今ぼくは。

今ぼくは。

今ぼくは。
今ぼくは、何をしていますか。
今ぼくは、夢を叶える事ができていますか。
今ぼくは、幸せを噛み締めて生きていますか。

平日の夕方。
電気もつけないで、僕は部屋の片付けをしていた。

17歳の冬。
地元の高校に馴染めなかった僕。
とうとう親にも見捨てられたようで。
春からはちょっと都会のがやついた所で、
1人暮らしがまっている。

今日はその、準備というかなんというか…。
当の昔から開けてない、引き出しに
ぽつんとソレは、入っていた。

「汚ったね。」

カラスの鳴き声と僕の声が、重なった。
ペラペラな紙切れに 、走り書きされたソレは。
想像以上に僕の心に冷たくささった。


引越し前日。
僕の部屋はすっからかんで。
今日、明日最低限必要な物だけが
広々とした空間にチョコッとおいてあって。

無言だった。
母さんも。父さんも。
目も合わせる事もなく、夕飯をとって。

でも
僕の大好きなメニューだったから
ジャガイモ入りの味噌汁と、
小さい頃によく、母さんがお弁当に入れてくれた甘い卵焼きと、ちょっとかためな炊き込みご飯。
これが家族なんだなって。
久しぶりに泣きそうになった。

「さすがに冬に、じゅうたん無しの上に布団ひいて寝んのはきつかったかな…。」

明日ぼくは
17年間お世話になった、家を出る。

今ぼくは。

今ぼくは。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-07

Copyrighted
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