということを。  

2.あきらめる
                   
それから私は永島を見ることが多くなった。             
授業中も休み時間も、気づいたら目で追っていた。          
でも”永島は松原麻菜と付き合ってる„という噂があった。          
その噂は4年生の時から知っていたけれど、永島に恋をしてから、その噂を聞くのは嫌だった。          
そしてある日の放課後、國井奈央と石山亜美と一緒に遊んでいる時だった。           
私が永島のことを好きと知っている2人は「噂、本当なの?」と話し始めた。           
2人が私に「美羽、噂がホンマやったらどうすんの?」と聞いてきた。           
私は迷わず「あきらめる。」と言った。           
でも心の中では、あきらめたくなかった。           
だけど、あきらめる以外にどうしたらいいか分からなかった。           
それしか出てこなかった。           
すると2人が同時に「何で!!」と大声で言った。           
私は「だって噂ホンマかもしれんし、どうせ両想いになられへんもん…。 だから、あきらめる。」と言った。           数秒の沈黙の後、奈央に「何であきらめるん?噂やろ?嘘かもしらんやん!!」     
亜美にも「そうだよ。好きなんでしょ?だったらあきらめちゃダメだよ。」と言われた。          
だいたいの友達は「あ、そうなん?」とか「別にいいんちゃう?」と言うのに、亜美と奈央は違った。           
だから、2人が返してきた言葉にびっくりした。          
だけど、私がまだ言葉を出さないでうつむいていると、奈央に「美羽、漫画にも出てきたやろ?”後悔しない恋をしろ„って。 ホンマにそうやで! 恋は何回でもできるけど、永島を好きになれるのは、一生に一回やねんで! だから、あきらめたらアカンって。」と言われた。           
それでも私は”あきらめる„以外の言葉は出てこなかった。          
考えて”100%あったら1%も可能性がない„っていう言葉ぐらいだった。           
この言葉を2人に言うと、奈央が「100%ある内、絶対に100%ないって言い切れる?1%でも可能性があるかもしらんやん!その1%を信じようや。 な?」と言っていた。           
私はその言葉に背中を押されたのか、あきらめるのをやめた。          
「もう少し頑張ってみる。」と言うと、2人はすごく笑顔で「よかった。応援してるから、頑張りや!!」と言ってくれて、すごく嬉しかった。

3.涙                                      それから数日が経った夜、また永島のことをあきらめそうになった。     だけど、亜美と奈央に「もう少し頑張る」と言ったから、あきらめられなかった。  
数日前、2人に言われた言葉を思い出した。      ”好きなんでしょ?だったら、あきらめちゃダメだよ„ ”100%ある内、絶対に100%ないって言い切れる?1%でも可能性があるかもしらんやん!その1%を信じようや。„                          ”永島を好きになれるのは、一生に一回やねんで!„                 その言葉が頭の中で、ぐるぐる回っていた。  
その後に永島のことを考えて、「ウチの恋は叶わんよなー。絶対に。だって頭の良い永島と、頭悪いウチやで?つり合うはずないし、永島がウチのこと好きになるはずないやん…。」と私は小声で呟いた。   
そしたらまた、”あきらめる„という言葉がでてきて、涙もでてきた。         拭いても拭いても次から次へと涙がでてきて、全然止まらなかった。  
永島を好きでいるのが苦しくて、辛くて、好きという気持ちを消したいけれど、消えなくて。  
それでも永島のことが好きで。  
そんなことを考えていたら、さっきよりももっと涙がでてきた。  
夢にも永島がでてくることが何回かあった。  
その度に泣いていた。  
”何で夢にでてくるんよ…。„と言いながら。  
こんな日が何日も続いて、月日は過ぎ、秋になった。

4.受験                   
3学期になると卒業式の練習が始まった。  
それは1ヶ月後、卒業するからだ。 まだ1ヶ月後、卒業すると思わないぐらい、今が楽しかった。  
この日もいつも通り、楽しい1日が終わるのだと思った。  
だけど、そうはいかなかった。  
5時間目の最初、永島と小池に重要な手紙が担任の先生から渡された。  
すると、男子一人が立ち上がって、「永島お前、受験するん?」と言った。  永島はうなずいた。  
教室全体が一瞬静かになり、その後すぐ、騒がしくなった。  
永島が受験することは3人を除いて、誰も知らなかった。  
その3人とは、中橋・西谷・中田だ。  
教室が静かになった時、3人とも少し笑っていたように見えた。  

何度か永島に「受験しやんの?」と聞く人もいた。  
私もその一人だった。  
だけど、永島は「しやん」しか言わなかったから、受験はしないと思っていた。  
だけど本当に受験するって聞くと、悲しくなってきた。  
それから、5分後に授業が始まった。  
けれど私は、5時間目の授業が頭に入ってこなくて、ボーッとしたままだった。  
  
5時間目の授業が終わった休み時間、永島が受験するということが一気に広まり、教室の外は、違うクラスでいっぱいだった。  
いつも以上に騒がしかった。  
中には「永島お前ホンマに、受験するん?」とか「やっぱ、天才は違うわ」と言っている人がいた。  
永島は”天才„と言われるのが嫌らしくて、小声で「天才じゃないし」と言って、下を向いていた。  
私達は永島みたいに頭が良い人がいると”天才„と言うけれど、その人は”私達が思っているよりも、勉強しているだなー„と、この時思った。  
こんなことを考えていると、「美羽、永島受験すんねんな~。」
   
