太陽と月と
どうも、初めまして。綾崎湫です。
この作品はまだまだ構想段階なのでゆっくり書いていきます。
ちなみに、この物語の舞台は自分の故郷、新潟をイメージしております。少しだけ発達した田舎で、彼らがどんな物語を描くのか。ぜひ、お楽しみください。
あの日の話
「ねぇ」
快活そうな幼い少女が僕に問いかける
「太陽って何で皆を照らすのかな」
当たり前のような質問。でも、それは誰も明確な答え知らない質問
「……それはさ…」
僕は答える。この正解のない質問に
「きっと…太陽が優しいからだと思うよ」
多分これは答えになっていない答え。だが、これを聞いて少女は納得する
「そっか、じゃあ私はーーーー」
少女は僕を見て笑う。優しく、にこやかに、明るく笑う
「太陽みたいに優しくなりたいなーーーー」
いつもの日々
新しい朝が来た。
僕は珍しく目覚まし時計がけたたましい音を鳴らす少し前に目を覚ます。
普段であれば、目覚まし時計が鳴っても寝ぼけ眼だというのに、どういう訳か。すっかり目が覚めている。
とりあえず、ベッドから飛び起きて部屋の窓を開き、新鮮で冷たい空気を肌で感じる事にした。
「うわっ…寒っ……」
あまりにも普通な感想を述べた後、改めて外の景色を見る。僕が住んでいるのは六階建てマンションの最上階のため、周りに大きな建物のないこの町ではとても遠くまで見える。そして、地平線の向こうから顔を出し、薄暗い町に光を照らす太陽が見えた。
「今日も良い1日になりますように」
こうやって太陽に願い事を言うのが僕ーーーー柊 輪廻の1日の始まりだった。
×
×
日課のお願い事をした後、僕は朝ご飯を作り始める。うちにはとある事情で両親がいないため、こうなっている。
一応僕には妹がいるのだが、彼女は自称「料理をしたら死んでしまう病」にかかっているため料理をしようとしない。ので、僕が年中キッチンに立って朝ご飯と昼の弁当、挙げ句夕ご飯も作るはめになっているのだった。
「おぉー、今日もいい匂い~♪」
元凶のお出ましである。
「兄さん、今日の朝ご飯は何ですか~?」
「スクランブルエッグだよ。あとはウィンナーとサラダだよ」
「おっ、流石兄さん!!私の食べたい物を読むとは~♪」
彼女が僕の妹で、名前が柊 雪音。外では優等生の皮をかぶっていて人気者、家では本性丸出し一日中ゴロゴロしっぱなしでだらしない高校1年生である。ちなみに、僕は高校2年生で、雪音と同じ高校に通っている。
「いいから、さっさと食べる。お弁当も作っておいたから、自分で持ってってよ?この間みたいに1年生の教室に届けるとかイヤだし」
「分かってますよ!兄さんは心配性ですね……」
「その言葉…今年だけで3回は聞いたよ…」
「気のせいじゃないですか?」
こんなのが普段の会話。
「じゃあ、先に学校行くから。絶対にお弁当忘れないようにね!!」
「はいはい、行ってらっしゃーい♪」
雪音に見送られながら、僕は家を出る。
学校が始まるまでかなり時間はあるが、用事があるため先にでたのだ。
「うーん、ちょっと早いかな…」
僕は目的地である一軒家の前に着く。ただ、問題なのが約束の時間より早いということだ。
「まぁ、多分起きてるよね」
そんな事を呟きながらインターホンを押す。
ピンポーン。という音が鳴った後、ドタドタと足音が外まで響き、勢いよく玄関のドアが開き、茶髪ロングの少女が飛び出てくる。
「輪廻、おはよー!!」
「……うん、おはよう…」
「どうしたの?元気なくない?」
「君が元気すぎるだけだよ……陽実」
この超元気すぎる少女は穂仲 陽実。僕とは同い年で同じ高校に通っていて…そして、幼なじみという関係性だ。
親同士が友人なので何回も会ってるうちに僕も雪音も自然と陽実とは仲良くなっていたのだ。
「いやー、ごめんね?こんな朝早くに呼んじゃってさ」
「気にしないでいいよ。どうせいつもこの時間には学校に行く準備終わってるし」
「そう?あ、ちょっと待っててね。すぐに準備終わらせてくるから!!」
そういって陽実は家の中に入っていった。
しばらくすると学校指定のブレザーを着て、先ほどまではおろしていた髪を結い上げてポニーテールにした陽実が現れる。
「よし、じゃあ行こっか♪ダーッシュ!」
突然駆け出す彼女に驚くこともなく僕も走り出す。彼女が突然走り出すのは
いつもの事なので慣れてしまっているのだ。
【こうやって始まる僕の日常】
幕間 日々の色彩
あの日からーーーーーどれだけの時が流れたのだろう。
彼女の横顔を眺めながらふと思う。
時間がたつたびあの人に似ていく
声も
姿も
表情も
行動も
そんな彼女を見るたびに僕は思ってしまう。
ーーーーもう、戻れないとーーーー
ーーーー僕がこうしてしまったのだとーーーー
何度も頭をよぎる嘆きの言葉。
けれど嘆いてはいけない。
なぜなら
『これは僕が望んだことだから』
太陽と月と