Earthdustbox~上界と下界へ住む生物~

始まりの物語

いつも通りの一日。そういつも通り。あまりの平凡さに嫌になってくる。
「誰かこのドアあけてくれないかなぁ。」ひとつ呟くが、開けてくれるはずもない。
ここは、上界。地球のなかでもひとにぎりの貴族が住んでいる、通称『Earthgardenhouse』訳せば地球のガーデンハウス。先に上界と言ったが、もちろん光があれば影があるように、上界があれば下界もある。下界の住人は地球のやく7割をしめている。まだ、地球が地球だったころの貴族が上界にいるというわけだ。しかし、何故上界と下界に地球を分けてまで貴族が上へ上へと逃げる必要性があったのかというと、それは五年前に地球が上と下に分かれるほどに大きな地震がおきた。自然とオゾン層は綺麗に上と下に分かれそれぞれを覆った。それからというもの、下はまるで焼け跡みたくになった。でも、上界は地震の反動で上に上にと上がったためもとの家があり、町がありという綺麗な姿のままだったというわけだ。地震のあとも、下界ではマグニチュード10.3などという大きな地震がつづいた。その不便さと自分への不安から逃れるようにして貴族は上界へ逃げて行ったのだ。
「はぁ~・・・こう、王子様みたいにかっこいい人が来て、窓ガラスを蹴りで割って近未来型ジェット機で下界につれってくれないかなぁ~・・・。」
ちなみに。私はここが大嫌いだ。上界では、昼寝もろくにできず、週に一回の社交界などという私が嫌だと思うものばかりあって、良いと思うものはひとつだって無い。
こんなことなら下界に行ったほうがよっぽどマシだ。そんなことを考えていたときだった。
がちゃん!いきなり、息をあらげたじいやが入ってきた。
「ちょっと!ノックぐらいしなさいよ!」もう、本当にヤダ!男の人って。
「お嬢様、今はそれどころではございません!!」激怒するようかにじいやが叫ぶ。
「な・・・なによ。なにか重大な問題でも起きたの?」こんなじいやは初めてだ。
「上界に下界からの侵入者がありました!すぐに大広間へお逃げくださいませ!」あまりの威圧感に声も出なくなる。
「わかったわ。」少し王子様の期待を胸に秘めつつ大広間へと向かおうとしたそのときだった。
がっしゃーん!!!!とド派手な音をたてで後方で窓ガラスの割れる音。反射的に振り返る。そこに立っていたのは。
見事に王子様のような好青年だった。胸の高鳴りとときめきが混ざり合って鼓動へと変わる。
後ろでじいやが腰をぬかし、「お逃げください!」と言っているようだがそれが聞こえないくらいに、
私はこの人にときめいている。
ふと気づくとその人の元へ勝手に足が動いていた。そして、私はその言葉を呟く。
「私を下界に連れてって。」

あなたの名前は。

「俺の名前はユンゲリオン・ローエル。まぁ、下界に住むもんだ。」
軽く好青年は自己紹介をする。ここは、ジェット機の中。まさかと思ったが本当に王子様は近未来ジェット機でやってきた。驚きだ。今は下界に向けて一直線にジェット機を降下している所だ。
「私は、ミカエラ・リエル。」そっけなかったかな。と、少し後悔する。
「へぇー。ミカエラ・リエル。良い名前だな。そういえば、少し聞いたことある気がするよ。」ローエルはそっけないとは思ってないらしい。「あぁ、そういえば大事なことを聞き忘れてた。」好青年はこちらへ向き直る。
「リエルは、俺に下界に連れてけって言ったけどどこか行きたいところでもあるのか?」真剣なまなざしだ。この答えを言うのが気が引けるほどに・・・。
「いや・・・・・そのぉ・・・・。」ん?という顔をされる・・・。どうしよう。「別に俺はどんな答えでも良いんだぞ。」すこし、笑いながらローエルが言う。なんだ、そうなんだ。と思い考えていることを告げる。
「私は、一応お嬢様なの。でもね、私は・・・その、社交界や昼寝ひとつできない息の詰まる家にもう、うんざりなの。」とローエルに言った。ローエルは先ほどの笑顔をもっともっと強くして、最後には大笑いし始めた。「な、なんで笑うのよっ!!」少し言ったことを後悔する。
「いや、だって・・・・お前本当におもしろいな。」ニコっとわらってそう言ったローエルにまたしてもキュンとする。はぁ、なにをやってるんだかと自分に呆れる。
その時だった。ものすごい音にサイレンを鳴らして父の部下たちがこちらを追ってきた!
「お、来たか。まぁ、やっぱりくるよなぁ。」とローエルは超のんびりモードだ。
「ちょっと、だ、大丈夫なのぉ?!」と私は結構焦る。しかし、急かしてもローエルは動じない。むしろ顔に浮かべた笑みをもっと強くするばかりだ。
「あぁ、だいじょうぶだっ!!!」最後のその一音を言い放った刹那、乗っていた近未来型ジェット機のエンジンが数十倍の大きさに変化した。
「うわぁ!!すっごいー!!」その迫力に思わず声を上げる。
「あ、しっかりつかまっててね」そう言うとローエルはアクセルを思いっきり踏み込んだ。
「う・・・うわぁっ!!!」またしても驚き声が出る。しかし、今度の声はローエルがアクセルを踏み込んだことによるスピードのい上昇に対しての声。本当に驚いた。と思ったのもつかの間スピードメーターが音を立てて爆発した。
「ありゃりゃ。こわれちった。」と笑いながらローエルが呟く。
「え・・・、えぇ!?だ、大丈夫なの?!」私が心配そうに聞く。
「あぁ、大丈夫だよ!これくらいじゃ壊れない・・・たぶん。」
その言葉に信用性がないことは明らかだ。そんなことを考えていたら急にスピードが下がった。しかもエンジンのある部分からは「ヒュウウン・・・・」となにかの機械が運動をやめる音が鳴る。
「え、えええっ!!!」「・・・あぁぁ、やっぱだめか・・・・」
ローエルがはぁーと一つため息をついた瞬間ローエルがとんでもない行動にでた。
「降りるぞ!!これからっ!」
・・・・「ええええええぇ!!!」

Earthdustbox~上界と下界へ住む生物~

Earthdustbox~上界と下界へ住む生物~

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-11

Copyrighted
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  1. 始まりの物語
  2. あなたの名前は。