声をかけてきたのは、奈央だった。  
奈央の後ろには、亜美もいた。  
「奈央と亜美か。………。うん、受験するなー。」  
  
「うん。って悲しくないん?学校離れんねんで!?」  
  
学校が離れるのは、知ってる。  
そんなこと言われても、どうしようもない。  
だってそれは、永島が決めたことだから。  
  
「そりゃ悲しいよ。聞いた時はびっくりした。 だって前、永島に”受験しやんの?„って聞いたら”しやん„って言ってたから、同じ中学やと思ってた。 ま、でもうすうす気づいてた。受験するって。 あんなに頭が良いのに受験しやん方がおかしいって。  てか、彼女でも何でもないのに、こんなこと考えたらアカンよな。」    
  
本当にこんなこと思ったらダメだと思った。  
だって私は、永島のことが好きなだけだから。

「……。彼女じゃなくても考えるぐらい、いいやろ。……だって、好きなんやろ?じゃあ、いいやん。」  
そう言ったのは、奈央だった。  
「……でも、迷惑かもしらんし。」と言うと、奈央は少し怒っているように見えた。  
「そんなん誰が決めるん!?前、美羽が奈央に言ったよな?”あきらめたらそこで終わり„って。 なら美羽も、最後まであきらめんと頑張りーや!!」と少しキツイ口調で言われた。  
そして、休み時間の終わるチャイムが鳴って、6時間目の授業が始まった。                  
卒業まであと1ヶ月。  
もう少しで、小学校の楽しかった時間が終わる。  
ずっとこのクラスでいたい。  
こんな日がずっと、続いたらいいのに。  
だけどそれは、叶わない願い。  
6年生の最初に戻りたくても、戻れない。  
いくら願っても、漫画に出てくるように、時は戻させない。  
だから今よりももっと、楽しい思い出を卒業するまでにつくりたい。  
大人になっても、覚えていられるような思い出を。

5.卒業           

私達は今日、卒業する。  
6年間通ったこの学校を。  
まだ、卒業するという実感がない。 ”また、来年もあるんじゃないか„って思う。  
だけど、卒業式が始まると”この学校来るのも、本当に最後なんだ。„と思った。  
永島に会うのも。  

卒業式が終わった後、クラスの数人に「永島に告白しやんの?」と聞かれた。  
私は「うん。しやんよ」と言った。  
その後、グランドと校門の前で、友達と一緒に写真を撮った。  
奈央とも写真を撮った。  
写真を撮り終わった後、奈央に「…美羽、告白しやんの?永島に告白しやんの?」と聞かれた。  
私は「あー。無理無理。告白しても叶わんねんから。」と言った。  

何度も何度も、告白しようと考えた。  
でも、振られるのが怖くて告白はできなかった。  
バレンタインの時、”告白する„って決めていた。  
だけど、本人が出てくると恥ずかしくなって、チョコだけ渡して帰った。  
本当は伝えたかった。  
「好きです」って言いたかった。  
なのに恥ずかしくて家に帰って。  
バカだと思った。  
バレンタインの後も告白するか考えたけど、また恥ずかしくなって、家に帰ってしまいそうだったからやめた。  
バレンタインの日のことを思い出していると奈央に「告白するかしやんかは美羽次第やけど、後悔だけはしなや。 奈央は告白した方がいいと思うけど、それは美羽が決めることやから。 とにかく、後悔だけはしやんように!もう、行くな。バイバイ。」と言われた。  
「うん。 …バイバイ。」と私が返した後、奈央はすたすたと歩いて行った。  

………”後悔しやんように„……か。  
遅いよ。  
もういっぱい後悔した。  
告白も無理。  
振られるし、勇気もないから。  

6.よかった          
          
卒業式から3日後、私は永島に手紙を書くことにした。  
手紙を書く前の3日間、ずっと奈央の言葉が頭の中に残っていた。  
心の中も、モヤモヤしていた。  
私自身も本当に気持ちを伝えなくていいのか、伝えなかったら本当に後悔するんじゃないかって。  
伝えないで後悔するより、伝えて後悔したほうがいいって思った。  
だから、その日の夜に永島に手紙を書いた。 

永島へ          
    卒業おめでとう!  
    私立でも天才永島で頑張りや!  
    1年間ありがとう!!  
    図書委員、お疲れ様。  
           美羽より  
                 
そして”好きです„と書いて、住所も書いた。  
”もう会うこともないし、返事をしてくれるかな„と思ったから。  
それから2日後に、永島の家のポストに手紙を入れた。  
手紙を入れに行く途中”手紙を入れたら絶対に、中橋らにからかわれるんやろうなー。„と小声でいいながら、自転車をこいだ。  
ポストに手紙を入れた後、”やっぱり、住所書かんかったらよかった……。„と後悔した。  
だけど、告白は後悔しなかった。  
反対に、心の中にあったモヤモヤがとれて、スッキリした。  
永島を好きになってから、いっぱい泣いて、何度もあきらめようと思ったけど、あきらめないで良かった。  
そう思えたのは、奈央と亜美が背中をおしてくれたからだ。  
永島のことが中学になっても、好きでいるかもしれない。  
だけどまた、”新しい恋ができたらいいな„と思った。         

ーENDー

1年間の恋

最後まで読んで下さり、ありがとうございました!  

この話の題名は、中々決まりませんでした。  
いくつか思いついたものの、どれもしっくりしなくて、頭が爆発しそうな時にパッと浮かんだのが、[1年間の恋]という題名でした。  
1年間の恋という題名も、あまりしっくりこなかったりして……。

次に考えているお話は、探偵ものか、またまた恋愛もので、悩んでおります(苦笑)  
何かリクエストがありましたら、言って下さると嬉しいです。(リクエストこない気がするけど……。)
お願い致します。 
最後にもう1度。
『1年間の恋』を読んでくださり、本当にありがとうございました♪

1年間の恋

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-11

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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