鬼と獣、七
後日談です。
しめやかに
あれから数日が過ぎた。
お互い特に連絡を取り合うこともなく、淡々と毎日が過ぎた。
しかし、ふわふわとした気持ちの揺れは無視することが出来ない。
我慢の限界に先に達したのは白澤の方であった。
深呼吸をして鬼灯へ電話をかける。
今まで何じゃなかったことだ。何故こんなに鼓動が早くなる。鬼灯も意識してくれているからか、、?
3コール目に鬼灯の声が電話口から聞こえた。
「鬼灯?僕だよ。、、、あのさ、もうそろそろ会わない?、、、あれからしばらく経つし、ちゃんと話したいし。」
「、、、、、、、。」
無言である。こういうときは無言が1番辛いものだ。
白澤はプルプルと痙攣を起こしそうになりながらもう一度話しかける。
「会いたいの!鬼灯が来ないなら僕が行くからな!閻魔殿押しかけるから!」
電話口からガサガサと紙をめくるような音が聞こえていた。
もう今からでも押しかけてやろうかと思っていたところで、ようやく返事が返ってきた。
「明日、有給を取りました。、、、ので、明日伺いますよ。」
有給を取ってくれるとは思っていなかった白澤は電話だが顔をほころばせ二つ返事で電話を切った。
鬼灯が来る。
その日は緊張と嬉しさといろいろ入り混じり、酒も飲めずにふわふわとしていたらもう翌日になっていた。
桃太郎には来客用の配膳を頼み、その後は畑の草むしりをしておくようにと頼んでおいた。
そわそわとしながら店内の椅子に腰掛けて待った。
お昼前。
店の扉がおもむろに開かれ、厳つい表情の鬼灯が店内へと入ってきた。
「やぁ、来てくれたね。いらっしゃい。」
平然を装う白澤。
「お邪魔します。」
鬼灯も短く挨拶を返し、白澤のいるテーブルについた。
「さて、、、」
白澤が少し緊張の面持ちで口を開いた。
鬼と獣、七